住居侵入して窃盗(侵入窃盗)すると問われる罪と量刑を解説

窃盗目的で住居侵入をした場合、どのような罪に問われるのだろう…、量刑はどうなるのだろう…

このようにお考えではないでしょうか。

結論から言いますと、窃盗目的で住居侵入をした場合(侵入窃盗のケース)、「窃盗罪と住居侵入罪」が成立します。両罪は目的と手段の関係にあるため牽連犯(けんれんはん)となり、住居侵入罪よりも罰則が重たい窃盗罪の刑罰(10年以下の懲役または50万円以下の罰金)が適用されることになります

この記事では、刑事事件に強い弁護士が、

  • 窃盗目的で住居等に侵入した場合に問われる罪
  • 窃盗目的で住居等に侵入した場合の量刑

などについてわかりやすく解説していきます。

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窃盗目的で住居等に侵入(侵入窃盗)した場合に問われる罪は?

冒頭でも述べた通り、窃盗目的で住居等に侵入する「侵入窃盗」では、住居侵入罪(または、邸宅侵入罪、建造物侵入罪)と窃盗罪が成立します。以下で詳しく解説します。

住居侵入罪とは

住居侵入罪とは、正当な理由がないのに、他人の住居などに立ち入った(侵入した)場合に問われる罪です(刑法第130条前段)。正確には、人が日常生活を送る住居に侵入する「住居侵入罪」、空き家等の人が日常生活に使用しない住居に侵入する「邸宅侵入罪」、住居や邸宅以外の建物に侵入する「建造物侵入罪」の3つに分けられます。

(住居侵入等)
第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

刑法 | e-Gov法令検索

住居侵入罪の「住居」とは、日常生活に使用するために人が占有する場所をいいます。家やアパート・マンションの一室が住居の典型ですが、家、アパート・マンションに付属するベランダ、屋根も住居にあたるほか、アパート・マンションの廊下、庭も住居にあたる場合があります。また、住居は継続的に使用されているか、一時的に使用されているかを問わないとされています。したがって、旅館やホテルなどの客室も住居にあたります。

住居に立ち入っても、正当な理由がある場合は違法性がないとして住居侵入罪は成立しません。窃盗目的で他人の家に立ち入った場合には住居侵入罪に問われることでわかるように、正当な理由があるかないかはまずは侵入の目的が何であったかで判断されますが、状況によっては侵入目的以外にも、行為態様、被害者の意思などを考慮して判断されます。

住居侵入罪の罰則は3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。

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窃盗罪とは

次に、窃盗罪とは他人の財産(財物)を勝手に盗った(窃取した)場合に問われる罪です。刑法第235条に規定されています。

(窃盗)
第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

刑法 | e-Gov法令検索

「他人の財物」とは他人が占有する、つまり、他人が支配している財物という意味です。

「窃取」とは暴行・脅迫の手段を用いることなく、他人の意思に反して他人の財物を自分の支配下に移す行為をいいます。

罰則は10年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

侵入窃盗とは?問われる罪は?

侵入窃盗とは不法侵入を手段とした窃盗で、数ある窃盗の手口の一つです。窃盗の手口には侵入窃盗のほかに「乗り物盗(自転車盗など)」、「非侵入窃盗(万引き、車上ねらい、置き引きなど)」があります。令和4年度犯罪白書によると、令和3年度中の各手口の割合は次のとおりです。

  • 侵入窃盗・・・・9.8%
  • 乗り物盗・・・・31.3%
  • 非侵入窃盗・・・59%

また、侵入窃盗はさらに「空き巣」、「忍込み」、「出店荒らし」、「事務所荒らし」、「その他の侵入窃盗」にわけられており、令和3年度中の各割合は次のとおりです。

  • 空き巣・・・・2.9%
  • 忍込み・・・・1.3%
  • 出店荒らし・・1.0%
  • 事務所荒らし・0.8%
  • その他・・・・3.7%

なお、侵入窃盗という罪はなく、侵入窃盗で検挙されたときは、「住居侵入罪と窃盗罪」、「建造物侵入罪と窃盗罪」、「邸宅侵入罪と窃盗罪」のいずれかの罪に問われることがほとんどです

窃盗目的で住居等に侵入(侵入窃盗)をした場合の量刑は?

このように、侵入窃盗では2つの罪に問われますが、両者は目的(窃盗)・手段(侵入)の関係にあります。このように2つ以上の罪が目的・手段の関係にある犯罪を牽連犯(けんれんはん)といい、牽連犯では最も罰則が重たい罪の罰則が適用されます

たとえば、住居侵入罪と窃盗罪に問われた場合、住居侵入罪の罰則(3年以下の懲役または10万円以下の罰金)と窃盗罪の罰則(10年以下の懲役または50万円以下の罰金)とでは窃盗罪の罰則が重たいため、住居侵入罪と窃盗罪の量刑を決めるときは窃盗罪の罰則が適用されるということです。

もっとも、侵入窃盗は、万引きなど比較的単純な非侵入窃盗事案と比べて悪質性が高いと評価されるため、比較的単純な非窃盗事案と比べて量刑は重くなる傾向にあります。

侵入窃盗で逮捕された後の流れ

侵入窃盗で逮捕されると、その後、以下の流れで手続きが進んでいきます。

  1. 警察官の弁解録取を受ける
  2. 逮捕から48時間以内に検察官に事件と身柄を送致される(送検)
  3. 検察官の弁解録取を受ける
  4. ②から24時間以内に検察官が裁判官に対し勾留請求する
  5. 裁判官の勾留質問を受ける
    →勾留請求が却下されたら釈放される
  6. 裁判官が検察官の勾留請求を許可する
    10日間の身柄拘束(勾留)が決まる(勾留決定)
    →やむを得ない事由がある場合は、最大10日間延長される
  7. 原則、勾留期間内に起訴、不起訴が決まる
  8. 正式起訴されると2か月間勾留される
    →その後、理由がある場合のみ1か月ごとに更新
    →保釈が許可されれば釈放される
  9. 勾留期間中に刑事裁判を受ける

侵入窃盗で逮捕されてから最大3日間(48時間+24時間)は弁護士以外の者との連絡はとれません。そのため、会社勤めされている方や学校に通われている方は、弁護士を介して家族から会社や学校に休みの連絡を入れるようお願いしましょう。また、勾留が決定すると、刑事処分(起訴・不起訴)が決まるまで最大20日間身柄拘束されます。

侵入窃盗した場合に弁護士に依頼するメリット

窃盗目的の住居侵入をおかしてしまったと思った場合は、はやめに弁護士に相談、依頼しましょう。弁護士に刑事弁護を依頼するメリットは次のとおりです。

自首に同行してもらうことができる

まず、自首する際に自首に同行してもらえることです。

確かに、自首すれば「逃亡のおそれ」、「罪証隠滅のおそれがない」と判断され、逮捕を回避できるかもしれません。しかし、自首したからといって逮捕回避が保障されているわけではありません。すでに逮捕状が発布されていて、自首したところ逮捕されるというケースも珍しくはありません。

そのため、自首するといっても単に警察に出向けばいいというわけではなく、あらかじめ逮捕回避に向けた準備をしっかり整えてから自首しなければいけません。また、一人で警察に出向くことはとても勇気のいることです。事前準備をしっかりしたつもりでも、現場で緊張して冷静に対処できないことも考えられます。

この点、弁護士に依頼すれば警察へ同行してくれることはもちろん、現場で不測の事態が起きたときいも適切に対処してくれます。また、弁護士のアドバイスのもと事前準備を進めていきますので、逮捕回避の可能性を高めることもできます

取り調べで不利にならないようアドバイスがもらえる

次に、取り調べで不利にならないようアドバイスしてもらえることです。

取り調べは第三者の目の届かない密室で行われます。あなたの味方になって言い分を聴いてくれる人はおらず、取調官による厳しい追及が待っています。数分程度なら耐えることができるかもしれませんが、取調べが数分程度で終わることは稀で、何十分、何時間と続くことが通常です。

そうした状況下では、どうしても自分の意図しない供述をしてしまったり、意図しない内容が録取された供述調書にサインしてしまいがちです。しかし、一度こうしたことをしてしまうと、あとで発言を撤回し、本音を聞き入れてもらうことは非常に難しくなります。

そのため、取り調べ前に弁護士に相談し、取り調べで不安なことを尋ねてみたり、弁護士から取り調べのアドバイスを受けることが非常に大切です。弁護士に依頼すれば、取り調べに関する適切なアドバイスを受けることができます

示談交渉による早期釈放・不起訴の獲得が期待できる

次に、被害者と示談交渉を行ってくれることです。

身柄を拘束されたときの早期釈放、事件が刑事事件化したときの不起訴を獲得するためには被害者と示談交渉し、示談を成立させることが最も有効な方法です。示談を成立させることができれば、最低でも被害者に生じた実害について賠償したことになりますし、被害者の処罰感情もある程度緩和されていることが多く、被害者が存在する住居侵入、窃盗の事案では、被害回復の状況や被害者の意向が重要視されるからです。

もっとも、住居侵入、窃盗の加害者との示談交渉に応じる被害者はいないといって過言ではありません。仮に、身柄拘束されておらず被害者と面識があり、被害者との示談交渉が可能な状況でも拒否されることがほとんどです。また、対応を誤ったばかりに、罪証隠滅を図ったとして逮捕される可能性もないとはいえません。

そのため、被害者との示談交渉が可能な状況であっても、被害者との示談交渉は任せましょう。弁護士であれば示談交渉に応じてもよいという被害者は多いですし、お互いに感情的にならず冷静に交渉を進めていくことができ、早期釈放、不起訴の結果につなげることができます

当事務所では、侵入窃盗の被害者との示談交渉、逮捕の回避、不起訴の獲得を得意としており実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、侵入窃盗で逮捕のおそれがある方、既に逮捕されてしまった方のご家族の方は当事務所の弁護士までご相談ください。お力になれると思います。

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