違法ダウンロードで自首するとどうなる?わかりやすく解説
違法ダウンロードをしてしまった…自首をするとどうなるのだろう…警察から著作権者に連絡されてしまうのだろうか…

このようにお考えではないでしょうか。

違法ダウンロードは著作権法違反の犯罪行為ですが、告訴権者の告訴がない限り公訴の提起(起訴)ができない親告罪です。そのため、告訴権者が告訴をしない限り、違法ダウンロードした者が罪に問われることはありません。

しかし、自首をすると、警察から告訴権者に対し、告訴するか否かの確認の連絡が行くことがあります(犯罪捜査規範第121条参照)。仮に告訴権者が違法ダウンロードの事実を知らなかった場合、自首をすることで違法ダウンロードの事実が告訴権者に発覚してしまい、逆に事件化してしまう可能性もあるということです。

そうであれば、自首をしない方が良いのだろうか…

と迷われる方もいることでしょう。

そこでこの記事では、刑事事件に強い弁護士が、上記内容に加え、違法ダウンロードで自首をした方が良いのかどうかについてわかりやすく解説していきます。

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違法ダウンロードで自首するとどうなる?

違法ダウンロードは親告罪

まず、違法ダウンロードは、著作権法に違反する犯罪行為です。

違法にアップロードされている著作物であることを知りながら、反復・継続してダウンロードした場合には、「2年以下の懲役」若しくは「200万円以下の罰金」が科せられ、またはこれらが併科されます(著作権法第119条3項)。

ただし、著作権侵害による著作権法違反の罪は、告訴権者の告訴がない限り公訴の提起(起訴)ができない親告罪とされています(著作権法第123条)。告訴権者とは、被害者本人やその法定代理人等です。

したがって、違法ダウンロードについては、告訴権者による告訴がなければ公訴を提起することができません

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そもそも自首とは?

自首とは、捜査機関(警察、検察)に犯罪事実または犯人が発覚する前に、犯人が自ら進んで自己の犯罪事実を申告して、捜査機関の処分に委ねる意思表示をすることをいいます。自首が成立すると、刑が減軽される可能性があります(刑法第42条)。

また、自首そのものの効果ではありませんが、自首することにより「逃亡・証拠隠滅のおそれがない」と判断されて逮捕を回避できる可能性があります

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告訴されていないのに警察に自首するとどうなる?

告訴は公訴提起の条件であると説明しましたが、告訴は、捜査機関の捜査を開始するための条件でも警察が被疑者を逮捕するための条件でもありません。

したがって、親告罪の告訴前であっても将来の告訴に備えて捜査を開始することができますし、被疑者を逮捕することもできます。

そのため、告訴されていないのに警察に自首をすると、犯罪事実を確認するために任意の取り調べが行われる可能性があります。捜査機関は犯罪事実の有無を確認したうえで、被疑者を逮捕したいと考えた場合、告訴権者である被害者に告訴するか否かの連絡をすることになります

警察官の服務規程である犯罪捜査規範にも、「逮捕状を請求するに当って、当該事件が親告罪に係るものであって、未だ告訴がないときは、告訴権者に対して告訴するかどうかを確かめなければならない」と規定されていることが参考になります(同規範第121条)。

違法ダウンロードしたら自首した方がいい?

上記の通り、告訴権者が告訴をしていないのに自首をすると、告訴権者に違法ダウンロードの事実が知られてしまい、藪蛇になる可能性があります。

また、違法「アップロード」については多くの逮捕事例があるものの、違法「ダウンロード」で逮捕される事案はほとんどありません。

もちろん、違法ダウンロードで逮捕されないと断言することはできませんが、敢えて告訴されるのを待って、捜査機関の動きに合わせて対応していくのも一つの方法です

告訴権者に罪を申告することで自首と同様の扱いになる

とはいえ、違法ダウンロードをしたことで、いつ警察に逮捕されるのか不安で仕方がない方からすれば、やはり自首をして気持ちをスッキリさせたいとお考えになるかもしれません。しかし、警察に自首することは精神的にハードルが高いと感じる方もいると思われます。

この点、親告罪に関しては、刑法第42条2項には以下のように規定しています。

(自首等)
第四十二条 (省略)
2 告訴がなければ公訴を提起することができない罪について、告訴をすることができる者に対して自己の犯罪事実を告げ、その措置にゆだねたときも、前項と同様とする。

刑法 | e-Gov法令検索

要するに、親告罪である犯罪を行った人が、被害者などの告訴権者に犯罪の事実を申告した場合には、警察に自首をした場合と同様に取り扱うということです。

この条文が適用されるためには、捜査機関に犯人が特定される前か、犯罪が発覚する前に申告することが必要となります。

被害者(告訴権者)に違法ダウンロードの事実を申告することで示談の話し合いができ、刑事手続きに移行することを回避できる可能性があります

また、被害者に違法ダウンロードの事実を申告したことは、被疑者にとって有利な事情になります。仮に事件化した場合でも、自ら犯罪事実を申告したことが検察官が刑事処分を決める際に考慮され、不起訴を獲得できる可能性が高まります。不起訴となれば刑事裁判にかけられることもありませんので、有罪判決となって前科がつくこともなくなります。

したがって、できるだけ穏便に事件を解決して終わらせたいと望んでいる方は、迅速に被害者に申告して示談交渉を行うことが望ましいと言えるでしょう

警察への自首を検討すべきケース

前述の通り、違法ダウンロード”のみ”をした場合には、告訴権者の告訴を待つという選択肢もあるでしょう。

しかし、ご自身では違法「ダウンロード」をしているだけと考えていても、実は知らぬ間に違法「アップロード」していることもあります

例えば、torrent(トレント)などのP2P(PC等の端末同士がサーバーを介さずに直接ファイルのやりとりを行う通信方式)で違法ダウンロードを行うと、その仕組み上、ファイルのアップロードも同時に行われる状態になります。つまり、ご自身も違法アップロードに加担し、著作権侵害の犯罪を犯すことになります。

警察庁の公表しているデータによると、令和4年にはインターネットを利用した著作権侵害事犯(違法アップロード以外に、違法ダウンロードを含む)の検挙事件数は107件あり、3日に1件程度の割合で検挙に至っています。違法ダウンロードでの検挙・逮捕数がほとんどないことから考えると、ネット上の著作権法違反で検挙されているほとんどが違法アップロードによるものと考えられます。

違法アップロードも原則として親告罪ですが、悪質な違反は「非親告罪(告訴がなくとも起訴できる犯罪)」とされています。そして警察は「P2P観測システム」を用いて違法アップロードが行われていないかネット上で常時監視しています。つまり、ある日突然警察に逮捕されるおそれもあるということです

そのため、P2Pで違法ダウンロードをしてしまった方で、出来るだけ逮捕の可能性を下げたいとお考えの方は自首することも必要となってくるでしょう

自首や告訴権者への申告をする場合は弁護士に依頼を

前述の通り、捜査機関に自首をすることで、著作権法違反での逮捕を回避できる可能性があります。

もっとも、自首をしたからといって逮捕を免れる保証はありませんし、一人で取り調べに対応する不安はぬぐえないと思います。

そのため、自首するにあたっては、事前に弁護士に相談し、必要に応じて弁護士に自首の同行を依頼するようにしましょう。

弁護士に依頼すれば、逮捕回避に向けた対策をとった上で自首しますし、取調べ中も取調べが終わるまで取調室の外で待機します。逮捕されない限り、いつでも取調室から退出することができますから、何か不安を感じたときはいつでも弁護士に相談することができます。

なお、告訴権者に違法ダウンロードの事実を申告し示談交渉をする場合も弁護士に依頼することをお勧めします。被害者と加害者との直接交渉の場合だと、感情的なもつれから冷静に話し合いを進めることが難しいでしょう。この点、弁護士であれば感情的にならず冷静に話し合いを進めることができますし、示談交渉にも慣れていますので、話し合いを紛糾させたり、頓挫させる可能性を抑えることができます。仮に著作権者から理不尽な金額の請求を受けた場合であっても、弁護士が窓口であれば適切に拒否して交渉を進めることが期待できます

さらに、示談条件について話がまとまったからといって口約束だけで終わらせることはできません。後で言った言わないのトラブルを防止するためにも必ず示談書を作成すべきです。弁護士に示談交渉を依頼し、示談が成立すれば法的に有効な弁護士が示談書を作成してくれます

当事務所では、自首の同行や逮捕の回避、被害者との示談交渉を得意としており実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、違法ダウンロードで自首や告訴権者への申告をお考えの方は、まずは当事務所の弁護士までご相談ください。お力になれると思います。

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