住居侵入罪は未遂でも処罰される?逮捕される?わかりやすく解説
住居侵入罪は未遂でも処罰されるのだろうか…逮捕されるのだろうか…

このようにお考えではないでしょうか。

結論から言いますと、住居侵入罪には未遂規定(刑法第132条)があるため侵入が未遂に終わった場合でも処罰されます。また、未遂の場合でも、現行犯逮捕のほか、防犯カメラの映像や指紋等から身元を特定されて後日逮捕されることもあります

この記事では、刑事事件に強い弁護士が、

  • 住居侵入は未遂でも処罰されるのか
  • 住居侵入は未遂でも逮捕されるのか
  • 住居侵入は未遂であれば刑罰は軽くなるのか
  • 住居侵入未遂の判例

などについてわかりやすく解説していきます。

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住居侵入は未遂でも処罰される?

冒頭で述べた通り、住居侵入罪には未遂規定があるため、住居侵入は既遂のみならず未遂でも処罰されることがあります。

以下、住居侵入の未遂規定や罰則、未遂となる行為について確認していきます。

未遂の処罰規定と罰則

住居侵入の未遂を処罰する旨は刑法第百三十二条に規定されています。

(未遂罪)
第百三十二条 第百三十条の罪の未遂は、罰する。

刑法 | e-Gov法令検索

「第百三十条の罪」とは、住居侵入罪、建造物侵入罪、邸宅侵入罪などの侵入罪のことを指しています。

(住居侵入等)
第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

刑法 | e-Gov法令検索

住居侵入未遂に適用される罰則は既遂と同じく「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」です。もっとも、後述するように、法律上の刑の減軽により、既遂と比べて量刑が軽くなることは考えられます。

住居侵入未遂となる行為は?

住居侵入の未遂が成立するのは、住居侵入の「実行の着手」があったと認められる場合です

住居侵入の実行とは住居に立ち入ることですから、住居に立ち入る直前の行為が住居侵入の実行の着手にあたることになります。

たとえば、

  • 住居の一部である敷地に入ろうと塀を乗り越えようとした段階
  • 住居の一部であるベランダに入るために、ベランダの手すりに脚をかけた段階
  • 住居内に立ち入るため、住居の施錠を破壊している段階

に至ると、住居侵入の実行に着手したとして住居侵入の未遂が成立する可能性があります。

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ドアノブを回す行為は住居侵入未遂?

では、住居内に立ち入るためドアノブを回した段階で家人に見つかったとき、住居侵入未遂は成立するのでしょうか?

この点、ドアが頑丈な鍵で施錠されていた場合はドアノブを回したとしても住居内に立ち入ることは不可能ですから、住居侵入の未遂は成立しないでしょう。一方、ドアが鍵で施錠されていなかった場合は、ドアノブを回すだけで住居内に立ち入ることができますから住居侵入の未遂が成立する可能性が高いです。また、施錠されていたとしても施錠が弱く、簡単に鍵を壊すことができた場合は住居侵入の未遂が成立する可能性があります。

住居侵入未遂の判例

住居侵入未遂の判例としては戦前の姦通事件があります(大審院判決大正7126日)。すなわち、被告人が夫の不在中にその妻と姦通する目的で妻の承諾を得て住居に侵入しようとした事案につき、裁判所は「住居権者である夫の承諾ないし推定的承諾がない」として、住居侵入未遂の成立を認めています。

ただし、この判例は、住居侵入罪の保護法益を家主の住居権とらえており(住居権説)、家長制度が存在していた戦前において主流の考え方でした。現在は、人の住居の平穏を保護法益とする考え方(平穏説)、住居に誰を立ち入らせ誰の滞留を許すかを決める自由を保護法益とする考え方(新住居権説)があり、裁判所は新住居権説の立場と考えられています。新住居権説の立場をとれば、上記事例では居住者の一人である妻の承諾がありますので、住居侵入未遂は成立しないものと解されます。

住居侵入は未遂でも逮捕される?

住居侵入罪の処罰規定がある以上、侵入が未遂でも逮捕されることは当然ながらあります。

住居侵入未遂の場合、通報を受けて駆けつけてきた警察官に捕らえられたり、家人や目撃者にその場で取り押さえられるなど、現行犯逮捕されることが多いです。

しかし、その場を逃げおおせても、防犯カメラの映像、被害者や目撃者の証言、現場に残してきた指紋・遺留品などが決め手となり後日逮捕されることもあります

例えば、女性下着を盗む目的で民家に忍び込もうとしたところ、この家に住む男性に気づかれて声をかけられたため逃走した事件につき、令和5年1月12日、目撃情報や鑑識結果などから犯人が後日逮捕されています。

住居侵入が未遂であれば量刑は軽くなる?

前述の通り、住居侵入未遂に適用される罰則は住居侵入罪と同じです。

もっとも、刑法43条には未遂の刑の減免について規定されています。

(未遂減免)
第四十三条 犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。

刑法 | e-Gov法令検索

有期の懲役刑を減軽するときは、罰則の上限と下限をそれぞれ2分の1します(刑法683号)。この点、住居侵入未遂の罰則は「3年以下の懲役刑または10万円以下の罰金」ですから、住居侵入未遂で刑を減軽するときは罰則が「1年6ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金」まで減軽されます

なお、未遂には中止未遂と障害未遂があります。中止未遂とは犯人の意思で犯罪を中止したときの未遂のことです。他方で、障害未遂とは、犯罪の実行に着手したものの、中止未遂にあたる理由以外の理由によって犯罪が既遂に至らなかった場合をいいます。例えば、他人の住居の柵を乗り越えようとしている最中に家人に見つかったために逃走したようなケースがそれにあたります。

障害未遂が成立する場合、刑を減軽するかどうかは裁判官の判断に委ねられますが(任意的減軽)、中止未遂が成立する場合は、必ず刑が減軽されます(絶対的減軽)。

このように、住居侵入未遂罪で刑の減軽が適用されるときは適用される罰則の重さ自体が軽くなるため、住居侵入(既遂)罪と比べて量刑(実際の刑の重さ)は軽くなる傾向にありますが、量刑はケースバイケースで判断されるため、住居侵入未遂罪だからといって量刑が軽くなるという保証はありません

住居侵入未遂で逮捕された後の流れ

住居侵入未遂で逮捕されると、その後、以下の流れで手続きが進んでいきます。

  1. 警察官の弁解録取を受ける
  2. 逮捕から48時間以内に検察官に事件と身柄を送致される(送検)
  3. 検察官の弁解録取を受ける
  4. ②から24時間以内に検察官が裁判官に対し勾留請求する
  5. 裁判官の勾留質問を受ける
    →勾留請求が却下されたら釈放される
  6. 裁判官が検察官の勾留請求を許可する
    10日間の身柄拘束(勾留)が決まる(勾留決定)
    →やむを得ない事由がある場合は、最大10日間延長される
  7. 原則、勾留期間内に起訴、不起訴が決まる
  8. 正式起訴されると2か月間勾留される
    →その後、理由がある場合のみ1か月ごとに更新
    →保釈が許可されれば釈放される
  9. 勾留期間中に刑事裁判を受ける

住居侵入未遂で逮捕されてから最大3日間(48時間+24時間)は弁護士以外の者との連絡はとれません。そのため、会社勤めされている方や学校に通われている方は、弁護士を介して家族から会社や学校に休みの連絡を入れるようお願いしましょう。また、勾留が決定すると、刑事処分(起訴・不起訴)が決まるまで最大20日間身柄拘束されます。

住居侵入未遂をした場合に弁護士に依頼するメリット

住居侵入未遂の罪を犯した場合は、はやめに弁護士に相談、依頼しましょう。弁護士に刑事弁護を依頼するメリットは次のとおりです。

示談交渉による逮捕回避・早期釈放・不起訴の獲得が期待できる

まず、被害者と示談交渉を行ってくれることです。

住居侵入未遂事件が警察に発覚する前に被害者と示談を成立させることができれば逮捕を回避することができます。

また、身柄を拘束されたときの早期釈放、事件が刑事事件化したときの不起訴を獲得するためには被害者と示談交渉し、示談を成立させることが最も有効な方法です。示談を成立させることができれば、最低でも被害者に生じた実害について賠償したことになりますし、被害者の処罰感情もある程度緩和されていることが多く、被害者が存在する住居侵入未遂の事案では、被害回復の状況や被害者の意向が重要視されるからです。

もっとも、住居侵入未遂の加害者との示談交渉に応じる被害者はいないといって過言ではありません。仮に、身柄拘束されておらず被害者と面識があり、被害者との示談交渉が可能な状況でも拒否されることがほとんどです。また、対応を誤ったばかりに、罪証隠滅を図ったとして逮捕される可能性もないとはいえません。

そのため、被害者との示談交渉が可能な状況であっても、被害者との示談交渉は任せましょう。弁護士であれば示談交渉に応じてもよいという被害者は多いですし、お互いに感情的にならず冷静に交渉を進めていくことができ、早期釈放、不起訴の結果につなげることができます

自首に同行してもらうことができる

次に、自首する際に自首に同行してもらえることです。

自首そのものの効果ではありませんが、自首することで、「逃亡のおそれ」「罪証隠滅のおそれがない」と捜査機関に判断され、逮捕を回避できる可能性もあります。

もっとも、自首したからといって逮捕回避が保障されているわけではありません。すでに逮捕状が発布されていて、自首したところ逮捕されるというケースも珍しくはありません。

そのため、自首するといっても単に警察に出向けばいいというわけではなく、あらかじめ逮捕回避に向けた準備をしっかり整えてから自首しなければいけません。また、一人で警察に出向くことはとても勇気のいることです。事前準備をしっかりしたつもりでも、現場で緊張して冷静に対処できないことも考えられます。

この点、弁護士に依頼すれば警察へ同行してくれることはもちろん、現場で不測の事態が起きたときいも適切に対処してくれます。また、弁護士のアドバイスのもと事前準備を進めていきますので、逮捕回避の可能性を高めることもできます

取り調べで不利にならないようアドバイスがもらえる

次に、取り調べで不利にならないようアドバイスしてもらえることです。

取り調べは第三者の目の届かない密室で行われます。あなたの味方になって言い分を聴いてくれる人はおらず、取調官による厳しい追及が待っています。数分程度なら耐えることができるかもしれませんが、取調べが数分程度で終わることは稀で、何十分、何時間と続くことが通常です。

そうした状況下では、どうしても自分の意図しない供述をしてしまったり、意図しない内容が録取された供述調書にサインしてしまいがちです。しかし、一度こうしたことをしてしまうと、あとで発言を撤回し、本音を聞き入れてもらうことは非常に難しくなります。

そのため、取り調べ前に弁護士に相談し、取り調べで不安なことを尋ねてみたり、弁護士から取り調べのアドバイスを受けることが非常に大切です。弁護士に依頼すれば、取り調べに関する適切なアドバイスを受けることができます

当事務所では、住居侵入や建造物侵入事件の示談交渉、逮捕の回避、不起訴の獲得を得意としており実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、住居侵入未遂で逮捕のおそれがある方、既に逮捕されてしまった方のご家族の方は当事務所の弁護士までご相談ください。お力になれると思います。

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