強制わいせつ罪の非親告罪化|告訴がなくても公訴提起が可能

2017年(平成29)年7月13日に改正刑法が施行され、それにより、強制わいせつ罪などの性犯罪が「親告罪」から「非親告罪」となりました。これまでは、強制わいせつで検察官が公訴の提起(起訴)するには被害者等の告訴が必要でしたが、法改正により不要となりました。

これはつまり、強制わいせつ事件の被害者と示談を成立させ告訴を取り下げてもらったとしても、起訴されて刑事裁判にかけられることもあるということです。

では、この法改正により、強制わいせつ事件で示談を成立させる意味は薄れたのでしょうか。この記事では、強制わいせつ事件に強い弁護士がこの疑問を解消していきます。

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強制わいせつは法改正により非親告罪になった

強制わいせつ罪とは

強制わいせつ罪とは、「13歳以上の者」に対して「暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした」場合と、「13歳未満の者」に対して「わいせつな行為をした」場合に成立する犯罪です(刑法第176条参照)。

強制わいせつを行ったものには「6月以上10年以下の懲役」が科されることになります。

強制わいせつ罪は、個人の性的自己決定の自由を保護することを目的として規定されている犯罪です。

強制わいせつ罪がいう「暴行・脅迫」とは、正当の理由なしに、他人の意思に反してその身体に対して有形力を行使すること、または人を畏怖させるに足りる害悪を告知することをいいます。暴行・脅迫の程度は反抗を抑圧するものでなくてもよく、反抗を著しく困難にする程度のもので足ります。

「わいせつな行為」とは性的な意味を有する行為で、本人の性的羞恥心の対象となるような行為を指します。具体的には、陰部に触れる行為、乳房を弄ぶ行為、無理やりキスをする行為などが典型です。

強制わいせつとは?どんな行為が該当する?逮捕後の流れを弁護士が解説

強制わいせつが非親告罪になった理由は?

強制わいせつ罪は、かつては「親告罪」として規定されていました。「親告罪」とは、検察官が公訴を提起するのに告訴が必要となる犯罪のことをいいます。そのためかつては被害者と示談を成立させて告訴が取り下げられた際には強制わいせつで起訴されることはありませんでした。

しかし法改正があり平成29年7月13日から施行されている新刑法のもとでは強制わいせつは「非親告罪」となりました

かつては公訴提起によって被害者の名誉・プライバシーなどが害されるおそれがあったことから、公訴の提起ついて被害者の意思を尊重するために「親告罪」とされていました。しかし犯罪被害によって肉体的・精神的に多大な被害を負った被害者にとって告訴するか否かの選択を迫られるように感じられることが、逆に被害者に負担を負わせることになっていると考えられるようになったため「非親告罪」とあらためられました。

強制わいせつ罪以外で非親告罪になった犯罪

強制わいせつ罪の他に、刑法改正により親告罪から非親告罪となった性犯罪については以下のようなものです。

なお、改正法が施行される前に強制わいせつや上記の罪を犯した場合であっても、非親告罪化は遡及適用されます(刑法の一部を改正する法律 附則第2条2項)。すなわち、被害者と既に示談が成立し告訴がなされていない状況であっても、検察官は公訴の提起(起訴)をすることが可能ということです。

【一覧表付き】親告罪・非親告罪とは?時効や法改正も弁護士が解説

強制わいせつの非親告罪化でもなお示談は重要

強制わいせつ罪は改正前は「親告罪」でしたので、被害者との間で示談が成立し告訴が取り下げられた場合には検察官は起訴することができませんでした。しかし法改正により強制わいせつ罪は「非親告罪」と改められたため被害者の告訴がなかったとしても検察官は公訴を提起(起訴)することができるようになりました。

そのため強制わいせつ事件に関して被害者との間で示談を成立させる必要性・重要性は低下したのではないかという疑問が生じてきます。しかし法務省の通達には以下のように規定されています。

第3 留意事項
1 強姦罪等の非親告罪化について
性犯罪については, もとより,被害者のプライバシー等の保護が特に重要であり,事件の処分等に当たっても被害者の心情に配慮することが必要であることは,強姦罪等を非親告罪化した後も変わるものではない
したがって,本法施行後においても, 引き続き,事件の処分に当たって被害者の意思を丁寧に確認するなど被害者の心情に適切に配慮する必要があることに留意されたい。

したがって被害者の意思を無視して起訴がされることは考えにくいため、示談は法改正後であっても重要であるといえます。早期に示談を成立させることができれば、逮捕を回避できたり、逮捕された場合でも早期に釈放されたり、不起訴処分で終了したりする可能性が高まります。

示談交渉を弁護士に依頼すべき理由

強制わいせつの容疑で逮捕された場合には、一刻もはやく被害者と示談を成立させることが今後有利に手続きを進めるうえで重要です。

しかし逮捕されて身体拘束を受けている場合には被疑者自身が直接被害者と示談交渉することはできません。したがって弁護人を選任して代わりに示談の手続きを進めてもらう必要があります。

通常性犯罪の被害者は被疑者に対して恐怖心や強い嫌悪感を抱いており、その精神的な状態に配慮して、検察も警察も加害者との直接的なやり取りをさせないようにしています。そのため被害者の連絡先が分からない場合には捜査機関に教えてもらう必要がありますが、被疑者が直接依頼しても教えてくれることはないでしょう。

ただし弁護士が「示談交渉のために連絡先を知りたい」と要望した場合には、捜査機関が被害者に確認をとってくれます。そして弁護士であれば連絡先を教えても良いと被害者が考えるケースも多く、そのような場合には示談交渉を進められる可能性が高いです。

被害者も法律の専門家である弁護人と話し合うことで、示談内容について冷静に検討して応じてくれることが期待できます。

弊所では、強制わいせつ事件の被害者との示談交渉、早期釈放、不起訴処分の獲得を得意としており実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、いつ逮捕されるか不安な日々を過ごされている方、既に逮捕された方のご家族の方はまずは弁護士までご相談ください。相談する勇気が解決へ繋がります。

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