傷害事件の示談金相場を全治別に解説|示談書テンプレート付き

「傷害事件を起こしてしまったが、示談金はいくら用意すればいいのか」。傷害罪の示談金には法律で決まった相場はなく、当事務所の26件では15万円から180万円の幅がありました。

金額を左右するのは怪我の重さだけではありません。同じ全治1週間でも、殴った回数や凶器の有無、被害者の処罰感情によって数倍の差がつきます。ご自身の事案に近い行為態様の事例を探すことが、いちばん確実な見当のつけ方です。

傷害事件の示談交渉を数多く手がけてきた弁護士が、次の点を解説します。

  • 全治1週間~骨折までの示談金の目安
  • 示談金の内訳と、金額が動く4つの事情
  • 示談すると刑事処分はどうなるか
  • 示談書に必ず入れたい2つの条項

お読みいただくことで、ご自身の事案に近い金額の見当をつけ、示談交渉で何を決めておくべきかを整理できます。

なお、傷害事件の示談金についてお悩みの方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお気軽にご連絡ください。地域を問わずご相談を承っています。

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全治別に見る傷害事件の示談金相場

傷害罪の場合、示談金に法律で決まった相場はありません。示談は当事者どうしの合意で成立するため、金額は話し合いによって決まります。

それでも、目安がまったくないわけではありません。当事務所がこれまでに取り扱った傷害事件26件は、示談金が15万円から180万円の間に分布していました。金額を動かすのは怪我の重さだけではありません。全治1か月の事案より全治1週間の事案のほうが高くなることも珍しくありません。

以下では、その26件を怪我の程度別に分けて一覧にしました。痴漢や盗撮の際に生じた負傷も傷害として立件されるため、表に含めています。ご自身の事案に近い行為態様の欄を探し、相場の見当をつける材料としてお使いください。

全治1週間の傷害事件の示談金相場

傷害事件で全治1週間の怪我を負わせた場合、示談金の相場は20万円~150万円程度です。当事務所が扱った全治1週間の傷害事件7件のうち、4件は示談金40万円以下に収まっています。残る3件は凶器を使った、線路に突き落とした、金品を奪ったなど、行為の危険性や悪質さが際立つ事案で、被害者の処罰感情も強いものでした。全治10日のように区分のあいだにあたる怪我は、前後の区分の相場を見比べて考えます。

事件の概要 示談金
飲食やアルコール・音楽を楽しむ遊興施設内において,被害者客と肩がぶつかったとして口論となり,同人の顔面を殴りつける暴行を行ったことで被害者が全治1週間ほどの傷害を負った事案 20万円
公共職業安定所内において同施設を訪れていた夫婦に対して加害者が顔面を複数回殴りつける暴行を加えたことで被害者らに全治1週間ほどの傷害を負わせた事案 30万円
被害者が運転する自動車が信号で停車した際,同車両に近づき降車した被害者の胸部を両手で押し,突き飛ばしたうえ被害者の顔面を複数回殴りつけ顔面を爪で引っ掻くなどの暴行を加えたことで被害者が全治1週間ほどの傷害を負った事案 40万円
被害者女性が公衆便所の個室で用を足している最中に隣接しているとなりの個室の仕切りをよじ登り女性がいる個室に侵入し,その女性を押し倒したうえでわいせつな行為をしようとした。その際に被害者女性がひざの関節に打撲傷を負い全治1週間ほどの傷害を負った事案 40万円
電車内において加害者が座席に着席していた際,隣の座席の被害者が加害者のカバンが膝にあたっていることを指摘したことで激高して,加害者が所持していた腕時計を手拳に巻きつけたうえで被害者の顔面を殴りつける暴行を行ったことで被害者が全治1週間ほどの傷害を負った事案 70万円
駅のホーム内において,被害者とトラブルとなり口論の末,被害者の衣類を引っ張り地面に叩きつけ,ホーム内から線路に突き落とすなどの暴行を加えたことにより被害者が頭部挫傷によって全治1週間ほどの傷害を負った事案 100万円
公道を歩いていた被害者に背後からこっそり忍び寄り,同人の後頭部を殴りつけ転倒させた。被害者は現金などを入れていたバッグを持っていたが加害者は転倒した被害者から強引にバッグを奪い取った。一連の暴行により被害者は全治1週間ほどの傷害を負った事案 150万円

全治2週間の傷害事件の示談金相場

全治2週間になると、傷害事件の示談金相場は30万円~130万円程度に上がります。当事務所の7件では、つかむ・殴る・蹴るといった暴行にとどまった事案が30万~40万円でした。これに対し、痴漢のような別の加害が重なった事案、エスカレーターや走行中の自転車など転倒の危険が大きい場面での暴行、子どもを巻き込んだ事案、髪を無理やり切り取るなど人格を傷つける行為が伴った事案では100万円以上になっています。

事件の概要 示談金
タクシーが加害者の走行を妨害したとして停車中のタクシーの運転手と口論に発展し,同人の右腕をつかんで強く押さえつけるといった暴行を加えたことによって,被害者が全治2週間ほどの傷害を負った事案 30万円
公園内において,当時未成年の被害者に対して,第三者と共同して被害者の顔面を殴りつけたり膝で蹴り上げたりし,第三者も被害者の腹部を蹴り上げる暴行を行ったことによって被害者が全治2週間ほどの傷害を負った事案 30万円
飲食店のトイレ内において,同飲食店の店長に対して同人の両腕をつかんだり,同人の首を片手でつかんだりする暴行を行ったことで被害者が全治2週間ほどの傷害を負った事案 40万円
当時未成年の女性に対して公の場で痴漢行為を行い,自転車に飛び乗り逃走しようとした。被害者女性は加害者を捕まえようと自転車の荷台につかまったが加害者は同人を転倒させそのまま自転車を走行させたことで被害女性をしばらく引きずるといった暴行を加えた。これにより被害者が全治2週間ほどの傷害を負った事案 100万円
公共施設内のエスカレーターにおいて,加害者を追い越し通り抜けようとした被害者が加害者とぶつかったとして口論となり,被害者の身体に対して足蹴りするなどの暴行を加えたことによって,被害者が全治2週間ほどの傷害を負った事案 100万円
自転車に子どもを乗せて走行していた被害者の運転で進行を妨害されたとして腹を立てクレームをつけるために同人ら乗車する自転車の前に立ちはだかった。その際に被害者とその子どもを自転車もろとも転倒させる暴行を加えたことにより両名が全治2週間ほどの傷害を負った事案 130万円
性風俗店の事務所において,同風俗店の女性従業員が無断で他の風俗店でも勤務していたことで激高し,同従業員の顔面を複数回殴りつけ,同人の髪の毛を無理やり切り取るなどの暴行を加えたことで被害者が全治2週間ほどの傷害を負った事案 130万円

全治1ヶ月の傷害事件の示談金相場

全治1か月の傷害罪の示談金相場は15万円~180万円と、4つの区分で最も幅が大きくなります。当事務所の5件は、怪我の重さよりも周辺の事情のほうが金額を動かしています。加害者が未成年だった事案(15万円)や、逃走中に偶発的に負わせた事案(25万円)は低く収まった一方、被害者が複数に及んだ事案や、逃げ場のない車内で反復して加害した事案では高額になりました。全治1週間の傷害事件より安く済んだケースも、逆に最も高額になったケースも、どちらもこの区分に含まれます。なお当事務所には全治2か月の事案(40万円)もあり、治療期間の長さだけで金額が決まるわけではありません。

事件の概要 示談金
事件当時中学生であった加害者が第三者と共謀して同級生の被害者に対して頭部を殴りつけたり両手で頸部を絞めつけたり,胸の部分を膝蹴りするなどの暴行を行ったことで被害者が頭部打撲・頸椎捻挫,肋骨骨折などにより全治4週間ほどの傷害を負った事案 15万円
公共施設で盗撮をしていたところ被害者男性に目撃され逃走するも同人が追いかけてきて加害者の腕をつかんだ。加害者が被害者の腕を振り払った際被害者は手首のじん帯を損傷し全治1カ月ほどの傷害を負った 25万円
自宅内において当時交際中の同居者の顔面を複数回殴りつけるDVにより頬骨骨折などにより被害者が全治1カ月ほどの傷害を負った事案 60万円
飲食店において,客として来店していた被害者と口論となり同人を殴りつけるなどの暴行を加え,加害者の暴行を制止しようと仲裁に入った第三者に対しても暴行を加えたことで,前者の被害者は全治1カ月ほどの鼻骨骨折,後者の被害者は全治3日の左顎打撲の傷害を負った事案 75万円
新幹線内において,前の乗客のシートを複数回蹴り上げ,同シートに座っていた被害者が頸部損傷・頭部打撲などによって全治1カ月ほどの傷害を負った事案 180万円

骨折の傷害事件の示談金相場

骨折を伴う傷害罪では、当事務所の7件の示談金相場は30万円~175万円でした。治療も通院も長引くため治療費と休業損害はふくらみますが、金額を大きく分けたのは骨折そのものではありません。同じ鼻骨骨折でも30万円の事案と143万円の事案があります。最も高額だった175万円の事案は、入院を要し、かつ喧嘩と無関係の友人を巻き込んだものでした。加害者が未成年だった事案(40万円)のように、当事者の年齢や関係性も金額を動かします。骨折を伴う事案は全治1ヶ月の表にも含まれるため、あわせてご覧ください。

事件の概要 示談金
事件当時未成年の被害者に対して絡んでいき,同人を突き倒して顔面を蹴り上げたうえ殴りつけたことで被害者が鼻骨骨折の傷害を負った事案 30万円
当時中学生の加害者が,共謀して,ある同級生に対して顔面を殴りつけたり,腹部を蹴り上げたりする暴行を加えたことで被害者が顔面打撲・右眼窩底骨折・複視など全治2カ月ほどの傷害を負った事案 40万円
深夜営業の飲食店において被害者に抱きつき押し倒したことで,被害者が後頭部を負傷し肋骨骨折などの傷害を負った事案 46万円
勤務先店舗内で,加害者と上司が業務に関して口論となり,激高した加害者が上司に対して腹部を殴りつける暴行を行ったことで同人が肋骨多発骨折により全治1カ月ほどの傷害を負った事案 50万円
勤務先の倉庫内において,被害者である同僚と口論となり同人の顔面を殴りつけたことにより被害者が眉間・鼻骨を骨折する傷害を負った事案 110万円
乗車中の電車内で他の乗客である被害者と口論となり同人の顔面を殴りつける暴行を行ったことで被害者が鼻骨骨折などの傷害を負った事案 143万円
公道において,第三者と喧嘩に発展するトラブルを起こした際,同行していた友人が喧嘩の仲裁に入った。そこで加害者が同友人の顔面を殴りつける暴行を行ったことによって入院加療及び下顎正中部・左側下顎角部骨折の傷害を負わせた事案 175万円

上の4つの表に挙げた傷害罪の示談金は、いずれも治療費などを含めた総額であり、慰謝料の相場だけを取り出したものではありません。

傷害罪の示談金はどう決まる?内訳と変動要因

示談金の額は、被害者が受けた損害を積み上げて決めていきます。傷害罪の場合、その損害は「財産的損害」と「精神的損害」の2つに分けて考えると整理しやすくなります

示談金の内訳

「財産的損害」とは、被害者が被った財産的な不利益のことを指します。そして、財産的損害については「積極的損害」と「消極的損害」に分けることができます。

まず「積極的損害」とは被害者に現存した財産的利益が減少したことによる損害のことです。つまり被害者が傷害事件のせいで実際に支払った実費は積極的損害です。具体的には事件によって負傷して病院に通ったことにより生じる治療費・入院費用・付添看護費・通院交通費などです。暴行で眼鏡や衣類、スマートフォンが壊れた場合は、その修理費や買い替え費用も積極的損害に含まれます。

これに対して「消極的損害」とは被害者が本来であれば得られるはずであったのに傷害事件のせいで得られなかった利益のことをいいます。例えば傷害事件で負傷したことにより仕事を休業せざるを得なかった場合に本来であれば働いて得られた収入は消極的損害と考えられます(休業損害)。また傷害事件で負傷したことにより怪我が症状固定(治療を続けてもこれ以上よくならない状態)に至ったあとも後遺障害が残り、本来であれば得られたであろう収入が将来にわたって得られなくなったものも消極的損害といえます(逸失利益)。

以上の「財産的損害」に対して「精神的損害」とは被害者が被った非財産的不利益のことを指します。具体的には、傷害事件によって被害者が被った精神的な苦痛を慰謝するために支払われる慰謝料を指します。以下は、傷害罪の示談金の内訳をまとめたものです。

傷害事件の示談金の内訳
財産的損害 精神的損害
  • 治療費
  • 入院費用
  • 付添看護費
  • 通院交通費
  • 壊した物の修理費・買い替え費用
  • 休業損害
  • 後遺障害による逸失利益
慰謝料

このうち慰謝料は定価がなく、示談の話し合いで最ももめやすい項目です。慰謝料をいくらと見積もるか、支払わなかった場合に何が起きるかについては「傷害事件の慰謝料を払わない・払えないとどうなる?」で詳しく解説しています。

示談金の額を左右する4つの事情

傷害事件の示談金を決めるにあたり、まず土台になるのは被害者の怪我の程度です。怪我の程度は、医師が作成した診断書をもとに判断されます。

傷害罪の示談金は暴行罪と違い、被害者の怪我やPTSD(心的外傷後ストレス障害)を治すための通院費や入院費といった財産的損害も含むため、高額になりやすい傾向があります。

傷害罪と暴行罪の違いについては「暴行罪と傷害罪の違いは?成立要件とどちらが重いかを解説」で詳しく解説しています。

ただ、傷害罪の示談金は被害者の怪我の程度のほか、

  • 犯行の計画性(偶発的か計画的かなど)
  • 犯行態様(1回か複数回か、武器使用の有無など)
  • 被害者の処罰感情
  • 後遺障害の有無

などの事情を総合的に考慮して判断しなければいけません。後遺障害が残れば数千万円以上の損害賠償が裁判で認められることもあります

そのため、必ずしも上記の範囲内の金額となるとは限らず、範囲以上の金額となることもあれば範囲以下の金額となることもあります。あくまで目安とお考えください。

傷害罪で示談するメリット

傷害罪で示談するメリットは次の4つです。

  1. 早期釈放される可能性がある
  2. 不起訴となる可能性がある
  3. 略式起訴となる可能性がある
  4. 量刑が軽くなる可能性がある

裏を返せば、示談がまとまらないまま刑事手続が進むと、これら4つの可能性はいずれも小さくなります。

①早期釈放される可能性がある

傷害事件で逮捕・勾留(逮捕に続けて身柄を拘束する手続き)された場合でも、示談が成立すれば、罪証隠滅(口裏合わせなど)のおそれが小さいと評価されやすくなり、釈放につながる可能性が高くなります。また、示談の成立までには至っていなくても、被害者に示談金を支払う意向を示しておけば、犯行態様、被害の程度、被害者の処罰感情などによっては釈放につながる可能性があります。

②不起訴となる可能性がある

示談の成立は、検察官が起訴するか不起訴とするか(刑事処分)を判断するにあたっての考慮事情の一つです。示談が成立したからといって必ずしも不起訴となるわけではありませんが、被疑者にとって有利に働くことは確かです。不起訴で終われば刑事裁判にはならず、前科が残ることもありません。

検察官が刑事処分を下す前に示談を成立させて示談金を支払い、その結果(示談書の写しなど)を検察官に示す必要があります。傷害罪で不起訴を獲得するための具体的なポイントは「傷害罪で不起訴になるには?起訴率と示談なしの対処法」をご参照ください。

③略式起訴となる可能性がある

事案の内容からして起訴は免れないものの、示談金を用意して示談がまとまれば、正式起訴ではなく略式起訴で終わるケースもみられます。ただし略式起訴も起訴の一種であり、略式命令が確定すれば前科は残ります。略式手続によるには被疑者本人が異議のない旨を書面で示す必要があり、略式命令の告知を受けた日から14日以内であれば正式裁判を請求することもできます(刑事訴訟法461条の2・465条1項)。正式起訴ではなく略式起訴で終わると、

  • 公開の法廷での裁判(公判)を受ける必要がない
  • 拘禁刑(2025年6月に懲役・禁錮が一本化された刑)ではなく罰金を科される

= 刑務所に服役する必要がなくなる(ただし罰金を完納できないときは労役場に留置されます。刑法18条)

ことのほかにも、身柄拘束(勾留)を受けている場合に大きなメリットがあります。

それは、略式起訴され、簡易裁判所の略式命令(公判を開かず書面審理だけで罰金を科す裁判)が告知された時点で釈放されるという点です。罰金の裁判が告知されると勾留状は効力を失うため(刑事訴訟法345条)、そのまま身柄が解放されます。

これに対して正式起訴された場合、身柄拘束は起訴の日から2か月に切り替わり、1か月ごとに更新されることがあります(更新は原則1回限りで、罪証隠滅のおそれがある場合などが例外です。刑事訴訟法60条2項)。もっとも、起訴後は保釈(保証金を納めて身柄の拘束を解いてもらう手続き)を請求できるようになります。罪証隠滅や被害者への加害のおそれなどがなければ、裁判所は保釈を許さなければならないとされています(刑事訴訟法89条)。示談が成立していれば、被害者への働きかけのおそれが小さいと評価され、保釈の判断でも有利に働きます。

示談の成立は初犯かどうかによっても評価が変わるため、傷害罪の初犯でどのような処分になりやすいかについては「傷害罪の初犯の罰金相場は?実刑を避けるポイントも解説」で解説しています。

④量刑が軽くなる可能性がある

量刑とは刑の重さのことです。正式起訴された場合は示談書の提出先が変わり、弁護士が弁護人として裁判所に証拠として提出します(刑事訴訟法298条1項)。示談が成立して示談金の支払いも終えていれば、刑の重さは以下の例のように変わってきます。

なお以下の表は当事務所の弁護実務上の一例であり、2025年6月1日に施行された改正後の刑名(拘禁刑)で表記しています。傷害罪の法定刑も同じ改正で刑名が改められました(刑法204条)。

示談成立せず 示談成立
拘禁刑3年の実刑 拘禁刑1年6月の実刑
拘禁刑2年の実刑 拘禁刑2年、3年間の執行猶予
拘禁刑2年、3年間の執行猶予、保護観察 拘禁刑1年6月、3年間の執行猶予
罰金50万円 罰金20万円

示談の有無によって量刑がどこまで変わるかの目安は「傷害罪の懲役の目安は?量刑相場と実刑・執行猶予の判断基準」にまとめています。

もっとも、上記で紹介した相場のように、傷害事件では示談金が100万円台に届くこともあります。そのような場合は示談交渉の段階で、一括ではなく分割での支払いを受け入れてもらえるよう被害者側と交渉することになります。被害者が応じてくれれば、示談書に分割の金額と期日を記載できます。ただし分割払いは支払日が来るたびに被害者が事件を思い出すことになるため、応じてもらえないケースもあります。合意が難しいときは、ご自身の資力だけでは解決が困難として、親族などの援助を受けられないかを検討することになります。

傷害罪の示談の流れと示談書テンプレート

傷害罪の示談の流れ

まずは加害者自ら被害者に対して行ったことと向き合い、深く反省しなければいけません。傷害事件の示談交渉では、その上で被害者宛ての謝罪文を書き、謝罪文を被害者に読んでいただきます。謝罪と示談交渉はワンセットです。

ただ、加害者からの直接の謝罪や示談交渉に対応する被害者はほとんどいません。加害者本人が被害者に直接連絡すれば、口裏合わせを疑われて勾留が長引くこともあります。そのため、謝罪・示談交渉を希望する場合は弁護士を通じて行うのが現実的です。

また、被害者と面識のない場合は、捜査機関から被害者の個人情報(氏名、住所、電話番号)を取得することからはじめなければいけません。もっとも、捜査機関が加害者本人に被害者の個人情報を教えてくれることは、原則としてありません。被害者と面識がなく、謝罪や示談交渉を希望する場合は弁護士に任せるほかありません。被害者の承諾が得られれば、弁護士限りという条件で連絡先を教えてもらえることがあります。

弁護士が示談を成立させた場合は、示談書を取り交わし、被害者が指定する口座に示談金を振り込みます。これで清算条項の範囲では民事的な問題が解決したことになります。

刑事事件全般での示談のメリットや進め方については「刑事事件で示談するメリットは?示談金相場と流れを徹底解説」でも紹介しています。

示談書テンプレートの書き方

傷害罪用:示談書テンプレート

傷害罪の示談書の書き方は、基本的には上の画像のようになります。示談金の額や支払期日といった条件のほかに、刑事処分に影響する条項として次の2つを入れられるかが実務上の分かれ目になります。

  • 宥恕(ゆうじょ)文言……「加害者を許す」「処罰を望まない」という被害者の意思を書き込んだ条項。検察官が起訴・不起訴を判断する際に重視されます。すでに被害届が出ている事案では、あわせて取り下げに応じてもらえるかも交渉の対象になります
  • 清算条項……この示談で当事者間の問題はすべて解決し、今後は互いに請求しないことを確認する条項。後から追加で賠償を求められる事態を防ぐための条項です

いずれも被害者が納得しなければ入れられないため、弁護士が示談交渉のなかでどう提案するかが重要になります。

示談書の内容は個々の事案や合意内容によって異なり、まったく同じ示談書など存在しません。以下のテンプレートは参考程度にとどめ、個々の事案や合意内容に応じた示談書を作るよう心がけてください。

以下のボタンより、傷害罪の示談書のテンプレートがダウンロードできます。

傷害事件の示談金でお悩みの方は弁護士にご相談ください

傷害事件の示談金に定価はなく、相場は怪我の程度と行為の態様、そして被害者の気持ちによって大きく動きます。そして示談が成立するかどうかは、不起訴になるか、身柄が解放されるか、刑がどこまで軽くなるかを大きく左右します。

示談金の見当がついても、そこから先には壁があります。被害者の連絡先は捜査機関から加害者本人へは知らされず、無理に接触しようとすれば勾留が長引くこともあります。弁護士であれば被害者の承諾を得たうえで連絡先を受け取り、宥恕文言や清算条項まで含めた示談書を整えることができます

示談は、早く動いた側が有利になる手続きです。身柄を拘束されている事件では、逮捕から起訴・不起訴の判断まで最長でも23日しかなく、被害者の感情も時間とともに固まっていきます。金額の相場を調べている段階でも、すでに被害者側から連絡が来ている段階でも、判断材料をお渡しできます。

当事務所は傷害罪をはじめとする刑事事件の示談交渉に豊富な実績があり、被害者の心情に配慮しながら適切な条件での解決を目指します。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

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