傷害罪で不起訴になるには?不起訴になる考慮要素と起訴率を解説
  • 傷害罪で不起訴処分を得るには何をすればいい?
  • 傷害罪の起訴・不起訴を決定する際に考慮される要素は?
  • 傷害罪で起訴・不起訴になる確率は?

この記事では、傷害事件に強い弁護士がこれらの疑問を解消していきます。

傷害事件で逮捕される可能性のある方、逮捕された方のご家族の方で、記事を最後まで読んでも問題解決しない場合は弁護士までご相談ください。

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傷害罪とは?

刑法には「人の身体を傷害した者」には傷害罪が成立する旨が規定されています(刑法第204条参照)。

「傷害」とは、「人の生理機能を侵害すること」をいいます。生活機能の毀損や、健康状態の不良変更などと表現されることもあります。

殴った結果、相手が打撲などの怪我を負った場合のほか、失神・不安抑うつ症・PTSDなど精神障害を引き起こした場合も傷害に該当します。

傷害罪が成立した場合には、「15年以下の懲役」または「50万円以下の罰金」が科されます。

さらに「身体を傷害し、よって人を死亡させた者」には「傷害致死罪」が成立します(刑法第205条参照)。傷害致死罪が成立した場合には、「3年以上の有期懲役」に科されることになります。

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傷害罪で起訴・不起訴になる確率は?

令和3年版「犯罪白書」によれば、令和2年において刑事裁判手続にかけられた人の総数は22万1057人で、そのうち無罪が確定した人の総数はたったの76人です。

このようなデータから、刑事裁判の結果無罪を勝ち取ることができるのは刑事裁判にかけられた総数の0.034%と、非常に少ない確率であることが分かります。また令和2年において第一審で判断された事件の総数は4万9640件で、そのうち傷害罪は2583件です。この第一審で判断された傷害事件のうち有期懲役に処せられたのは2236件、罰金刑に処せられたのは324件です。したがって傷害罪について起訴された場合には、99%以上の確率で有罪となっているのが分かります。

しかし、以上は「検察官によって起訴された」傷害事件に関するデータです。

警察等で被疑者が逮捕されて身柄付きで検察官に送致された事件自体は、2万192件にのぼります。そのため多くの事件が裁判までいかずに不起訴となっていることが分かります。

また検察官に送致された傷害事件のうち起訴された事件は全体の39.5%で、60.5%は「起訴猶予」となっているというデータが公表されています(暴行事件については69.1%が起訴猶予とされています)。起訴猶予とは、被疑事実が明白な場合にさまざまな事情を考慮して検察官が不起訴とすることです。

不起訴処分には起訴猶予の他にも「嫌疑なし」「嫌疑不十分」の理由もありますので、実態としては6割以上が不起訴処分となっていると考えらえます。

傷害罪の起訴・不起訴を決める考慮要素

それでは傷害事件で、検察官が不起訴の判断をする場合、どのような考慮要素があるのでしょうか。

起訴・不起訴の判断は検察官の裁量も大きいですが、一般的には以下の表にあげる事情が重要となります。

起訴・不起訴の考慮要素具体的な内容
被害者との間で示談が成立している被害者に慰謝料を含む賠償金を支払い、損害の填補が完了している
傷害結果が重大とはいえない被害者の怪我の程度が軽傷の場合は法益侵害が小さいと考えられる
暴行の態様が悪質であるとはいえない凶器使用の有無や、暴行の回数・程度、計画性や被害者側の挑発の有無など
同種犯罪の前科・前歴がない過去にも暴行・傷害事件で逮捕、有罪判決を受けたことがない
真摯に反省して被害者に謝罪している事件を認めて、反省の弁を述べている

不起訴のためにすべきこと

傷害罪は、被害者の身体を保護法益とする犯罪です。そのため、被害者に許しを得て被害届や告訴を取り下げてもらった場合には、犯罪行為の違法性自体が減少したと考えることができます。つまり、加害者と被害者との間で示談を成立できた場合には、検察官が不起訴の判断をする可能性が高いのです。

また早期に示談が成立した場合には、事件の捜査は続いても身体拘束の必要がないとして逮捕を回避できる可能性もあります

さらに同種の前科・前歴がない場合には、再犯可能性がないと説明することができます。また、詳細な反省文を作成して検察官に提出する、家族等が監督人・身元引受人になることも、再犯可能性を否定することに繋がります。つまり今後同様な行為を繰り返すおそれがないことも不起訴の判断の重要な要因となります。

傷害罪の逮捕から起訴・不起訴までの流れ

被疑者の逮捕

傷害事件が発生して捜査機関に事件が発覚した場合、まずあたなは被疑者として逮捕される可能性が高いです。逮捕された場合には「弁解の機会」が与えられ、弁護人が選任できる旨を告知されます。

傷害事件で逮捕され不起訴処分を得るには、逮捕されてすぐに弁護人を選任してください。弁護人はあなたと弁護方針を立ててすぐに弁護活動を開始します。逮捕された場合、被疑者は身体を拘束され自由に外部と連絡を取ることができませんので、被疑者の代わりに弁護人が活動することになります。

検察官送致、勾留請求

警察が被疑者を逮捕した場合には、「48時間以内」に検察官に身柄を送致します。

その際再度「弁解の機会」が与えられ、逮捕に引き続き「勾留」して身体拘束を継続すべきかを検察官が判断します。

検察官は被疑者の身柄を受け取った時から「24時間以内」かつ身体拘束を受けたときから「72時間以内」に勾留請求するか釈放するかを判断しなければなりません。

勾留するか否かは検察官の請求に基づき裁判官が判断することになります。被疑者に犯罪の嫌疑があり、住居不定・罪証隠滅のおそれ・逃亡のおそれ、のいずれかがある場合には勾留の必要があると判断されます。

弁護人の各種弁護活動によって勾留の必要がないと判断された場合には、身体拘束から解放され在宅で事件の捜査が進む場合もあります。勾留の必要性が否定される可能性があるのは被害者との示談交渉ができた場合や、同居の親族が身元引受人となってくれた場合、同居の親族が監視・監督する旨誓約してくれている場合などです。

「勾留」が決定された場合、原則として「10日間」の身体拘束を受けることになります。また捜査のために必要な場合にはさらに10日間勾留が延長される可能性もあります。そして勾留期間が終わる時、検察官は起訴するか不起訴にするかを決定します。つまり、逮捕~起訴/不起訴の決定まで最大23日間、身柄を拘束されることになります

起訴/不起訴

検察官は、被疑者を逮捕・勾留している期間に捜査を行った結果、起訴するか不起訴とするかを決定することになります。

不起訴には、「嫌疑なし」「嫌疑不十分」「起訴猶予処分」の3つの理由があります。

「嫌疑なし」とは、傷害事件について被疑者がその犯人でないことが明らかになった場合や犯罪事実の成立を認定することができる証拠がまったくないような場合に不起訴処分となることです。

「嫌疑不十分」とは、被疑者が犯人である疑いが依然として存在するものの傷害事件について犯罪事実の成立を認定することができる証拠が不十分なときに不起訴処分となることです。

「起訴猶予処分」とは、被疑者が傷害行為を行ったことが明白な場合において、被疑者の性格や年齢・境遇、犯罪の軽重、情状、犯罪後の情況(反省や謝罪の有無、被害弁償の有無、示談の成否など)を考慮して刑罰を科す必要がないと検察官が判断した場合に不起訴処分となることです。

勾留期間が満了するまでに被害者との間で示談が成立した場合には、被害が相当程度回復したものとして起訴猶予処分となる可能性があります。そのため、不起訴を獲得するには、逮捕・勾留期間中に弁護士が被疑者との間で和解交渉のために動くことが重要になります。

もっとも、示談が成立したとしても必ず「不起訴」となるわけではありません。被害者の負った傷害の程度が大きい場合や被疑者の暴行態様が悪質な場合、被害者の被害感情が大きく訴追意思が強固な場合などには、刑罰を科すことが適切であるとして起訴される可能性があります。その場合には情状酌量を求めて刑の減軽・執行猶予付き判決の獲得を目指していくことになります。

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示談交渉を弁護士に依頼した方が良い理由は?

被害者の連絡先を教えてもらえる可能性がある

被害者と示談の話し合いを行う際には、相手方の連絡先を知る必要があります。

あなたが連絡先を把握している人物でない場合には、示談交渉のため必要であるとして弁護士が捜査機関に連絡先の開示を求めることになります。

捜査機関は被疑者個人に対しては、被害者の連絡先を含む一切の個人情報を開示することはありません。捜査機関は一旦被害者に意思確認して弁護人に連絡先を開示してよいかを尋ねることになります。弁護士であれば連絡先を教えてもいいという被害者も多いです

冷静な話し合いができるため示談が成立しやすい

被疑者が在宅で捜査される場合や被害者と顔なじみである場合など示談交渉を直接できるとしても弁護士を介して行うのが適切です。そのような場合、傷害事件の被害者は感情的になって冷静に話し合いができない可能性があります。事件が想起され加害者に直接怒りをぶつけたい・やり返したいと思うのも当然です。

しかし交渉のプロである弁護士に任せることで、感情を抑えて冷静に話し合いを進めることが期待できます

法外な示談金請求を拒み適正な金額で示談できる

また加害者自身が直接示談交渉を行った場合、少しでも大きな金額を賠償させようと法外な賠償金の支払いを求められる場合があります。

そこで傷害事件の示談交渉に豊富な経験がある弁護士に任せることで適正な示談金で話し合いをまとめることができます。場合によっては示談金を用意するために、両親や親族などに協力をお願いするために連絡が必要となる場合もあります。

弊所では、傷害事件の示談交渉、不起訴獲得を得意としており実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、傷害事件を起こしてしまった方、逮捕されたご家族の方は、弁護士までご相談下さい。相談する勇気が解決への第一歩です。

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