公用文書等毀棄罪とは?構成要件や判例をわかりやすく解説

公用文書等毀棄罪(こうようぶんしょとうききざい)とは、公務所の用に供する文書又は電磁的記録を毀棄した場合に問われる罪です。刑法第258条に規定されています。公用文書等毀棄罪の罰則は3月以上7年以下の懲役です。

(公用文書等毀棄)
第二百五十八条 公務所の用に供する文書又は電磁的記録を毀棄した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。

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公用文書等毀棄罪は、検察官が起訴するにあたって被害者等の告訴権者の告訴を必要とする親告罪ではありません(非親告罪)。つまり、被害者等の告訴がなくても起訴されて刑事裁判にかけられる可能性があります。なお、公用文書等毀棄罪に似ている罪である私用文書等毀棄罪(刑法259条)、器物損壊罪(刑法260条)は親告罪です。

この記事では、刑事事件に強い弁護士が、

  • 公用文書等毀棄罪の構成要件(成立要件)
  • 公用文書等毀棄罪の判例

についてわかりやすく解説していきます。

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公用文書等毀棄罪の構成要件

公用文書等毀棄罪の構成要件(犯罪が成立するための要件)は次のとおりです。

公務所の用に供する文書又は電磁的記録

まず、「公務所の用に供する文書又は電磁的記録」を毀棄することが必要です。

「公務所の用に供する文書(以下、「公用文書」)」とは、現に公務所が使用し、または使用する目的で保管する文書のことです。「公務所」とは、学校、市役所、警察署、検察庁などの公務員が職務を行う所のことをいいます(刑法第7条2項参照)。「用に供する」とは、公務所が行う事務に使うための、という意味です。「文書」は、現に公務所の用に供されているものであれば、文書の署名・押印などに形式的瑕疵があっても直ちに本罪の保護の対象外となるわけではありません。

公用文書としては、たとえば、

  • 警察官・検察官が作成した弁解録取書
  • 供述調書
  • 課税台帳
  • 公立高校の入試答案用紙

などがあります。一方、免許証は免許を受けた方に交付されるものですので公務所の用に供する文書とはいえません。免許証は私用文書等毀棄罪に規定される「権利又は義務に関する他人の文書」にもあたらず、器物損壊罪の「他人の物」として器物損壊罪の保護の対象となります。

なお、現に公務所が使用し、または使用する目的で保管する文書であれば、公務員が作成したものではなく私人が作成した文書であっても、公用文書にあたります。また、保存期限が過ぎた文書作成途中の文書偽造された文書も公用文書に含まれます。したがって、私人が作成し公務所に保管されている婚姻届や告訴状、捜査機関が供述の一部などを記載した作成途中の弁解録取書、捜査機関が文書偽造罪の証拠品として押収し保管中の偽造文書なども公用文書にあたります。

また、「公務所の用に供する電磁的記録」とは、公務所で使用中又は使用するための保管中の電磁的記録のことで、自動車登録ファイル、住民票等の記録、法令検索システムなど、公務所において管理・運営しているデータベースの記録などがこれにあたります。

毀棄

次に、公務所の用に供する文書又は電磁的記録を「毀棄」することが必要です。

毀棄とは、文書又は電磁的記録の本来の効用を害する一切の行為をいいます。文書を破る、焼くなどの物質的に毀棄する場合はもちろん、文書の内容の一部又は署名・押印を抹消すること、文書を隠匿すること、文書に貼られた印紙をはがすなど、文書の形式的部分を破損する行為も毀棄にあたります。判例(大判昭和9年12月22日)では、裁判所の競売記録を持ち出して自宅に隠匿した事案で公用文書等毀棄罪の成立を認めています。

また、公務所の利用を妨げた事実がある以上、妨げた期間が一時的であると永続的であるとにかかわらず、後日返還する意思があるないにかかわらず公用文書等毀棄罪が成立します。

公用文書等毀棄罪と公務執行妨害罪に問われた判例

平成9年、秋田地方裁判所では、パトカーの車内でベルト装着義務違反につき交通切符を切られた被告人が、車内のテーブルの上に置いてあった同切符をつかみとり、引き裂いた行為について、公用文書等毀棄罪に加え、公務執行妨害罪に問われた裁判が開かれています。裁判所は、公務執行妨害罪の構成要件である暴行の事実が認められないとして公務執行妨害罪の成立は認めていませんが、公用文書等毀棄罪について懲役10月執行猶予4年保護観察付きの有罪判決をくだしています(秋田地裁平成9年9月2日判決)。

まとめ

公用文書等毀棄罪とは、公務所の用に供する文書又は電磁的記録を毀棄した場合に問われる罪です。罰則は3月以上7年以下の懲役で罰金刑はありません。

一般的に、逮捕の回避や不起訴の獲得を狙うには被害者との示談成立が最も重要ですが、公用文書等毀棄罪の場合は相手が公的機関であるため示談交渉は非常に難航します。

もっとも、弁護士が適切な弁護活動を行うことにより、逮捕の回避、早期釈放、不起訴の獲得も望めます。

当事務所では、犯罪被害者との示談交渉、逮捕の回避、不起訴の獲得を得意としており実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、公用文書等毀棄罪で罪に問われるおそれがある方や、既に逮捕された方のご家族の方は、当事務所の弁護士までご相談ください。お力になれると思います。

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