このようにお考えではないでしょうか。
学校に勝手に立ち入るケースとしては、若者が深夜にいたずら半分で校舎やプールに侵入したり、土日祝日など学校が休みの日にグラウンドや校庭に侵入したり、あるいは、卒業生がたまたま母校の前を通りがかって懐かしくなって侵入することもあります。これらの行為が不法侵入として犯罪に該当するのか気になる方もいることでしょう。
結論から言いますと、正当な理由なく学校の校舎やプールといった施設に侵入することはもちろん、フェンス等で囲われている学校の校庭や敷地内に侵入した場合も、建造物侵入罪という不法侵入の罪に問われる可能性があります。人がいない深夜帯や休日に侵入した場合、卒業生が侵入した場合も同様です。
この記事では、刑事事件に強い弁護士が、上記内容につきわかりやすく解説していきます。
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目次
学校に勝手に立ち入ると不法侵入になる?
校舎に入ると不法侵入?グラウンドの場合は?
学校への立ち入りが不法侵入にあたるかどうかは、学校への立ち入りが刑法上の建造物侵入罪(刑法第130条前段)にあたるかどうかによります。
刑法130条には、「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し」た場合には、住居等侵入罪が成立すると規定しています。住居等侵入罪になると、3年以下の懲役または10万円以下の罰金が科されることになります。
ここで、「住居」とは、人の日常生活に利用される場所を指し、「邸宅」とは居住用の建造物で住居以外のものを指します(空き家・別荘・付属地・敷地を含みます)。
そして「建造物」とは、住居でも邸宅でもない建物を指します。
このような理解から、学校の校舎については建造物に該当することになりますので、正当な理由なく立ち入った場合には、建造物侵入罪が成立することになります。
それでは、学校のグラウンドや校庭に立ち入った場合はどうでしょうか。
日常用語では、校庭や建物を囲んでいる土地(このような土地を「囲繞地(いにょうち)」といいます)は、建造物とは言わないでしょう。
しかし結論として、フェンスやブロック塀などで周囲が囲われている学校の校庭やグラウンドは、建造物に該当するとされているため、同様に建造物侵入罪が成立することになります。
この点に関して、東京高等裁判所は「その建物の付属地として門塀を設けるなどして外部との交通を制限し、外来者がみだりに出入りすることを禁止している場所に故なく侵入すれば建造物侵入罪が成立すると解され、右のような囲繞地であるためには、その土地が、建物に接してその周辺に存在し、かつ、管理者が外部との境界に門塀等の囲障を設置することにより、建物の付属地として、建物利用のために供されるものであることがしめされれば」建造物にあたると判断しています(東京高等裁判所平成5年7月7日判決)。
不法侵入や建造物侵入罪についてより詳しく知りたい方は、以下の関連記事もご覧になってください。
不法侵入はどこから?住居侵入罪になる分かれ目と逮捕後の流れを解説
卒業生が懐かしくなって立ち入った場合は不法侵入にならない?
卒業生が懐かしくなって通っていた学校に立ち入った場合にも、建造物侵入罪に該当します。卒業生であることをもって侵入行為が正当化されることはないからです。
これについては近年実際に逮捕された事例があるため、注意が必要です。
この事案では、当時大学3年生の男性が、学用品の販売会に訪れる保護者らのために開放されていた小学校の正門から侵入し、校舎の教室前をうろついていたところ、不審に思った児童の保護者が教諭に連絡したために発覚したというものです。
この大学生は、「懐かしくなって入った」と供述していますが、県警は建造物侵入の疑いでこの男性を逮捕しています。
深夜や学校の休日に立ち入る行為は不法侵入にならない?
深夜や休日に学校内に立ち入る行為も建造物侵入罪に該当します。
建造物侵入罪が保護しようとしている法的な利益は、「管理権者が当該建造物をその意思に基づいて自由に管理支配できる」ということです。
学校の管理者は、誰に立ち入りを許可するのか、または許可しないのかについて自由に決定することができます。そのため深夜や休日に立ち入ったとしても、管理権者の意思に反した立ち入りに該当することは明らかですので、建造物侵入罪が成立することになります。
まとめ
近年、不審者による事件が多発していることから、学校側もセキュリティを強化し不法侵入に対して厳しい対応をするようになってきています。
被害届が出され、防犯カメラの映像などから後日侵入者が逮捕されることもあり得ます。
学校に不法侵入をして問題になっている・逮捕されそうで不安という場合は、一度弁護士にご相談ください。
弁護士を代理人として学校と話し合うことで示談を成立させたり、被害届の取り下げてもらえたりする可能性があります。
当事務所では、不法侵入の逮捕回避、不起訴の獲得を得意としており実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、つい魔が差して学校に侵入してしまい、罪に問われる可能性のある方、既に逮捕された方のご家族の方は当事務所の弁護士までご相談ください。お力になれると思います。
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