
不倫を理由とする慰謝料請求は、弁護士に依頼せずに自分で行うことも可能です。弁護士費用がかからないという点は、大きなメリットと言えるでしょう。
もっとも、自分で進める場合には、注意すべき点もあります。交渉がスムーズに進まなかったり、適切な金額を受け取れなかったりする可能性もあるため、事前にリスクや対処法を知っておくことが大切です。
示談書の作成や裁判手続きには専門的な知識が求められる場面もあるため、無理に一人で抱え込まず、必要に応じて専門家のサポートを受けることも選択肢に入れておきましょう。
この記事では、不倫慰謝料の請求に強い弁護士が、次のポイントについて分かりやすく解説します。
- 慰謝料請求を自分でする方法とその流れ
- 自分で慰謝料請求を成功させるためのポイント
- 自分で慰謝料請求する場合のリスク
- 弁護士に依頼することで得られるメリット
この記事を最後までお読みいただくことで、自力で慰謝料請求を進めるために必要な知識を身につけ、後悔のない判断ができるようになります。
なお、読み進める中で「やはり自分で対応するのは不安だ」と感じた方は、全国どこからでも無料でご相談いただける当事務所まで、どうぞお気軽にご相談ください。
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目次
慰謝料請求を自分でする方法と流れ
慰謝料請求を自分で行う場合、大きく分けて「当事者で話し合いをする方法」と「話し合いをせずに裁判を起こす方法」の2つがあります。
1.当事者で話し合いをする
まずは、配偶者や浮気相手と直接交渉して慰謝料請求を進める方法です。弁護士に依頼せずに解決したいと考える方にとって、最も現実的な選択肢となることが多い方法です。相手との関係性や状況に応じた進め方が重要となります。
当事者で話し合いを進める場合の流れは次の通りです。
- まずは電話や内容証明郵便で相手に連絡する
- 相手が話し合いに応じたら交渉を開始
- 交渉がまとまったら示談書を作成する
- 相手が話し合いに応じない・交渉決裂の場合は訴訟を提起
① まずは電話や内容証明郵便で相手に連絡する
相手との関係性や状況に応じて、適切な連絡手段を選ぶことが重要です。
まずは、電話や内容証明郵便などで慰謝料請求の意思を伝え、話し合いの場を設けましょう。電話は手軽に連絡できる反面、「言った・言わない」のトラブルが起きやすいため、録音などの対策をとっておくことが望ましいです。
一方、内容証明郵便は、慰謝料請求の事実やこちらの本気度を相手に明確に伝えることができ、証拠も残るためおすすめです。
② 相手が話し合いに応じたら交渉を開始
相手が話し合いに応じた場合、慰謝料の金額や支払い方法、その他の条件について具体的な交渉を行います。
交渉は感情的にならず、冷静に行うことが重要です。
ただし、相手が示談条件に合意しない場合や、話し合いそのものに応じない場合には、交渉が難航する可能性もあるため、早い段階で弁護士に相談することも検討しましょう。
③ 交渉がまとまったら示談書を作成する
合意に至った場合は、トラブルを防ぐためにも示談書を作成しておくことが重要です。以下のような内容を記載するのが一般的です。
- 慰謝料の金額
- 支払い方法・支払期限
- 清算条項(当事者間に他に債権債務がないことの確認)
- 今後の連絡・接触の禁止
- 秘密保持 など
口約束ではなく、必ず書面として残しましょう。
また、示談書は公正証書にすることも可能です。特に、執行認諾文言付きの公正証書を作成すれば、相手が支払いを怠った場合でも裁判を経ずに強制執行手続きが可能になります。
④ 相手が話し合いに応じない・交渉決裂の場合は訴訟を提起
話し合いに応じない、または交渉が決裂した場合には、民事訴訟を提起することも検討しましょう。
訴訟では、原告と被告が証拠に基づいて主張を行い、裁判官が慰謝料請求の可否を判断します。
専門的な知識が求められるため、弁護士への相談をおすすめします。
2.話し合いをせずに裁判を起こす
話し合いが難しい場合や、最初から法的手段により解決を図りたいと考える場合には、裁判による請求を選択することも可能です。裁判では、証拠に基づいた主張を通じて、公的に慰謝料請求の可否を判断してもらうことになります。
話し合いをせずに訴訟を提起する場合の流れは次の通りです。
- 裁判所へ書類を提出して手続きを開始
- 期日でお互いの主張や証拠をやり取り
- 和解または判決で解決へ
① 裁判所へ書類を提出して手続きを開始
慰謝料請求訴訟は、管轄の裁判所に訴状を提出することで始まります。訴状には以下のような情報を詳細に記載します。
- 請求する慰謝料の金額
- 慰謝料請求の理由(不貞行為の内容と精神的苦痛など)
主張を裏付ける証拠としては、以下のようなものが考えられます。
- 不貞行為を証明する写真・動画・メールなど
- 婚姻関係証明書などの夫婦関係を示す書類
これらの書類を準備し、裁判所に提出することで訴訟手続きが始まります。
② 期日でお互いの主張や証拠をやり取り
裁判所が訴状を受理すると、口頭弁論期日や弁論準備期日が指定されます。原告と被告はそれぞれの主張と証拠を提出し、裁判は通常、複数回にわたって行われます。
各期日では、当事者の主張・証拠提出のほか、当事者尋問や証人尋問が行われることもあります。裁判官はこれらを通じて事実関係を把握し、最終的な判断材料を集めます。
③ 和解または判決で解決へ
双方の主張と証拠が出そろった段階で、裁判所から和解案が提示されるケースが多くあります。
和解が成立すれば、それに基づいて慰謝料の支払いが実行され、訴訟は終了します。
和解が成立しない場合には、裁判官が判決を下し、慰謝料の金額や支払い義務の有無が法的に確定します。判決に不服がある場合は、控訴によって上級裁判所に再判断を求めることも可能です。
以上のとおり、裁判手続きは複雑で専門的な知識が求められます。不安がある場合は、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
自分で慰謝料請求を成功させるためのポイント
弁護士を立てずに慰謝料請求を行う場合、法的なトラブルを避けながら、適切な金額を確実に受け取るための準備と対応が非常に重要です。
以下では、自力で慰謝料請求を成功させるために押さえておきたいポイントを整理します。
- ①浮気の証拠を確保しておく
- ②浮気相手の氏名・住所を特定しておく
- ③慰謝料相場を把握し、過剰な請求をしない
- ④違法な言動・請求をしない
①浮気の証拠を確保しておく
浮気による慰謝料を請求するには、まず不貞行為があったことを示す証拠が必要です。
相手が浮気を否定した場合でも、証拠に基づいて事実を立証できなければ、慰謝料請求は認められません。そのため、話し合いの前段階でできるだけ多くの証拠を集めておくことが大切です。
具体的には、次のようなものが浮気の証拠として有効とされています。
- 性行為中に撮影された動画や写真
- 性行為中の録音データ
- 性行為に関するメールやLINEのやり取り
- ラブホテルや自宅などへの出入りを撮影した動画・写真
- ラブホテルのレシートやクレジットカード明細
- 浮気を認める自白の録音・録画
これらは、不貞行為の存在を裏付ける強力な証拠になります。
ただし、証拠を集める際に、違法な手段(無断侵入・盗聴など)を用いると、逆に訴えられるリスクがあります。証拠収集はあくまで合法的な方法で行いましょう。
②浮気相手の氏名・住所を特定しておく
慰謝料請求を行うには、浮気相手の「氏名」と「住所」を把握していることが前提となります。情報が不明なままでは、内容証明の送付も裁判手続きも行えません。
氏名や住所を調べる方法としては、以下のような手段が考えられます。
- SNSの情報から手がかりを探す
- 共通の知人に聞く
- 探偵事務所に調査を依頼する
探偵を活用すれば、プロによる調査で相手の所在を正確に突き止めることが可能です。
また、弁護士に依頼することで「弁護士会照会制度」を利用できる場合もあります。これは、弁護士が企業や官公庁に対し、一定の個人情報を照会できる制度であり、携帯番号やナンバープレートなどから氏名・住所を調べるケースもあります。
③慰謝料相場を把握し、過剰な請求をしない
慰謝料請求を行う際には、「罰として高額を請求したい」と思うかもしれませんが、法的に妥当な範囲を超える過剰な請求は避けるべきです。
相場を大きく上回る金額を求めると、相手の反発を招いて交渉がこじれたり、裁判で認められなかったりする可能性があります。
不貞行為による慰謝料の相場は、概ね数十万円~300万円程度とされていますが、実際の金額は以下のような事情を踏まえて決まります。
- 浮気の期間や回数
- 夫婦関係への影響
- 浮気当時に夫婦関係が破綻していなかったか
- 精神的苦痛の程度
- 相手方・配偶者の経済状況
適正な金額を知るためには、弁護士の助言を受けるのも有効な手段です。
④違法な言動・請求をしない
慰謝料請求は、法律に基づいた正当な権利行使です。しかし、感情的になって相手を追い詰めるような行動を取ると、こちらが責任を問われるリスクがあります。
たとえば、以下のような行為には十分な注意が必要です。
- 相手の自宅や勤務先に押しかける
- 無断で家や建物に侵入する(住居侵入罪の可能性)
- 不倫の事実を第三者に暴露する(名誉毀損罪・侮辱罪)
- 退職や引越しを強要する(強要罪に問われる可能性)
慰謝料請求を円満に進めるには、冷静かつ適切な方法を守ることが不可欠です。不安がある場合は、無理をせず弁護士のサポートを活用しましょう。
慰謝料請求を自分でする場合のリスク
弁護士に依頼せずに自力で慰謝料請求を進めることは可能ですが、手続きや交渉に慣れていない方にとっては、さまざまなリスクが伴います。
特に、証拠の整理や時効の管理、示談書の作成などは慎重に行わなければ、結果的に不利な状況に陥るおそれがあります。
以下に、自分で慰謝料請求を行う際に注意すべき代表的なリスクをまとめました。
- ① 準備に手間取っていると慰謝料請求権が消滅時効にかかる
- ② 不備のない示談書を作成することが難しい
- ③ 受け取れる慰謝料額が少なくなる可能性がある
- ④ 相手が交渉に応じない可能性がある
- ⑤ 相手が弁護士を立てると不利になる
- ⑥ 精神的な負担が大きい
① 準備に手間取っていると慰謝料請求権が消滅時効にかかる
浮気を理由とした慰謝料請求には期限があり、一定の期間が過ぎると時効により請求できなくなります。
民法では、不法行為に基づく損害賠償請求権の時効について、次のいずれかの期間が経過すると完成すると定められています。
- 被害者が損害および加害者を知った時から3年
- 不法行為の時から20年
たとえば、不倫の事実と相手を知ってから3年が経過すると、原則として慰謝料の請求はできなくなります。また、相手を知らなかった場合でも、不貞行為から20年を経過すれば、請求できなくなる点にも注意が必要です。
ただし、時効が成立するか否かの判断は、事案によって異なるため、不安がある場合は早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
② 不備のない示談書を作成することが難しい
慰謝料の支払いについて当事者間で合意が成立した場合、その内容を記した示談書を作成する必要があります。
しかし、法的な知識がないまま作成すると、内容に不備が生じ、後日トラブルにつながるおそれがあります。
たとえば、慰謝料の金額や支払い方法、支払期限などが曖昧な記載だと、相手が支払いを拒否したり、減額を主張したりするリスクがあります。
弁護士に依頼すれば、将来の紛争を防止できるような法的に有効な示談書を作成してもらうことができます。
③ 受け取れる慰謝料額が少なくなる可能性がある
慰謝料の金額交渉において、相場や法的根拠に基づいた主張を行わなければ、本来受け取れるはずの金額より少ない金額で合意してしまう可能性があります。
特に、相手が弁護士を立てている場合は、法的知識や交渉術で圧倒され、不利な条件を受け入れてしまうことも考えられます。
弁護士に依頼すれば、事案に応じた慰謝料額を適切に算定し、最大限の回収を目指すことができます。
④ 相手が交渉に応じない可能性がある
交渉は相手の協力があって初めて成立しますが、個人での交渉では、相手に心理的な圧力を与えにくく、無視されたり拒否されたりすることもあります。
また、相手が感情的になり、交渉がこじれてしまう可能性もあります。
弁護士が代理人として交渉を行うことで、相手に真剣さを伝え、交渉に応じさせる効果が期待できます。
⑤ 相手が弁護士を立てると不利になる
相手が弁護士を代理人として立てた場合、個人では対等に交渉を進めることが難しくなります。
法的知識や証拠の主張方法などで差が出やすく、慰謝料の減額や請求棄却のリスクが高まります。
訴訟に発展した場合は、訴状の作成や証拠提出など、専門的な手続きをすべて自分で行う必要があり、大きな負担となるでしょう。
弁護士に依頼すれば、法的に適切な対応を取り、相手方弁護士との交渉や裁判も安心して任せることができます。
⑥ 精神的な負担が大きい
慰謝料請求には、相手と直接やり取りを行う必要があるため、精神的ストレスが大きくなる傾向があります。
とくに、不倫やDVなどが原因であれば、相手と関わること自体が強い負担となり、交渉や訴訟が長引けば心身ともに疲弊するおそれがあります。
弁護士に依頼すれば、相手との連絡や交渉をすべて任せることができ、精神的な負担を大幅に軽減できます。
浮気相手への慰謝料請求を弁護士に依頼するメリット
浮気相手への慰謝料請求は、ご自身で行うことも可能ですが、弁護士に依頼することで、以下のような多くのメリットがあります。
まず、弁護士は過去の裁判例や実務経験に基づき、適切な慰謝料額を算定することができます。これにより、相場から大きく外れた金額で合意してしまうリスクを避け、適正な金額での解決を目指すことが可能です。
また、弁護士が代理人として交渉にあたることで、相手に心理的なプレッシャーを与え、誠実な対応を促す効果も期待できます。自分で交渉する場合に比べて、話し合いがスムーズに進みやすくなります。
さらに、内容証明郵便の作成や示談交渉など、複雑な法的手続きをすべて任せられるため、精神的な負担が軽減されます。相手との直接交渉に不安を感じる方にとっては、大きな助けとなるでしょう。
万が一示談交渉が決裂した場合にも、訴訟手続きへの移行が必要になります。訴訟では訴状の作成や証拠提出、裁判所への出廷など、専門的な知識と経験が求められますが、弁護士に依頼すれば、これらの手続きをすべて任せることができます。
費用が気になる場合も、まずは無料相談を利用して見積もりを確認し、依頼の是非を検討することが大切です。無料相談を実施している法律事務所も多数ありますので、状況に応じて比較検討してみるとよいでしょう。
慰謝料請求をするなら当事務所にご相談を
配偶者の浮気による慰謝料請求は、弁護士に依頼せずに自力で行うことも可能です。当事者間で話し合う方法や、裁判を起こす方法など、手段自体は確立されています。
しかし、法律の専門知識が求められる場面も多く、時効の見落とし、示談書の不備、交渉の行き詰まりといったリスクは決して軽視できません。交渉や手続きをすべて自分で担うことに、大きな不安や負担を感じる方も少なくありません。
「失敗できない」「適切な金額で確実に解決したい」とお考えであれば、専門家のサポートを受けるのが最も確実です。
当事務所では、不倫慰謝料問題に精通した弁護士が、ご相談者様の状況に合わせて最適な解決方法をご提案いたします。証拠の確認、慰謝料額の見積もり、示談書の作成から交渉・訴訟対応まで、すべてお任せいただけます。
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