
住居侵入罪とは、正当な理由がないのに、許可なく他人の住居や看守されている邸宅、建造物、艦船に侵入する犯罪です(刑法130条前段)。正確には、人が日常生活を送る住居に侵入する「住居侵入罪」、空き家等の人が日常生活に使用しない住居に侵入する「邸宅侵入罪」、住居や邸宅以外の建物に侵入する「建造物侵入罪」の3つに分けられます。どれも不法侵入に関する犯罪ですが、「不法侵入罪」という罪名はありません。
本記事では便宜上、不法侵入に関する犯罪を、「住居侵入罪」で統一して解説していきます。
| 住居侵入罪 | |
|---|---|
| 罰則 | 3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金 |
| 未遂犯の処罰 | 未遂でも処罰されます(刑法132条) |
| 過失犯の処罰 | 過失で侵入しても罰せられません |
| 親告罪or非親告罪 | 非親告罪(被害者の告訴がなくても検察が起訴できる犯罪) |
| 公訴時効 | 3年(刑事訴訟法第250条2項6号) |
※拘禁刑とは、2025年6月1日に施行された改正刑法により、従来の懲役刑と禁錮刑が一本化された刑罰のことです。
また、住居者・看守者の承諾又は推定的承諾がある状況下で、住居や建造物等に立ち入ったとしても、後で、出ていくように要求されたことを無視して居座ると、不退去罪(刑法130条後段)が成立します。例えば、飲食店のクレーマー客が店主から退去を求められたのに店に居座り続けるようなケースがこれに該当します。
不退去罪とは?成立要件や罰則、3つの具体的ケースを弁護士が解説
(住居侵入等)
第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金に処する。引用元:e-Gov法令検索
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住居侵入罪の構成要件
住居侵入罪の構成要件(成立要件)は、「正当な理由がない」のに、「人の住居、人の看守する邸宅、建造物、艦船」に「侵入」したことです。
正当な理由がない
正当な理由がないとは、人の住居への立ち入りが違法ということです。人の住居への立ち入りが違法かどうかは、立ち入りの目的が違法かどうかで判断されます。窃盗、強盗、脅迫、暴行、傷害、殺人、盗撮、のぞき、ストーカーは違法ですから、これらを目的とした立ち入りは正当な理由がない、つまり、違法な立ち入りと判断されます。窃盗目的で住居に侵入した場合の罪や量刑については「住居侵入して窃盗(侵入窃盗)すると問われる罪と量刑を解説」をご参照ください。
人の住居、人の看守する邸宅・建造物・艦船
| 住居 | 自分以外の他人が、寝起きしたり食事をするなどの日常生活に使用する場所のことです。一軒家、アパート・マンションの個室のほか、旅館やホテルなどの客室も住居です。 |
| 邸宅 | 空き家や別荘など、日常的には使用されていない住居のことです。 |
| 建造物 | 屋根、壁、柱があって土地に定着し、その内部に出入できる構造を有するものであって住居、邸宅以外のものをいいます。官公署の庁舎、会社・オフィスビル、銀行、学校、工場、スーパー、コンビニエンスストア、トイレなどはすべて建造物です。 |
| 艦船 | 人が寝泊まりできる程度の大きさの船のことです。軍艦やクルーザーはこれに該当しますが、モーターボートなどの小型船舶は艦船には該当しません。 |
なお、住居以外の「邸宅・建造物・艦船」については、管理人・監視員が置かれている、施錠がされているなど、人の管理下で支配されている(看守されている)ものに限ります。また、「住居・邸宅・建造物」の建物周辺の土地で、管理者が外部との境界のために門塀等で囲った土地(庭・敷地)や、集合住宅の各個室のベランダ、集合住宅の共有部分も同罪の客体になります。
侵入
侵入とは、住居者・看守者の意思又は推定的意思に反して住居に立ち入ることをいいます。したがって、住居者・看守者の承諾又は推定的承諾がある状況下での立ち入りは侵入にはあたらず、住居侵入罪は成立しません。
他方で、住居者・看守者の承諾又は推定的承諾がある場合でも、それが任意に出たものでない場合や錯誤(勘違い)に基づくものである場合はやはり侵入にあたり、住居侵入罪が成立する可能性があります。例えば、脅されて仕方なく立ち入りを承諾したケースや、宅配便を装った者に騙されて招き入れたようなケースがそれにあたります。
住居侵入罪の弁護活動
住居侵入罪の主な弁護活動は以下のとおりです。
被害弁償、示談交渉
罪の成立を認める場合は、被害者に対する被害弁償、示談交渉が主な弁護活動となります。被害弁償、示談交渉の相手方は、嫌疑をかけられた罪が住居侵入罪のみかそうでないかによって異なります。すなわち、前者の場合は住居の住居権者、建造物の看守者が相手方ですが、後者の場合は他の罪の被害者が相手方となります。被害弁償が済み、示談が成立すれば、逮捕回避、起訴猶予による不起訴、早期釈放の可能性が高くなります。弁護士費用や示談金の相場については「住居侵入を弁護士に依頼するメリットと弁護士費用・示談金相場」で詳しく解説しています。
早期釈放のための意見書、不服申立て
身柄拘束された場合は捜査機関に対して、早期釈放を求める意見書や裁判所の勾留許可に対する不服申し立てを行います。住居侵入の事案では、加害者が被害者の住所を知っているため身柄拘束されやすいですが、被害弁償や示談の意向があること、再犯防止の意欲があることなどを的確に主張することにより早期釈放も可能といえます。逮捕後の具体的な流れについては「不法侵入はどこから?住居侵入罪の刑罰と逮捕後の流れを解説」もあわせてご確認ください。
犯罪の成否を争う
罪の成立を認めない場合は、犯罪の成否を争います。住居侵入罪、建造物侵入罪の成立要件の成否を争うことももちろんありますが、そもそも被疑者・被告人が犯人ではないという犯人性を争うことも多いです。後者の争い方をする場合は、検察官や裁判官に被疑者・被告人のアリバイを裏付ける事実などを指摘するなどして、嫌疑不十分による不起訴、刑事裁判での無罪獲得に努めます。
住居侵入罪でお困りの方は弁護士にご相談ください
住居侵入罪は、3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金が科される犯罪です。窃盗や盗撮など他の犯罪と併せて行われることも多く、その場合はより重い処分を受ける可能性があります。
住居侵入事件では、被害者が加害者に対して強い恐怖心を抱いていることが多く、ご本人やご家族だけで示談交渉を進めることは困難です。また、加害者が被害者の住所を知っているという事情から、身柄拘束が長引きやすい傾向にあります。
弁護士に依頼することで、被害者との示談交渉を円滑に進め、不起訴処分や早期釈放の可能性を高めることができます。「警察から連絡が来た」「家族が逮捕された」など、住居侵入に関してお悩みの方は、刑事事件に注力する当事務所の無料相談をご利用ください。全国どこからでもご相談いただけます。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

