離婚協議書の書き方とサンプル|公正証書にするまでの流れも解説

離婚を考えた方の多くが一度や二度「離婚協議書」について耳にしたことがあるのではないでしょか?

離婚協議書とは、協議離婚する際に夫婦間であらかじめ取り決めなければならない事項(子の親権等)につき、夫婦間で合意した内容を記載した書面のことをいいます。

離婚協議書は協議離婚の際、必ず作成しなければならないというものではありません。

しかし、後日、合意した、合意しなかったという水掛け論となる事態を防ぐためには重要な書類といえます。

離婚協議書はサンプル等を見ながら作成することも可能ですから、記事の前半では、離婚協議書の記載事項と書き方を解説するとともに、最後にサンプルをお示ししたいと思います。

また、記事の後半では、離婚協議書を公正証書にするメリットやデメリット、公正証書にするまでの手順について詳しく解説してまいりたいと思います。

ぜひ最後までご一読いただき、これから離婚協議書を作成する際の参考としていただけると幸いです。

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①離婚協議書の書き方とサンプル

離婚協議書に書くべき主な事項は以下となります。

  • 表題
  • 離婚に合意する旨の文言
  • 協議離婚すること、離婚の届出を行うことの合意(第1条)
  • 親権(第2条)
  • 養育費(第3条)【子がいる場合】
  • 面会交流(第4条)
  • 慰謝料(第5条)【慰謝料が発生する場合】
  • 財産分与(第6条)
  • 年金分割(第7条)
  • 清算条項(第8条)
  • 公正証書(第9条)
  • 離婚協議書を作成し、各自が保有する旨
  • 日付
  • 署名、押印

これより各項目の書き方について説明し、最後にこれらを組み合わせた離婚協議書のサンプルをお見せします。

先にサンプルを見て離婚協議書の全体イメージを掴みたい方は、「離婚協議書のサンプル」をクリックしてください。

表題

表題は「離婚協議書」あるいは「合意書」と記載することが多いです。

記載例
  • 離婚協議書
  • 合意書

離婚に合意する旨の文言

「表題」の下に、表題から1行空けて記載します。

この文言は定型ですから【例】の通り記載すれば問題ないでしょう。

ただし、夫と妻(2者間)の離婚協議書と夫・妻・不倫相手(3者間)の離婚協議書(夫又は妻が不倫相手にも慰謝料請求する場合の離婚協議書)とで書き方が異なる点に注意が必要です。

記載例

~夫と妻(2者間)の離婚協議書(合意書)の場合~
〇〇〇〇(以下、甲という)と××××(以下、乙という)は、甲乙間の婚姻の解消に関する件(以下「本件」という。)について、以下のとおり合意する。

~夫・妻・不倫相手(3者間)の離婚協議書の場合~
〇〇〇〇(以下、甲という)と××××(以下、乙という)及び△△△△(以下、丙という)は、甲乙間の婚姻の解消に関する件(以下「本件」という。)について、以下のとおり合意する。

協議離婚すること、離婚の届出を行うことの合意(第1条)

甲及び乙が協議離婚すること及び離婚の届出を行うことの合意をしたことを記載します。

なお、協議離婚することと離婚の届出を行うこと明確に区別するため、両者をあえて分けて記載する場合もあります。

記載例

1条(離婚の合意)
甲及び乙は、本日、協議離婚すること及び乙(※1)がその届出を速やかに(※2)行うことを合意する。

1 甲、乙のどちらが離婚の届出を行うのか明記しておきます。
2 「令和〇年〇月〇日までに」などと期限を記載してもよいかと思います。

親権(第2条)

甲、乙いずれが子の親権を持つのか記載します。

甲、乙いずれが親権を持つかについては離婚の届出をするまでに必ず決めておく必要があります(離婚届に親権に関して記載する欄があり、空欄のままでは離婚届が受理されません)。

記載例

2条(親権)
甲・乙間(※1)の長女□□□□(平成□□年□月□日生)(以下、丙という)、次女△△△△(平成△△年△月△日生)(以下、丁という)(※2)の親権者・監護者を乙と定めて(※3)、乙において監護養育することとする。

1 親権を持つことができるのは甲乙の間の子です。
2 間違いがないよう生年月日まで記載しておくと安心です。
3 単に「親権者」と記載しないよう注意が必要です。親権には身上監護権(子の身のまわりの世話や、しつけ、教育をする権利)、財産管理権(子の預貯金などを管理する権利)、法定代理権(子が親の同意が必要となるような行為をする場合、子を代理してその行為を行う権利)の3つが含まれています。このうち身上監護権(身上監護権を有する者)が「監護権(監護者)」のことです。離婚では、親権からこの監護権だけを切り離して他方配偶者に与えるということが稀に行われることがあります。したがって、単に「親権者」と記載したのみでは、監護権を含む親権なのか監護権を切り離した親権なのかが曖昧となり、将来の紛争の火種ともなりかねません。そこで、「親権者」と「監護者」を明確にわけて記載するのです。

養育費(第3条)【子がいる場合】

養育費については、

  • 養育費を支払う子(※1)
  • 養育費の支払い時期(※2) →子ごとに個別に記載する方法もあります
  • 養育費の額(※3) →子ごとに個別に記載する方法もあります
  • 養育費の支払い義務があること(※4)
  • 養育費の支払い期限(※5)
  • 養育費の支払い方法(※6)→通常、口座振り込み
  • 口座振り込みとした場合の手数料負担(※7)→通常、養育費の支払い義務者
  • 子の入学、事故、病気などで特別な費用が生じた場合の養育費の支払いに関する事項(※8)
  • 事情の変更により、協議の上で養育費を増減できること(※9)

などを記載します。

子の将来にかかわることですから、子の将来のことも見据えた話し合いを行い、個別事情に応じて記載していくことが必要です。

記載例

3条(養育費)
1 甲は乙に対し、前記子ら(※1)の養育費として、令和〇年〇月から令和〇年〇月まで(※2)、1人につき毎月〇万円(※3)の支払い義務があることを認め(※4)、これを毎月末日限り(※5)、金〇万円の合計金〇〇万円を乙の指定する以下の口座へ振込送金の方法により支払う(※6)。
◇◇銀行 ◇◇◇◇支店    普通口座
口座番号 ◇◇◇◇◇◇◇ 名義人 ✕✕✕✕✕✕✕
2 振込手数料は甲の負担とする(※7)。
3 甲乙は、前記子らの入学、事故及び病気などで特別な費用を要する場合は、互いに誠実に協議して分担額を決める(※8)。
4 上記の養育費は、物価の変動その他の事情の変更に応じて甲乙協議の上で増減できる(※9)。

面会交流(第4条)

面会交流とは、子と離れて暮らす夫(又は妻)が子と面会等を通じて交流を図ることです。この面会交流については、

  • 面会交流を行う子(※1)
  • 面会交流の頻度(※2)
  • 面会交流の日時(※3)
  • 面会交流の場所(※4)
  • 面会交流の方法(※5)
  • 面会交流以外での連絡方法(※6)
  • 子の引き渡し場所(※7)
  • 子の引き渡し方法(※8)
  • 立会人の有無(※9)

などを記載します。

面会交流は子と離れて暮らす夫(又は妻)の権利であるとともに、子の健全な成長(福祉)のためにも大切なイベントです。子の視点に立って話し合い、個別事情に応じて記載していくことが大切です。

記載例

4条(面会交流)
1 乙は、1か月に1回(※2)、甲が乙宛に送付した(丙・丁)への手紙(※1)を、速やかに(丙・丁)に手渡す(※5)。
2 乙は、甲に対し、3か月に1回(※2)、(丙・丁)の(※1)近況を撮影した写真(丙の顔及び全身を映したもの各1枚)を送付する(※5)。
3 乙は、甲に対し、以下の要領のとおり、甲と(丙・丁)(※1)との面会を許す。
⑴ 日時
ア 頻度:毎月1回(※2)
イ 時間:正午から午後4時までの4時間(※3)
ウ 具体的な日時の取り決め方:甲が乙に対し、面会を実施しようとする月の前月〇〇日までに、土曜日、日曜日又は祝日の中から候補日を三つ提示し、乙が甲に対し、当該提示を受けた日から一週間以内に、当該候補日の中から乙が選定した面会日を通知することで決定する。
⑵ 引渡場所(※7)
ア 引渡場所は、JR〇〇駅北側改札口付近とする。
イ 乙は、上記アの引渡場所に代わる場所を引渡場所として指定することができる。この場合、乙は、上記⑴ウの面会日を通知する際に、上記アに代わる引渡場所を通知する。
⑶ 引渡方法(※8)
ア 乙は、甲に対し、上記⑴イの面会の開始日時に、上記⑵の引渡場所において、(丙・丁)を引き渡す。
イ 甲は、乙に対し、上記⑴イの面会の終了日時に、上記⑵の引渡場所において、(丙・丁)を引き渡す。
⑷ 立会人(※9)
ア 甲は、甲と(丙・丁)との面会に、乙が事前に同意した甲の親族等を立ち会わせることができる。
イ 甲は乙に対し、上記⑴ウの候補日を提示する際に、上記アの立会人となろうとする親族等を提示し、乙は甲に対し、上記⑴ウの面会日を通知する際に、当該親族等の立会いに同意するか否かを通知する。
⑸ 協議
以上のほか、面会交流の実施にあたり必要な事項は、(丙・丁)の利益を最優先にし、甲乙間で誠実に協議して定める。

慰謝料(第5条)

慰謝料は、配偶者、不倫相手の不貞行為や離婚自体から受けた精神的苦痛に対する賠償金です。

慰謝料については、

  • 慰謝料の総額(※1)
  • 慰謝料の支払義務があること(※2)
  • 一括払いが分割払いか(※3)
  • 慰謝料の支払い時期(期限)(※4)
  • (分割払いとした場合)毎月の支払い額(※5)
  • 慰謝料の振込先口座(※6)
  • 振込手数料の負担(※7)

のほか、

  • 慰謝料を支払わない、支払う見込みがない場合の期限の利益喪失条項

についても記載しておくとよいでしょう。

記載例

5条(慰謝料)
1 甲は、乙に対し、慰謝料として金〇〇万円(※1)の支払義務があることを認め(※2)、これを〇〇回に分割して(※3)、令和〇年〇月〇日から令和〇年〇月〇日まで、毎月末日限り(※4)金〇万円(※5)を第31記載の乙名義の普通口座へ振込送金する方法で支払う(※6)。
2 振込手数料は甲の負担とする(※7)
3 甲について、下記事由が生じた場合は、乙の通知催告を要さず、甲は、当然に期限の利益を失い、乙に対して残金を直ちに支払う。
⑴ 分割金の支払いを1回でも怠ったとき。
⑵ 他の債務につき、強制執行、競売、執行保全処分を受け、あるいは公租公課の滞納処分を受けたとき。
⑶ 破産、民事再生手続開始の申立てがあったとき。
⑷ (略)
⑸ (略)

財産分与(第6条)

財産分与とは、夫婦が婚姻中に築き上げた財産を離婚時に分配する手続きのことです。

財産分与で対応が難しいのが住宅(土地・建物)です。住宅を売却するのか、売却せずにそのまま住み続けるのか、住宅ローンが残っておりオーバーローン(住宅ローン残高>住宅の価値の状態)の場合は誰が住宅ローン等を支払っていくのか、など様々なことを検討しなければなりません。

以下は、甲が住宅ローン等を支払っていくことに合意した場合の記載例です。

記載例

6条(財産分与)
1 甲は、下記不動産(以下、「本件不動産」という。)に関する別紙債務目録記載の住宅ローン(以下「本件住宅ローン」という。)及び公租公課(固定資産税)について、これを責任をもって支払う。
①土地の表示
所  在  東京都〇〇区
地  番  〇番
地  目  〇地
地  積  〇㎡
② 建物の表示
所  在  東京都〇〇ク
家屋番号  〇〇番
種  類  居宅
構  造  〇〇
2 甲は乙に対し、財産分与として金〇円の支払義務を存することを認め、これを一括して、令和〇年〇月〇日限り、第31記載の乙の普通預金口座に振り込む方法により支払う。振込手数料は甲の負担とする。

年金分割(第7条)

年金分割とは、夫婦が婚姻中に支払ってきた年金保険料の金額に応じて、離婚後、各自が受け取ることとなる年金受給額を調整する制度です。

年金分割は、たとえば、夫が会社員・妻が専業主婦というケースで、離婚後、妻が国民年金しか受け取ることができず生活が不安定となってしまっていたことから設けられた制度です。

したがって、ご自身の老後のことも見据えて年金についても後回しにせず、きちんと話し合っておく必要があります。

なお、分割の対象となるのは厚生年金(年金の2階建て部分)のみで国民年金(年金の1回建て部分)は対象ではない(したがって、自営業者の方などは年金分割できない)など、注意点は他にもいくつかありますので、分からない方は弁護士など専門家に尋ねてみるとよいでしょう。

なお、年金分割には「合意分割」「3号分割」という2種類の方法があります。

前者は平成203月以前の婚姻期間中の年金、後者は平成204月以降の婚姻期間中の年金が対象です。後者は相手の合意が不要という特徴があります。

記載例

7条(年金分割)
甲(第一号改定者)と乙(第二号改定者)は厚生労働大臣に対し、厚生年金分割の対象期間にかかる被保険者期間の標準報酬の改定又は決定の請求をすること及び請求すべき按分割合を0.5とする旨合意し、乙は、離婚届提出後2か月以内に厚生労働大臣に対し、合意内容を記載した公正証書(※1)の謄本を提出して当該請求を行うこととする。

甲(昭和〇〇年〇月〇日生)(基礎年金番号 〇〇-〇〇〇〇〇)

乙(昭和〇〇年〇月〇日生)(基礎年金番号 〇〇-〇〇〇〇〇)

1 年金分割については離婚協議書とは別に合意書を作成し、それを公正証書にすることも多いです。

清算条項(第8条)

清算条項とは、過去の関係を清算するという言葉があるように、離婚協議書に記載した約事の他に相手に請求しないこと、相手から請求されないことを合意することです。

記載例

8条(清算条項)
甲及び乙は、以上をもって解決したものとし、今後、上記の各条項の外、名義の如何を問わず金銭その他の請求を相互にしないこと、及び甲乙以外の者が本件合意の内容には一切干渉しないことを相互に確認した。

公正証書(第9条)

公正証書とは、法務大臣が任命する公務員である公証人が作成する公文書のことです。

公正証書は、公証人が勤める交渉役場で、公証人に依頼して作成します(詳しい手順は下記で解説いたします)。

そもそも、上記の約束事は書面(離婚協議書)にしなければならないという決まりはありません(口頭でも有効です)。

しかし、それでは言った言わないの水掛け論になって約束したことが反故にされてしまうおそれがあります。

そこで、離婚協議書に約束事をきちんと明記した方が無難なのです。

その上で、公正証書を作成するメリットが特にあらわれるのが、相手が約束を守ってくれないおそれがあるときです。

離婚協議書だけ作成しても、相手が約束を守ってくれなかった場合、裁判を経なければ強制執行(相手の給与等を差し押さえる)することができません。

しかし、公正証書を作成し、相手が約束を守らなかった場合は直ちに強制執行に服する旨の文言(執行認諾文言)を入れておけば、裁判を経なくても、直ちに強制執行することができるのです。

記載例

9条(公正証書)
甲及び乙は、本合意につき、強制執行認諾文言付公正証書を作成することに合意した。

離婚協議書を作成し、各自が保有する旨

以下の定型文を記載するとよいでしょう。

記載例
以上の合意成立を証するため、本書2通を作成し、甲乙が署名捺印の上、各自1通を保有する。

日付

日付は下記の署名・押印する日を記載しましょう。

記載例
令和〇年〇月〇日

署名、押印

住所、氏名を自筆し、氏名の横に押印(シャチハタ不可)します。

記載例

(甲)
住所
氏名                ㊞

(乙)
住所
氏名                ㊞

まとめ【離婚協議書サンプル】

以上の記入例をまとめると以下のとおりとなります。

ここをクリックすると離婚協議書のサンプルがご覧になれます

 

離婚協議書

 

〇〇〇〇(以下、甲という)と××××(以下、乙という)は、甲乙間の婚姻の解消に関する件(以下「本件」という。)について、以下のとおり合意する。

第1条(離婚の合意)
甲及び乙は、本日、協議離婚すること及び乙がその届出を速やかに行うことを合意する。

第2条(親権)
甲・乙間の長女□□□□(平成□□年□月□日生)(以下、丙という)、次女△△△△(平成△年△月△日生)(以下、丁という)の親権者・監護者を乙と定めて、乙において監護養育することとする。

第3条(養育費)
1 甲は乙に対し、前記子らの養育費として、令和〇年〇月から令和〇年〇月まで、1人につき毎月〇万円の支払い義務があることを認め、これを毎月末日限り、金〇万円の合計金〇〇万円を乙の指定する以下の口座へ振込送金の方法により支払う。

◇◇銀行 ◇◇◇◇支店    普通口座
口座番号 ◇◇◇◇◇◇◇ 名義人 ✕✕✕✕✕✕✕

2 振込手数料は甲の負担とする。
3 甲乙は、前記子らの入学、事故及び病気などで特別な費用を要する場合は、互いに誠実に協議して分担額を決める。
4 上記の養育費は、物価の変動その他の事情の変更に応じて甲乙協議の上で増減できる。

第4条(面会交流)
1 乙は、1か月に1回、甲が乙宛に送付した(丙・丁)への手紙を、速やかに(丙・丁)に手渡す。
2 乙は、甲に対し、3か月に1回、(丙・丁)の近況を撮影した写真(丙の顔及び全身を映したもの各1枚)を送付する。
3 乙は、甲に対し、以下の要領のとおり、甲と(丙・丁)との面会を許す。
⑴ 日時
ア 頻度:毎月1回
イ 時間:正午から午後4時までの4時間
ウ 具体的な日時の取り決め方:甲が乙に対し、面会を実施しようとする月の前月〇〇日までに、土曜日、日曜日又は祝日の中から候補日を三つ提示し、乙が甲に対し、当該提示を受けた日から一週間以内に、当該候補日の中から乙が選定した面会日を通知することで決定する。
⑵ 引渡場所
ア 引渡場所は、JR〇〇駅北側改札口付近とする。
イ 乙は、上記アの引渡場所に代わる場所を引渡場所として指定することができる。この場合、乙は、上記⑴ウの面会日を通知する際に、上記アに代わる引渡場所を通知する。
⑶ 引渡方法
ア 乙は、甲に対し、上記⑴イの面会の開始日時に、上記⑵の引渡場所において、(丙・丁)を引き渡す。
イ 甲は、乙に対し、上記⑴イの面会の終了日時に、上記⑵の引渡場所において、(丙・丁)を引き渡す。
⑷ 立会人
ア 甲は、甲と(丙・丁)との面会に、乙が事前に同意した甲の親族等を立ち会わせることができる。
イ 甲は乙に対し、上記⑴ウの候補日を提示する際に、上記アの立会人となろうとする親族等を提示し、乙は甲に対し、上記⑴ウの面会日を通知する際に、当該親族等の立会いに同意するか否かを通知する。
⑸ 協議
以上のほか、面会交流の実施にあたり必要な事項は、(丙・丁)の利益を最優先にし、甲乙間で誠実に協議して定める。

第5条(慰謝料)
1 甲は、乙に対し、慰謝料として金〇〇万円の支払義務があることを認め、これを〇〇回に分割して、令和〇年〇月〇日から令和〇年〇月〇日まで、毎月末日限り金〇万円を第3条1記載の乙名義の普通口座へ振込送金する方法で支払う。
2 振込手数料は甲の負担とする
3 甲について、下記事由が生じた場合は、乙の通知催告を要さず、甲は、当然に期限の利益を失い、乙に対して残金を直ちに支払う。
⑴ 分割金の支払いを1回でも怠ったとき。
⑵ 他の債務につき、強制執行、競売、執行保全処分を受け、あるいは公租公課の滞納処分を受けたとき。
⑶ 破産、民事再生手続開始の申立てがあったとき。
⑷ (略)
⑸ (略)

第6条(財産分与)
1 甲は、下記不動産(以下、「本件不動産」という。)に関する別紙債務目録記載の住宅ローン(以下「本件住宅ローン」という。)及び公租公課(固定資産税)について、これを責任をもって支払う。

①土地の表示
所  在  東京都〇〇区
地  番  〇番
地  目  〇地
地  積  〇㎡
② 建物の表示
所  在  東京都〇〇ク
家屋番号  〇〇番
種  類  居宅
構  造  〇〇

2 甲は乙に対し、財産分与として金〇円の支払義務を存することを認め、これを一括して、令和〇年〇月〇日限り、第3条1記載の乙の普通預金口座に振り込む方法により支払う。振込手数料は甲の負担とする。

第7条(年金分割)
甲(第一号改定者)と乙(第二号改定者)は厚生労働大臣に対し、厚生年金分割の対象期間にかかる被保険者期間の標準報酬の改定又は決定の請求をすること及び請求すべき按分割合を0.5とする旨合意し、乙は、離婚届提出後2か月以内に厚生労働大臣に対し、合意内容を記載した公正証書の謄本を提出して当該請求を行うこととする。

甲(昭和〇〇年〇月〇日生)(基礎年金番号 〇〇-〇〇〇〇〇)
乙(昭和〇〇年〇月〇日生)(基礎年金番号 〇〇-〇〇〇〇〇)

第8条(清算条項)
甲及び乙は、以上をもって解決したものとし、今後、上記の各条項の外、名義の如何を問わず金銭その他の請求を相互にしないこと、及び甲乙以外の者が本件合意の内容には一切干渉しないことを相互に確認した。

第9条(公正証書)
甲及び乙は、本合意につき、強制執行認諾文言付公正証書を作成することに合意した。

以上の合意成立を証するため、本書2通を作成し、甲乙が署名捺印の上、各自1通を保有する。

令和〇年〇月〇日

(甲)
住所
氏名                ㊞

(乙)
住所
氏名                ㊞

②離婚協議書を公正証書にするメリット

離婚協議書はご自身で作成することも可能です。しかし、以下のメリットを考えると離婚協議書は公正証書にした方がよいと考えます。

内容が正確、証拠能力・証明力が高い

公正証書は、公証人という法的素養を身に付けた専門家が夫婦の話を聴きながら作成していきますので、内容が正確です。

したがって、内容に曖昧さが残らず、後日、内容が曖昧ゆえに紛争に発展するという事態を防ぐことができます。

また、公正証書は公文書ですから証拠能力が高いです。

証拠能力が高いということは、仮に何かの事項で裁判へ発展したとしても公正証書を証拠として使いやすいことを意味しています。

さらに、公正証書に記載されている内容は公証人が考え、記載したものですから信用性が認められ、証拠価値(裁判官の心証に与える影響度)も高いです。

相手が金銭を支払わなかった場合に、容易に金銭を回収できる可能性がある

前述したとおり、公正証書に強制執行認諾付文言を入れておけば、相手が養育費、慰謝料、財産分与を約束通り支払わなかった場合に、裁判を経ずに強制執行することが可能です。

特に、養育費等は長期間に渡り支払ってもらわなければならないもので、約束通り支払ってもらわなければ生活に大きく影響しますから、公正証書にしておくメリットが高いといえます。

また、強制執行するためには、相手の財産を把握しておくことが前提です。

そのため、2020年(令和2年)41日から、相手に財産の開示を求めること、第三者(金融機関等)に対して相手の財産に関する情報開示を求めることが可能となりました。

公証役場で公正証書の原本を一定期間保管してくれる

公正証書を作成した後は、公正証書の正本謄本が当事者に配布されます。

そして、公正証書の原本は公証役場で一定期間保管されます。

今後のため、公正証書の正本謄本は紛失しないようきちんと保管しておくべきですが、仮に紛失した場合でも、原本が公証役場に保管されている限り、改めて公証役場に請求して公正証書の謄本を取得することができます

もっとも、繰り返しになりますが、公正証書の原本が公証役場で保管されているからといって安心せず、公正証書の正本謄本はご自身で責任をもってきちんと保管しておきましょう。

③離婚協議書を公正書証にするデメリット

他方で、離婚協議書を公正証書にするデメリットは、作成に手間と費用(手数料)がかかるということです。

まず、公正証書を作成するといっても、どんな内容を書類に盛り込むのか夫婦間で話し合い、ある程度話をまとめた上で公証役場に出向く必要があります。

お互い譲歩しなければ、この話し合いに時間がかかってしまうでしょう。

話し合いが必要なのは公正証書を作成しない場合も同様ですが、公正証書を作成する場合は話し合いをした上で、夫婦のいずれかが公証役場に出向く必要があります。

公証人との面談がスムーズにいけば公証役場へ出向く回数は1回で終わることもありますが、スムーズにいかない場合は複数回出向く必要があります。

こうした面談を経た上で、公証人が公正証書を作成するのはおおよそ1週間~2週間程度はかかると言われています。

また、公正証書を作成するには費用がかかります。

費用は養育費、慰謝料、財産分与の額に比例して高くなります。

具体的な費用(見込み額)をお知りになりたい方は、あらかじめ公証役場へ問い合わせて確認しておきましょう。

④離婚協議書を公正証書にするまでの流れ

離婚協議書を公正証書にするまでの流れは以下のようになります。

  1. 夫婦間で親権等に関する話し合いをする
  2. 必要書類を準備する
  3. 近くの公証役場へ公証人との面談のための電話予約をする
  4. 指定された日時に、メモ書きと必要書類をもって公証役場へ出向き、公証人と面談
  5. 公証人が公正証書(案)を作成、夫婦に提示
  6. 最終稿の確定(作成日の決定と手数料の確定)
  7. 公正証書に署名・押印

STEP①:夫婦間で親権等に関する話し合いをする

まずは夫婦間で親権等、書類に記載すべき事項につき話し合う必要があります。

話をまとめることができた場合は、公正証書の原案(自作の離婚協議書)を作成しておくと公証人との面談がスムーズにいきます。

話し合いが難しい場合は弁護士を代理人に立てることも検討しましょう。

STEP②:必要書類を準備する

主な必要書類は以下のとおりですが、事前に公証役場に確認しておくと確実です。

必要書類
  • 本人確認書類(運転免許証など)
  • 戸籍謄本(公正証書作成後に離婚する場合は、現在の家族全員がそろった戸籍謄本)
  • 不動産の登記簿謄本(※法務局から取り寄せます)
  • 不動産の固定資産納税通知書(※毎年5月頃、お住いの市区町村役場から届きます)
  • 年金分割のための年金手帳

STEP③:近くの公証役場へ公証人との面談のための電話予約をする

公正証書を作成するのは公証人ですから、公証人との面談が必要です。

ただし、夫婦で公証役場に出向く必要はありませんから、予約は公証役場へ出向くどちらか一方の方が行えば済みます

代理人弁護士を選任している方は弁護士が予約を取ってくれるでしょう。

STEP④:指定された日時に、メモ書き必要書類をもって公証役場へ出向き、公証人と面談

前述したとおり、公証役場へ出向くのは夫婦のどちらか一方の方でよいです。

電話予約時に指定された日時に公証役場へ出向き、公証人と面談します。

代理人弁護士を選任している方はその弁護士に任せることもできます。

STEP⑤:公証人が公正証書(案)を作成、当事者に提示

公証人は面談、メモ書き、必要書類等に基づいて公正証書(案)を作成します。

前述したとおり、作成には1週間~2週間程度を要します。

公証人が公正証書(案)を作成したら当事者にその旨連絡します

当事者は直接公証役場で、あるいは公証役場から送られてくるFAXで公正証書(案)を確認します。

STEP⑥:最終稿の確定(作成日の決定と手数料の確定)

離婚当事者が公正証書(案)に納得できた場合はその旨を公証人に伝えます

すると、公証人から公正証書の作成日と手数料を伝えられます。手数料は作成日に現金で支払う必要があります。

手数料の支払いについても夫婦間で取り決めておく必要があります。

STEP⑦:公正証書に署名・押印

指定された作成日に公正証書へ出向き、公正証書に署名・押印します。

本人確認書類として印鑑証明書を提出された方は実印を、それ以外の方は実印か認印(シャチハタ不可)を持参してください。

また、手数料を納付する必要がありますので、手数料分のお金も忘れずに。

まとめ

離婚協議書に記載する事項は多岐に渡ります。

また、そもそも離婚協議書を作成する前提として、そうした多岐に渡る事項について、夫婦間で話し合いをして合意形成を図る必要があります。

もっとも、離婚に向けた話し合いはなかなかうまく進まない場合も多いです。

夫婦間で話し合いができない、話し合いがなかなかうまく進まないという方は弁護士に相談してみるのも一つの方法です。

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