管理売春とは?わかりやすく解説
「管理売春」という言葉を聞いたことはあるけど、実際のところ、管理売春とはなんなのかよく理解していない…

という方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、性犯罪に強い弁護士が、

  • 管理売春とは
  • 管理売春の判例(事例)

などについてわかりやすく解説していきます。

管理売春にあたる行為をしてしまった方で、この記事を最後まで読んでも問題解決しない場合には弁護士までご相談ください。

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管理売春とは?

そもそも売春とは

「売春」とは、売春防止法第2条で「対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交すること」と定義されています。

「対償」にはお金以外にも、食事やプレゼント、借金の免除等も含まれます。また、「受ける約束」をしてまだ対償を受け取る前に性交をしても売春にあたります。

「性交」とは女性器に男性器を挿入する行為、つまりはセックス(風俗では「本番行為」とも呼ばれています)をすることです。口膣性交や肛門性交といった性交類似行為は含まれません。

なお、売り手と買い手の2者間のみで第三者が介入しない「単純売春」については、同法3条で禁止されているものの罰則規定がないため売り手も買い手も罰せられることはありません(ただし、女性が公衆の目にふれるような方法で人を売春の相手方となるように勧誘すると、6月以下の懲役または1万円以下の罰金に処せられます(同法5条))。

売春防止法とは?~罰則から逮捕後の流れ、対処法まで詳しく解説

管理売春とは

管理売春とは、人を、自己が占有するもしくは管理する場所または自己の指定する場所に居住させて売春をさせることを業とすることで成立する犯罪です(売春防止法第12条)。罰則は、10年以下の懲役および30万円以下の罰金です

(売春をさせる業)
第十二条 人を自己の占有し、若しくは管理する場所又は自己の指定する場所に居住させ、これに売春をさせることを業とした者は、十年以下の懲役及び三十万円以下の罰金に処する。

売春防止法 | e-Gov法令検索

業者が借り受けたアパートやマンション、ホテルなどに売春婦を住み込みさせて売春させるケースが管理売春の典型です。

管理売春は、売春婦の居住について支配を及ぼして自由を束縛し、その支配から逃げられないような方法で売春をさせる違法性が高い行為であることから、売春防止法が規定する禁止行為の中で最も刑罰が重くなっています

「居住させ」なければ管理売春にあたらない?

ソープランドで売春(本番行為)が行われていることは周知の事実ですし、デリヘル等の性風俗でも女性にお客との本番行為をすすめている店もあります。

では、このような売春を前提とした店に従事する女性が、任意で居住(寝起きや食事などのために住んで生活すること)している住居から店に通って売春しているようなケースでは、店の経営者等は管理売春に問われることがあるのでしょうか。

この点、売春防止法第12条では、「人を自己の占有し、若しくは管理する場所又は自己の指定する場所に居住させ」と規定しています。したがって、風俗店が住居の選択を売春婦の自由意思に任せていた場合には「居住させた」とはいえないため、基本的には管理売春にあたりません

もっとも、通い売春と管理売春の成否が争われた裁判例(大阪高裁昭和40年7月13日)では、売春婦が任意で住居を選択した場合でも、売春業者を管理売春で処罰し得る場合があるとして、以下のように述べています。

売春を行なう者の住居が、当初は任意に定められたものではあつても、業者が、常時電話その他の方法によつてこれと連絡をとり、客待ち場所への集合待機あるいは売春に従事することを強要するなどして、その自由に一定の支配を及ぼすに至り、実質上、指定場所と同一の性格を有するに至つているような場合もまた、同条に該当するものとして、処罰し得るものと解し得られるのであるから、「通い」であつても、以上のような各種の形態のものは、同条によつて当然処罰し得るのである。

いわゆる「通い」売春と売春防止法第一二条の成否|裁判所

したがって、店が女性に対して客と本番行為をすることを強要し、出勤を催促するために住居に訪問してくるなどして実質的に売春婦の居住の場所に支配を及ぼしていると認められるような場合には、管理売春が成立する可能性もあります。

管理売春にあたらなくても罪に問われることも

仮に管理売春にあたらないとしても、以下のような行為は売春防止法違反となり罪に問われる可能性があります。

売春の周旋をすること(同法6条)2年以下の懲役または5万円以下の罰金
人を欺き・困惑させて売春させること(同法7条)3年以下の懲役または10万以下の罰金
売春の対償の全部若しくは一部を収受・要求・約束すること(同法8条)5年以下の懲役及び20万円以下の罰金
売春させる目的で前貸しその他の方法により人に金品・財産上の利益を供与すること(同法9条)3年以下の懲役または10万円以下の罰金
売春させることを内容とする契約をすること(同法10条)3年以下の懲役または10万円以下の罰金
情を知って売春を行う場所を提供すること(同法11条1項)3年以下の懲役または10万円以下の罰金
売春を行う場所を提供することを業とすること(同法11条2項)7年以下の懲役及び30万円以下の罰金

管理売春の判例

旅館経営者が管理売春に問われた事例

この事例は、居住場所で旅館を経営する者が売春防止法第12条のいわゆる管理売春の罪が成立すると判断された事例です。

被告人は、売春婦らとの契約に基づいて、毎夕ほぼ定刻に旅館に出勤・集合させていつでも客の求めに応じるような態勢で旅館内に待機させ、その間無断で外出することを禁じていました。

この被告は客を自ら売春婦にあてがい、対価の半額を取得して売春をさせいたとして「自己の占有する場所に居住させて売春をさせる業をした」と認定されています。(最高裁判所昭和42年9月19日決定)

複数人が共謀のうえで管理売春をしたとして有罪とされた事例

この事例は、被告人ら3名が売春婦を雇っていた女性を脅迫して500万円の金銭消費貸借契約証書を作成させ、その後自己の管理する場所に同女性らを居住させ売春させたとして管理売春に問われた事例です。

管理売春に問われたのは、知人が経営していた風俗業を引継ぎ売春業を営むようになったA、Aの妻として経営に携わることになったB、そして売春婦の送迎のための運転手として雇用されて後実質的な業務も取り仕切るようになったCです。

3名は管理するマンションの一室に売春婦を居住させ、待機させたうえで携帯電話の出会い系サイトにアクセスする不特定の男性客を相手に付近のホテルで対償を得て性交させ、その一部を取得していたとして「人を自己の管理する場所に居住させ、これに売春をさせることを業とした」と認定されています。(神戸地方裁判所平成16年12月22日判決)

管理売春の弁護活動

管理売春の弁護活動は、以下のような活動が重要となります。

起訴されるまでの捜査段階では、売春をしていた者がどこで・どのように居住していたのかということを、被疑者やその周辺の関係者に詳しくヒアリングすることになります。

具体的には、

  • 売春をしていた者がどこで寝起きしていたのか
  • 外出は許されていたのか
  • 業者の支配状況はどのような程度のものであったか
  • 客待ちや売春行為の場所

などについて正確に把握することが重要となります

捜査機関の厳しい追及や取り調べにより、やっていないことを自白をしてしまわないようにサポートすることも弁護人の重要な役割です。最終的な起訴・不起訴の判断は検察官が握っているため、弁護人は検察官に対して意見を述べていくことになります。

また共犯者間での地位や役割を正確に把握することも重要な弁護活動になります。事件への関与が小さい場合には、刑事罰で被疑者を罰する必要性が少ないとして不起訴とされたり、起訴されたとしても他の共犯者よりも責任が小さいとして執行猶予が付されたり罰金刑になったりと軽い処罰とされる可能性もあるのです。

このように被告人の関与形態について詳しく把握することも重要な弁護活動となります。

弊所では、管理売春、売春防止法違反の弁護活動を得意としており実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、管理売春に関わった経営者・従業員の方は弊所の弁護士までご相談ください。

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