傷害罪の示談金相場を怪我の程度別に一覧表で紹介【示談書テンプレート付き】
  • 傷害事件の示談金の相場はいくら?
  • 傷害事件で示談するとどんなメリットがある?
  • どのような流れで示談をすればいいのだろう…
  • 傷害罪の示談書の書き方がわからない…

この記事では、このような疑問を、傷害事件に強い弁護士が解決していきます。

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傷害罪の示談金相場

傷害罪の示談金相場は、10万円~100万円程度です。ただし、後述するように、怪我の程度以外にも、犯行態様や被害者の処罰感情などによって示談金の額は大きく異なります。例えば、全治1か月の傷害を負合わせた事案よりも、全治1週間の傷害を負わせた事案の方が示談金が高くなることも珍しくないのです。

したがって、上記示談金相場、以下で示す「怪我の程度別の示談金相場」はあくまでも目安であって、事案によって異なることを念頭に読んで頂けたらと思います。

以下では、傷害罪の示談金相場を具体的な事例を挙げて一覧表で紹介します。全治1週間~2週間の比較的軽い傷害から1カ月,骨折という比較的症状が重い事例の相場を解説していきます。

全治1週間の傷害事件の示談金相場

全治1週間の傷害事件の示談金相場は、20万円~150万円程度です。

事件の概要示談金
飲食やアルコール・音楽を楽しむ遊興施設内において,被害者客と肩がぶつかったとして口論となり,同人の顔面を殴りつける暴行を行ったことで被害者が全治1週間ほどの傷害を負った事案20万円
公共職業安定所内において同施設を訪れていた夫婦に対して加害者が顔面を複数回殴りつける暴行を加えたことで被害者らに全治1週間ほどの傷害を負わせた事案30万円
被害者が運転する自動車が信号で停車した際,同車両に近づき降車した被害者の胸部を両手で押し,突き飛ばしたうえ被害者の顔面を複数回殴りつけ顔面を爪で引っ掻くなどの暴行を加えたことで被害者が全治1週間ほどの傷害を負った事案40万円
被害者女性が公衆便所の個室で用を足している最中に隣接しているとなりの個室の仕切りをよじ登り女性がいる個室に侵入し,その女性を押し倒したうえでわいせつな行為をしようとした。その際に被害者女性がひざの関節に打撲傷を負い全治1週間ほどの傷害を負った事案40万円
電車内において加害者が座席に着席していた際,隣の座席の被害者が加害者のカバンが膝にあたっていることを指摘したことで激高して,加害者が所持していた腕時計を手拳に巻きつけたうえで被害者の顔面を殴りつける暴行を行ったことで被害者が全治1週間ほどの傷害を負った事案70万円
駅のホーム内において,被害者とトラブルとなり口論の末,被害者の衣類を引っ張り地面に叩きつけ,ホーム内から線路に突き落とすなどの暴行を加えたことにより被害者が頭部挫傷によって全治1週間ほどの傷害を負った事案100万円
公道を歩いていた被害者に背後からこっそり忍び寄り,同人の後頭部を殴りつけ転倒させた。被害者は現金などを入れていたバッグを持っていたが加害者は転倒した被害者から強引にバッグを奪い取った。一連の暴行により被害者は全治1週間ほどの傷害を負った事案150万円

全治2週間の傷害事件の示談金相場

全治2週間の傷害事件の示談金相場は、30万円~130万円程度です。

事件の概要示談金
タクシーが加害者の走行を妨害したとして停車中のタクシーの運転手と口論に発展し,同人の右腕をつかんで強く押さえつけるといった暴行を加えたことによって,被害者が全治2週間ほどの傷害を負った事案30万円
公園内において,当時未成年の被害者に対して,第三者と共同して被害者の顔面を殴りつけたり膝で蹴り上げたりし,第三者も被害者の腹部を蹴り上げる暴行を行ったことによって被害者が全治2週間ほどの傷害を負った事案30万円
飲食店のトイレ内において,同飲食店の店長に対して同人の両腕をつかんだり,同人の首を片手でつかんだりする暴行を行ったことで被害者が全治2週間ほどの傷害を負った事案40万円
当時未成年の女性に対して公の場で痴漢行為を行い,自転車に飛び乗り逃走しようとした。被害者女性は加害者を捕まえようと自転車の荷台につかまったが加害者は同人を転倒させそのまま自転車を走行させたことで被害女性をしばらく引きずるといった暴行を加えた。これにより被害者が全治2週間ほどの傷害を負った事案。100万円
公共施設内のエスカレーターにおいて,加害者を追い越し通り抜けようとした被害者が加害者とぶつかったとして口論となり,被害者の身体に対して足蹴りするなどの暴行を加えたことによって,被害者が全治2週間ほどの傷害を負った事案100万円
自転車に子どもを乗せて走行していた被害者の運転で進行を妨害されたとして腹を立てクレームをつけるために同人ら乗車する自転車の前に立ちはだかった。その際に被害者とその子どもを自転車もろとも転倒させる暴行を加えたことにより両名が全治2週間ほどの傷害を負った事案130万円
性風俗店の事務所において,同風俗店の女性従業員が無断で他の風俗店でも勤務していたことで激高し,同従業員の顔面を複数回殴りつけ,同人の髪の毛を無理やり切り取るなどの暴行を加えたことで被害者が全治2週間ほどの傷害を負った事案130万円

全治1ヶ月の傷害事件の示談金相場

全治1か月の傷害事件の示談金相場は、15万円~180万円程度です。

事件の概要示談金
事件当時中学生であった加害者が第三者と共謀して同級生の被害者に対して頭部を殴りつけたり両手で頸部を絞めつけたり,胸の部分を膝蹴りするなどの暴行を行ったことで被害者が頭部打撲・頸椎捻挫,肋骨骨折などにより全治4週間ほどの傷害を負った事案15万円
公共施設で盗撮をしていたところ被害者男性に目撃され逃走するも同人が追いかけてきて加害者の腕をつかんだ。加害者が被害者の腕を振り払った際被害者は手首のじん帯を損傷し全治1カ月ほどの障害を負った25万円
自宅内において当時交際中の同居者の顔面を複数回殴りつけるDVにより頬骨骨折などにより被害者が全治1カ月ほどの傷害を負った事案60万円
飲食店において,客として来店していた被害者と口論となり同人を殴りつけるなどの暴行を加え,加害者の暴行を制止しようと仲裁に入った第三者に対しても暴行を加えたことで,前者の被害者は全治1カ月ほどの鼻骨骨折,後者の被害者は全治3日の左顎打撲の傷害を負った事案75万円
新感線内において,前の乗客のシートを複数回蹴り上げ,同シートに座っていた被害者が頸部損傷・頭部打撲などによって全治1カ月ほどの傷害を負った事案180万円

骨折の傷害事件の示談金相場

骨折の傷害事件の示談金相場は、30万円~175万円程度です。

事件の概要示談金
事件当時未成年の被害者に対して絡んでいき,同人を突き倒して顔面を蹴り上げたうえ殴りつけたことで被害者が鼻骨骨折の傷害を負った事案30万円
当時中学生の加害者が,共謀して,ある同級生に対して顔面を殴りつけたり,腹部を蹴り上げたりする暴行を加えたことで被害者が顔面打撲・右眼窩底骨折・複視など全治2カ月ほどの傷害を負った事案40万円
深夜営業の飲食店において被害者に抱きつき押し倒したことで,被害者が後頭部を負傷し肋骨骨折などの傷害を負った事案46万円
勤務先店舗内で,加害者と上司が業務に関して口論となり,激高した加害者が上司に対して腹部を殴りつける暴行を行ったことで同人が肋骨多発骨折により全治1カ月ほどの傷害を負った事案50万円
勤務先の倉庫内において,被害者である同僚と口論となり同人の顔面を殴りくけたことにより被害者が眉間・鼻骨を骨折する傷害を負った事案110万円
乗車中の電車内で他の乗客である被害者と口論となり同人の顔面を殴りつける暴行を行ったことで被害者が鼻骨骨折などの傷害を負った事案143万円
公道において,第三者と喧嘩に発展するトラブルを起こした際,同行していた友人が喧嘩の仲裁に入った。そこで加害者が同友人の顔面を殴りつける暴行を行ったことによって入院加療及び下顎正中部・左側下顎角部骨折の傷害を負わせた事案175万円

傷害罪の示談金の内訳と決まり方

傷害事件の示談金は「財産的損害」と「精神的損害」に対して支払われると分解して理解することができます。

「財産的損害」とは,被害者が被った財産的な不利益のことを指します。そして、財産的損害については「積極的損害」と「消極的損害」に分けることができます。

まず「積極的損害」とは被害者に現存した財産的利益が減少したことによる損害のことです。つまり被害者が傷害事件のせいで実際に支払った実費は積極的損害です。具体的には事件によって負傷して病院に通ったことにより生じる治療費入院費用付添看護費通院交通費などです。

これに対して「消極的損害」とは被害者が本来であれば得られるはずであったのに傷害事件のせいで得られなかった利益のことをいいます。例えば傷害で負傷したことにより仕事を休業せざるを得なかった場合に本来であれば働いて得られた収入は消極的損害と考えられます(休業損害)。また傷害事件で負傷したことにより怪我が完治・症状固定したあとも後遺障害を負い,本来であれば得られたであろう収入が将来にわたって得られなくなったものも消極的損害といえます(逸失利益)。

以上の「財産的損害」に対して「精神的損害」とは被害者が被った非財産的不利益のことを指します。具体的には、傷害事件によって被害者が被った精神的な苦痛を慰謝するために支払われる慰謝料を指します。以下は、傷害事件の示談金の内訳をまとめたものです。

傷害事件の示談金の内訳
財産的損害精神的損害
  • 治療費
  • 入院費用
  • 付添看護婦費
  • 通院交通費
  • 休業損害
  • 後遺障害による逸失利益
慰謝料

傷害事件の慰謝料相場|払わないとどうなる?支払い能力がない場合は?弁護士が解説

示談金の決まり方

傷害罪の示談金を決めるにあたり、被害者の怪我の程度をベースに考えるのが基本です。怪我の程度は医者が作成した診断書を参考にします。

傷害罪の示談金相場についてはこの後に具体的事例を挙げて詳しくお伝えしますが、傷害罪は暴行罪と違い、被害者の怪我やPTSD(心的外傷性ストレス障害)を治癒するための通院費や入院費等の財産的損害も含めた示談金となるため高額になりやすい傾向があります。

ただ、傷害罪の示談金は被害者の怪我の程度のほか、

  • 犯行の計画性(偶発的か計画的かなど)
  • 犯行態様(1回か複数回か、武器使用の有無など)
  • 被害者の処罰感情
  • 後遺障害の有無

などの事情を総合的に考慮して判断しなければいけません。後遺障害が残れば数千万円以上の損害賠償が裁判で認められることもあります。

そのため、必ずしも上記の範囲内の金額となるとは限らず、範囲以上の金額となることもあれば範囲以下の金額となることもあります。あくまで目安とお考えください。

傷害罪で示談するメリット

傷害罪で示談するメリットは次のとおりです。

  • 早期釈放される可能性がある
  • 不起訴となる可能性がある
  • 略式起訴となる可能性がある
  • 量刑が軽くなる可能性がある

早期釈放される可能性がある

傷害罪で身柄拘束された場合でも、示談が成立すれば、逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれがないと判断され、釈放となる可能性が高くなります。また、示談の成立までには至っていなくても、被害者に示談する意向を示しておけば、犯行態様、被害者の程度、被害者の処罰感情などによっては釈放につながる可能性があります。

不起訴となる可能性がある

示談の成立は、検察官が起訴するか不起訴となるか(刑事処分)を判断するにあたっての考慮事情の一つです。示談が成立したからといって必ずしも不起訴となるわけではありませんが、被疑者にとって有利に働くことは間違いありません。

検察官が刑事処分を下す前に示談を成立させ、その結果(示談書の写しなど)を検察官に示す必要があります。

略式起訴となる

事案の内容からして起訴は免れないものの、示談を成立させれば正式起訴ではなく略式起訴で終わる可能性があります。正式起訴ではなく略式起訴で終わるメリットは、

  • 刑事裁判を受ける必要がない
  • 懲役ではなく罰金を科される

= 刑務所に服役する必要がなくなる

ことのほか、身柄拘束(勾留)を受けている場合にも大きなメリットがあります。

それは、略式起訴され裁判官の略式命令を受けた時点で釈放されるという点です。正式起訴されると自動的に2か月の身柄拘束が決定してしまいますが、略式起訴されればこの身柄拘束から解放されます。

量刑が軽くなる

量刑とは刑の重さのことです。以下の例のように示談が成立すれば、成立しない場合に比べて刑の重さが軽くなる可能性があります。

示談成立せず示談成立
懲役3年の実刑懲役1年6月の実刑
懲役2年の実刑懲役2年、3年間の執行猶予
懲役2年、3年間の執行猶予、保護観察懲役1年6月、3年間の執行猶予
罰金50万円罰金20万円

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示談金の支払いができない場合は?

示談を成立させることができれば,ある程度被害者が被害を回復できたとして不起訴・罪が軽くなる可能性があります。しかし、上記で紹介したように事案によっては示談金が100万円を超えるような高額な場合もあり得ます。そのような場合多くの方は一括で支払うことは厳しいのではないでしょうか。

そのような場合には示談交渉の段階で,一括での支払いではなく「分割」での支払いを受け入れてもらうように被害者側と交渉することになります。被害者が応じてくれれば示談書に分割での支払いとその金額・期日を記載することもできます。

ただ、分割払いの場合には支払日が到来するたびに被害者は事件のことを思い出してしまいます。そのような精神的な不安や示談金が満額支払われるのかに不安を感じて分割に応じてくれないケースもあります。そのような場合にはご自身の資力だけでは解決が難しいとして親族などの援助が受けられないかを検討することになります。

傷害罪の示談書の書き方

傷害罪用:示談書テンプレート

傷害罪の示談書の書き方は、基本的には上の画像のようになります。ただし、示談書の内容は個々の事案や合意内容によって異なり、まったく同じ示談書など存在しません。以下のテンプレートは参考程度にとどめ、個々の事案や合意内容に応じた示談書を作るよう心がけてください。

以下のボタンより、傷害罪の示談書のテンプレートがダウンロードできます。

傷害罪の示談の流れ

被害者と示談するには、まずは加害者自ら被害者に対して行ったことと向き合い、深く反省しなければいけません。その上で、被害者宛ての謝罪文を書き、謝罪文を被害者に読んでいただきます。謝罪と示談交渉はワンセットです。

ただ、加害者からの直接の謝罪や示談交渉に対応する被害者はほとんどいません。そのため、謝罪・示談交渉を希望する場合は弁護士に任せた方がよいです。

また、被害者と面識のない場合は、捜査機関から被害者の個人情報(氏名、住所、電話番号)を取得することからはじめなければいけません。もっとも、捜査機関が加害者に被害者の個人情報を教えることはありません。被害者と面識がなく、謝罪や示談交渉を希望する場合は弁護士に任せるほかありません。

弁護士が示談を成立させた場合は、示談書を取り交わし、被害者が指定する口座に示談金を振り込みます。これで民事的な問題は解決したことになります。

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