GoogleやYahooの検索窓に自分の名前(企業名・個人名)を打ち込むと、マイナスイメージのサジェストが表示されてしまい困っていませんか?
たった一つや二つのサジェストキーワードによって、企業であればイメージダウンにより莫大な利益損失に繋がりますし、個人では社会的な評価が大幅に下がり日常生活に支障をきたすこともあるでしょう。
そこでここでは、サジェストの意味や役割、表示される仕組みを紹介したうえで、サジェストを削除する方法を画像付きで弁護士が分かりやすく解説していきます。
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記事の目次
そもそもサジェストってなに?
サジェストとは、Googleなどの検索エンジンやネット通販サイトなどの検索窓にキーワードを入れた時に自動的に表示されるキーワード候補一覧のことです。各キーワードを「サジェストキーワード」、表示させる機能を「サジェスト機能」といいます。
サジェスト(英語表記:Suggest 「提案する」という意味)は、ユーザーが知りたい情報に素早くアクセスできるよう、検索されたキーワードと関連性の高いキーワードをまさに「提案」してくれるものです。
別名、予測変換、検索候補などとも呼ばれ、Googleサジェストは「オートコンプリート」、Yahooサジェストは「キーワード入力補助機能」という名称になっています。
また、検索効率がアップしてユーザー満足度が高まることから、Google以外にも、YahooやBingといった検索エンジン、Amazon、楽天、価格.comなどのショッピングサイト、TwitterなどのSNS、Youtubeやニコ生といった動画サイトでもこの機能が取り入れられています。
サジェストはどういった仕組みで表示されいるの?
サジェストを表示させるアルゴリズムは各サイトによって異なります。そのため、同じキーワードを検索窓に入れたとしても、表示されるサジェストキーワードはサイトによって違います。
ここでは、GoogleとYahooを例にして、それぞれのサイトでどのような仕組みでサジェストを表示させているのかを説明します。
Yahooサジェストの仕組み
Yahooでは、「多くの検索ユーザーがその検索クエリ(検索窓に入力するキーワード)で検索しているか」をサジェスト表示の重要な基準にしています。
例えば、〇〇という名前の芸能人が不倫したという報道がマスコミでなされると、多くの人が、「〇〇+不倫」という検索クエリで検索するでしょう。そうなることで、「〇〇(芸能人の名前)でYahooで検索すると、「〇〇+不倫」のサジェストキーワードが表示されるようになるのです。
そのため、検索数が急上昇しているトレンドキーワードや、Twitter・FacebookなどのSNSや掲示板でバズった話題などに関連した検索クエリもリアルタイムに反映されるのがYahooサジェストの特徴です。
ただ、Yahooはあくまでも「検索ボリューム」を基準としているため、実際にその検索クエリを含むWEBサイトがインターネット上に無い(または極めて少ない)場合でもサジェストに表示されます。
例えば、造語(新しく作られた語。「アベノミクス」など)や若者言葉(「マジ卍」など)がマスコミ報道で急速に世間に認知された場合、まだその言葉を文章中で用いたサイトがなくともYahooサジェストでは表示されるということになります。
Googleサジェストの仕組み
Googleでは、Yahooと違い、検索ボリュームだけでなく、実際にその検索クリエを文章中に含む関連性の高いサイトが多く存在するかどうかといった点も、サジェストに表示させるかどうかの判断基準にしています。
こうすることで、サジェストワードをクリックしても情報が得られるサイトが全く(ほとんど)ない、という検索ユーザーをがっかりさせる事態を回避できます。
また、IPアドレスを偽装し、さも多人数が特定の検索クエリで検索を行っているかのように見せかけて、悪意を持ってサジェストを操作することも防げます。
ただし逆を言えば、Googleサジェストに表示されるサジェストキーワードは多くのサイト内で使用されていることになりますので、悪口や名誉を害する書き込みがネットの世界に広がっていることの裏付けともなります。
サジェスト汚染による影響
サジェスト汚染とは、個人名や企業名にプラスしてネガティブキーワードがサジェストに表示されてしまう現象のことです。
「個人の名前または企業名」+「マイナスイメージのキーワード」という形でサジェストに表示され、以下の表のような影響が生じてしまいます。
サジェスト汚染で表示されるサジェストワードの例 | サジェスト汚染で予想される影響 | |
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個人 |
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企業(法人) |
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Googleサジェストの削除申請方法
Googleサジェストの正式名称は「オートコンプリート」であることは既にお伝えしましたが、Googleでは「オートコンプリートポリシー」というガイドラインを設け、ポリシー違反の検索候補(サジェスト)は、「不適切な検索候補の報告」から報告するよう求めています。
そのため、まずはアナタが削除を希望するサジェストキーワードが以下のオートコンプリートポリシーに違反するかどうかを確認しましょう。
暴力的または残虐な内容の検索候補
見る人に衝撃を与えること、世間を騒がせること、または不当に不快感を与えることを主な目的とする、暴力的または残虐なコンテンツに関連した検索候補は認められません。また、暴力行為や残虐行為を支持、賛美、矮小化したり、その被害者を侮辱したりする検索候補も許可されません。露骨な性的表現、下品な表現、冒とく的な内容を含む検索候補
露骨な性表現、卑猥または下品な描写を含む検索候補は認められません。人体の構造や性教育に関連する医学用語や学術用語の使用は認められます。特定の集団に対して差別的な内容の検索候補
特定の集団に対する憎悪をあおる、容認する、または助長するような検索候補は認められません。これには、人種、民族、宗教、障がい、年齢、国籍、従軍経験、性的指向、性別、性自認など、制度的な差別や排斥に結び付く特性に基づいた分類が含まれますが、これに限定されません。著名人に対する不適切かつ中傷的な検索候補
著名人に対して中傷的または不適切と考えられる検索候補は認められません。これには、嫌がらせ、いじめ、脅迫、性的内容の不適切な表現に関連する検索候補、または嫌がらせ、身元詐称、金融詐欺の原因となるような方法で個人情報または機密情報を開示する検索候補が含まれます。危険な検索候補
人や動物に直ちに深刻な危害をもたらす、またはそうした危害を助長するような商品、サービス、情報の宣伝に関連する検索候補は認められません。
ポリシー違反が確認できた場合は、検索候補右下にある「不適切な検索候補の報告」をクリックします。
次に表示される画面で削除したいサジェストワードにチェックを入れ、削除理由を選択した後に送信ボタンを押して完了です。
より積極的な削除を求めたい場合
上で紹介した、「不適切な検索候補の報告」はあくまでも簡易的な削除方法で、削除されたのかされなかったのかといったグーグルからの回答もありません。
そこで、より積極的に削除を求めたい場合には、「法律に基づく削除に関する他の問題を報告する」というフォームから申請を行います。
申立人の情報を記入する欄では、居住国はデフォルトで「日本」になっていますので、「戸籍上の姓名」「(法人の場合は)会社名」「連絡先メールアドレス」を記入します。
この後の記入の流れは、以下の画像の記入例に沿って説明します。
まず、「コンテンツを見つけるのに使用した検索キーワード」の欄には、個人名や会社名、または、(自分の名前が出てきてしまう)誹謗中傷ワードを記入します。
次に、「検索キーワードの入力中に表示された、不適切とお考えの予測キーワード」の欄には、削除を希望するサジェストキーワードを入れます。
その後、「ご自身の国で適用される法律に従いその検索候補が違法となる理由をできる限り詳しくご説明下さい」の欄には、そのワードがどんな法律に違反しているのかを説明します。
記入例では「侮辱罪」となっていますが、誹謗中傷ワードであれば「名誉棄損罪」も当てはまるでしょう。
これらの記入を終えたら、問題のあるサジェストキーワードが画面に表示されている状況のスクリーンショットを添付し、虚偽申告でないことを誓う同意ボックスにチェックをし、電子署名をしたら「送信ボタン」を押します。
Google側に削除申請のメールが届くと、申請受理完了の自動返信メールが届きます。その後1~3ヶ月後に削除に応じるか否かの回答メールが届きます。
Yahooサジェストの削除申請方法
Yahooサジェストの削除申請は公式サイトの「Yahoo!検索 – 関連検索ワードに関する情報提供フォーム」から行います。
まず上記のフォームへのリンクをクリックすると、「ご確認ください」という画面が表示されますので、「次へ」をクリックします。
次に以下の画像の画面が表示されますが、「お問い合わせ」ボタンを押すとYahoo!JAPANへのログインを求められます。ただしサジェストの削除申請においてはログインの必要性がないため、アカウントをわざわざ作成する必要はありません。画面右下にある「Yahoo! JAPAN IDでログインせずに問い合わせる」をクリックします。
そうすると以下の画像の画面が表示されますので、「関連検索ワードの情報削除」のチェックボックスにチェックを入れ、「次へ」をクリックします。
この後の削除申請の流れは、以下の画像の記入例に沿って説明します。
「検索結果ページのURL1」欄には、問題のあるサジェストキーワードが表示される検索クエリで実際に検索した時の検索結果画面のURLをコピーしてペーストします。今回の記入例でいえば、「〇〇〇〇(実名)」の検索結果画面のURLです。以下の画像を参考にしてください。
「関連検索ワード1」の欄には、実際に表示される問題のあるサジェストワードを記入します。記入例でいえば「〇〇〇〇(実名) 横領」です。
「詳細」欄には、削除申請をした理由を具体的に書きます。ポイントとしては、そのサジェストキーワードにより生じている権利侵害や被害があるのかを具体的に書くことです。記入例では「名誉毀損であり業務に影響が出ている」ことを示しています。
詳細を書き終えたら「次へ」ボタンをクリックし、次に表示される確認画面で記入内容に間違いがないかを確認のうえ、「次へ」ボタンを押せば削除申請は完了です。
申請が受理されて、Yahooが削除対応をとってくれる場合には、およそ1日~10日程度で削除が完了されます。ただし、Yahoo側から連絡があるわけではないため、10日前後を目安に、削除申請したサジェストキーワードが表示されるかどうかを自身で確認しましょう。
申請が通らなかった場合の削除方法
サジェストの削除申請に応じるかどうかはGoogleやYahoo次第です。そのため、申請が通らなかった場合は別の方法をとる必要があります。
風評被害対策業者に依頼する
別名、誹謗中傷対策業者ともいいますが、特定のサジェストキーワード等を表示させないようにしたり、ネガティブキーワードが書き込まれたWEBサイトを目立たなくすることを有料で請け負っている会社です。
対策業者の具体的な手法としては、例えば、「〇〇株式会社(企業名)+ブラック企業」をサジェストから削除するために、掲示板や自社で運営するサイトに「〇〇株式会社+ポジティブキーワード」を大量に書き込みます。ポジティブキーワードとは、「働きやすい」「低料金」「業績好調」などです。そして、複数のIPアドレスを用いて大勢の人が「〇〇株式会社+ポジティブキーワード」でネット検索したかのように装います。
Googleは最大8個、Yahooでは最大10個までとサジェストキーワードが表示される枠が決まっているため、これらのポジティブキーワードをサジェストに表示させることで今現在存在するネガティブキーワードを追い出す手法をとっています。
依頼時の注意点
上記のような手法ではなく、削除申請を代理で請け負っている業者には要注意です。弁護士でない者が申請等の代理行為を有償で行うことは非弁行為といって弁護士法違反となります。
また、対策業者と弁護士が提携し、対策業者が依頼者に弁護士を紹介することで紹介料やキックバックをもらうケースもあります。弁護士が他業種から仕事のあっせんを受ける等の行為は非弁提携という違法行為です。
さらに、業者の中には、過去に依頼を受けたことのある人(または企業)の悪口や社会的評価を低下させるような書き込みをネットで行い、新たな仕事を受注するといったマッチポンプ方式をとる悪質なケースもあります。
違法行為をするなどの悪徳業者に依頼すると余計に事態の悪化を招くこともありますので、安易に選ばずによく吟味してから依頼すべきでしょう。
また、サジェストワードは一旦削除しても、時間の経過とともにタケノコのようにまた出現してきます。そのため、対策業者の料金は月額制で継続依頼が前提となっていることがほとんどです。相場としては月額5万円~7万円を目安としましょう。
弁護士に依頼する
自分で削除申請するにしても、サジェストによってどのような権利が侵害されているのか、どのような法律に違反しているのかといったことが分からないことも多いでしょう。
この点、弁護士は法律の専門家ですので、削除申請の代理を依頼することで、法的に説得力のある削除理由を書いてもらえるため削除される率は上がります。
ただ、上記でお伝えしたように、サジェストキーワードを削除したとしても、また表示されるようになっては”いたちごっこ”となってしまい、終わりの見えない戦いとなってしまいます。
また、もしサジェストでネガティブワードが表示されなくなった(人に検索されなくなった)としても、悪評の書き込みがネットに存在する以上、それが誰かの目に触れる機会は半永久的に残ってしまいます。
根本的な解決を図るためには、弁護士による、誹謗中傷の書き込み自体の削除や、犯人を特定しての損害賠償請求や刑事告訴も検討すべきでしょう。
当法律事務所では、ネット誹謗中傷被害の弁護士無料相談を全国から受け付けております。親身誠実がモットーの法律事務所ですのでお気軽にご相談下さい。
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