「考え事をしながら自宅マンションに帰宅したら間違えて隣の部屋の玄関に入ってしまった…」
「取引先の会社に訪問する際に、似たようなビル名の建物に勘違いして入ってしまった…」
このように間違えて住居や建物に入った場合でも、不法侵入になるの?
このような疑問をお持ちではないでしょうか。
結論から言うと、間違えて住居や建物に入っても不法侵入に問われません。
以下、不法侵入事件に強い弁護士が解説していきます。
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間違えて入ったとしても不法侵入にならない
不法侵入で問われる罪は、住居侵入や建造物侵入です。そして、刑法上の住居侵入・建造物侵入は刑法第130条前段に次のように規定されています。
(住居侵入等)
第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。刑法 | e-Gov法令検索
つまり、刑法上の住居侵入・建造物侵入にあたる行為を行うと、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金の刑事責任を問われる可能性があります。
もっとも、刑法上の罪については罪を犯す意思、すなわち、故意がなければ罰せられないことが原則で、故意がなくても(つまり、過失があっても)罰せられるのは法律に特別の規定がある場合のみです(刑法第38条第1項)。
この点、住居侵入罪・建造物侵入罪の規定をみると過失がある場合に処罰する旨の規定は設けられていません。すなわち、住居侵入罪・建造物侵入罪は故意がある場合にのみ罰せられる故意犯であることがわかります。
「間違って入った」とは住居侵入・建造物侵入の故意がない、すなわち、過失がある場合ということですから住居侵入罪・建造物侵入罪で罰せられることはありません。
もっとも、立ち入りの状況によっては「間違えて入った」「悪意はなかった」という弁解が警察に通用しないこともあります。刑事事件化するおそれがある場合には弁護士に相談し、住居・建物の所有者と示談交渉してもらうようにしましょう。示談が成立すれば逮捕の回避や不起訴処分の可能性が高くなります。
間違えて入った場合でも民事責任は負う?
間違えて他人の住居や建物、敷地に入った場合、民事責任、すなわち、不法行為にもとづく損害賠償責任は過失があっても問われる可能性があります。損害賠償責任を定める規定は民法第709条です。
(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。民法 | e-Gov法令検索
住居・建物の所有者が訴訟を起こせば裁判官から和解を提案されますが、折り合いがつかない場合には最終的には判決によって賠償金の額が決まります。
具体的な賠償の金額は立ち入りの状況などによって異なるため一概には言えませんが、鍵の交換代と見舞金(数万円程度)を足した額で済むケースも多いのではないかと思われます。
もっとも前述のとおり、刑事事件化を避けるために相手との示談交渉が必要なケースもあります。相手によっては引っ越し代や高額な慰謝料を請求してくることもありますので、適正な額で示談を成立させるためにも弁護士に交渉を依頼した方が得策です。弁護士に依頼することで不備のない示談書の作成もしてくれますので紛争が蒸し返される事態も回避できます。
弊所では、不法侵入の示談交渉、逮捕の回避を得意としており実績があります。間違って他人の住居や建物、敷地に入ってしまい、刑事事件になるおそれのある方は弊所の弁護士までご相談ください。
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