前科とは?前歴との違いや前科がつく5つのデメリット

前科とは?前歴との違いや前科がつく5つのデメリットを弁護士が解説

  • 前科とはどういう意味?前歴と何が違うのだろう…
  • 前科がつくとどんなデメリットがあるのだろう…

この記事では、刑事事件に強い弁護士がこれらの疑問を解消していきます。

気軽に弁護士に相談しましょう
  • 全国どこからでも24時間年中無休でメールや電話での相談ができます。
  • 逮捕回避・早期釈放・起訴猶予・不起訴・執行猶予の獲得を得意としております
  • 親身誠実に、全力で弁護士が依頼者を守ります。

前科とは?前歴との違い

前科とは、刑事裁判で有罪判決となり、刑が確定した(不服申し立てができない状態になった)事実をいいます。前科がつく刑罰は重いものから死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料の6種類です。前科は実刑、執行猶予の場合を問わずつきます。

もっとも、有罪判決になることが前科がつくことの前提ですので、逮捕されただけの場合や、不起訴(嫌疑なし・嫌疑不十分・起訴猶予)となった場合には前科はつきません。

対して、前歴とは、警察や検察等の捜査機関から犯罪を犯したと疑われて捜査の対象になった事実をいいます。つまり前歴は、捜査を受けただけでつきますし、検挙・逮捕された、微罪処分を受けた、書類送検された、起訴猶予・不起訴処分を受けた、起訴(略式起訴を含む)されて無罪判決となった場合もつきます。検挙歴、逮捕歴という場合、それは前科ではなく前歴のことを指します。

執行猶予でも前科はつくの?猶予期間満了で前科は消える?

前科がつくと生じるデメリット

①資格制限を受ける・経歴詐称で懲戒解雇になる場合がある

免許を必要とする職業(弁護士、不動産鑑定士、医師、公務員、社会福祉士など)については、前科の内容によっては欠格事由に該当し、一定期間、免許・資格を取得できないことがあります。また、既に資格のある方でも、前科がつくことで資格の停止・剥奪(失効)をされることもあります。

前科で資格制限を受ける対象資格の一覧表

免許を必要としない職業については、面接時に聞かれたり、履歴書に賞罰欄が設けられている場合は正直に回答する必要があります(設けられていなければ不要)。もし前科があるのに「前科なし」と虚偽の申告をし、採用後にそれが企業に発覚すれば、経歴詐称として懲戒解雇の処分を受ける怖れがあります

前科があると就職できない?様々な疑問に弁護士が解説

②海外旅行に行けない場合がある

海外旅行に行くにはパスポートが必要ですが、前科が「禁錮以上」の場合(執行猶予の場合を含む)だとパスポートの発給を受けることができません

もっとも、禁錮以上とは懲役、死刑のことを指しますから、罰金の前科のみの場合はパスポートの発給を受けることができます。また、禁錮以上の前科を有する場合でも、刑の服役が終わった、執行猶予期間が経過した場合は発給を受けることができます。

ただし、滞在日数や渡航目的、あるいは渡航先の国によってはビザの申請が必要となり、申請の際にその国の大使館から「犯罪経歴証明書」の提出を求められることがあります。パスポートがあったとしても、犯罪歴があれば入国を断られることもあります。

前科があっても海外旅行に行ける?パスポートは取得できる?

③再び刑事事件を起こすと処分が重くなることがある

警察は、刑事事件の被疑者に前科がないかどうかを調べます。前科があれば、「またやったのでは」という疑いの目を持たれますので、新たに犯した罪については逮捕されやすくなります。特に、同類型の犯罪を犯せば(例えば、強制わいせつの前科がある者が、新たに性犯罪を犯したようなケース)、犯罪傾向が進んでいると検察官に判断されて、起訴される可能性も高まります

また、刑事裁判においては、裁判官が量刑を決める際の情状に前科の有無が含まれます。前科者が再び犯罪を犯したことで、「反省の態度がみられない」と裁判官に判断され、厳しい刑罰を受けることもあります

④離婚事由に該当することがある

前科があることが直ちに離婚事由になるわけではありません。例えば、交通違反の罰金刑でも前科がつきますが、それをもって離婚請求が認められるとなればあまりにも不当でしょう。

一方、配偶者が過去に殺人や強盗致死などの重大犯罪を犯していたことが結婚後に発覚したようなケースでは、「婚姻前にそれを知っていたら結婚しなかったであろう」と社会一般的には考えられるため、法定離婚事由である「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」(民法770条1項5号)に該当し、裁判において離婚が認められる可能性があります

⑤その他の影響

警察の職務質問の際にその場で前科情報を調べられ、その場から立ち去ろうとしてもしつこく引き止められることもあります。また、疑わしい点があると判断されれば、前科がない人よりも任意同行を求められる可能性も高くなります。

また、禁錮以上の刑(懲役も含む)に処せられその執行を終わるまでの者は、一時的とはいえ選挙権がありません(公職選挙法第11条)。

前科を調べられることはある?消える?

前科を調べられることはある?

前科に関する情報は、

  • 検察庁のデータベース
  • 市区町村役場の犯罪人名簿

で厳重に管理されており、プライバシー保護の観点から民間人や民間企業からの前科の照会には応じていません。つまり、これらのデータベースや名簿から、前科があることを一般人に調べられることははありません

ただし、有罪判決を受けたことがマスコミに実名報道されれば、ネットのニュースサイト等の掲載から調べられることはあるでしょう。

他人の前科・犯罪歴を調べる4つの方法【公的機関からは不可能】

前科は消える?

検察庁のデータベースから前科情報が消えることは生涯ありません

ただし、犯罪人名簿については、刑の言い渡しの効力が失われることで前科情報が抹消されます。刑の言い渡しの効力が失われる要件は以下となります。

  • ①禁錮刑以上(懲役刑も含む)の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで10年を経過したとき(刑法34条の2)
  • ②罰金以下の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで5年を経過したとき(刑法34条の2)
  • ③刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消されることなくその猶予の期間を経過したとき(刑法27条)

刑の言い渡しの効力が失われることで、前科があることによる資格制限がなくなります。また、履歴書の賞罰欄に前科を書かなくてもよくなります。

前科は消える?調べることはできる?弁護士が解説します

前科についてよくある質問と回答

前科は戸籍などに載らない?

戸籍、住民票、免許証、マイナンバーカード、住民基本台帳に前科は記載されませんし、判明することもありません。

交通違反でも前科はつく?

道路交通法では、軽微な交通違反の場合、一定期日までに反則金を払うことで刑事手続きを免除される制度(交通反則通告制度。いわゆる青キップ)が定められています。この「反則金」は行政罰であり、刑事罰である「罰金」とは異なるため前科はつきません。ただし、悪質なスピード違反や当て逃げ、飲酒・酒気帯び運転、無免許運転、人身事故などの交通事故で罰金刑以上の刑を受ければ前科がつきます。

少年院に入ると前科がつく?

少年院送致を含め、保護観察や児童自立支援施設等送致といった保護処分を受けた場合も前科はつきません。ただし、殺人や傷害致死、放火等の重大事件を起こし、検察官送致されて通常の刑事裁判で有罪判決となった場合には、未成年であったとしても前科がつきます。

前科があると生活保護や年金の支給を受けられない?

生活保護や年金の制度と前科の有無は無関係です。それぞれの支給要件を満たしていれば受給することが可能です。

前科があるとローンの利用はできない?

クレジットカード、車、住宅など、様々な場面でローンを組む機会がありますが、審査のために、過去の滞納状況などの履歴がないか信用情報機関に照会されます。
しかし、信用情報機関に登録されている情報には「前科・前歴」といった項目がそもそも存在しませんので、前科があることがローン審査に不利に働くことはありません。

前科をつけないようにするには?

それではどのようにすれば前科がつくことを回避することができるのでしょうか。被疑者として逮捕された場合には、「不起訴処分を目指す」、公訴提起された場合には「無罪判決を目指す」という2つの方法があります。

不起訴処分を獲得する

「前科」とは、「刑事裁判で有罪判決を受け、刑が確定した事実の記録のことである」と説明しました。そのため刑事裁判にかけられることを回避できれば前科がつくこともありません。

したがって、「不起訴処分を獲得する」ことで前科が残ることを回避することができます

我が国の刑事裁判の有罪率は高く、起訴された事件の99%以上が有罪判決を受けていることをご存じの方は多くいらっしゃるでしょう。しかしそれは起訴された事件に関する数字です。これに対して検察官により捜査された事件のうち起訴されたものは、全体の3割程度です。

そのため逮捕されたとしても不起訴処分を獲得することは統計的に決して不可能なことではありません。

不起訴処分となるためにはどうすれいい?

被疑者が逮捕されてから検察官が起訴・不起訴の判断をするまでには最大23日間のタイムリミットしかありません。そのため、その期間内に不起訴処分を目指して弁護活動を行うことになります。したがって、不起訴処分を獲得するためには、被疑者が逮捕されてすぐに弁護士に依頼して弁護活動に動いてもらうことが重要なポイントとなります。

そして起訴・不起訴の重要な判断要素となるのが、被害者との間で「示談」が成立しているか否かです。

「示談」とは刑事事件において、加害者が被害者に対して謝罪の意向を伝え、裁判手続によらないで事件に関する被害金・慰謝料などの損害賠償について話し合い、そこで取り決められた金銭を支払うことで被害回復を図ることを言います。

被害者との間で示談を成立させることができた場合には、事件に関する被害がすでに回復されたと考えることができること、示談の際に被害者が被害届・告訴の取り下げを約束してくれる場合があることから、不起訴処分に傾く可能性が高まります

ただし示談が成立すれば必ず不起訴処分になるとは限らない点には注意が必要です。なぜなら検察官は示談の成立のみならず、被疑者の年齢、境遇、犯罪結果の軽重、被害者の処罰感情の有無など複数の情状事実を考慮して起訴・不起訴を判断することになるからです。

無罪判決を獲得する

検察官に公訴提起された場合であっても、有罪判決を受けなければ「前科」が残ることはありません。

そのため、起訴された場合に前科を回避するためには、「無罪判決」の獲得を目指すことになります

刑事裁判で無罪判決を獲得するには、検察官の主張を争い、「公訴事実どおりの犯罪があること」「被告人が犯人であること」が、検察官から提出された証拠では十分に立証されていないことを法廷で明らかにしていくことになります。

ただし、日本の刑事裁判では起訴されれば99%以上の率で有罪になります。そのため、前科をつけないためには不起訴処分を狙う方が現実的といえます。不起訴処分を獲得するには、被害者への謝罪や示談、贖罪寄付、弁護士による刑事弁護が重要です

罪を犯してしまったが前科がつくことを避けたいとお考えの方は、刑事事件に強い弊所までお気軽にご相談ください。弁護士が依頼者を全力で守ります。相談する勇気が解決への第一歩です。

気軽に弁護士に相談しましょう
  • 全国どこからでも24時間年中無休でメールや電話での相談ができます。
  • 逮捕回避・早期釈放・起訴猶予・不起訴・執行猶予の獲得を得意としております
  • 親身誠実に、全力で弁護士が依頼者を守ります。
刑事事件に強い弁護士に無料で相談しましょう

全国対応で24時間、弁護士による刑事事件の無料相談を受け付けております

弁護士と話したことがないので緊張する…相談だけだと申し訳ない…とお考えの方は心配不要です。

当法律事務所では、ご相談=ご依頼とは考えておりません。弁護士に刑事事件の解決方法だけでもまずは聞いてみてはいかがでしょうか。

逮捕の回避・早期釈放・不起訴・示談を希望される方は、刑事事件に強い当法律事務所にメールまたはお電話でご連絡ください。