堕胎罪の有名判例を解説

胎児性致死傷を認めた判例

この事案は、母体を通じて胎児Aに侵害を加え、出生によって人となった段階で傷害・死亡の結果が発生する事例(これを「胎児性致死傷」といいます)について、人に対する罪(殺人/傷害致死/過失致死など)が成立するか否かが問題となった事案です。

最高裁判所は、「現行刑法上、胎児は、堕胎の罪において独立の行為客体として特別に規定されている場合を除き、母体の一部を構成するものと取り扱われていると解されるから、業務上過失致死罪の成否を論ずるに当たつては、胎児に病変を発生させることは、人である母体の一部に対するものとして、人に病変を発生させることにほかならない。そして、胎児が出生し人となつた後、右病変に起因して死亡するに至つた場合は、結局、人に病変を発生させて人に死の結果をもたらしたことに帰するから、病変の発生時において客体が人であることを要するとの立場を採ると否とにかかわらず、同罪が成立するものと解するのが相当である。したがって、本件においても、前記事実関係のもとでは、Aを被害者とする業務上過失致死罪が成立するというべきである」と判示しています(最高裁判所昭和63年2月29日決定)。

水俣病事件として有名な本件では、人(母)に病変を生じさせ、人(A)に死の結果を発生させたとして、業務上過失致死罪が肯定されています。

業務上堕胎罪と保護者遺棄致死罪の両方が成立した判例

この事案は、産婦人科医師であった被告人が妊婦から依頼を受け、堕胎を行った事案です。

被告人は、自ら開業する医院で妊娠第26週に入った胎児の堕胎を行いました。

出生した未熟児(推定体重1000グラム弱)に保育器等の未熟児医療設備の整った病院で医療を受けさせれば、短期間で死亡することはなく、むしろ生育する可能性があることを認識し、かつそのような医療を受けさせるための措置をとることが迅速容易にできたにもかかわらず、保育器もない自己の医院内に放置したまま、生存に必要な処置を何らとらなかったことから、出生から約54時間後に出生した未熟児は死亡しました。

最高裁判所はこのような事実関係を認定したうえで、被告人には「業務上堕胎罪」に併せて「保護者遺棄致死罪」が成立するという控訴審の判断を支持しました(最高裁判所昭和63年1月19日決定)。

気軽に弁護士に相談しましょう
  • 全国どこからでも24時間年中無休でメール・電話・LINEでの相談ができます。
  • 逮捕回避・早期釈放・不起訴・執行猶予の獲得を得意としております。
  • 親身誠実に、全力で弁護士が依頼者を守ります。

この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

逮捕回避・早期釈放 不起訴獲得 示談交渉 痴漢・盗撮 性犯罪 暴行・傷害
メディア掲載 フジテレビ「とくダネ」/ ダイヤモンド・オンライン / @DIME / サイゾー 他多数
講演実績 「不当要求対応の基礎」「犯罪組織によるマネー・ロンダリングと投資詐欺への法的処置」等
刑事事件に強い弁護士に無料で相談しましょう

全国対応で24時間、弁護士による刑事事件の無料相談を受け付けております。

弁護士と話したことがないので緊張する…相談だけだと申し訳ない…とお考えの方は心配不要です。当法律事務所では、ご相談=ご依頼とは考えておりません。弁護士に刑事事件の解決方法だけでもまずは聞いてみてはいかがでしょうか。

逮捕の回避・早期釈放・不起訴・示談を希望される方は、刑事事件に強い当法律事務所にメール・お電話・LINEでご連絡ください。