慰謝料請求は弁護士なしでもできる?自分で行う5つのポイント

「慰謝料請求は自分でもできるのだろうか。弁護士に頼めば費用がかかるし、できることなら自力でやりたい」。そう考えて調べ始めた方も多いはずです。

先に結論をお伝えします。慰謝料請求は弁護士なしでも進められます。代理人を立てなければ請求できないという決まりはありません。

ただし、請求できることと実際に支払ってもらえることは別です。進め方を誤ると、無視されたり相場より低い金額で合意してしまったりします。

この記事では、男女トラブルに強い弁護士が、次の点を解説します。

  • 自力で請求を進めるときの具体的な手順
  • 弁護士なしで進めるときのポイントと限界
  • 自分で進めてよいケースと依頼すべきケース

お読みいただくと、ご自身のケースを一人で進めてよいのかを判断できます。

なお、慰謝料の請求でお悩みの方は、一人で抱え込まず、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談をご利用ください

誰でも気軽に弁護士に相談できます
  • 全国どこからでもメールや電話、LINEでの無料相談ができます
  • 24時間年中無休ですので早急な対応が可能です
  • 男女問題を穏便かつ早急に解決することを得意としております

慰謝料請求は弁護士なしでも自分でできる?

慰謝料請求は、弁護士に依頼しなくても自分で進められます。相手に請求書を送ることも、話し合うことも、裁判を起こすことも、法律上は本人の権利として認められています。

問題は、その先です。相手が素直に応じるとは限らず、応じなかったときに何ができるのかで、自力で進められる範囲は決まります。

弁護士に依頼しなくても請求そのものはできる

慰謝料請求は、民法709条・710条を根拠とする損害賠償の請求です。この権利を自分で行使することに、法律上の制限はありません。

実際、次のような手続きは弁護士に頼まなくても行えます。

  • 相手に電話やメールで支払いを求める
  • 自分の名前で内容証明郵便を送る
  • 裁判所に調停を申し立てる
  • 裁判所に訴えを起こす(本人訴訟)

訴訟を代理人なしで行うことは「本人訴訟」と呼ばれ、実務でも珍しいものではありません。簡易裁判所では、請求額が60万円以下の金銭請求について少額訴訟を求めることができます(民事訴訟法368条1項)。原則として1回の期日で審理を終えて判決に至る手続きです。ただし証拠はその場ですぐに調べられるものに限られ、相手が通常の訴訟への移行を申し出ればそちらへ移ります(民事訴訟法371条・373条1項)。同じ簡易裁判所で1年に利用できる回数にも上限があります。

「請求できること」と「実際に回収できること」は別

ここで見落とされやすいのが、慰謝料請求と回収のあいだにある距離です。相手が「払うつもりはない」と言えば、請求書を何通送っても、話し合いを何度重ねても、お金は動きません。

任意に支払わない相手から強制的に回収するには、給与や預金を差し押さえる強制執行が必要になります。そして強制執行をするには、債務名義と呼ばれる公的な文書がなければなりません(民事執行法22条)。

債務名義になるのは、確定判決や裁判上の和解調書、調停調書などです。当事者どうしで作った示談書は、それだけでは債務名義になりません。ただし公証役場で「直ちに強制執行に服する」旨の記載を入れた公正証書(執行証書。同条5号)にしておけば、裁判をしなくても強制執行に進める可能性があります。

つまり自分で進める場合は、相手がどこまで応じるかで難易度が大きく変わります。支払いには応じるものの、その後も続くか不安な相手なら、示談書を公正証書にしておくこと。支払いを拒む相手や、話し合いにも応じない相手なら、最初から裁判所の手続きを視野に入れておくことになります。

婚約破棄や貞操権侵害、内縁の解消でも手順の大枠は同じ

慰謝料請求というと配偶者の不倫を思い浮かべる方が多いのですが、請求できる場面はそれだけではありません。

結婚していない男女のあいだでも、次のようなケースでは慰謝料を請求できる場合があります。

  • 正当な理由なく一方的に婚約を破棄された
  • 既婚であることを隠されたまま交際し、肉体関係を持った(貞操権の侵害)
  • 内縁関係を不当に解消された
  • 交際中に暴力を受けた
  • 中絶を強いられた

多くは民法709条・710条の不法行為に基づく請求です。婚約破棄や内縁関係の解消については、約束を守らなかったことを理由とする債務不履行(民法415条)として請求できる場合もあります。いずれにしても、証拠をそろえて自分で相手に請求し、まとまらなければ裁判所へ進むという流れは変わりません。この記事で説明する手順の大枠は、どの類型にも共通して使えます。

類型によって違うのは、金額の目安と何を立証すべきかという点、そして後述する時効の期間や、どの裁判所にどう進めるかという手続きの入り口です。類型ごとの相場は、婚約破棄なら「婚約破棄の慰謝料はいくらもらえる?相場や請求できるケース」など個別の記事で詳しく解説しています。

自分で慰謝料請求をするときの手順と流れ

自分で慰謝料請求をする場合、いきなり書面を送るのではなく、準備から段階を追って進めます。証拠は話し合いを始める前にそろえておく必要があり、時効が残っているかも先に確かめておきます(いずれも次章で説明します)。全体の流れは次のとおりです。

  1. 相手の氏名と住所を確認する
  2. 請求する金額と支払期限を決める
  3. 電話やメールで話し合いを申し入れる
  4. 応じない場合は内容証明郵便で請求する
  5. 合意できたら示談書を作成する
  6. 決裂したら調停や訴訟に進む

① 相手の氏名と住所を確認する

手順の最初にやるべきは、慰謝料請求の相手を特定することです。氏名と住所が分からなければ、内容証明郵便を送ることができず、訴訟の手続きも前に進みません。

手がかりの集め方としては、SNSのプロフィールや投稿をたどる、共通の知人に尋ねる、探偵事務所や興信所に調査を依頼する、といった方法があります。調査を外部に頼めば費用がかかりますので、弁護士に依頼した場合の費用と見比べて決めてください。

なお、弁護士に依頼した場合には、受任している事件について弁護士会を通じて官公庁や企業に報告を求める弁護士会照会という制度を使えることがあります(弁護士法23条の2第1項)。実務では携帯電話番号や車のナンバーから氏名・住所をたどる場面で使われますが、弁護士会が申出を適当でないと判断すれば拒絶され、照会先が必ず回答するとも限りません。

② 請求する金額と支払期限を決める

相手が分かったら、いくらを、いつまでに払ってもらうのかを決めます。慰謝料請求は金額と期限が決まってはじめて形になるもので、ここが曖昧なままだと交渉の着地点が見えません。

金額は、次章で説明する相場を踏まえて決めます。支払期限は、書面が届いてから1〜2週間程度に設定するのが一般的です。分割払いを認めるかどうかも、この段階で自分で線を引いておきます。

③ 電話やメールで話し合いを申し入れる

自分で慰謝料請求を進める場合、いきなり書面を送るより、まず連絡を取って話し合いの場を設けるほうが、相手が身構えずに応じやすい面があります。

電話で話す場合は、あとで「そんなことは言っていない」と争いになることを避けるため、録音を残しておくとよいでしょう。自分が当事者として参加している会話の録音は、裁判で証拠として扱われることが一般的です

やり取りをメールやLINEなどのメッセージアプリで行った場合は、削除せずに保存しておきます。相手が支払いを認める発言をした記録は、それ自体が有力な証拠になります。

④ 応じない場合は内容証明郵便で請求する

連絡しても返事がない、話し合いを拒まれるという場合には、内容証明郵便を送ります。

内容証明郵便は、いつ・誰が・どのような内容の文書を誰あてに差し出したかを日本郵便が証明してくれる制度です。慰謝料請求をした事実とその日付が記録として残るため、後に裁判になったときの証拠として使えます。自分で出した書面でも、届くこと自体が相手に本気度を伝える効果を持ちます。

記載するのは、請求の理由となる事実、請求金額、支払期限、振込先、返答がない場合に法的手続きを検討する旨などです。同じ文面を3通用意し、差出人と受取人の住所氏名を書いた封筒および料金とあわせて郵便局の窓口に出します(一般書留とする必要があります)。このうち郵便局が保管する謄本には字数・行数の制限があり、縦書きなら1行20字以内かつ1枚26行以内、横書きなら1行26字以内かつ1枚20行以内などの形式に収めないと受け付けてもらえません。また、内容証明を扱っているのは集配郵便局など一部の郵便局に限られるため、出向く前に、行こうとしている郵便局で取り扱っているかを確かめてください。インターネットから出せる電子内容証明(e内容証明)もあります。配達証明を付けておけば、相手に届いた日付も残せます。

⑤ 合意できたら示談書を作成する

金額と支払方法で折り合いがついたら、必ず書面にします。自分で進めた慰謝料請求ではとくに、合意を口約束のままにすると、後から「そんな約束はしていない」と覆されかねません。

示談書に入れておきたい項目は、おおむね次のとおりです。

  • 慰謝料の金額
  • 支払方法と支払期限(分割の場合は各回の金額と期日)
  • 清算条項(当事者間に他の債権債務がないことの確認)
  • 今後の連絡・接触を禁止する条項
  • 合意内容を第三者に口外しない旨の条項

分割払いにする場合は、支払いが滞ったときに残額を一括で請求できる条項(期限の利益喪失条項)を入れておくと、その後の回収に動きやすくなります。

また、示談書は公正証書にすることもできます。前述の「直ちに強制執行に服する」旨の記載を入れておけば、支払いが止まったときに裁判を経ずに回収へ動ける可能性があります。ただし公正証書は、相手の関与なしには作れません。当事者双方が公証役場に出向くのが基本です。相手が出向けない場合は代理人を立てられますが、ご自身が相手の代理人を兼ねることは原則としてできません。相手に別の代理人を立ててもらい、実印を押した委任状と印鑑証明書を用意してもらう必要があります(2025年10月からは、公証人が相当と認め、相手にも異議がなければ、ウェブ会議を使って出向かずに作成することもできます)。公正証書にするつもりなら、示談の交渉段階で「公正証書にすること」自体を合意に含めておいてください。

⑥ 決裂したら調停や訴訟に進む

話し合いでも内容証明郵便でも慰謝料請求が通らない場合は、裁判所の手続きに移ります。

請求額が60万円以下で、相手が不貞相手や交際相手であれば、前述の少額訴訟という選択肢もあります。金額を問わずまず考えられるのが調停ですが、どの裁判所に申し立てるかは請求の類型で変わります。

分かれ目は、相手との関係です。不貞相手や交際相手のように、婚約・内縁・婚姻のいずれの関係もない相手へ請求する場合は、相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に民事調停を申し立てます(民事調停法3条1項)。これに対し、婚約者・内縁の相手・配偶者への請求は家庭に関する事件にあたるため、相手方の住所地の家庭裁判所に調停を申し立てます(家事事件手続法244条・245条1項)。内縁関係の解消であれば「内縁関係調整調停」として、解消そのものと慰謝料を一緒に話し合えます。

いずれも調停委員が間に入って話し合いを進める手続きで、訴訟より費用が低く、非公開で行われます。当事者だけでは感情的になって進まない場合に、第三者を入れる選択肢として使えます。ただし相手が出頭しなければ成立しません。

調停が不成立に終わった場合は、自分で訴訟を提起します。不貞相手や交際相手であれば、調停を経ずに最初から訴訟を起こすこともできます。一方、婚約者・内縁の相手・配偶者への請求は、調停を申し立てずに訴えを起こしても裁判所の職権で調停に付されるのが原則です(家事事件手続法257条)。この類型では調停から始めてください。

訴訟をどこに起こすかは、調停とは別に決まります。裁判所の種類は請求額で分かれ、140万円以下なら簡易裁判所、140万円を超えるなら地方裁判所です(裁判所法33条1項1号)。

場所は、相手の住所地(民事訴訟法4条1項)や不貞・暴力があった場所(同法5条9号)のほか、慰謝料は金銭の支払いにあたるため、ご自身の住所地を管轄する裁判所にも起こせます(同条1号、民法484条1項)。相手が遠方でも自分の近くで進められる可能性があるということです。ただし相手から申立てがあれば、裁判所の判断で相手の住所地などへ移されることもあります(民事訴訟法17条)。婚約破棄や内縁関係の解消はもちろん、配偶者への請求であっても、訴訟は家庭裁判所ではありません。ただし配偶者に対して離婚とあわせて慰謝料を求める場合は例外で、離婚の訴えは家庭裁判所の専属管轄とされているため(人事訴訟法4条1項)、慰謝料もその訴訟にまとめて家庭裁判所に提起できます(同法17条1項)。

訴状と証拠を提出したあとは、期日ごとに双方が主張と証拠を出し合い、和解が成立しなければ判決が出されます。

訴訟では、慰謝料を請求する側が、請求の根拠となる事実を証拠で立証しなければなりません。何をどこまで立証すべきかの見極めが必要になるため、この段階で弁護士への依頼を検討する方が多い場面でもあります。

自分で請求するときに押さえておきたい5つのポイント

自分で慰謝料請求を進める場合、次の5点を先に押さえておくかどうかで結果が変わります。

  • ① 何のために請求するのかを決めておく
  • ② 話し合いを始める前に証拠をそろえる
  • ③ 請求する金額を相場から大きく外さない
  • ④ 時効が完成していないかを先に確認する
  • ⑤ やってはいけない言動を知っておく

① 何のために請求するのかを決めておく

自分で慰謝料請求を始める前に、何を望んでいるのかを言葉にしておきましょう。

「今後の生活資金を確保したい」のか、「二度と関わらないと約束させたい」のか、「きちんと責任を認めさせたい」のか。目的が違えば、譲れない条件も、どこで妥協するかも変わります。

目的が定まらないまま感情をぶつけるだけになると、交渉は長引き、本来引き出せたはずの条件を逃すこともあります。金額よりも接触禁止の約束を優先する、という判断もありえます。

② 話し合いを始める前に証拠をそろえる

慰謝料請求には、根拠となる事実があったことを示す証拠が欠かせません。相手が事実を否定したとき、証拠がなければ立証できず、請求が認められないおそれがあります。

不貞行為を理由とする場合、次のようなものが証拠として扱われています。

  • ラブホテルや自宅に出入りする様子を撮影した写真・動画
  • 肉体関係をうかがわせるメールやメッセージのやり取り
  • ラブホテルの領収書やクレジットカードの利用明細
  • 本人が関係を認めた発言の録音

婚約破棄であれば婚約指輪の購入記録や両家の顔合わせの写真、貞操権の侵害であれば既婚の事実を隠していたことが分かるやり取りというように、何を集めるべきかは請求の類型によって変わります。

気をつけたいのは、集め方です。相手の家に無断で入る、部屋に盗聴器を仕掛けるといった方法で集めた場合、こちらが住居侵入罪(刑法130条)などに問われるおそれがあります。話し合いを始める前に、合法的な方法で自分が集められる証拠をそろえておきましょう。

③ 請求する金額を相場から大きく外さない

「相手に思い知らせたいから高額を請求したい」という気持ちは自然ですが、相場を大きく超える金額は交渉を止めてしまいます。

過大な請求は相手の反発を招いて交渉が決裂しやすく、裁判でも相場を大きく超える額が認められることは通常ありません。請求の仕方そのものを問題視されれば、話がこじれるだけで終わります。

慰謝料の金額は請求の類型によって幅があり、不貞行為を理由とする場合は数十万円から300万円程度が一つの目安とされています。婚約破棄や内縁関係の解消など、類型ごとの目安は「内縁関係でも慰謝料請求できる4つのケースと相場・方法を解説」など個別の記事でまとめています。自分のケースに近いものを確認してから金額を決めてください。ただし貞操権の侵害や交際中の暴力、中絶の強要のように、経緯やけがの程度で幅が大きく、一律の目安を示しにくい類型もあります。近い目安が見当たらない場合は、金額を決める前に一度弁護士にご相談ください。

④ 時効が完成していないかを先に確認する

慰謝料請求には期限があります。一定の期間が過ぎると、時効によって請求できなくなります。

不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。

一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。

二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。

出典:e-Gov法令検索

浮気相手に対する慰謝料であれば、不貞の事実と相手が誰かを知った時から3年が基本の期限です。相手が誰か分からないまま時間が経った場合でも、不法行為の時から20年で請求できなくなります。

ただし、暴力を受けたときのように生命または身体を害する不法行為にあたる場合は、知った時から5年に延びます(民法724条の2)。婚約破棄や内縁関係の解消を債務不履行として請求する場合は、権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年という別の期間が適用されます(民法166条1項)。どの期間が当てはまるかは、何を理由に請求するかで変わります。

時効が迫っているときは、内容証明郵便で請求(催告)を出しておくと、そこから6か月間は時効が完成しません(民法150条1項)。ただし猶予されるのは1回だけで、繰り返し催告しても期間は延びません。この6か月のあいだに、調停の申立てや訴訟の提起といった次の手を打つ必要があります。

いつを起算点とするかは事案によって判断が分かれることがあり、交渉中に期限が迫っているケースもあります。残り時間に不安があるなら、請求を始める前に弁護士へ確認しておくほうが安全です。

⑤ やってはいけない言動を知っておく

慰謝料請求は法律で認められた正当な権利行使ですが、進め方によっては、こちらが責任を問われる側に回ります。自分で請求する側がやってはいけない言動を、先に知っておいてください。

次のような行為は避けてください。

  • 相手の自宅や勤務先に押しかける(住居侵入罪・建造物侵入罪・刑法130条にあたるおそれ)
  • 不特定または多数の人が知りうる形で事実を広める(SNSへの投稿など。名誉毀損罪・刑法230条にあたるおそれ)
  • 不特定または多数の人が知りうる形で、事実を示さずに相手をおとしめる(侮辱罪・刑法231条にあたるおそれ)
  • 相手の家族や勤務先に事実を伝えて追い込む(逆に損害賠償を求められるおそれ)
  • 害を加えると告げて、義務のない退職や引っ越しをさせる(強要罪・刑法223条にあたるおそれ)
  • 相場からかけ離れた金額を、支払わなければ職場に言うと告げて支払わせる(恐喝罪・刑法249条にあたるおそれ)
  • その場で示談書に署名させる(あとから合意の効力を争われるおそれ)

とくに勤務先や家族への通知は、相手を追い込めば払うだろうという発想から出やすいのですが、名誉毀損などを理由に逆に損害賠償を請求される火種になります。名誉毀損罪の法定刑は3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金で、押しかけが住居侵入罪・建造物侵入罪にあたれば3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金、退職や引っ越しを迫って強要罪にあたれば3年以下の拘禁刑と定められています。社会通念上の範囲を超えた方法で迫って実際に支払わせれば、10年以下の拘禁刑が定められた恐喝罪に問われる可能性もあります。相手の親など家族に事実を伝える行為が違法にあたるかどうかは「浮気相手の親に浮気をばらす行為は違法?NGな理由を解説」をご確認ください。

また、対面で示談書を出して「今ここで署名してほしい」と迫るのも避けたほうがよいでしょう。あとから「強引に書かされた」と主張され、合意の効力そのものを争われることがあります。

弁護士なしで慰謝料請求を進めると起こりやすい6つの問題

自分で慰謝料請求に取り組むのは可能ですが、実際には次のようなリスクや壁にぶつかることがあります。

  • ① 無視される・連絡が取れなくなる
  • ② 証拠が足りないと言い逃れされる
  • ③ 相場より低い金額で合意してしまう
  • ④ 示談書の不備で後からトラブルになる
  • ⑤ 相手に弁護士がつくと交渉が不利になる
  • ⑥ 精神的な負担が大きい

① 無視される・連絡が取れなくなる

交渉は相手が応じてはじめて成り立ちます。ところが自分で行う慰謝料請求は、相手にとって「放っておけば済むかもしれない」ものに見えやすく、返事が来ないまま時間だけが過ぎることがあります。

連絡先を変えられる、着信を拒否されるといった対応をとられると、内容証明郵便を送るか裁判所の手続きに進むしか手がなくなります。

② 証拠が足りないと言い逃れされる

慰謝料請求の根拠となる事実を立証する責任は、請求する側にあります。相手が「そんな事実はない」と否定したとき、それを覆すのは自分の側です。

手元にある材料が証拠としてどこまで通用するのかは、判断が難しいところです。十分だと思って請求したのに、相手に不足を突かれて交渉が止まる、というのは自分で進める場合に起きやすい展開です。

③ 相場より低い金額で合意してしまう

慰謝料請求で認められる金額は、事情によって増減します。関係が続いた期間、子どもへの影響、精神的な苦痛の程度など、金額を左右する事情はいくつもあります。

これらを自分で整理して主張できないと、相手の提示額が妥当なのか判断できません。早く終わらせたい気持ちから、本来受け取れたはずの金額を下回る条件で合意してしまうことがあります

④ 示談書の不備で後からトラブルになる

慰謝料請求の示談書は、書き方しだいで効き目が変わります。自分で作った書面は金額や支払期限の記載が曖昧になりやすく、相手が支払いを渋ったときに争いの種になります。

手順⑤で挙げた清算条項・接触禁止・期限の利益喪失条項のどれかが抜けると、解決したはずの件で再び請求を受けたり、相手が滞納しても残額を一括請求できなかったりします。書面の不備は、相手が応じなければあとから直すことができません。

⑤ 相手に弁護士がつくと交渉が不利になる

相手が弁護士を代理人に立てた場合、こちらだけが本人という状態になります。

相手方の弁護士は、証拠の弱いところや法的な主張の組み立て方を熟知しています。専門家と一般の方が同じ土俵で向き合う形になり、交渉の進め方そのものを相手に握られます。訴訟に発展すれば、訴状の作成から証拠の提出、期日への出頭まで、すべて自分で対応することになります。相手方の弁護士から連絡が来ないまま交渉が止まってしまう場合の対応は「慰謝料請求で相手の弁護士から連絡がない!その理由と対応方法」で解説しています。

⑥ 精神的な負担が大きい

自分で慰謝料請求を進めるということは、相手と直接やり取りを続けるということです。

関係が壊れた相手と連絡を取り合うこと自体が負担になりますし、交渉が長引けば消耗します。仕事や生活と並行して、書面の作成や期日の対応を続けるのも簡単ではありません。ここは金額に表れない、しかし現実には大きなコストです。

自分で進めてよいケースと、弁護士に依頼すべきケース

すべてのケースで弁護士が必要というわけではありません。慰謝料請求を自分で進めてよい場面と、弁護士に任せたほうがよい場面があります。

相手が支払いに合意しているケースは自分で進めてよい

相手が事実を認め、支払う意思を示している場合は、自分で慰謝料請求を進めても大きな問題は起きにくいでしょう。金額と支払方法、支払期限を話し合って決め、示談書にまとめれば完了します。

ただし、口約束のまま終わらせないでください。分割払いにする場合や、相手の支払能力に不安がある場合は、公正証書にしておくと後の回収に備えられます

請求額が少額なら費用倒れになるケースがある

慰謝料請求できる金額がもともと小さく、数十万円にとどまりそうな場合は、弁護士費用のほうが上回ってしまうことがあります。手元に残る金額を優先するなら、自分で進めるという判断は合理的です。

費用の目安としては、日本弁護士連合会が全国の弁護士に対して行ったアンケートが参考になります。300万円の返還を求める貸金の事案では、弁護士名で内容証明郵便を出すときの手数料は3万円、そこから訴訟を起こすときの着手金は20万円、全額を回収できたときの報酬金は30万円という回答が最も多くなっています(いずれも消費税を含みません)。

ただし2004年に弁護士会の報酬基準は廃止され、現在は各弁護士が報酬を自由に定めています。日弁連も、着手金と報酬金の組み合わせはさまざまで、着手金が高いときは報酬金が低いこともあると注記しており、事案の種類や請求額が違えば金額も変わります。それでも、着手金は結果にかかわらず先に支払うもので、回収できたときにはそこから報酬金も差し引かれます。請求できる金額が数十万円にとどまる事案では、手元に残る額が費用に圧迫されやすいことは押さえておいてください。
出典:日本弁護士連合会「市民のための弁護士報酬ガイド」2008年度アンケート結果版

もっとも、費用倒れになるかどうかは、想定される金額と回収の見込みが見えないと一人では判断しにくいところです。多くの法律事務所が初回の相談を無料で受け付けていますので、依頼するかどうかを決める前に、見通しだけでも聞いてみることをおすすめします。

相手が事実を否定しているケースは弁護士に依頼する

相手が「そんな事実はない」と争っている場合、慰謝料請求の勝負は証拠の評価に移ります。手元の材料でどこまで立証できるのか、足りないなら何を補うのかという設計が必要になります。

この見立てを誤ると、交渉が止まるだけでなく、訴訟でも認められない結果になりかねません。争いになっている時点で、専門家に見てもらう価値があります。

相手に弁護士がついたケースは自分で交渉しない

相手方から弁護士名義の通知が届いたら、そこから先の慰謝料請求を自分で進めるのは避けてください。届いた通知への対応方法については「弁護士からの内容証明・通知書の連絡を無視はNG!対応方法を解説」をご参照ください。

相手方の弁護士は依頼者の利益のために動きます。提示された減額の理由が法的に妥当なのか、清算条項の書きぶりに問題はないか、といった点を本人が見抜くのは難しいところです。相手に代理人がついた時点が、こちらも依頼を検討すべきタイミングといえます

逆に慰謝料を請求されたケースも自分で対応しない

自分で慰謝料請求をしたつもりが、相手から逆に請求を受けることもあります。証拠の集め方や請求の仕方を問題視され、損害賠償を求められる場合が典型です。

また、慰謝料を支払った不倫相手が、負担すべき割合に応じた分をご自身の配偶者に求償することもあります。矛先が向くのはご自身ではありませんが、世帯として見れば受け取った金額がその分だけ目減りします。

ご自身が請求を受けたときは、まず、請求の根拠が何か、金額が相場から外れていないか、時効が過ぎていないかの3点を確認してください。請求する側と請求される側では、確認すべきことも取るべき対応もまったく違います。請求された側の対応については「浮気相手から慰謝料請求された!支払義務と認められる例外」で解説していますので、そちらをご確認ください。無視を続けると訴訟を起こされ、争う機会を失うおそれがあります。請求する側として動いてきたぶん冷静な判断が難しくなる場面ですので、一人で抱えず弁護士にご相談ください。

弁護士に依頼すると慰謝料請求はどう変わる?

弁護士に依頼すると、慰謝料請求の窓口がすべて代理人に移ります。相手と直接やり取りしなくてよくなるだけでも、自分で進めていたときの負担はかなり軽くなります。

交渉面では、過去の裁判例や実務の水準を踏まえて金額の見通しを立て、増減の事情を根拠として示しながら交渉を進めます。代理人名義で書面が届くこと自体が、相手に対応を促す効果を持つこともあります。示談書の作成や公正証書化、訴訟に発展した場合の対応まで、一貫して任せられます。

費用の体系は事務所によって異なります。着手金や報酬金の有無、算定方法、費用倒れになりそうかどうかも含めて、まずは無料相談で見積もりを確認したうえで、依頼するかどうかを判断してください。

慰謝料請求を自分で進めるか迷ったら当事務所にご相談ください

ここまで見てきたとおり、代理人を立てずに請求すること自体は可能です。相手が事実を認めて支払う意思を示しているなら、自分で進めて手元に残る金額を増やすほうが合理的な場合もあります。

一方で、相手に無視されている、事実を否定されている、相手に弁護士がついている、時効が迫っている。こうした状況では、自分で進めることが不利に働きます。

当事務所は、婚約破棄や貞操権の侵害、内縁関係の解消、不貞行為といった男女トラブルの慰謝料請求を数多く扱ってきました。証拠の評価から金額の見通し、相手方との交渉、書面の作成までを通してお引き受けします。相手方とのやり取りは弁護士が窓口になりますので、直接顔を合わせずに解決を目指せます。

ご自身で進めると決めた方は、この記事の手順に沿って、証拠と時効の確認から始めてください。判断に迷う方は、お話をうかがったうえで、ご自身で進めたほうがよいケースであればその旨もお伝えします。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください

誰でも気軽に弁護士に相談できます
  • 全国どこからでもメールや電話、LINEでの無料相談ができます
  • 24時間年中無休ですので早急な対応が可能です
  • 男女問題を穏便かつ早急に解決することを得意としております

この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

男女問題・男女トラブルに強い法律事務所の代表弁護士。事務所全体で年間1,500件以上の男女トラブル相談を受けており、不倫慰謝料、妊娠トラブル、婚約破棄、パパ活トラブル、ストーカー被害など、他人に相談しづらい問題を穏便かつ内密に解決することを得意とする。相手の暴力的・脅迫的な言動にも弁護士が毅然と対応し、依頼者の平穏な生活を取り戻すために全力を尽くしている。

不倫慰謝料 妊娠トラブル 婚約破棄 パパ活トラブル ストーカー被害 男女間の金銭トラブル
メディア掲載 フジテレビ「とくダネ」/ ダイヤモンド・オンライン / @DIME / サイゾー 他多数
講演実績 「不当要求対応の基礎」「犯罪組織によるマネー・ロンダリングと投資詐欺への法的処置」等
男女問題・男女トラブルの弁護士無料相談

全国どこからでも、24時間、弁護士による男女問題・男女トラブルの相談を受け付けております。

穏便に解決したいがどう対処していいか分らない…
トラブルになっていて怖い・苦しい。今すぐに解決方法を知りたい

そのような悩みを抱えているのであればお気軽に当法律事務所までご相談下さい。きっとあなたのお力になれるはずです。

男女問題・男女トラブルが生じる前の、穏やかで安心した生活をおくれるよう、弁護士が全力であなたを守ります