
ニュースで見聞きする「わいせつな行為」と「みだらな行為」は何が違うのか、「いかがわしい行為」はどこまでを指すのか。報道のたびに気になっている方もいるのではないでしょうか。
この3つは指す行為の範囲が異なり、根拠となる法律があるかどうかも変わります。報道でよく使われるのは、次の3つの言葉です。
- わいせつな行為
- みだらな行為
- いかがわしい行為
それぞれが指す行為は次のとおりです。
| 言葉 | 指す行為 |
| わいせつな行為 | 陰部に触れる、乳房を揉む、服を脱がせるなどの行為。性交や性交類似行為(口淫、手淫など)も含まれる |
| みだらな行為 | 性行為(セックス)や性交類似行為(口淫、手淫など)。「淫行」と同義。 |
| いかがわしい行為 | 法令上の定義はない。報道では、わいせつな行為のうち、性器以外へのキスや愛撫をする行為を指して使われる |
「みだらな行為」が性交や性交類似行為そのものを指すのに対し、「わいせつな行為」はより広い刑法上の文言です。一方「いかがわしい行為」は法令に定義がなく、この言葉だけで犯罪の成否が決まるわけではありません。
以下では刑事事件に強い弁護士が詳しく解説します。お読みいただくことで、自分や家族の行為がどの罪に関わるのかを見分けられます。
なお、これらの行為に関するトラブルでお悩みの方は、この記事をお読みいただいた後、地域を問わずご相談を承っておりますので、当事務所の無料相談をご利用ください。
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わいせつな行為・みだらな行為・いかがわしい行為の違いは?
同じ性的な行為を指すように見えても、わいせつな行為・みだらな行為・いかがわしい行為は、使われる場面も、根拠となる法令の有無も異なります。まずは一つずつ意味を確認していきます。
わいせつな行為とは?
判例(最高裁判所昭和26年5月10日)が示した基準をもとに、「わいせつな行為」とは、いたずらに性欲を刺激興奮させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するような行為をいうと解されています。
たとえば、
- 陰部に触れる
- 乳房を揉む
- 無理やりキスをする
- 洋服を脱がせる
- (人の目に入るような場所で)陰茎を露出する
などが「わいせつな行為」の典型例です。
胸を揉む行為は「わいせつな行為」にあたります。相手が同意しない意思を示しにくい状態に乗じて行われた場合には、不同意わいせつ罪が問題になります。
「わいせつな行為」という文言は、刑法にはっきりと明記されています。公然わいせつ罪(刑法174条)、不同意わいせつ罪(同法176条1項)、監護者わいせつ罪(同法179条1項)などで使われ、各罪の要件や罰則は異なり、罪によって「わいせつ」の捉え方に幅があるとされています。
性交や性交類似行為も「わいせつな行為」に含まれます。ただし行為が性交等にまで及び、不同意性交等罪が成立するときは、より重いそちらの罪で処罰されます。
「わいせつな行為」にあたるかどうかは行為の内容で決まりますが、それが犯罪になるかどうかは、相手の同意の有無や年齢によって変わります。
みだらな行為とは?
わいせつな行為より狭く、この言葉が指すのは性交(男性器を女性器に挿入すること)と、口淫・手淫などの性交類似行為です。「みだらな(淫らな)」は、社会常識に反するという意味ととらえておけばよいでしょう。
「みだらな性行為」は「淫行」と同じ意味と考えられています。判例(最高裁判所昭和60年10月23日)は「淫行」を、青少年を誘惑する・おどす(威迫する)・だます(欺罔する)などしてその未熟さにつけ込んで行う性交や性交類似行為と、青少年を単に性欲を満たす対象として扱っているとしか見られない性交や性交類似行為に限られるとしました。
広く青少年(18歳未満の者)に対する性行為一般をいうものと解すべきではなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為
ここで押さえておきたいのは青少年との性行為であれば何でも「淫行」になるわけではない、という点です。
「みだらな性交」「みだらな性行為」といった文言は、多くの都道府県が定める「青少年保護育成条例(正式名称は各都道府県により異なる)」の中で使われています。たとえば、東京都青少年の健全な育成に関する条例18条の6には次のような規定が設けられています。
(青少年に対する反倫理的な性交等の禁止)
第十八条の六 何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行つてはならない。
青少年(18歳未満の者)に対しみだらな行為をしたときは、条例違反として処罰されるおそれがあります。東京都の条例違反の罰則は二年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金です。
※拘禁刑とは、2025年6月施行の改正刑法により、従来の懲役刑と禁錮刑が一本化された刑罰です。
未成年との性行為が発覚する経緯は「淫行とは?逮捕された場合の刑罰と未成年との性行為がバレる経緯」にまとめています。
いかがわしい行為とは?
「いかがわしい行為」は、法律の条文に出てくる言葉ではありません。刑法のわいせつに関する規定にも、東京都青少年の健全な育成に関する条例にも、この文言は使われていません。条文に文言があり判例で意味が示されている「わいせつな行為」や「淫行」とは、その点が異なります。
ただ、一般に、「いかがわしい行為」とは、前述した「わいせつな行為」のうち、性器以外へのキスや愛撫などの行為を指して使われることが多いです。これはあくまで言葉の使われ方であり、法律上の分類ではありません。「いかがわしい行為」と報じられたかどうかだけで、犯罪の成否が決まるわけではありません。
報道で見かける「性的暴行」「性的な行為」「卑猥な行為」も同じく法律上の罪名ではなく、どの罪にあたるかは行為の内容と相手の年齢、同意の有無から判断されます。
わいせつな行為・みだらな行為をするとどんな罪になる?
わいせつな行為やみだらな行為で成立する犯罪は、行為の内容と相手の年齢、同意の有無によって変わります。ここでは、問題となることの多い5つの罪を取り上げます。
公然わいせつ罪
公然わいせつ罪は、人前でわいせつな行為をしたときに問われる犯罪です。ここでの「公然」は、実際に見た人がいたかどうかではなく、不特定または多数の人が認識し得る状態を指します。刑法174条は「公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の拘禁刑若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」と定めています。
路上や公園で下半身を露出する行為が典型例で、居合わせたのが1人でも成立し得ます。逮捕された場合の流れは「公然わいせつで逮捕されたらどうなる?流れや逮捕されるケース」で解説しています。
不同意わいせつ罪
相手が同意しない意思を形成し、表明し、または全うすることが困難な状態、つまり嫌だと思うこと・言うこと・貫くことが難しい状態のもとで体を触るなどした場合に問われるのが、不同意わいせつ罪です。刑法176条1項は、その原因として次の8つを挙げています。
- 暴行・脅迫
- 心身の障害
- アルコールや薬物の影響
- 睡眠などの意識が明瞭でない状態
- 同意しない意思を示すいとまがないこと
- 恐怖や驚愕
- 虐待に起因する心理的反応
- 立場の上下から生じる不利益を心配させること
これらの状態にさせた場合だけでなく、すでにその状態にある相手に乗じて行為をした場合も対象です。法定刑は、婚姻関係の有無にかかわらず六月以上十年以下の拘禁刑です。
また、刑法176条3項により、相手が十六歳未満の場合は、同意があっても不同意わいせつ罪が成立します。ただし相手が十三歳以上十六歳未満のときは、行為をした側が相手より五歳以上年長である場合に限られます(相手が十三歳未満なら年齢差を問いません)。
相手がその場で拒絶の意思を示していなかったことだけを理由に、同意があったと認められるわけではありません。
なお、十八歳未満の者に対し、現に監護する者であることによる影響力に乗じてわいせつな行為をした場合は、監護者わいせつ罪(刑法179条1項)として刑法176条1項の例により処罰されます。
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不同意性交等罪
同じ事由によって相手が同意しない意思を示しにくい状態にあるなかで、わいせつな行為にとどまらず性交等にまで及ぶと、不同意性交等罪にあたります。
ここでいう「性交等」を、刑法177条1項は「性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの」と定義しています。性交等もわいせつな行為にあたりますが、性交等に至った場合はこの罪で処罰されます。
法定刑は、婚姻関係の有無にかかわらず五年以上の有期拘禁刑で、不同意わいせつ罪より重く定められています。旧強制性交等罪との違いは「不同意性交等罪とは?旧強制性交・強姦罪との違いや構成要件」で扱っています。
青少年保護育成条例違反
多くの都道府県の青少年保護育成条例は、青少年とのみだらな性交・性交類似行為を禁じています。前述の東京都の条例18条の6がその例で、違反した場合の罰則は二年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金です。禁止される行為の範囲は都道府県によって異なり、性交に至らないわいせつな行為まで対象とする自治体もあります。
刑法の不同意わいせつ罪・不同意性交等罪と異なり、相手が同意していた場合でも問われ得る点が特徴です。初犯の場合の処分傾向は「青少年保護育成条例違反の行為と罰則|初犯だとどうなる?」をご参照ください。
児童買春罪
児童買春とは、児童(18歳未満の者)本人や周旋者、保護者などに金銭などの対償(見返り)を渡すか、渡すと約束したうえで、その児童と性交等をすることをいいます(児童買春・児童ポルノ禁止法2条2項)。ここでの「性交等」には、性交や性交類似行為のほか、性的好奇心を満たす目的で児童の性器・肛門・乳首に触れる行為なども含まれ、刑法の「性交等」より範囲が広くなっています。
これに当たる場合は児童買春罪として、五年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処せられます(同法4条)。対償を渡していても、性交等に至らないわいせつな行為にとどまる場合は児童買春にはあたらず、青少年保護育成条例違反などが問題になります。
なお、児童買春とは別の罪ですが、児童に淫行をさせた者は児童福祉法違反に問われ、十年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、またはこれを併科すると定められています(児童福祉法60条1項)。
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わいせつな行為・みだらな行為で逮捕された後の流れ
わいせつな行為やみだらな行為で逮捕されると、身柄を拘束されたまま手続きが進みます。逮捕された後の流れを順に見ていきます。
逮捕から勾留までの流れ
わいせつな行為の疑いで逮捕されると、警察は48時間以内に事件を検察官へ送致(引き継ぎ)し、検察官は24時間以内に勾留(起訴前に身柄を拘束し続ける手続き)を請求するか釈放するかを判断します。裁判官が勾留を認めると、原則10日間、延長された場合はさらに最大10日間、拘束が続きます。
性犯罪の事件では、勾留に接見禁止(弁護士以外との面会を制限する処分)が付き、家族でも面会できないことがあります。勾留の要件や早期釈放は「勾留とは?勾留期間や要件、勾留回避・早期釈放のための方法」で詳しく解説しています。
起訴・不起訴が決まるまでの流れ
検察官は、勾留の期限までに起訴するか不起訴(裁判にかけない判断)とするかを決めます。わいせつな行為をめぐる事件では、被害者との示談が成立しているかどうかがこの判断に影響することがあります。不起訴になれば刑事裁判は開かれず、前科も付きません。起訴された場合でも前科が付くのは有罪判決が確定したときで、起訴された時点で前科になるわけではありません。
性犯罪では、被害者との示談(当事者間で解決の合意をすること)が成立しているかどうかが判断に影響することがあります。不起訴と無罪の違いは「不起訴とは|無罪との違いと不起訴になる理由・前科前歴の有無」をご参照ください。
起訴された後の刑事裁判の流れ
起訴されると被告人として刑事裁判を受けることになり、起訴後は保釈(保証金を納めて身柄の解放を受ける手続き)を請求できるようになります。なお、罰金で済む事件では略式起訴となり、法廷を開かず書面だけで刑が決まることもあります。
公判では検察官が主張と証拠を示し、被告人側も有利な事情を述べます。審理を終えると判決が言い渡されます。保釈を含めた手続き全体は「起訴後の流れはどうなる?保釈の流れも合わせて弁護士が解説」で解説しています。
弁護士に依頼してできること
わいせつな行為やみだらな行為の事件では、早い段階で弁護士が関わると結果が変わることがあります。ここでは主な対応を紹介します。
被害者との示談交渉
わいせつな行為が問題となる事件では、被害者が加害者本人やその家族と直接やり取りすることを望まないのが通常です。弁護士が代理人として間に入ることで、はじめて交渉の席につけるケースは少なくありません。
示談が成立し、被害者が処罰を求めない意思を示せば、不起訴の判断につながりやすくなります。示談金の相場は「刑事事件で示談するメリットは?示談金相場と流れを徹底解説」で詳しく解説しています。
取り調べへの対応をアドバイスする
わいせつな行為の有無やその内容は当事者の供述に頼らざるを得ない場面が多く、取り調べで作成される供述調書(受け答えをまとめた書面)は、後の手続きで重要な証拠になります。記憶と違う内容のまま署名すると、後から覆すのは容易ではありません。
弁護士は、黙秘権(話したくないことを話さなくてよい権利)や署名を拒否できることを含め、取り調べでの対応を事前に伝えます。逮捕・勾留中も接見できるため、状況に応じた助言をその都度受けられます。
早期の身柄解放を求める
勾留されると仕事や学校を長期間休まざるを得なくなります。弁護士は早期の身柄解放を求めて、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを主張し、勾留を請求しないよう求めたり、勾留の決定に準抗告(取り消しを求める不服申立て)を行ったりします。
起訴された後は保釈を請求し、身元引受人の確保など、認められやすくするための準備も整えます。
わいせつな行為・みだらな行為で不安を抱えている方は弁護士にご相談ください
ここまで、「わいせつな行為」「みだらな行為(淫行)」「いかがわしい行為」の違いと、このうちわいせつな行為・みだらな行為で問われ得る犯罪を解説してきました。同じように報じられていても、相手の年齢や同意の有無によって問われる罪は変わります。
性犯罪の疑いをかけられた場合、示談や取り調べへの対応など、早い段階で判断すべきことが数多くあります。一人で抱え込むほど不安は大きくなります。すでに警察から連絡が来ている場合は、早めに弁護士へご相談ください。
当事務所は刑事事件を数多く取り扱ってきました。ご家族や職場への影響を抑えられるよう配慮しながら、弁護士が迅速に動きます。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご連絡ください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

