前科とは?前歴との違いと前科が今後の生活に与える6つの影響

警察に逮捕された、嫌疑をかけられたなどというだけで「私は前科がつくから」、「前科持ちだから」と勝手に決めつけていませんか?

実は、警察に逮捕されただけ、嫌疑をかけられただけでは前科はつきません

この記事では刑事事件に強い弁護士が、

  • 前科とはなにか
  • 前科と前歴との違い
  • 前科がつくことで今後の生活にどう影響するのか

について徹底解説していきます。

およそ4分ほどで簡単に読めますし、”前科”について網羅的に知っておきたい方は最後まで読んでみてください。

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前科とは?前歴との違い

前科とは、刑事裁判で有罪判決(略式命令を含む)となり、刑が確定した(不服申し立てができない状態になった)事実をいいます。

前科がつく刑罰は重いものから死刑、懲役、罰金、禁錮、拘留、科料の6種類です。前科は実刑、執行猶予の場合を問わずつきます。

≫執行猶予でも前科はつくの?猶予期間満了で前科は消える?

一方、前歴とは、警察や検察等の捜査機関から犯罪を犯したと疑われて捜査の対象になった事実をいいます。

つまり、前歴は、捜査を受けた、検挙・逮捕された、刑事処分で不起訴処分を受けた、などというだけでつきます。検挙歴、逮捕歴という場合、それは前科ではなく前歴のことを指します。

前科を調べるられることはある?

基本的には調べられることはありません

前科の情報は検察庁で厳重に管理されています。警察など特定の機関から照会があった場合には、検察庁は前科調書を作成して前科情報を回答しますが、プライバシー保護の観点から民間人や民間企業からの照会には応じていません

また、前科者の本籍地にある市区町村役場では、罰金以上(交通違反を除く)の刑に処せられた者の情報を検察庁から提供を受け、犯罪人名簿という文書で管理保管しています。

ただしこの名簿は、前科により選挙権・被選挙権を失っていないか、特定の資格(弁護士・弁理士等)を要する職業に就く場合の欠格事由に該当しないか、国家試験の受験資格の有無、を確認するために用いられます。

そのため、民間人、民間企業からの照会に応じることはありませんし、市区町村も前科情報を厳重に管理しています。

戸籍には載らない?

結婚した者(配偶者)であれば、相手の戸籍謄本や抄本、住民票の取得ができます。

しかし、戸籍や住民票、その他、住民基本台帳に前科が記載されることはありませんので、夫や妻に前科持ちであることを調べられることもありません。

ネットには載らない?

殺人等の重大犯罪を犯し、有罪判決を受けて裁判が確定したことがマスコミに実名報道されれば、ネットのニュースサイト等に掲載されますので、名前の検索で前科が調べられることはあるでしょう。

しかし裁判確定まで報道されるような事件は稀ですので、ネットで調べられても前科がバレることは少ないでしょう。

ただし、皆さんご存じのように、「逮捕された・検挙された」といった”前歴”についても実名報道されることは多々ありますので、誰かがアナタの名前をネット検索することで逮捕歴がバレることはあるでしょう

一度ネットに情報がアップロードされると、掲示板やブログ、他の情報サイトに拡散して掲載され、それらを消去するのは困難となります。

犯罪事件に関する情報は公益性が高く、名誉毀損を根拠に削除要請しても応じてもらえないことがほとんどであるからです。

お悩みの方は、ネットの情報削除に強い弁護士に相談してみましょう。

前科は消える?

残念ながら消えません

犯歴事務規定18条では、検察庁の犯歴係事務官は、前科者が死亡したことを知ってから犯歴等を削除するよう定められています。

つまり、一生、検察庁のデータベースに前科情報は残ります。

ただし、実刑の場合は刑が終わった(服役が終わった、罰金を完納した)場合、執行猶予の場合は執行猶予期間が経過した場合、刑の効力が失われ(刑法34の2、刑法27条)、犯罪人名簿から削除されたり、免許・資格を取得できるようになります。

≫前科は消える?前科を調べることはできる?

前科が今後の生活に与える影響について

前科があると就職できない?不利?

前科の内容や就職しようとする職業によります

免許を必要とする職業(弁護士、不動産鑑定士、医師、公務員、社会福祉士、警備員など)については、前科の内容によっては欠格事由に該当し、一定期間、免許・資格を取得できず就職できない場合があります。

免許を必要としない職業については、面接時に聞かれたり、履歴書に賞罰欄が設けられている場合は正直に回答する必要があります(設けられていなければ不要)。

もし前科があるのに「前科なし」と虚偽の申告をすると、採用後にそれが企業に発覚すれば、経歴詐称として懲戒解雇の処分を受ける怖れがあります

≫前科があると就職できない?様々な疑問に弁護士が解説

前科があると海外旅行に行けない?

前科の内容によっては海外旅行に行けなくなる可能性があります。

海外旅行に行くにはパスポートが必要ですが、前科が「禁錮以上」の場合(執行猶予の場合を含む)だとパスポートの発給を受けることができません。

もっとも、禁錮以上の前科を有する場合でも、刑の服役が終わった、執行猶予期間が経過した場合は発給を受けることができます。

また、禁錮以上とは懲役、死刑のことを指しますから、罰金の前科のみの場合はパスポートの発給を受けることができます。

ただし、滞在日数や渡航目的、あるいは渡航先の国によってはビザの申請が必要となり、その申請の際に「犯罪経歴証明書」の提出を求められることがあります。

パスポートがあったとしても、犯罪歴があれば入国を断られることもあります。

≫前科があっても海外旅行に行ける?パスポートは取得できる?

前科は離婚事由になる?

前科があることで、一方の配偶者からの離婚請求が認められるかどうかは、前科があることが「婚姻を継続し難い重大な事由(民法770条1項5号)」に該当するかどうかを検討する必要があります。

この点、前科があることが、直ちに「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するわけではありません

例えば、交通違反の罰金刑でも前科がつきますが、それをもって、結婚生活を維持することが困難と解釈することは社会一般的に考えても無理があるでしょう。

一方、配偶者が過去に殺人や強盗致死などの重大犯罪を犯していたことが結婚後に発覚したようなケースでは、「婚姻前にそれを知っていたら結婚しなかったであろう」と社会一般的には考えられるため、「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当し、裁判において離婚が認められる可能性があります。

前科があると選挙権を失う?

公職選挙法11条では、「禁固以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者」は選挙権を失うと規定されています。

つまり、刑の執行が終われば選挙することができます

ただし、公職選挙法で定めた選挙に関する犯罪や、政治資金規正法で定められた犯罪を犯した場合には、選挙権や被選挙権が停止されることがあります。

前科があると生活保護や年金の支給を受けられない?

生活保護や年金の制度と前科の有無は無関係です。それぞれの支給要件を満たしていれば受給することが可能です。

前科があるとローンの利用はできない?

クレジットカード、車、住宅など、様々な場面でローンを組む機会がありますが、審査のために、過去の滞納状況などの履歴がないか信用情報機関に照会されます。

しかし、信用情報機関に登録されている情報には「前科・前歴」といった項目がそもそも存在しませんので、前科があることがローン審査に不利に働くことはありません

3.まとめ

前科は刑事裁判を受け終え、その裁判が確定した後につきます。他方、前歴は刑事裁判前の逮捕歴、検挙歴、処分歴(不起訴など)などでもつきます。

前科がばれる可能性は低いとはいえ、前科を消すことはできません。

また、一定期間、免許・資格を必要とする職に就けなかったり、選挙権・被選挙権をはく奪されたり、海外旅行に行けないなどの不利益を被る可能性もあります。

このような不利益を回避するために前科がつくことは避けたいところですが、日本では起訴されると99.9%以上の有罪率ですので、前科をつけないためには不起訴処分に持ち込む必要があるでしょう。そのためには被害者との示談交渉等が必要となります。

大切な家族やパートナーに前科がつかないよう出来るだけの対策をとりたいとお考えの方は、当法律事務所までお気軽にご相談ください。親身誠実に対応いたします。

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