
ラウンジを経営・開業しようと考えている方の中には、「風俗営業許可は必要なのか?」「知らないうちに風営法違反にならないか」と不安に思う方も多いでしょう。店名が「ラウンジ」であっても、提供するサービス内容によっては風営法違反と判断され、営業停止や罰金といった厳しい処分につながる可能性があります。
特に誤解されがちなのが、「深夜酒類提供飲食店営業の届出をすれば安心」という考え方です。しかし実際には、ラウンジが風営法の対象となるかどうかは「店名」ではなく「接待行為の有無」で判断されます。
従業員がお客様の隣に座って談笑する、お酒を注ぐ、タバコに火をつけるといった行為は接待に該当し、風俗営業許可が必要です。逆に、単にカウンターやホールで飲食物を運ぶだけであれば、深夜酒類提供飲食店営業の届出で営業できます。
この記事では、ラウンジの営業形態がどのような場合に風俗営業許可を必要とし、どのような行為が風営法違反にあたるのかを、風営法違反に強い弁護士が具体的に解説します。ご自身の店舗が違反リスクを抱えていないかを正しく理解し、安全な営業に役立ててください。
もし違反リスクへの対応に不安を感じる場合は、この記事を読まれた上で、全国どこからでも無料でご相談いただける当事務所までご連絡ください。風営法違反に強い弁護士が、あなたの状況に応じた適切な解決策を親身になってご提案いたします。
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目次
ラウンジは風俗営業許可が必要?風営法違反のリスクを解説
「ラウンジ」を経営する場合には、風俗営業許可を取る必要があるのでしょうか。
ラウンジを営業する際に風俗営業許可が必要かどうかは、店の名前や看板ではなく、「接待」行為があるかどうかによって決まります。
風営法上、店舗が「接待」を伴う営業をする場合は風俗営業許可が必須となり、原則として深夜0時以降の営業はできません。
一方、接待行為を行わず、深夜0時以降も酒類を提供する飲食店は、「深夜酒類提供飲食店営業」の届出が必要となります。この2つの許可は同時に取得することはできないため、どちらの営業形態で営業するかを明確にする必要があります。
そして、「接待」とは、歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことを指します(風営法第2条3項)。
したがって、「ラウンジ」という名前であっても、従業員がお客の隣に座って談笑したり、お酒を作ったりといった「接待行為」があれば、それは風俗営業に該当します。この場合、深夜酒類提供飲食店営業の届出のみで営業していると風営法違反となり、厳しい罰則の対象となります。
風営法違反は営業停止や拘禁刑、罰金といった重い処分につながる可能性があるため、ご自身の店舗がどのようなサービスを提供しているのか、今一度確認することが必要でしょう。
ラウンジを含む各業態の特徴と風営法違反となる線引き
ラウンジの営業形態は「キャバクラとスナックの中間」といわれることも多く、法的な位置づけが分かりにくいのが実情です。そのため、ラウンジを正しく理解するには、スナックやキャバクラ、ガールズバーなど他の業態と比較しながら、風営法上どのように区分されるのかを確認することが重要です。ここでは、代表的な各業態の特徴と風営法上の取り扱いを整理します。
ラウンジ
「ラウンジ」は、一般的にキャバクラとスナックの中間的な業態として位置づけられています。ソファー席やボックス席を中心とした高級感のある内装が特徴で、キャバクラほど派手ではありません。料金設定もスナックより高く、キャバクラより安い中間価格帯が多いといえます。
風営法上、この業態が深夜酒類提供飲食店営業として認められるのは、ウエイトレスのように飲食物を運ぶ程度のサービスにとどまる場合です。しかし、以下のような行為を行うと「接待」と見なされ、風俗営業許可が必要になります。
- 特定少数の客の近くに継続して付き添い、談笑の相手になる行為
- 客の席に座り、お酒を注ぐ行為
- 客のタバコに火をつける行為
- 客と一緒にカラオケを歌ったり、手拍子・拍手で盛り上げる行為
これらの行為を風俗営業の許可なく行えば、風営法違反となり摘発の対象となります。
スナック
「スナック」は、小規模でアットホームな雰囲気が特徴です。ママと1〜2名程度のスタッフがカウンター越しに接客し、常連客との親密なコミュニケーションを重視します。料金は比較的リーズナブルで、カラオケ設備を設置する店舗も多いです。
スナックが深夜酒類提供飲食店営業として認められるのは、カウンター内での酒類提供や社交儀礼上の挨拶、ごく簡単な世間話にとどまる場合です。しかし、以下のような行為は「接待」に該当し、風俗営業許可が必要となります。
- 特定少数の客に付き添い、継続して談笑の相手になる行為
- 客と一緒にカラオケを歌う(デュエットする)行為
- 客の歌に手拍子や拍手をして盛り上げる行為
これらの行為を風俗営業の許可なく行えば、風営法違反となり摘発の対象となります。
キャバクラ
「キャバクラ」は、女性スタッフがお客様の席に同席して接待するのが基本の営業形態です。豪華で華やかな内装、ドレスなどの衣装、指名制度やボトルキープなど独自のシステムを備えているのが特徴です。料金は比較的高額で、時間制料金を採用している場合が多いです。
この業態はその性質上、風営法上の「接待飲食等営業」に該当し、風俗営業許可の取得が必須です。つまり、キャバクラという業態名そのものが、風営法上の「接待」を前提としたものだといえます。
ガールズバー
「ガールズバー」は、女性スタッフがカウンター越しに接客を行うバーで、キャバクラよりカジュアルで料金も比較的リーズナブルです。お客様の隣に座らず、カウンター内での接客に限定することで、深夜酒類提供飲食店営業の届出のみで営業可能とされています。
風営法上、ガールズバーが深夜酒類提供飲食店営業として認められるのは、カウンター内で単にお酒を提供したり、簡単なお酌をしてすぐに立ち去るといった行為にとどまる場合です。
ただし、以下のような行為を行えば「接待」に該当し、風俗営業許可が必要です。
- カウンター越しであっても特定の客の近くに継続して付き添い、談笑の相手になる行為
- 客に触れる行為
- 客とゲームや遊戯を行う行為
これらの行為を風俗営業の許可なく行えば、風営法違反となり摘発の対象となります。
コンセプトカフェ(コンカフェ)
「コンセプトカフェ(コンカフェ)」は、メイドやアニメキャラクター、アイドルなど特定のテーマに沿った衣装や内装で営業する飲食店です。コンセプトに基づく挨拶や特別メニューの提供、写真撮影などのサービスが一般的です。
風営法上、コンセプトカフェが飲食店営業として認められるのは、単に飲食物を提供する、コンセプトに沿った挨拶を行うといった行為にとどまる場合です。しかし、以下のような行為は「接待」と判断され、風俗営業許可が必要です。
- 特定少数の客の近くに継続して付き添い、談笑の相手となる行為
- コンセプトとは関係なく客の身体に接触する行為
- 特定の客やグループにのみ特別なサービスを提供する行為
これらの行為を風俗営業の許可なく行えば、風営法違反に該当し、摘発のリスクがあります。
ラウンジ等で風営法違反の摘発を受けた場合の影響
ラウンジやスナックが深夜酒類提供飲食店営業の届出のみで営業しながら、実際には接待行為を行っている場合、風営法違反として摘発されるリスクがあります。
風営法違反は逮捕される?よくある違反行為と罰則を弁護士が解説
これは実質的な無許可営業とみなされ、極めて重い罰則が科されます。特に2025年6月28日に施行された改正風営法により、罰則は大幅に強化されました。
個人が摘発された場合、これまでの「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」から、「5年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金」へと引き上げられました。
さらに、法人に対する罰則は従来の「200万円以下の罰金」から、「最大3億円以下の罰金」へと大幅に厳罰化されました。
これに加え、6ヶ月以内の営業停止処分を受ける可能性もあります。
一度摘発され、営業停止となれば、その間の収入は途絶え、空家賃の発生に加え、従業員の流出や店の信用失墜など、経営に深刻なダメージを負うことになります。
こうしたリスクを回避するためには、ご自身の営業形態が法的にどの区分に該当するのかを正確に把握し、必要に応じて弁護士などの専門家に相談して、適切な許可や届出を取得することが不可欠です。
まとめ:ラウンジ経営には風営法違反リスクの正しい理解が不可欠
ラウンジをはじめとする飲食店経営においては、「店名」や「業態の呼び方」ではなく、実際に提供するサービス内容によって風俗営業許可が必要かどうかが決まります。従業員がお客様の隣に座って談笑する、お酒を注ぐ、タバコに火をつけるといった行為は「接待」に該当し、許可なく行えば風営法違反となり、摘発や営業停止といった重大なリスクにつながります。
特に近年の法改正により、罰則は個人・法人ともに大幅に強化されており、一度摘発されれば収入の途絶や空家賃の発生、従業員の流出、信用失墜など経営に深刻なダメージを及ぼす可能性があります。
風営法関連の手続きについて専門家のサポートを検討している方や、警察からの呼び出し・摘発への対応に不安を感じている方は、全国どこからでも無料でご相談いただける当事務所までご連絡ください。当事務所は経験豊富な弁護士が親身かつ誠実にお話を伺い、依頼者の立場に立って全力でサポートいたします。
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