児童扶養手当(母子手当て)をもらっても養育費は減額されません

ひとり親世帯にとって必要不可欠な公的扶助制度のひとつが母子手当でしょう。
母子手当は正式には「児童扶養手当」といい,平成22年からは父子家庭世帯にも支給されるようになりました。
児童扶養手当の受給者は2020年3月時点で90万0673人にのぼります。(母親が約85万人,父親が約4万6000人,養育者が約4000人という内訳です。)

母子手当(児童扶養手当)は公的扶助を充実させるため何度も改正されその対象範囲や支給要件などが拡充されてきました。例えば平成24年8月からは児童扶養手当の支給要件に,配偶者からの暴力(DV)で裁判所からの保護命令が出された場合も加えられています。

そして経済的にひとり親世帯にかかせないもう一つの金銭が,離婚した相手から支払われる養育費です。
いずれも受け取りたいというのが本音だと思いますが,母子手当(児童扶養手当)と養育費との関係についてくわしく知りたいと思われているひとり親世帯の方は多いのではないでしょうか。

具体的にこの記事を読めば,

  • 養育費を算定する場合,受け取っている児童扶養手当は考慮されるのか?
  • 養育費を受け取ると児童扶養手当が貰えなくなるのではないか?

といった疑問を解決することができます。養育費問題に強い弁護士が解説しておりますので、是非最後まで読んで参考にしてみてください。

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児童扶養手当とはどのような制度か

それではまず「児童扶養手当」とはどのような制度なのかといった点について基本的な内容を解説していきます。

児童扶養手当の支給要件・支給額

児童扶養手当制度とはどのような制度なのでしょうか。
児童扶養手当の目的は離婚によるひとり親世帯など父・母と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の「生活の安定と自立の促進」に寄与するために当該児童について手当を支給して児童の福祉の増進を図ることと明記されています。

児童扶養手当の支給対象者としては以下のものが規定されています。

「18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある児童」を監護する母・監護し生計を同じくする父または養育する者

つまり子どもが18歳になって最初の年度末である3月31日を迎えるまで(高校卒業まで)は受給することができるということです。

また支給要件としては以下のように規定されています。

父母が婚姻を解消した児童,父または母が死亡した児童,父または母が一定程度の障害の状態にある児童,父または母の生死が明らかでない児童などを監護等していること

児童扶養手当の支給額

児童扶養手当として2021年4月以降のひと月あたり支給される手当の金額については以下のように規定されています。

子どもが1人の場合

  • 全部支給:43160円
  • 一部支給:43150~10180円

子どもが2人目の加算額

  • 全部支給:10190円
  • 一部支給:10180円~5100円

子どもが3人目以降の加算額(子ども1人につき)

  • 全部支給:6110円
  • 一部支給:6100円~3060円

所得の額に応じて支給制限がある

児童扶養手当は,前年の所得の金額に応じてその支給額が決定されています。
この所得によって手当の全額を支給する「全額支給」となるのか一部のみを支給する「一部支給」となるのかが決定されます。

以下のように平成30年8月分から全部支給の対象者となる世帯の所得制限限度額が変更になり引き上げられています。

扶養する児童等の数収入ベース所得ベース
0人122万円49万円
1人160万円87万円
2人215万7000円125万円
3人270万円163万円
4人324万3000円201万円
5人376万3000円239万円

児童扶養手当と養育費の関係

まず「養育費」とは,子どもの養育の為に必要となる費用のことで,生活費や学費,医療費などのために支払われる金銭のことをさします。
それでは児童扶養手当を受給すると養育費を受け取る場合に何らかの影響が出てくるのでしょうか。

児童扶養手当の受給は養育費の算定に影響を与えない

まず,児童扶養手当については養育費の算定には影響を与えません。
非親権者から親権者・子どもに対して支払われる養育費は親権者の所得として考慮されます。児童扶養手当は受給者の所得つまり養育費の受け取り額を考慮したあとに支給額が決定されるのです。

逆に養育費を算定する際には児童扶養手当の受給金額は考慮しません。

裁判例の中にも当時の子ども手当の支給については子の養育費の算定にあたって考慮すべきではないと判示したものがあります。

同裁判例は子ども手当が単年度限りの法律に基づくものであることを示すと同時に,
「子ども手当については,子育てを未来への投資として,次代をになう子どもの育ちを個人や家族のみの問題とするのではなく,社会全体で応援するという観点から実施するものであると説明されていることからすると,子ども手当の支給は,民法上の扶養義務に淵源を有する養育費の支払に影響を与えるものではない」と判断しています。(広島高等裁判所平成22年6月24日判決)

児童扶養手当の算出方法について

養育費を受け取ると児童扶養手当の受給額が減る可能性があります。それは児童扶養手当の算出方法とかかわってきますのでここで説明しましょう。

児童扶養手当を算出するための計算式を簡単に説明すると以下のようになります。

児童扶養手当で審査する所得= 所得 + 養育費の80% - 8万円 - 諸控除額 

「所得」とは1月~12月までの1年間に得た収入から必要経費を控除した金額を指します。給与所得者は源泉徴収票の中の「給与所得控除後の金額」,自営業の方は確定申告書控え中の「所得金額の合計」がそれにあたります。

そして受け取った「養育費」についてはその8割相当額を所得に加算します。

8万円については社会・生命保険料相当額として一律控除されます。
そして諸控除の金額については以下のようなものです。

  • 障害者控除:27万円
  • 特別障害者控除:40万円
  • 勤労学生控除:27万円
  • 小規模企業共済等掛金控除:地方税法で控除された額
  • 配偶者特別控除:地方税法で控除された額
  • 医療費控除:地方税法で控除された額
  • 雑損控除 等:地方税法で控除された額

児童扶養手当の申請者が児童の母または父を除き児童を養育する者(児童の祖父母など)の場合で次の控除がある場合にはその控除額も差し引くことができます。

  • (みなし)寡婦(夫)控除(一般):27万円
  • (みなし)寡婦控除(特別):35万円

以上のように児童扶養手当を支給する際に審査される所得の中には,養育費の8割が加算されます。したがって,加算される養育費の金額が増えると受け取れる児童扶養手当の金額が減少またはなくなる可能性もあります。

児童扶養手当は養育費を受け取ってもなお不足する金額を国が支給するという建前であることがわかります。

まとめ

以上この記事では母子手当(児童扶養手当)と養育費の関係について解説してきました。
離婚に際して養育費の受け取りを考えている方や児童扶養手当を受け取りたいと考えている方など「ひとり親世帯」で悩まれている方は是非一度法律の専門家である弁護士にご依頼ください。
おひとりで悩まずプロの助言を頼ることでより良い解決策が見つけられるでしょう。

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