
「大声で怒鳴ると暴行罪や脅迫罪になるのだろうか」「つい感情的になって怒鳴ってしまったが、相手に訴えると言われて不安だ」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、怒鳴る行為だけで直ちに暴行罪が成立するわけではありませんが、相手の聴力に影響を与えるほどの大声で怒鳴った場合や、「殺すぞ」などの害悪を告知する発言をした場合には、暴行罪や脅迫罪が成立する可能性があります。
この記事では、刑事事件を多数取り扱ってきた弁護士が、怒鳴る行為と犯罪の成否について解説します。
- 怒鳴る行為が暴行罪になる条件とならない条件
- 怒鳴った際の発言内容で脅迫罪が成立するケース
- 暴行罪・脅迫罪以外に成立しうる犯罪
この記事を読むことで、ご自身の行為が犯罪に該当するかどうかを把握し、今後どのように対応すべきかの判断材料を得ることができます。
なお、怒鳴ってしまった件で相手から被害届を出されそうな方や、既に警察から連絡が来ている方など、早急に対応したいとお考えの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談をご検討ください。
| 気軽に弁護士に相談しましょう |
|
怒鳴ると暴行罪になる?
怒鳴ると暴行罪が成立するかどうかは、怒鳴るという行為が暴行罪の「暴行」にあたるかどうかによります。
暴行罪の「暴行」とは?
暴行罪は刑法208条に規定されています。
(暴行)
第二百八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の拘禁刑若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
※拘禁刑とは、2025年6月1日に施行された改正刑法により、従来の懲役刑と禁錮刑が一本化された刑罰のことです。
暴行罪の暴行とは、人の身体に対する不法な有形力を行使することをいいます。たとえば、「殴る」「蹴る」「叩く」「胸ぐらをつかむ」「水や塩をふりかける」など、直接人の身体に触れる行為(接触型)が暴行の典型例といえます。
ただ、暴行罪の暴行は接触型だけに限られません。「人にめがけて物を投げる(命中したかどうかは問わない)」「狭い空間で棒を振り回す」「車で幅寄せしたりあおり運転をする」など、直接人の身体に触れない行為(非接触型)も暴行にあたります。
音による暴行もありうる
過去の判例の中には音による暴行罪の成立を認めたものもあります(最高裁判所昭和29年8月20日)。この判例の事案は、ブラスバンド用の大太鼓を室内で連打し、相手の頭脳の感覚を鈍らせて意識もうろうとさせた、というものでした。このことから、怒鳴る行為も暴行にあたり、暴行罪が成立する可能性があります。
もっとも、怒鳴った場合に直ちに暴行罪が成立するわけではありません。声の音量はもちろん、怒鳴った回数、相手との距離、怒鳴った際の周囲の状況などの諸事情から、相手に傷害を負わせるほどの暴行(不法な有形力の行使)といえるかどうかがよく吟味されることになります。
そして実際のところ、聴力に影響を与えるほどに大声で怒鳴らない限り暴行罪に問われる可能性は低いと考えられます。仮に暴行罪で検挙されたとしても、被害者と示談を成立させることで、事件を検察に送致せずに警察官からの厳重注意で事件を終了させる微罪処分で済む可能性も十分あるでしょう。暴行罪の示談金相場については「暴行罪の示談金・慰謝料の相場は?金額の決まり方も解説」をご覧ください。
傷害を負わせなかったことが必要
暴行罪は暴行によって人に傷害を負わせなかったことが必要です。
「傷害」とは人の生理的機能に障害を与えることをいい、怪我だけに限られません。そのため、怒鳴られた相手が驚愕して転倒して怪我した場合はもちろん、繰り返し怒鳴られたために相手が精神的に病んでしまった場合にも暴行罪ではなく傷害罪(15年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金)に問われる可能性があります。暴行罪と傷害罪の違いについては「暴行罪と傷害罪の違いは?成立要件とどちらが重いかを解説」で詳しく解説しています。
暴行罪以外の犯罪が成立することもある
怒鳴る行為により、暴行罪以外の他の犯罪が成立することもあります。
例えば、不特定または多数の人が認識できる状態で「馬鹿野郎!」「この前科持ちが!」と怒鳴ればそれぞれ侮辱罪(刑法231条)と名誉毀損罪(刑法230条)、電車内などの公共の乗物において乗客に対して著しく粗野もしくは乱暴な言動(怒鳴る行為も含む)で迷惑をかけた場合は軽犯罪法違反(軽犯罪法1条5号)、飲食店の店舗等でクレーマーが店員に暴言を吐いたり怒鳴りつければ威力業務妨害罪(刑法234条)にあたることもあります。
怒鳴ると脅迫罪になる?
怒鳴るだけでは脅迫罪は成立しませんが、怒鳴った際の発言の内容によっては脅迫罪(刑法222条)に問われることがあります。
(脅迫)
第二百二十二条 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
上記条文の通り、生命・身体等に害を加えることを告知(これを「害悪の告知」といいます)することで脅迫罪が成立しますが、単に、「馬鹿野郎!」「このブス女が!」と怒鳴られただけでは、たとえ怒鳴られたことで恐怖を感じたとしても、発言内容が害悪の告知とはならないため脅迫罪は成立しません。
しかし、怒鳴った際の発言内容が、「テメェ殺すぞ!」「腕をへし折るぞ!」といったものであれば害悪の告知に該当しますので脅迫罪が成立します。脅迫罪になる言葉とならない言葉の具体例については「脅迫罪になる言葉・ならない言葉は?強要罪・恐喝罪と何が違う?」もあわせてご確認ください。
怒鳴ってしまい相手とトラブルになっている方へ
怒鳴る行為は、聴力に影響を与えるほどの大声であれば暴行罪が、「殺すぞ」「殴るぞ」といった害悪の告知を伴えば脅迫罪が成立しうるものです。発言内容や状況次第では、侮辱罪や名誉毀損罪、威力業務妨害罪に問われることもあります。
こうした事件では、被害者との示談を早期に成立させることが、逮捕の回避や不起訴処分の獲得において大きな意味を持ちます。しかし、当事者同士での示談交渉は感情的な対立が生じやすく、かえって状況を悪化させてしまうこともあります。弁護士が間に入ることで、冷静かつ適切な条件での示談成立が期待できます。
相手から「訴える」と言われている方、既に被害届を出された方、警察から連絡が来ている方は、できるだけ早く対応を始めることが重要です。時間が経つほど選択肢が狭まってしまうため、不安を感じた段階で専門家に相談されることをおすすめします。
当事務所では、暴行罪・脅迫罪をはじめとする刑事事件に精通した弁護士が、ご相談者の状況に応じた最善の対応を検討いたします。全国どこからでも無料相談を受け付けておりますので、お一人で悩まず、まずはお気軽にお問い合わせください。
| 気軽に弁護士に相談しましょう |
|
この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

