離婚届は郵送で提出OK。郵送前に決めておくべきことと3つの注意点

結論から言いますと、離婚届は郵送で提出することができます

離婚届はネットからダウンロードできますので、自宅に居ながら誰とも会わずに離婚を成立させることができます。

しかし便利な反面、離婚届を郵送する、郵送する前の離婚届に記入するにあたって必ず注意していただきたいことがあります

そこでこの記事では、離婚届を郵送で提出するまえに確認すべき注意事項を弁護士がわかりやすく解説していきます。

およそ3分程度で簡単に読めますし、役所に出向かずに楽に離婚届を提出できるはずが逆に手間が増えてしまわないためにも、最後までご一読されることをお勧めします。

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離婚届を郵送する際の3つの注意点

離婚届を郵送する際は、以下の3点に注意する必要があります。

⑴ 離婚成立日は離婚届を郵送した日ではない

「協議離婚」の場合、市区町村が正式に離婚届を受理した日が離婚成立日です。

”正式に”という点がポイントで、例え郵送した離婚届が市区町村役場に届いたとしても、土日祝日や役場の閉庁時間後に届いたのであれば、それは単なる”預かり”になります。

離婚届が正式に受理されるためには、離婚届の記載などに不備がないかを、平日の日中に役場にいる職員にチェックしてもらう必要があるからです。

離婚届を郵送した日が離婚成立日でない点に気を付けましょう。

⑵ 離婚届と同封する書類があり、離婚形式により異なる

離婚届を郵送する際、離婚届のほかに必要書類を不備なく同封する必要があります。また、以下のとおり必要書類は離婚形式により異なりますので注意が必要です。

※後で触れますが、本籍地がある市区町村役場に離婚届を提出する場合は戸籍謄本は不要となりますので注意してください

① 協議離婚

離婚届、戸籍謄本、身分証明書(運転免許証等)の写し

② 調停離婚

離婚届、戸籍謄本、調停調書の謄本

③ 裁判離婚

離婚届、戸籍謄本、和解調書の謄本(和解成立の場合)、認諾調書の謄本(相手方が請求を認諾した場合)、判決謄本及び判決の確定証明書(判決にまで至った場合)

⑶ 離婚届の記載に不備があると市区町村役場に出向く必要がある

離婚届の記載に不備があると離婚届が受理されません

そして、あらためて受理してもらうには市区町村役場に出向き、離婚届の不備があった箇所について訂正する必要があります。

そういう事態とならないためにも、離婚届に記入する際は細心の注意を払い、郵送する前に不備がないかどうか何度も見返すことが大切です。

なお、離婚届の欄外には連絡先を記入する箇所がありますので、役所が開庁している平日の昼間に連絡をとることが可能な電話番号の記入をするようにしましょう。

記入していないと、離婚届の記載に不備があっても役所からの連絡を受けることができないため、離婚が成立していない状態が続いていることに長期間気付かないことになるためです。

離婚届を郵送するメリット、デメリット

⑴ メリット

① 市区町村役場に行く手間、時間を省ける

子育てや仕事等でなかなか役所に行く時間を作れないという方にとってはメリットといえます。

② 周囲の目を気にしなくて済む

離婚届を直接窓口に持参するとなると、どうしても周囲の目を気にしてしまうという方も中にはおられるでしょう。

「万が一知り合いにでも遭遇したら…」と考えるとなおさら直接持参することには躊躇してしまうのではないでしょうか?

この点、郵送であれば誰とも顔を合わせずに済みますから、そうした心配をする必要がありません。

③本籍地に郵送する場合は戸籍謄本が不要

自分の本籍地以外に居住地を設けている方も多いとは思いますが、その場合、離婚届を居住地の役場に出向いて提出する時は戸籍謄本も必要となります。

自分の本籍地の市町村役場まで出向いて離婚届を提出すれば戸籍謄本は不要となりますが、本籍地が遠方の場合には時間も手間も交通費もかかってしまいます。

戸籍謄本は本籍地から郵送で取り寄せることもできますが、それすら面倒くさいですよね。

この点、離婚届を本籍地のある役場に郵送で提出することで戸籍謄本は不要となりますのでひと手間省けることになります

⑵ デメリット

離婚届や提出すべき必要書類に不備があった場合は、訂正のために、提出した市区町村まで出向く必要があります

しかも離婚届の訂正は役場が開庁している昼間しか受け付けていません。

せっかく役所に足を運ぶことなく楽するはずだったのにこのような事態になってしまえば目も当てられません。

3.離婚届が不受理とならないための注意点

以上からお分かりいただけるように、離婚届を郵送する際は、離婚届の記載内容や同封する必要書類に不備がないかどうか入念にチェックする必要があります。

以下では離婚届に記入する際の注意点をご紹介します。

(1)文字を消せるタイプのボールペンは使わない

「間違えたときにすぐに修正できるから」といって文字を消せるタイプのボールペンを使うのはNGです。

文字を消せるタイプのボールペンでの記入では、他方配偶者を含めて本人以外の方が修正する余地を与えてしまうことになり、記載内容の信用性に疑義が生じてしまうからです。

(2)修正は修正箇所を二重線で丁寧に消して線の上又は横に押印

そして、記入内容の修正は、文字を消せないタイプのボールペンを使って、修正箇所を二重線で消し、その上又は横に押印して行います。修正液や修正テープの使用は厳禁ですので注意しましょう。

(3)印鑑はシャチハタを使わない

離婚届に押印する印鑑はシャチハタ以外の印鑑(実印や認印)を使いましょう。

シャチハタは大量生産のため同型が多く流通しているため誰でも入手可能です。また、ゴム印のため劣化してしまい、長期間の認証が困難であるため離婚届での使用は認められていません

4.お金に関することは離婚届の郵送前に決めておくこと

お金のこととは、慰謝料財産分与養育費のことです。

「早く離婚したいし、離婚届を出してから話し合えばいいや」と考える方もいるかもしれませんが、離婚が成立してしまうと当初の目的が達成されたため、相手方がお金についての話し合いに消極的になることもあります。離婚原因が相手方にある場合であればなおさらでしょう。

その場合、訴訟を起こしたり、家庭裁判所に調停を申し立てるなど面倒な手間が増えるだけです。

また、(不貞などの)慰謝料は離婚成立日から3年、財産分与については2年で時効となってしまいます。

焦って離婚届を提出したがために時効のスタートを早めてしまうのは勿体ないでしょう。

これらの理由から、お金に関することは離婚届の郵送前にしっかりと夫婦で話し合い、離婚協議書にまとめたうえで公正証書にしておくことをお勧めします

5.まとめ

離婚届を郵送することも可能ですが、郵送する前に記入内容及び同封すべき必要書類に不備がないかどうか入念にチェックしましょう。

仮に不備があると、後日、市区町村の窓口まで出向いて訂正する必要があり、二度手間となってしまいます。

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