ホテルの部屋に宿泊者以外が出入り・無断宿泊すると不法侵入?

ホテルの部屋に宿泊者以外の人を入れたり、人数をごまかして無断宿泊させたりすると、どのような法的責任を問われるのでしょうか。

宿泊者以外の人がホテルの部屋に出入りした場合は建造物侵入罪、人数を偽って申し込んだ宿泊者には詐欺罪が成立する可能性があります。実際に、人数をごまかしてホテルに宿泊させたとして詐欺罪で逮捕された事例も報じられています。

この記事では、刑事事件に強い弁護士が、ホテルでの不正宿泊がなぜ犯罪になるのか、発覚した場合にどのような処分を受けるのか、逮捕を避けるためにはどうすればよいのかについて解説します。

  • ホテルの部屋への宿泊者以外の出入りや無断宿泊は不法侵入なのか
  • ホテルの部屋への宿泊者以外の出入りが禁止されている理由
  • ホテルの客室に宿泊者以外が出入りすると逮捕されるのか
  • 不法侵入等の罪に問われないための対処法

なお、ホテルでの不正宿泊について早急に弁護士に相談したいとお考えの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談をお気軽にご利用ください。

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ホテルの部屋への宿泊者以外の出入りは不法侵入?

まず、宿泊者以外の人がホテルの部屋に立ち入ったり、宿泊者が宿泊者以外の人を宿泊させる行為は不法侵入なのか、どんな罪に問われうるのか解説します。

宿泊者以外の出入りは不法侵入?

不法侵入は刑法上の住居侵入罪(刑法第130条前段)に当たり得る行為です。住居侵入罪は「正当な理由がないのに、人の住居に侵入」した場合に成立する犯罪であるところ、「住居」にはホテルの部屋も含まれるからです。

もっとも、「侵入」とは、住居の平穏を害する形で立ち入ること、すなわち、宿泊者の意思または推定的意思に反して立ち入ることをいいます。したがって、宿泊者が面識のある人を部屋に入れる場合には、宿泊者の承諾または推定的承諾があると考えられるため、住居侵入罪は成立しない可能性が高いです(ただ、あとで解説するとおり、別の罪が成立する可能性はあります)。

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人数をごまかして無断宿泊した場合は?

では、宿泊者が人数をごまかして自分以外の人をホテルに宿泊させた場合はどうでしょうか?たとえば、ホテルの部屋に自分以外の人を宿泊させるつもりでいたものの、ホテルには一人で宿泊すると嘘の申込みをしてチェックインし、その後、自分以外の人をホテルの部屋で宿泊させた、というようなケースです。

まず、住居侵入罪が成立するかですが、住居侵入罪は成立しない可能性が高いです。なぜなら、この場合、宿泊者自身が、自分以外の人がホテルの部屋(住居)に立ち入ることに承諾しているからです。

一方、宿泊者は、実際は自分以外の人をホテルに宿泊させるつもりだったのにもかかわらず、ホテルに「一人宿泊する」と嘘を言って自分以外の人をホテルに宿泊させています。このことは、他人に嘘を言って、他人から不法にホテルの宿泊というサービスを提供させたとして詐欺罪(刑法第246条第2項:10年以下の拘禁刑)が成立する可能性があります。

※拘禁刑とは、2025年6月1日に施行された改正刑法により、従来の懲役刑と禁錮刑が一本化された刑罰のことです。

なお、令和4年4月25日、大阪市内のビジネスホテルに2人で宿泊するとの申込みをしていたにもかかわらず、実際には未成年の男女を含む5人を宿泊させていたとして、23歳の男性が詐欺罪で逮捕されるという逮捕事例も出ています。

また、ホテルの管理者は、ホテルを適法に使う意図のない人のホテルへの立ち入りを認めたくはありません。したがって、宿泊者以外の人がホテル内に立ち入る行為はホテルの管理者の意思に反する立ち入りだとして建造物侵入罪(刑法第130条前段:3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金)が成立する可能性がありますし、宿泊者には建造物侵入罪の共同正犯または幇助犯が成立する可能性も考えられます。

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ホテルの部屋への宿泊者以外の出入りが禁止されている理由

このように、宿泊者が宿泊者以外の人をホテルに宿泊させたり、ホテルに立ち入らせたり、あるいは宿泊者以外の人がホテルに立ち入ることは犯罪に問われる可能性があります。では、なぜ、宿泊者以外の人がホテルに宿泊することは禁止されるのでしょうか?

利用規約に反するから

まず、利用規約に反するからというのが大きな理由です。

ホテルには必ず宿泊約款が置かれています。宿泊約款とは、ホテルが宿泊者に守ってもらいたいルールを定めたものです。約款の中には「宿泊の際には、利用規約に従うこと」という規定が設けられており、利用規約には「宿泊者以外の人を宿泊させない(部屋に入れない)」という規定が設けられています。宿泊の申込みをすると宿泊者は約款に書かれてあることに合意したものとみなされ、利用規約に書かれてあるルールに従って宿泊することが求められます。

消防法に反するから

では、なぜ宿泊者以外の人を宿泊させてはいけないという利用規約が設けられているかというと、それは宿泊者以外の人をホテルに宿泊させることは消防法に反する可能性があるからです。

消防法(の施行規則)では、以下のように、ホテルの1部屋ごとの収容人数が決められています。部屋の容量以上の宿泊者を宿泊させてしまうと火災の危険が高くなるなど、防災上の観点から好ましくないためです。

  • 洋室…ベッドの数に対応する数
  • 和室…部屋の床面積を6平方メートルで割った数

たとえば、2人用の洋室に5人で宿泊した場合は消防法に反する=ホテルの利用規約に反することになります。

宿泊者に気持ちよく宿泊してもらいたいから

宿泊者以外の人をホテルに宿泊させてはいけないという利用規約が設けられているもう一つの理由としては、ホテルが宿泊者に気持ちよくホテルに宿泊してもらいたいと考えているためです。

仮にこのような利用規約を設けなかった場合、ホテルに宿泊者以外の人(たとえば、セールスマン、営業マンなど)の立ち入りを認めることになってしまい、ホテルの宿泊者にとってかなりの迷惑となります。

当然、宿泊者からホテルにクレームが入り、ひいてはホテルの悪評にもつながってしまうおそれがあります。ホテルとすればこうした事態は絶対に避けたいところです。

トラブルに対処できないから

その他、ホテルで何かトラブルが起きた際に適切な対処ができないというのも大きな理由です。

盗難、火災などホテルで何かトラブルが起きたときに対処する前提として、ホテル側が宿泊客の個人情報を正確に把握しておく必要があります。

しかし、ホテルは宿泊者以外の人の個人情報を把握していませんから、ホテルで何かトラブルが起きた場合に適切に対処することが難しくなってしまいます。こうした事態を避けるために、宿泊者以外の宿泊は認められていないのです。

ホテルの客室に宿泊者以外が出入り・無断宿泊すると逮捕される?

先ほど述べたとおり、ホテルの部屋に宿泊者以外の人が出入りしたり無断宿泊させることは建造物侵入罪や詐欺罪で検挙されてしまう可能性があります。

特に無断宿泊のケースでは、事例からもわかるとおりその可能性は十分にあるといえます。

そもそも、「罪証隠滅のおそれがあること」、「逃亡のおそれがあること」が逮捕の要件であるところ、事件関係者が複数にのぼるホテルの宿泊の事件では「罪証隠滅のおそれがある」、「逃亡のおそれがある」と判断されやすいからです。

また、当日に逮捕されなかった場合でも、ホテルの防犯カメラの映像から犯罪行為が発覚して後日逮捕される可能性もあります。

不法侵入や不正宿泊で逮捕されると、逮捕から最大3日間は弁護士以外の者と自由に連絡がとれなくなります。また、逮捕に引き続き勾留されると最大で20日間身柄拘束されますので、日常生活に大きな影響を及ぼすことが考えられます。起訴されて刑事裁判で有罪となれば前科もつきます。

そのため、ホテルの部屋に不法侵入・不法宿泊した場合には、できるだけ早急に弁護士に相談し、逮捕の回避に向けた弁護活動を依頼することが重要です。

なお、刑事責任を追及されることもさることながら、追加の宿泊料金を請求されたり、今後のホテルへの宿泊や立ち入りを禁止されたりする可能性もあります。ホテルに宿泊するにあたってはあらかじめホテルの利用規約に目を通し、適切に利用することが求められます。

不法侵入等の罪に問われないためには?

これまでの話を踏まえた上で、最後に、ホテルからペナルティーを受けないための対処法について解説します。

ロビーやレストランで会う

どうしても宿泊者以外の人とホテルで会いたいときは、ロビーやレストランを使うことです。

ロビーやレストランでの面会であれば、他の宿泊者の迷惑になることはなく、宿泊者以外の人の立ち入りを認めているホテルがほとんどです。

宿泊者の介助が必要な場合はホテルに事前に説明する

宿泊者が高齢などの理由から部屋までの介助が必要な場合は、あらかじめホテルに事情を説明しておきましょう。短時間の滞在であれば部屋までの付き添いを認めてくれる可能性があります。ただし、あらかじめ事情を説明しても、ホテル従業員による対応が可能であるとして断られることがあります。その際はホテルの指示に従いましょう。

既に出入りしてしまった場合はホテルに謝罪して延長料金を支払う

既に宿泊させてしまった場合は、謝罪した上で追加の料金を支払うことも考えられます。バレないだろうと放置していても、あとでバレることは十分に考えられます。逮捕などのリスクを避けるには、ホテルにバレる前に自分から事実を認め謝罪した方がよいでしょう。

ホテルでの不正宿泊でお困りの方へ

ホテルの利用規約に反して宿泊者以外の人を部屋に入れたり、人数を偽って宿泊させたりする行為は、詐欺罪や建造物侵入罪に問われる可能性があります。逮捕されると最大23日間の身柄拘束を受け、起訴されれば前科がつくことになります。

「軽い気持ちでやってしまったが、後から不安になった」「ホテルから連絡が来て対応に困っている」といった状況の方もいらっしゃるかもしれません。

当事務所では、不法侵入や詐欺事件における示談交渉、逮捕の回避、不起訴の獲得を得意としており実績があります。刑事事件は早期対応が重要です。ホテルでの不正宿泊について刑事責任を問われるおそれがある方、警察から連絡を受けた方、ご家族が逮捕されてしまった方は、当事務所の無料相談をご利用ください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

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メディア掲載 フジテレビ「とくダネ」/ ダイヤモンド・オンライン / @DIME / サイゾー 他多数
講演実績 「不当要求対応の基礎」「犯罪組織によるマネー・ロンダリングと投資詐欺への法的処置」等
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