傷害事件の慰謝料を払わない・払えないとどうなる?

「傷害事件の慰謝料を払わないとどうなるのだろう」「そもそも支払い能力がなく、払えない場合はどうすればいいのだろう」と不安を感じている方もいるのではないでしょうか。傷害事件の慰謝料を払わずにいると、警察に発覚したり、逮捕・勾留が長期化したり、民事訴訟を起こされたりする可能性があります。もっとも、一括で支払う資力がない場合でも、分割払いを提案するなど取り得る対処法はあります。

この記事では、傷害事件の慰謝料の交渉実績が豊富な弁護士が、次の点について解説します。

  • 傷害事件の慰謝料と示談金はどう違うのか
  • 慰謝料を払わないとどうなるのか
  • 支払い能力がない場合の対処法
  • 弁護士に依頼するメリットとは

お読みいただくことで、支払いを先延ばしにした場合に生じるリスクと、資力が足りないときに取り得る対処法を整理し、ご自身が次に何をすべきかを判断いただけます。

なお、被害者への対応にお困りの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。早期対応が結果を左右します。

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傷害事件の慰謝料と示談金はどう違う?

傷害事件の慰謝料は、精神的苦痛を受けた被害者への賠償金を意味し、治療費や休業損害などとあわせた示談金の一部にすぎません。後遺障害による逸失利益が生じた場合も示談金に含まれます。示談金の具体的な相場は、怪我の程度によって大きく異なります。詳しくは「傷害事件の示談金相場を全治別に解説|示談書テンプレート付き」をご覧ください。

傷害事件の慰謝料を払わないとどうなる?

傷害事件では、被害者との示談を早期に成立させ、慰謝料を含む示談金を支払うことで、警察への発覚を防いだり、逮捕・勾留を回避したり、不起訴や執行猶予といった有利な処分につながったりすることもあります。示談の際には、被害者が警察へ被害届を出さないことを条件に含めるのが一般的です。ただし、被害届が出されない、あるいは取り下げられたという事情だけで捜査機関の判断が法的に拘束されるわけではなく、最終的な処分は検察官が判断します。反対に、慰謝料を払わない、あるいは示談に応じない場合は、次のような事態に発展する可能性があります。

警察に発覚する

まだ被害者が被害届を出していない場合でも、示談が成立せず慰謝料の支払いが滞ったままだと、被害者が警察へ被害届を出し、傷害事件のことが警察に発覚してしまう可能性があります。警察に発覚すると、呼び出しを受けて事情聴取に応じなければならなくなったり、場合によっては逮捕されたりするおそれがあります。

逮捕・勾留され身柄拘束が長期化する

慰謝料の支払いに応じないまま逮捕されると、その後「勾留」という身柄拘束の処分を受ける可能性があります。勾留期間は原則10日間ですが、やむを得ない事由があれば、さらに最大10日間延長されることもあります。身柄拘束が長期化すると、仕事や学業に支障が生じることも考えられます。

拘禁刑・罰金の刑罰を受ける可能性が高まる

慰謝料を払わないまま警察から検察庁へ事件が送致されると、検察官が起訴・不起訴を判断します。起訴されて有罪と判断された場合は、拘禁刑または罰金の刑罰を受けることになります(刑法204条)。有罪判決を受ければ前科が残ります。初めての傷害事件であれば罰金で済むのか、不起訴の可能性はあるのかについては「傷害罪の初犯はどうなる?罰金の相場と逮捕の流れ・実刑を解説」で解説しています。

人の身体を傷害した者は、十五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。

出典:e-Gov法令検索

※2025年6月1日施行の改正刑法により、「懲役」と「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されました。

拘禁刑の実刑判決を受けた場合は、控訴・上告といった不服申し立てをしても判決が覆るとは限らず、判決が確定すれば刑務所に服役しなければなりません。傷害罪の量刑や実刑・執行猶予の判断基準については「傷害罪の懲役の目安は?量刑相場と実刑・執行猶予の判断基準」で解説しています。

民事訴訟を起こされることもある

慰謝料を払わないままでいると、被害者から民事訴訟を提起されるおそれもあります。裁判所から届く訴状などの書類を放置し、答弁書も提出しないまま口頭弁論の期日にも出頭しなければ、被害者側の主張どおりの判決(欠席判決)が出されることがあります(民事訴訟法159条1項・3項)。

判決が確定すれば、その内容に基づいて、預貯金や給与、不動産などの財産を差し押さえる強制執行を申し立てられる可能性があります。刑事上の責任と民事上の責任は別のものであるため、拘禁刑や罰金といった刑罰を受けたからといって、慰謝料の支払い義務を免れるわけではありません。

傷害事件の慰謝料の支払い能力がない場合どうする?

慰謝料(損害賠償金)は原則として一括で支払うことを求められますが、これに応じられないからといってそのまま放置していると、前述のように警察への発覚や訴訟のリスクが高まってしまいます。加害者に一括で支払うだけの資力がない場合は、次のような対応を検討することが考えられます。

分割払いを提案する

慰謝料の一括での支払いが難しい場合は、被害者に分割での支払いを提案してみましょう。ただし、当事務所の経験上、被害者が一括での支払いを希望することが多く、分割払いにこだわりすぎると、交渉そのものが決裂しかねません。

そこで、できる限り1回あたりの支払額を多くし、分割回数を少なくすることを提案します。分割でもまとまったお金を用意することが難しい場合は、保証人を立てることなども検討します。分割払いに応じてもらえた場合は、支払回数・金額・期日を示談書に明記し、万が一支払いが滞った場合の対応もあわせて定めておくと、後のトラブルを防げます。

お金を借りる

被害者に分割払いを提案しても拒否され、一括で支払わなければならないものの、それが難しいという場合は、ご家族など頼れる方からお金を借りることも検討しなければなりません。

慰謝料は決して少ない金額ではないため、後でトラブルにならないよう、全額を負担してもらうのか一部を負担してもらうのか、その割合や将来の返済時期・返済額について、あらかじめしっかり話し合って決めておく必要があります。

傷害事件の慰謝料の交渉を弁護士に依頼するメリット

被害者との示談交渉や慰謝料の支払いを弁護士に依頼すると、交渉の入口・進め方・合意後の三つの場面でそれぞれ効果があります。

示談交渉が可能となる

慰謝料の交渉を始めようと思っても、そもそも被害者が話し合いに応じてくれないという問題があります。交渉のテーブルにつけなければ、示談や慰謝料の話にすら進めません。

これに対し、加害者本人ではなく弁護士が代理人として連絡することで、被害者が話し合いに応じやすくなります。

また、被害者と面識がなく連絡先等の個人情報を把握できていない場合は、そもそも被害者とコンタクトを取れず、示談交渉を始めることができません。この場合、捜査機関から個人情報を入手する必要がありますが(事件が警察・検察に送致されている場合)、捜査機関が加害者本人に被害者の個人情報を教えることは原則としてありません。

一方、弁護士であれば、被害者の意向しだいで、被害者の個人情報を入手し、示談交渉を始められる場合があります。不起訴を獲得するための具体的な方法については「傷害罪で不起訴になるには?起訴率と示談なしの対処法」で詳しく紹介しています。

示談交渉を円滑に進めることができる

加害者と被害者の当事者同士による慰謝料の示談交渉では、感情が先走ってしまい、肝心の中身の話に入ることすらできない場合が少なくありません。弁護士が間に入れば、感情的な対立を避け、冷静に示談交渉を進めることが期待できます。

示談交渉は、加害者と被害者の利害の折り合いをつける場です。被害者側の意向を酌みつつ、加害者側として主張すべき点は主張しなければなりません。弁護士は加害者の代理人としてこの調整役を担うため、双方が譲れる線を見極めながら交渉を進められます。また、被害者側から相場を大きく超える金額を要求されるケースも見られますが、弁護士であれば、怪我の程度や治療期間などを考慮した適正な金額を示して交渉することができ、不当に高額な支払いを避けやすくなります。

話の蒸し返しを予防できる

話がまとまったら、後になって「言った・言わない」の争いや話の蒸し返しを防ぐという意味でも、示談書を作成しておく必要があります。弁護士に依頼すれば、必要な条項を押さえた示談書を作成し、被害者との取り交わしを進めてもらえます。

清算条項を含む示談書を取り交わし、慰謝料を支払った段階で、民事上の問題に区切りがつきます。清算条項とは、示談で定めた内容のほかに互いに債権債務がないことを確認する取り決めです。これにより、示談後の生活を安心して過ごしやすくなります。

傷害事件の慰謝料でお悩みの方は弁護士にご相談ください

傷害事件の慰謝料への対応を先延ばしにしていると、警察への発覚や逮捕・勾留の長期化、刑罰、さらには民事訴訟といった深刻な事態に発展しかねません。早い段階で被害者と示談を成立させることが、刑事処分の軽減にも民事的な解決にもつながる最も重要なポイントです。

しかし、慰謝料の適正額の判断や被害者との交渉、支払い能力に応じた分割払いの相談などは、当事者だけでは難しい場合がほとんどです。弁護士が間に入ることで、被害者が交渉に応じてくれる可能性が高まり、適正な金額・条件での示談成立が期待できます。

「被害者への対応をどう進めればいいかわからない」「すでに被害届を出されている」「まとまったお金を用意できない」といった状況でも、早期に弁護士へ相談することで最善の対応が可能になります。当事務所はこれまで多くの傷害事件で示談交渉に対応し、逮捕の回避や早期釈放、不起訴処分の獲得につなげてきました。全国対応で24時間無料相談を受け付けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

逮捕回避・早期釈放 不起訴獲得 示談交渉 痴漢・盗撮 性犯罪 暴行・傷害
メディア掲載 フジテレビ「とくダネ」/ ダイヤモンド・オンライン / @DIME / サイゾー 他多数
講演実績 「不当要求対応の基礎」「犯罪組織によるマネー・ロンダリングと投資詐欺への法的処置」等
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