
「児童福祉法違反で警察から連絡が来た」「家族が逮捕されたが、初犯でも刑務所に入るのか」と不安を抱えていませんか。
児童福祉法違反とは、子どもの健全な育成を害する行為を禁じた児童福祉法に違反することで、なかでも「児童に淫行をさせる行為」は10年以下の拘禁刑もある重い罪です。初犯でも実刑となりえますが、早い段階で被害児童の保護者と示談を進めれば、不起訴や執行猶予となる可能性もあります。
この記事では、性犯罪事件に強い弁護士が、次の点について解説します。
- どのような行為が処罰の対象になるのか
- 初犯でも実刑になるのか・時効は何年か
- 淫行条例違反や児童買春とどう違うのか
- 逮捕されたらどうなり、何をすべきか
なお、児童福祉法違反についてお困りの方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。
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児童福祉法違反とは?定義と禁止行為
児童福祉法違反とは、同法第34条などが禁じる行為をすることです。典型は、教師が18歳未満の生徒に淫行をさせるケースです。
児童福祉法とは
児童福祉法は、保育や母子保護、児童虐待の防止なども含め、子どもの福祉全般を支援するための法律です。
子どもの育成については、同法第2条が次のように定めています。
第二条 全て国民は、児童が良好な環境において生まれ、かつ、社会のあらゆる分野において、児童の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮され、心身ともに健やかに育成されるよう努めなければならない。
② 児童の保護者は、児童を心身ともに健やかに育成することについて第一義的責任を負う。
③ 国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。
つまり第2条は、国民全体に子どもの健やかな育成に努めることを求めたうえで、第一義的な責任を保護者に、保護者とともに育成する責任を国や自治体に負わせています。
児童に関する禁止行為は同法第34条第1項に第1号から第9号まで並んでいます。刑事事件で問題になる児童福祉法違反の多くは第6号で、最も罰則が重いのも次に説明する「児童に淫行をさせる行為」です。
児童福祉法違反の「児童に淫行をさせる行為」とは
児童福祉法違反の中心となる児童に淫行をさせる行為(児童淫行罪)は、第34条第1項第6号で禁止されています。
児童に
児童とは満18歳に満たない者をいいます(児童福祉法第4条第1項)。女児だけでなく男児も対象です。
淫行を
淫行とは、児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあると認められる性交又はこれに準じる性交類似行為と解されています(最高裁平成28年6月21日決定)。
児童を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような者を相手とする性交等も淫行に含まれます。交際していたとしても、その実態によっては淫行にあたる可能性があります。
させる行為
させる行為とは、直接たると間接たるとを問わず児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長し、促進する行為をいいます(同決定)。暴行や脅迫で従わせることまでは必要ありません。自分を相手方として淫行をさせる場合も、単に性交等をするだけでなく影響力を及ぼせば該当します。
させる行為にあたるかは、行為者と児童との関係、児童の意思決定への影響の程度、児童の年齢などから総合的に判断されます。影響力が及びやすい関係の典型例は、担任教師と生徒、塾講師と生徒、児童養護施設の職員と入所児童、雇い主と従業員などです。
「児童に淫行をさせる行為」以外の児童福祉法違反にあたる行為とは
第34条第1項の第6号以外にも、次のような行為が児童福祉法違反にあたります(要約)。
- 障害などのある児童を見せ物にする・児童にこじきをさせる(1号・2号)
- 15歳未満の児童に、公衆の娯楽のため曲芸をさせる・路上などで演技を業務としてさせる(3号・4号)
- 午後10時から午前3時まで、児童に路上で物品の販売などを業務としてさせる(4号の2)
- 路上で物品の販売などをする15歳未満の児童を、風俗店などに立ち入らせる(4号の3)
- 15歳未満の児童に酒席の接客を業務としてさせる(5号)
- 児童に対して罪を犯すおそれのある者などに、事情を知りながら児童を引き渡す(7号)
- 正当な職業紹介機関以外の者が営利目的で養育をあっせんする(8号)
- 児童に有害な行為をさせる目的で、児童を支配下に置く(9号)
条文は児童福祉法 | e-Gov法令検索で確認できます。
児童福祉法違反の罰則と時効
罰則と時効は、どの号の児童福祉法違反かで異なり、6号は罰則が最も重く時効も最長です。
児童福祉法違反の法定刑
児童福祉法違反のうち、第34条第1項第6号の「児童に淫行をさせる行為」の罰則は、10年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金、又は併科(両方を科すこと)です(同法第60条第1項)。6号以外は「3年以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金、又は併科」です(同条第2項)。
※拘禁刑は、2025年6月1日施行の改正刑法で懲役と禁錮を一本化した刑罰です。
初犯でも実刑になる?執行猶予の見通し
児童福祉法違反のうち児童に淫行をさせる行為は法定刑が重く、初犯でも実刑判決を受けることがあります。同じ児童に長期間くり返し淫行をさせていた悪質なケースでは、執行猶予(刑の執行を一定期間見合わせる制度)が付かないこともあります。下の判例でも、前科がなく示談が成立していたのに、売春を示唆して淫行をさせた事案では実刑となっています。
もっとも、実刑か執行猶予かは、初犯かどうかだけでなく、反省の態度、被害者側の処罰感情、示談の有無などから個別に判断されます。初犯で、被害児童の保護者との示談が成立していれば、執行猶予が付く可能性も十分にあります。
示談金の目安は「未成年と淫行した場合の示談金相場と流れ、示談による解決事例」で詳しく解説しています。
児童福祉法違反の判例
児童福祉法違反が問題になった裁判例のうち、2つの事案を紹介します。
児童に有償で性交類似行為をさせた事案
この事案は被告人が、被害児童Aをファッションヘルス店で、不特定多数の男性客を相手に対価を得て卑猥な接客行為をするいわゆるヘルス嬢として稼働させ公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労働者の供給を行ったという職業安定法違反の別件で公訴提起されていた事案です。
この被告人は、当時17歳のAに対し不特定の遊客を相手に売春することを示唆して性交類似行為をさせて、児童に淫行させた、として児童福祉法違反でも起訴されてしまいました。
被告人は、自己の遊興費にあたる金欲しさという犯罪動機で、街で知り合った被害児童に甘言や暴行・脅迫を用いて売春させていることから、
「犯情はきわめて悪質であり、被害児童の心身にも著しい悪影響を及ぼしていること、ファッションヘルスで稼働する妻から小遣いを貰って遊び暮らしながら、他方において、被害児童から得た金銭を遊興費等に費消し、さらには、被害児童の身の上を心配し、被告人との関係を断ち切らせようとした被害児童の母親からも、その心配につけこんで多額の金銭の交付を受けるなどしていることなどの事情に照らすと、被告人の刑責を軽視することは許され」ないと判示されています。
一方でAの母親に60万円を支払って示談を成立させAの母親から寛大な処分を希望する旨の嘆願書が提出されていることや、被告人に前科がなく21歳と若年であり本件を反省している、という被告人に有利な事情を斟酌した結果、懲役10カ月の実刑判決が下されています(名古屋高等裁判所平成10年1月28日判決)。
中学校の教師が児童福祉法の「淫行」で有罪となった事案
この事案は、中学校の教師である被告人が、その立場を利用して、児童である女子生徒に対し電動バイブレーターで自慰行為をするよう勧め、被告人も入っている同じこたつの中に下半身を入れた状態や、被告人も入っている同じベッド上の布団の中で、バイブレーターを使用して自慰行為をするに至らせた事案です。
最高裁判所はこのような各行為について児童福祉法第34条1項6号の「児童に淫行させる行為」にあたるとした原判決を支持しています(最高裁判所平成10年11月2日決定)。
被告人が約15年間勤務してきた中学校教諭の職を懲戒免職されていることや、これまでに前科がないことなど被告人のために酌むべき諸般の情状を考慮したうえで、懲役2年、執行猶予3年の判決が言い渡されていました。
児童福祉法違反の公訴時効は何年?
公訴時効とは、犯罪行為が終わった時から一定期間が過ぎると起訴できなくなる制度です。児童福祉法違反のうち、自分を相手方として児童に淫行をさせた場合の公訴時効は12年です(刑事訴訟法第250条第3項第3号)。この12年には、犯罪行為が終わった時から被害児童が18歳に達する日までの期間が加算されます(同条第4項)。犯行時に15歳になったばかりの児童なら、合計で約15年です。
第三者を相手方として淫行をさせた場合(あっせんなど)は7年、ほかの号の違反は3年です(同条第2項第4号・第6号)。関連する罪の時効は「未成年と淫行したら時効は何年?時効成立を待たずにすべきこと」で解説しています。
淫行条例違反や児童買春など関連する犯罪
児童と性的な行為をした場合、どの罪にあたるかを分けるのは、主に影響力・対価・監護者の3点です。
事実上の影響力を及ぼして淫行をさせれば児童福祉法違反、影響力がなくても18歳未満の者とみだらな性行為をすれば青少年保護育成条例違反、対価を渡したり約束したりして性交等をすれば児童買春にあたる可能性があります。親などの監護者が影響力に乗じた場合は監護者わいせつ罪・監護者性交等罪です。このほか、相手が16歳未満なら、性交等をしただけで不同意性交等罪(5年以上の有期拘禁刑)が成立しえます(13歳以上なら行為者が5歳以上年上の場合。刑法第177条第3項)。
①青少年保護育成条例違反
18歳未満の者と性交や性交類似行為をした場合は、都道府県ごとに定められた青少年保護育成条例に違反するおそれがあります。多くの条例がみだらな性行為などを禁じているため、「淫行条例」とも呼ばれます。
罰則は条例ごとに異なり、東京都では2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金です。全国一律の児童福祉法と違い、条例は、それを定めた都道府県の中での行為に適用されます。1つの行為が児童福祉法違反と条例違反の両方にあたるときは、刑の重い児童福祉法の罰則で処罰されます。
②児童買春・児童ポルノ禁止法
児童福祉法違反とは別に、お金などの対価を渡したり約束したりして児童と性交等をした場合は、児童買春の罪に問われる可能性があります。罰則は「5年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」です(児童買春・児童ポルノ禁止法第4条)。
児童の裸などを撮影すれば児童ポルノ製造罪(3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金)、自己の性的好奇心を満たす目的で画像を持っていれば所持罪(1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金)に問われることがあります。児童買春で逮捕された後の流れや不起訴を目指す方法は「児童買春で逮捕される可能性は?逮捕後の流れと対処法」で解説しています。
③監護者わいせつ罪・監護者性交等罪
児童福祉法違反のほか、18歳未満の子を現に監護する親などが、その影響力に乗じてわいせつな行為をした場合は監護者わいせつ罪(6月以上10年以下の拘禁刑)、性交等をした場合は監護者性交等罪(5年以上の有期拘禁刑)に問われる可能性があります(刑法第179条)。成立する条件や逮捕後の流れは「監護者わいせつ罪とは?罰則・構成要件と逮捕後の流れを解説」もご確認ください。
児童福祉法違反で逮捕されたときの対応
6号の児童淫行罪を含め、児童福祉法違反のほとんどは親告罪(告訴がなければ起訴できない罪)にあたらず、被害届が出されなくても、捜査機関が事件を把握すれば逮捕・起訴される可能性があります。
検察統計(2025年)では、児童福祉法違反(6号以外も含む)で処理を終えた85人のうち55人(約65%)が逮捕され、そのうち52人(約95%)に勾留(逮捕に続く身柄拘束)が認められています(出典:e-Stat 検察統計)。
逮捕されると、警察は48時間以内に事件を検察官に送り、検察官は24時間以内に勾留を請求するかを決めます。勾留は原則10日、延長でさらに最大10日となり、逮捕から起訴するかの判断まで最長23日間拘束されます。
職場に知られたり実名報道されたりするおそれもあるため、逮捕前に弁護士に依頼し、保護者と示談交渉をしてもらうのが望ましいです。示談成立により被害者側が警察に被害申告をしなければ、事件化せずに逮捕を回避できる場合もあります。
罪を認める場合は被害者との示談が重要
罪を認める場合は、事実を正直に話し、反省と謝罪の気持ちを示すことが大切です。そのうえで被害児童の保護者と示談を成立させることが、早期釈放や不起訴処分(起訴猶予)の可能性を高めます。示談の相手は通常、親などの保護者(法定代理人)で、逮捕中は弁護士に交渉を任せることになります。
もっとも、児童福祉法違反は子どもが健やかに育つという社会の利益も守る罪とされ、示談が成立しても必ず不起訴になるとは限りません。あわせて、専門機関への通院や家族による生活の監督など、再犯を防ぐ取り組みを示すことも重要です。示談交渉を弁護士に依頼するメリットや費用については「淫行に強い弁護士|24時間無料相談受付」もご参照ください。
罪を認めない場合は取調べへの対応が重要
児童福祉法違反を否認する場合、取調べで話した内容は調書に残り、不利な証拠として使われるおそれがあります。逮捕直後から弁護士と接見(面会)し、取調べでの受け答えについて助言を受けることが必要です。
また、児童が18歳未満だと知らなかった場合や、真摯な交際関係にあった場合は、裏付ける証拠を弁護士が集め、不起訴処分や無罪を目指します。ただし、児童を使用する者(雇い主など)は、年齢を知らなかったことに過失がない場合を除き、それを理由に処罰を免れることはできません(児童福祉法第60条第4項)。
児童福祉法違反でお悩みの方は弁護士にご相談ください
児童福祉法違反、とくに児童に淫行をさせる行為は法定刑が重く、逮捕されれば長期間拘束されることがあります。
それでも、弁護士が早期に保護者との示談交渉や再犯防止の準備を進めることで、不起訴処分や執行猶予付き判決を目指せます。「警察から呼び出しを受けている」段階でも、早めにご相談ください。
当事務所は、弁護士が迅速に動き、全力を尽くしてお守りします。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

