FC2は、日本でも多くの人が利用しているwebサービスです。FC2ブログが有名ですが、ブログだけではなく、動画サービスやホームページ作成サービスなども展開しており、無料でアカウントを開設することができることから、多くの人が趣味やアフィリエイト、ビジネスでFC2を活用しています。
ユーザーは1,000万人以上という規模であることや、基本的にコンテンツの作成について厳しくチェックされているわけでもないため、FC2を通じて特定の個人や企業に関する誹謗中傷も行われています。
こうした誹謗中傷を受けてしまった被害者側としては、放置しておけば良いのか、それとも毅然と対応したら良いのか、判断にまよってしまうかもしれません。また、何らかの対応をするとなると具体的にどのような対策を取れば良いのかがわからない人もいるでしょう。
今回は、FC2で誹謗中傷を受けてしまったときの対処方法として、誹謗中傷の投稿の削除や犯人の特定についての具体的な手順をご紹介します。
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記事の目次
FC2とは
冒頭にも書いたとおり、FC2はブログやホームページ、動画などさまざまなコンテンツを無料で作成できるwebサービスです。
アカウントを開設するためには個人情報も特に必要なく、メールアドレスがあればアカウントを開設することが可能です。また、アカウントの開設数に制限も特にないため、メールアドレスさえ持っていればいくつでもアカウントを開設できるという特徴があります。
こうした理由から、アフィリエイトを目的として利用する人が多くいるウエブサービスという特徴があります。
運営会社は海外にある
FC2の運営会社は、アメリカのネバダ州にあります。日本にも日本法人があるのかなど、詳しいことはわかっていません。アメリカのネバダ州にある法人も、ダミーなのではないかと噂されているほどです。
ブログが凍結されやすい
誹謗中傷とは直接関係はないところですが、FC2ブログは凍結されやすいという特徴があります。主にアフィリエイト目的で記事を作成していたり、アダルトコンテンツ、ポルノ画像の公開、スパム行為などに該当すると運営側が判断した場合は、アカウントを凍結されることもあります。
ただ、通常の使い方で規約を守って運営する分には、凍結される心配はありません。
誹謗中傷に対する対応は早いとはいえない
誹謗中傷に対する投稿の削除やアカウント凍結などの対処に関しては、対応が遅いという意見が多いのも事実です。以前は投稿の削除を依頼しても全く対応されないという時期もありました。
ただ、現在は投稿削除の依頼を受け付けるフォームなども設定され、対応する意思はあると考えられます。
FC2で誹謗中傷されたら、なぜ早急に対処しなければならないのか
FC2で誹謗中傷の被害を受けてしまったとき、まずしなければならないのが、誹謗中傷に関する投稿を人の目に触れないように削除することです。
誹謗中傷の被害は拡散される
誹謗中傷の内容がセンセーショナルで話題性があるほど、Twitterや2ちゃんねるなどの他媒体に拡散される可能性が高まります。FC2だけでも利用者が多く、閲覧される機会が多いにもかかわらず、他媒体に拡散されることにより、さらに閲覧の機会が広まるのです。
誹謗中傷の被害をリカバリーできるとは限らない
例えそれが事実でない虚偽のことであったとしても、面白くネタにする人にとってみればあまり重要ではありません。
それに、多くの場合、誹謗中傷に対して正当な反論をしたとしても、同じくらい拡散されるわけではありません。要するに、誹謗中傷を受けてしまったらその内容が一人歩きしてしまい、大きくイメージを損ねる可能性があるのです。
こうした理由から、誹謗中傷の書き込みについては早急に削除という対応を取るべきであることがわかります。
誹謗中傷の投稿をFC2に対して削除依頼する
では、実際に削除するにあたってどのように行えばよいのでしょうか。まずは、FC2に対して削除要請を行うという方法があります。こちらの「不適切サイト報告・異議申立てフォーム」から通報します。
削除依頼を行うときには、名前、住所、メールアドレスの他、削除を依頼するURLや異議申立内容の他、削除を依頼する理由まで記載する必要があります。
削除依頼の時に注意しておきたいこと
FC2に削除依頼を行うときには、以下の点に注意してください。
加害者に自分の個人情報が渡る可能性がある
こちらのフォームを見るとわかるとおり、「サイト管理人ユーザーへお名前の公開を許諾しますか」という一文があります。
会社などの組織で削除依頼を申し立てる場合は、担当者の名前ではなく組織名だけの公開も可能となっていますが、個人が申立をする場合は、個人名が加害者に渡ってしまいます。
もちろん「許諾しない」として公開しないこともできますが、注意書きには「許諾しない場合削除に応じられないことがあります」と書かれています。
確実に削除してほしいと思う場合、相手方に自分の情報を公開するという選択に迫られるわけです。また、削除依頼の理由についても、相手方に転送されます。自分の情報が相手に渡るという点は押さえておきましょう。
削除されるかどうかについてFC2より返答はない
誹謗中傷について、FC2が削除することが適切であると判断したとしても、FC2から削除をしたという報告は来ません。そのため、定期的に自分で確認をする必要があります。
また、削除が適切ではなかったときもそのことについて返送はこないため、どのような理由で削除されなかったのかを知ることもできません。
削除依頼に対する対応があまり良くない
FC2は、他のブログサービスやwebサービスに比べ、削除依頼への対応があまり良くないと言われています。一時期は、削除依頼を行っても全く対処してくれない時期もありました。
ただ、対応が良くない、削除されないという声がある一方で、削除依頼を行ってから10日くらいして削除してくれた、という声もあります。
実際に削除に応じている例もあるため、対応があまり良くないとされるからといって、削除されないというわけではなさそうです。諦めずにまずは削除依頼を行いましょう。
削除依頼フォームに記載するときの注意点
削除依頼フォームに情報を記載するときの注意点もまとめました。
個人情報の開示は慎重に
先ほども書いたとおり、FC2では、加害者に対して削除依頼に関する情報を公開するとしています。依頼者側の許諾がなくても削除依頼理由は転送されますし、許諾があれば依頼者の名前も公開されるしくみです。
削除依頼理由は相手に公開される
このように、削除依頼理由は加害者本人に転送されます。このときに懸念しておきたいのが、さらに削除依頼理由を誹謗中傷のネタとして公開される可能性があると言うことです。
ブログなど自分のメディアを持っているユーザーの場合、こうした削除依頼をスクリーンショットなどで撮影し、このような削除依頼が来たといって面白おかしくネタにして拡散するケースも見られます。
こうした可能性があることを踏まえ、削除依頼理由には、感情的な言葉や相手を罵るような言葉、脅すような言葉を書くことは絶対に控えましょう。
また、FC2の運営が削除依頼理由を見て削除の対応が適切かどうかを判断するものです。運営者に「削除が適切だ」と思われるよう、客観的な事実と削除を依頼する理由、削除が適切であると思われる根拠を淡々と簡潔に記載するようにしましょう。
削除を依頼する箇所は具体的に特定する
削除を依頼するときには、「この部分が誹謗中傷に当たる」「この部分がプライバシーを侵害している」など、具体的な箇所をピックアップして記載することが必要です。
特定されていないと、運営側が該当箇所を探さなければなりません。該当箇所を探して削除が適切かどうかを判断するとなると相当な手間がかかるため、そこまでは行ってくれません。
該当箇所が特定されていなければ、削除依頼を出したとしても削除に応じてもらえないということになります。
裁判所に仮処分の申立をする
FC2に削除依頼を行ったとしても、なかなか対応してくれないことも多いのが現状です。そこで、FC2に直接削除依頼をかけるのではなく、裁判所からFC2に対して投稿の削除命令を出してもらうという方法があります。これが、仮処分命令です。
一般的に裁判所から私人に命令するというのは、裁判を起こして判決を得ることをイメージする人も多いかもしれません。投稿の削除についても裁判を起こすことは可能ではありますが、裁判となると費用も時間もかかってしまいます。
できれば投稿の削除は早急に行いたいところですので、仮処分の申立を行うのです。仮処分命令は、「今まさに権利の侵害がなされていて、暫定措置をとることが必要だ」という判断を裁判所が行ったら出してくれます。
普通の裁判と違って2週間程度で判断が下されるため、期間も短いのが特徴です。仮処分命令を出してもらうためには、依頼者が裁判所に対して仮処分の申立を行うことになります。
このとき、法的にどのような権利が侵害されているのかを裁判所に伝え、その事実を客観的に証明できる証拠などを用意しておく必要があります。そのため、一般的に仮処分の申立ては弁護士に依頼して行うことをお勧めします。
また、仮処分の判断をするためには、FC2に審尋が行われます。しかしFC2は本社が海外にあることもあって、審尋や答弁書の提出などを行わないケースが多く見られます。
ただ、仮処分命令が下された場合は投稿削除に応じるため、そこは心配する必要はありません。
損害賠償請求・犯人特定を行う
投稿の削除だけではなく、犯人を特定して損害賠償を請求するなどの法的措置をとりたいと考えているのであれば、プロバイダ責任制限法に則り、犯人を特定するために「発信者情報開示請求」という請求を行うことになります。
準備として、まずは誹謗中傷の投稿を保存する
投稿の削除だけでなく、さらに誹謗中傷の投稿を行った加害者に対して損害賠償請求をするなど、犯人を特定して何らかの請求を行うことを考えているのであれば、誹謗中傷の投稿内容が削除される前に、誹謗中傷に当たる投稿や書き込みを保存しておきましょう。
なぜなら、誹謗中傷がなされたという証拠が必要になるからです。証拠保全を済ませたら、投稿者を特定する具体的な手順に移ります。
発信者情報開示請求を行う
投稿の削除だけではなく、犯人を特定して損害賠償を請求するなどの法的措置をとりたいと考えているのであれば、プロバイダ責任制限法に則り、犯人を特定するために「発信者情報開示請求」という請求を行うことになります。
発信者とは誹謗中傷を行った投稿者のことであり、情報を開示してもらうことによって、投稿者の個人情報が被害者の手元に開示されることになります。
この手順を経なければ、FC2は匿名で利用できるウエブサービスであるため、犯人が誰なのかを特定することができません。発信者情報開示請求の手順は以下のとおりです。
まず、FC2に対して発信者情報開示請求を行う
FC2は、投稿者の本名や住所などの個人情報を有していません。それは、FC2でアカウントを開設してみればおわかりいただけるでしょう。そのため、投稿者の名前や住所を知るためには、FC2にそれを開示請求しても意味がありません。
FC2が有しているのは、投稿者が投稿時に使用したIPアドレスと、投稿者がいつその投稿を行ったかというタイムスタンプの情報です。まずは、このIPアドレスとタイムスタンプの情報を手に入れることになります。
インターネットプロバイダ会社に対して発信者情報開示請求を行う
IPアドレスとタイムスタンプの情報が手に入ったら、それを基にインターネットプロバイダ会社を特定します。そして、インターネットプロバイダ会社に対して発信者情報開示請求を行うのです。
インターネットプロバイダは、プロバイダの契約の際に契約者の氏名や住所、連絡先などの情報を保有しています。その情報を開示してもらえるように請求することになります。
この手順によって、投稿者を特定し、法的措置に進むことになります。
なお、発信者情報開示請求も個人や企業が行うことはできますが、FC2やプロバイダ会社は簡単に情報を開示してはくれません。場合によっては訴訟になることもあるため、発信者情報開示請求も弁護士に依頼することをお勧めします。
まとめ
この記事では、FC2で誹謗中傷を受けてしまったときの対策法についてご紹介しました。FC2は本社が海外にあることもあり、削除請求にはなかなか応じてくれないこともあります。
できるだけ早く被害を抑えたいのであれば、早い段階で弁護士に相談して仮処分などの法的措置を検討しましょう。
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