
人にケガをさせて傷害罪が成立すると、15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科されます(刑法第204条)。有期拘禁刑は原則的に1ヶ月以上20年以下(刑法第12条1項)、罰金刑の下限は1万円(刑法第15条)ですので、細かく言えば、傷害罪の法定刑は「1ヶ月以上15年以下の拘禁刑または1万円以上50万円以下の罰金」ということになります。
(傷害)
第204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処する。出典:e-Gov法令検索
もっとも、「1ヶ月以上15年以下では幅が広すぎて、実際にはどの程度の量刑になるのか、傷害罪の量刑相場の目安を知りたい」という方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、暴行・傷害事件に強い弁護士が、次の点を解説します。
- 傷害罪の懲役の目安となる量刑相場
- 実刑と執行猶予を分ける判断基準
- 量刑を軽くするうえで示談が重要な理由
記事を最後まで読むことで、傷害事件の懲役刑の目安となる量刑相場や、量刑を決める判断基準がわかるようになります。
なお、今後の量刑にご不安を感じている方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談へお気軽にご連絡ください。
※2025年6月の法改正で「懲役」と「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されたため、傷害罪の法定刑は現在「拘禁刑」で表されます。ただし、この記事で後ほど紹介する量刑統計は改正前の判決に基づく「懲役」のデータであるため、量刑相場の解説は「懲役刑」で統一しています。
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傷害罪の懲役の目安となる量刑相場は?
令和7年版犯罪白書の統計データ(司法統計年報及び最高裁判所事務総局の資料に基づく)によると、傷害事件で懲役刑を言い渡された1,877人のうち、実刑がおよそ35%、全部執行猶予がおよそ65%です。
そして、傷害事件の判決の多くは6月以上~3年以下の懲役刑に集まっていますので、これが量刑相場の目安といえるでしょう。
| 通常第一審における傷害事件の懲役刑の実刑・全部執行猶予の人数と割合 | ||
| 実刑 | 657人 | 約35% |
|---|---|---|
| 全部執行猶予 | 1,220人 | 約65% |
| 合計 | 1,877人 | |
| 通常第一審における傷害事件の懲役刑の科刑状況 | ||
| 懲役期間 | 実刑 | 全部執行猶予 |
|---|---|---|
| 15年を超え20年以下 | 1人 | |
| 10年を超え15年以下 | 4人 | |
| 7年を超え10年以下 | 17人 | |
| 5年を超え7年以下 | 34人 | |
| 3年を超え5年以下 | 55人 | |
| 2年以上3年以下 | 138人 | 408人 |
| 1年以上2年未満 | 247人 | 620人 |
| 6月以上1年未満 | 142人 | 188人 |
| 6月未満 | 19人 | 4人 |
(令和7年版犯罪白書に基づいて作成)
傷害罪と暴行罪の構成要件や法定刑の違いについては「暴行罪と傷害罪の違いは?成立要件とどちらが重いかを解説」で詳しく解説しています。
傷害罪の懲役刑の量刑を判断する基準は?
傷害罪の場合、正式起訴(公開の法廷での裁判を求めるための起訴)されると懲役刑を求刑されるのが一般的です。そして、裁判官が、懲役刑の長さはどのくらいにするか、懲役実刑にするか執行猶予にするかを決める(この決める作業を「量刑」といいます)にあたっては、主に以下の事情を総合的に考慮して個別に判断されます。
- 犯行の動機
- 暴行の態様(武器使用の有無、回数、共犯か単独かなど)
- 計画性の有無(計画的か偶発的かなど)
- 怪我の程度(加療期間の長さ、後遺症の有無など)
- 被害者との関係性
- 被害者の性別・年齢
- 被害者の処罰感情
- 被害弁償・示談成立の有無
- 粗暴歴(前科・前歴)の有無
- 被害者の落ち度
懲役の長さを決めるにあたっては、これらの事情の内、特に、暴行の態様、怪我の程度、被害弁償・示談成立の有無が重要視されます。
たとえば、暴行によって被害者に後遺症を負わせてしまった、加療期間が半年を超える怪我を負わせてしまった、など、怪我の程度が重たい場合は懲役が長くなる可能性が高くなります。一方、怪我の程度が多少重たくても、被害者にも落ち度があった、被害者との示談が成立した、というように、加害者にとって有利な事情が認められる場合は懲役が短くなる可能性もあります。
懲役実刑か執行猶予かを決めるにあたっても、前述の諸事情を総合的に勘案して決められます。
この点、傷害罪が初犯の場合、前科をもっている場合に比べて執行猶予になる可能性は高いといえます。また、前科をもっている場合でも、その前科が罰金刑にとどまる場合や、拘禁刑以上の前科があっても執行を終えた日などから5年が経過している場合には、執行猶予となる可能性があります(刑法第25条)。前科が傷害罪と同じ種類でないこと(異種前科)も、同種の前科がある場合に比べて量刑に不利に働きにくい事情です。傷害罪が初犯の場合の処分の見通しについては「傷害罪の初犯はどうなる?罰金の相場と逮捕の流れ・実刑を解説」もご参照ください。その他の諸事情と実刑・執行猶予との関係は以下のとおりです。
| 諸事情 | 実刑 | 執行猶予 |
| 暴行の態様 | 悪質 | 軽微 |
|---|---|---|
| 計画性の有無 | 計画的 | 偶発的 |
| 怪我の程度 | 重症 | 軽症 |
| 示談成立の有無 | なし | あり |
傷害罪の懲役の量刑を軽くするには示談が重要
傷害罪で逮捕される前に被害者と示談を成立させ、被害届を出さない旨の約束を取り付けることができれば、事件が警察に発覚しにくくなり、逮捕を回避できる可能性が高まります。
また、逮捕された後でも、被害者と示談を成立させ、それを警察・検察に伝えることで、早期釈放や不起訴処分につながるケースもあります。示談が成立したことで被害者の加害者に対する処罰感情が低下したと考えられるためです。
もし公判請求(起訴)されて刑事裁判にかけられたとしても、示談が成立した事実は量刑を決めるうえで裁判官が考慮しますので、懲役刑を科される場合でも刑期を軽減されたり、執行猶予判決に繋がることが期待できます。示談をしない場合のリスクについては「暴行罪で示談しないとどうなる?前科・起訴リスクと対処法を解説」で具体的に解説しています。
なお、逮捕される前であれば、事件が発覚する前に自ら捜査機関へ申し出る自首によって、刑が軽くなる場合もあります(刑法第42条)。ただし、量刑を軽くするうえで最も重要なのは被害者との示談です。
もっとも、傷害事件の被害者からすれば、暴行を加えて怪我をさせられた加害者と顔を合わせたくない、話もしたくないという方がほとんどです。また、そもそも、被害者の連絡先等がわからなければ示談の申し入れすらできません。
この点、弁護士であれば示談交渉に応じてくれる被害者も多く、また、連絡先等が分からない場合でも、弁護士が検察官を通じて被害者と連絡をとってもらい、示談交渉のテーブルについてもらうことも可能です。示談金の具体的な金額の目安については「傷害事件の示談金相場を全治別に解説|示談書テンプレート付き」で怪我の程度別に解説しています。
傷害事件の量刑でお悩みの方は弁護士にご相談ください
傷害罪の量刑相場は懲役6月〜3年の範囲に集中しており、示談の成否が実刑か執行猶予かを分ける大きな要素となります。逮捕前であれば事件化の回避、逮捕後であれば不起訴処分や執行猶予の獲得に向けて、早い段階で被害者との示談交渉を進めることが重要です。
しかし、傷害事件の被害者は加害者本人との直接の話し合いを拒否されるケースが多く、ご自身で示談を試みても進展しないことが少なくありません。弁護士が間に入ることで交渉に応じてもらえる可能性が高まり、適切な示談金額の提示や示談書の作成を通じて、量刑の軽減に向けた具体的な成果につなげることができます。
傷害事件で逮捕されるのではないかと不安を感じている方、すでに逮捕・起訴されて今後の量刑が気になっている方は、できるだけ早く弁護士に相談されることをおすすめします。当事務所では、傷害事件の被害者との示談交渉を通じて不起訴処分の獲得や実刑回避を実現してきた実績がございます。全国対応で24時間無料相談を受け付けておりますので、おひとりで悩まずにまずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

