結婚詐欺で逮捕されたらどうなる?成立要件や罰則を弁護士が解説

結婚詐欺は刑法上の「詐欺罪」に該当し、10年以下の拘禁刑が科される重い犯罪です。「結婚詐欺罪」という独立した犯罪は存在しないものの、結婚をちらつかせて金銭を騙し取る行為は詐欺罪の成立要件を満たす可能性があります。

「自分の行為が結婚詐欺にあたるのだろうか」「逮捕されたらどのような刑罰を受けるのだろうか」と不安を感じている方もいるのではないでしょうか。

この記事では、刑事事件に強い弁護士が、結婚詐欺の成立要件や罰則、逮捕された場合の流れ、示談交渉による対処法までわかりやすく解説します。

なお、結婚詐欺について早急に対応したいとお考えの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談をお気軽にご利用ください。

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結婚詐欺の成立要件

結婚詐欺とは結婚を奇貨として財産を被害者に交付させる詐欺類型の一つであると考えられています。もっとも、「結婚詐欺罪」という犯罪が法律に規定されているわけではないため、成立するとすれば「詐欺罪(刑法第246条1項)」となります。

(詐欺)
第246条
1.人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の拘禁刑に処する。
2.前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

※2025年6月1日施行の刑法改正により、従来の「懲役」と「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されました。

それでは以下で、詐欺罪の成立要件について詳しく解説していきましょう。

欺罔(ぎもう)行為

詐欺罪は他人を「欺(あざむ)く」行為が必要です。この行為を「欺罔行為(ぎもうこうい)」といいます。欺罔行為とは、交付の判断の基礎となる「重要な事項」について、他人を錯誤に陥れるような「表示」をすることを言います。この表示は明示・黙示いずれであっても認められます。

結婚詐欺の場合には将来結婚することを交際相手に誤信させ、結婚後に返済されるものと思わせるような表示をすることが「欺罔行為」にあたります。

詐欺罪は未遂犯が処罰される犯罪類型です。欺罔行為は詐欺罪の「実行行為」と考えられていますので、仮に相手がしっかりしていて騙されなかった場合や財産を詐取できなかった場合であっても、欺罔行為を行った時点で詐欺未遂罪として処罰される可能性があるのです。詐欺未遂罪の刑罰や量刑傾向については「詐欺未遂罪とは?刑罰・量刑傾向、判例と逮捕後の流れを解説」で詳しく解説しています。

相手方の錯誤

行為者の欺罔行為の結果、相手方が交付の判断の基礎となる「重要な事項」について錯誤に陥る必要があります。

具体的には、「将来結婚するものである」と誤信していたり、「結婚後に返済してくれるもの」と誤信していたりすることが必要です。

相手方に将来的に結婚する意思があるということは、将来家計が一体となるということですので、被害者が金銭を交付する際の「重要な事項」について誤信しているといえます。

交付行為

交付行為とは、被害者が錯誤に基づいて財産を移転させることです。詐欺罪は被害者の交付行為に基づいて財物を詐取する財産犯ですので、たとえ結婚について被害者が誤信していたとしても被害者の知らないところで現金をこっそり費消したり、家族同然だとして勝手にカードを利用したりするような場合には被害者の「交付行為」がないことになります。これらの場合には意思に基づく交付がある詐欺罪ではなく、意思に反して占有を侵害する窃盗罪などが問題となります。

具体的に「交付行為」となるのは、相手方に現金を直接手渡しする場合や、指定された銀行口座に現金を振り込むような行為が該当します。

財物の移転

詐欺罪が成立するには財物が被害者から行為者や第三者のもとに移転することが必要です。犯行計画どおりにいかず途中で被害者が詐欺に気づいた場合や第三者により阻止されたことで被害者から財物が移転しなかった場合には詐欺罪の既遂ではなく未遂罪が成立する可能性があります。

「最初から騙す意思」の有無が結婚詐欺成立では重要

刑法第38条1項には「罪を犯す意思がない行為は、罰しない」と規定されていますので、詐欺罪が成立するためには犯罪行為について故意を有している必要があります(故意犯処罰の原則)。

そして、「欺罔行為」の時点で被害者から財物を騙し取る意思があることが必要です。

したがって、最初は結婚する意思や借りたお金を返す意思があったものの、途中から翻意して結婚する意思や返す意思がなくなった場合には、欺罔行為として必要な認識を欠いていることになります。この場合、欺罔行為該当性が否定されたり詐欺罪の故意を欠いていると判断されたりする可能性があります。

つまり詐欺罪が成立するためには「最初からだますつもりであった」という主観が必要となりますので、その点は行為者の自供やその他の客観的な事情から認定されることになります。

そのため、結婚詐欺師が「最初は騙すつもりはなかった」と言い逃れしたとしてもそのような主観は当人の供述だけから認定されるわけではありません。当事者の客観的なやり取りや行動、立ち振る舞いなど客観的な事実から判断しますので、言い逃れしたとしてもそのような行為者の供述は信用性がないと判断される可能性が高いです。詐欺罪の立証の仕組みや罪を犯してしまった場合の対処法については「詐欺罪の立証は難しい?刑罰は軽い?罪を犯した場合にすべきこと」もあわせてご確認ください。

結婚詐欺の逮捕実例

ここでは、令和4年に入ってからマスコミ報道された結婚詐欺の事件を紹介します。

マッチングアプリで知り合った女性に結婚をほのめかして1億1500万円をだまし取ったとして、京都府警伏見署は9日、詐欺などの疑いで、東京都渋谷区の会社社長の男(34)を逮捕した。
逮捕容疑は昨年3月、当時、京都市伏見区に住んでいた女性(36)を外国為替証拠金取引(FX)投資に誘い、「やめたくなったら返金する」と虚偽の説明をして、計1億1500万円を自身の銀行口座に振り込ませてだまし取った疑い。「預かっただけ」と容疑を否認しているという。
伏見署によると、男は昨年3月に女性と知り合い、虚偽の名前や住所を告げ、既婚を隠した上で「結婚したい」などと伝えていた。女性は投資の配当が振り込まれないため、昨年6月に伏見署に相談していた。

結婚詐欺、36歳女性が1億1500万円被害 容疑の男逮捕、マッチングアプリで知り合う|社会|地域のニュース|京都新聞

この事件のように、マッチングアプリや婚活サイトで女性に結婚をちらつかせ、結婚後の生活資金を増やすためなどと騙して投資に誘ってお金を騙し取る手口が増加しています。なお、この事件の男は、出会い系サイトで知り合った女性に結婚を示唆して現金3674万円をだまし取ったとして別件でも逮捕されています。

大阪府警は18日、交流サイト(SNS)で外国人などを装い、相手に恋愛感情を抱かせる国際ロマンス詐欺を繰り返したとして摘発したグループの捜査結果を発表した。これまでに詐欺容疑などで日本人やガーナ人、カメルーン人の男女計15人を逮捕、書類送検し、他に指示役とみられる男1人を指名手配。認定した被害者は30〜70代の男女65人で、被害総額は計約4億円に上るとした。
15人は2018〜21年、外交官やジャーナリスト、米軍の軍医などになりすましていたとされ、SNSで親密になった被害者に「宝石をプレゼントする」とうそを言って、送料名目で金を振り込ませるなどした疑い。

ロマンス詐欺容疑15人摘発 被害総額4億円と大阪府警 | 河北新報オンラインニュース / ONLINE NEWS

SNS等を介して外国人が甘い言葉でターゲットに近づきその恋愛感情を利用して金品を騙し取る詐欺を国際ロマンス詐欺といいます。結婚を示唆する手口のほか、恋人気分にさせて金品を騙し取る手口もあります。逮捕された15人の中には指定暴力団の組長も含まれており、暴力団の組織的な関与も疑われています。

結婚詐欺の刑罰

詐欺罪が成立した場合には「10年以下の拘禁刑」が科されます。罰金などの財産刑が科されておらず自由刑のみが課されている点は、窃盗罪・暴行罪・傷害罪と比べて重い犯罪類型であると言えます。

事案によっては有罪判決がなされたけれども「執行猶予」付きの判決がなされる可能性もあります。これは一定期間刑罰の執行が猶予されることになりますので、被告人は社会に出て生活を送ることができます。ただし執行猶予付き判決がなされるには条件があり、詐欺事件に関していえば「以前に拘禁刑以上の刑に処せられたことがない者」などが「3年以下の拘禁刑」の言渡しを受けた場合です。3年を超える拘禁刑を言い渡された場合には執行猶予を付けることはできません(刑法第25条)。

結婚詐欺で逮捕された後の流れ

結婚詐欺で逮捕されると、身柄の拘束や取り調べが行われ、その後の刑事手続きが進行します。逮捕後の対応次第ではその後の処分にも影響が及ぶため、一連の流れを把握しておきましょう。結婚詐欺の逮捕後の流れは次の通りです。

  1. 逮捕
  2. 勾留
  3. 起訴
  4. 刑事裁判
  5. 刑の執行

①逮捕

逮捕とは、被疑者の逃亡や証拠隠滅を防ぐために行われる一時的な身体拘束のことです。結婚詐欺の場合、通常逮捕が適用されるのが一般的であり、現行犯逮捕が行われることはほとんどありません。

逮捕されると、最大48時間以内に検察官へ送致されます。その後、検察官は24時間以内(逮捕から最大72時間以内)に、裁判官に勾留請求を行うか判断します。詐欺罪は被害者との金銭のやり取りに関する証拠が存在するため、証拠隠滅の恐れがあると判断されやすく、釈放される可能性は低いといえます。ただし、逃亡や証拠隠滅の危険がないと判断されれば、釈放され、在宅での捜査が続くこともあります。

逮捕後、警察署の留置場に収容され、取り調べを受けることになります。外部との連絡は制限されるため、勤務先や学校に無断で欠席することとなり、解雇や退学のリスクが発生します。

また、被疑者は弁護士を選任する権利を有しており、逮捕直後から私選弁護人を依頼できます。費用の負担が困難な場合には、勾留決定後に国選弁護人の選任を求めることもできます。なお、逮捕直後に一度だけ、無料で「当番弁護士」の面会を受けられる制度も用意されています。

②勾留

検察官が裁判官に勾留を請求し、認められた場合、原則10日間の勾留が行われます。さらに、事件の重大性や証拠収集の必要性に応じて、最大10日間の延長が可能です。そのため、逮捕から起訴まで最大23日間の身体拘束が続く可能性があります。

勾留が決定すると、被疑者は引き続き警察の留置場に収容されますが、この段階から国選弁護人を選任できるようになります。私選弁護人であれば、逮捕時から一貫して弁護を依頼することも可能です。

勾留中も取り調べは継続されますが、弁護士との面会(接見)はいつでも行えます。

③起訴

勾留期間中に、検察官は起訴するか不起訴とするかを判断します。起訴とは、検察官が裁判所に対し、被疑者を刑事裁判にかける手続きです。詐欺罪は比較的重い犯罪であるため、起訴される可能性が高いといえますが、誤認逮捕など特別な事情がある場合は不起訴となることもあります。

起訴されると、被疑者は「被告人」となり、留置場から拘置所へ移送されます。引き続き身柄が拘束されますが、保釈請求が認められれば、一時的に釈放されることもあります。

④刑事裁判

起訴された被告人は刑事裁判を受けます。裁判では、有罪か無罪かが判断され、有罪となった場合、刑罰が決定されます。日本の刑事裁判では、起訴された場合の有罪率が99%以上と非常に高く、実際には量刑(刑罰の重さ)が主な争点となることが多いです。

⑤刑の執行

有罪判決が確定すると、刑罰が執行されます。詐欺罪の法定刑は「10年以下の拘禁刑」であり、罰金刑はありません。事案に応じて執行猶予付きの判決が下される可能性もありますが、拘禁刑3年を超える場合には執行猶予を付けることはできません。また、結婚詐欺のように計画的な詐欺行為では、初犯であっても実刑判決が下される可能性が高いといえます。

特に、被害額が大きい場合や手口が悪質な場合、過去に同様の犯行を繰り返している、結婚式場の契約や下見、婚約の儀礼を行うなど計画性が高い場合には、長期間の拘禁刑が科される可能性が高まります。

一方で、被害金額が少額、深く反省し、被害者との示談が成立している場合は、量刑が軽減されることもあります。詐欺罪で逮捕された場合に実刑となるか執行猶予がつくかの具体的な判断基準については「詐欺罪の逮捕後の流れ|懲役実刑になる?初犯なら執行猶予?」で解説しています。

逮捕された(されそう)なら弁護士に示談交渉を依頼

結婚詐欺で示談をするメリット

示談とは、詐欺事件の加害者と被害者の間で話し合いによって一定の約束をすることで事件を決着させることを指します。具体的には、加害者が被害者に対して示談金を支払い、謝罪の意思を示すことで被害者の許しを得たということを示談書・和解書として書面の形で取り交わしを行うことになります。

示談の内容は当事者間の話し合いになるため、被害者の被害感情が強い場合には話し合いに応じてもらえない可能性もあります。一方で誠意をもって対応することで、「加害者を刑罰に問う意思はありません」という意思と告訴の取下げを行うことを確認する内容を記載できる場合もあります。

そして、結婚詐欺の疑いで逮捕された場合であっても、被害者と示談を成立させることで、被害回復が実現されたとして検察官が不起訴処分として公訴提起を見送る可能性があります。

不起訴処分となることで刑事裁判手続を行う必要はありませんので有罪判決が出されることもなくなります。そうすると逮捕歴(前歴)は残るものの前科はつきません。示談の具体的な流れや示談金の相場については「刑事事件で示談するメリットは?示談金相場と流れを徹底解説」をご参照ください。

弁護士に示談交渉を依頼するメリット

示談交渉は当事者で行うこともできます。しかし、結婚詐欺の疑いで逮捕された場合には自由に外部と接触することはできませんので、示談交渉や書面の取り交わしを行うこともできません。

そこで、詐欺容疑で逮捕された場合にはできるだけ早く弁護人を選任して弁護活動を行ってもらうべきです。弁護士に依頼することで勾留・起訴されるまでに示談交渉をまとめてくれる可能性もあります。

また示談交渉についても加害者と被害者が顔を合わせるのではなく弁護士が間にたって被害者と対面します。したがって被害者の方も冷静に話し合いを行うことができ、落ち着いて事件の落としどころについて検討することが期待できます。

他方で被害者の被害感情がかなり強い場合であっても法律の専門家として被害者に意見することもできます。示談金として被害金額と慰謝料を合わせた金額となることが原則です。慰謝料についても行為の悪質性や犯罪結果の重大さによって変わってきます。示談交渉は被害者が納得できるか否かにかかっていますので、弁護士が粘り強く交渉にあたってくれる点も大きなメリットです。

結婚詐欺の疑いをかけられてお悩みの方は弁護士にご相談ください

結婚詐欺は詐欺罪として10年以下の拘禁刑が科される重い犯罪ですが、早期に被害者との示談を成立させることで不起訴処分を得られる可能性があります。

逮捕後は最大23日間の身体拘束が続くおそれがあり、その間に示談交渉を進めるには弁護士の迅速な対応が欠かせません。弁護士が間に入ることで被害者との冷静な話し合いが実現しやすくなり、適切な示談金額での合意や不起訴獲得に向けた弁護活動を進めることができます。

「すでに被害届を出されている」「警察から連絡が来ている」など、状況が差し迫っている方も少なくないかもしれません。おひとりで抱え込まず、できるだけ早い段階で弁護士に相談することが、事態を好転させる第一歩となります。

当事務所は詐欺事件の示談交渉・弁護活動に豊富な実績があり、全国どこからでも無料でご相談いただけます。まずはお気軽にお問い合わせください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

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メディア掲載 フジテレビ「とくダネ」/ ダイヤモンド・オンライン / @DIME / サイゾー 他多数
講演実績 「不当要求対応の基礎」「犯罪組織によるマネー・ロンダリングと投資詐欺への法的処置」等
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