婚約破棄の慰謝料はいくらもらえる?相場や請求できるケース

「婚約破棄された相手に慰謝料を請求したいけれど、いくらもらえるのか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。婚約破棄の慰謝料は、50万円〜200万円程度が相場の目安です。ただし請求が認められるには、婚約が成立していたことと、相手が正当な理由なく破棄したこと(相手の不倫や暴力でこちらからやめた場合も同様)の2つが必要です。

この記事では、男女トラブルに強い弁護士が、これから請求する側の方に向けて次の点をお伝えします。

  • 婚約破棄で慰謝料を請求できる条件
  • 慰謝料の相場と金額が高くなる事情
  • 請求に必要な証拠と手続きの流れ

お読みいただくことで、ご自身のケースで請求できるか、いくらを目安に求めればよいか、そして今から何を残しておくべきかを判断できます。

なお、この件でお悩みの方は、一人で抱え込まず、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談をご利用ください。地域を問わずご相談を承っています。

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婚約破棄とは

婚約とは、将来結婚することを二人で約束した状態をいい、法律上は「婚姻の予約」とも呼ばれます。婚約破棄とは、成立した婚約を一方の意思だけで取りやめることです。

婚約は法的に保護される約束であるため、正当な理由のない一方的な破棄に対しては、慰謝料をはじめとする損害賠償を請求できることがあります。請求の根拠としては、約束を守らなかった責任を問う債務不履行(民法415条)と、相手の権利を不当に侵害した責任を問う不法行為(民法709条)の2つが考えられます。

なお、二人で話し合ったうえで結婚を取りやめた場合は「婚約解消」と呼ばれ、婚約破棄とは区別されます。双方が納得して取りやめたのであれば、原則として慰謝料を請求する根拠はありません。

婚約破棄で慰謝料請求が認められるケースと条件

婚約破棄の慰謝料が認められるには、「婚約が成立していたこと」と「相手が正当な理由なく破棄したこと」の両方を満たす必要があります(相手の不倫や暴力が原因で、こちらから婚約をやめざるを得なかった場合も、同様です)。

婚約の成立が認められるケース

請求の出発点になるのは、二人の間に婚約が成立していたという事実です。婚約は結婚の合意だけで成立し、結納や婚約指輪といった形式は必ずしも必要ありません。もっとも、「いつか結婚したいね」と願望を口にしただけでは、結婚の約束をしたとまではいえず、婚約とは認められません。

口約束でも婚約は成立し得ますが、それだけでは相手に否定されたときの立証が難しく、裁判では客観的な証拠が重視されます。両家の顔合わせ、結納、婚約指輪の受け渡し、式場の予約、親族や職場への紹介など、結婚に向けた具体的な事実がそろっているほど、婚約の成立は認められやすくなります。口約束による婚約の成立について詳しくは「口約束で婚約は法的に成立する?婚約破棄の慰謝料は請求できる?」をご参照ください。

正当な理由がない婚約破棄による請求が認められるケース

慰謝料請求が認められるには、婚約をやめたことについて、相手に正当な理由がないことが求められます。理由が正当といえるかどうかは、破棄の理由が社会的に見てやむを得ないものかという観点から、交際期間や破棄の時期なども踏まえて総合的に判断されます。

次のような理由による破棄は、正当な理由がないと評価されやすくなります。

  • 「性格が合わない」「気持ちが冷めた」といった抽象的な理由
  • 親や親族からの反対
  • 生活習慣や金銭感覚のささいな違い
  • 宗教や職業、住む場所など、婚約前に説明して納得を得ていた事情

性格の不一致を持ち出されたとしても、お互いの人柄を知ったうえで結婚を約束している以上、性格の不一致だけを理由にした一方的な破棄は正当な理由によるものとは認められにくく、その場合は慰謝料の請求が認められる可能性があります。

また、相手の不倫や暴力に耐えられず、やむを得ずこちらから婚約をやめた場合も、婚約が壊れた原因は相手の側にあるため、相手が正当な理由なく破棄した場合と同じく、慰謝料を請求できることもあります。

親や親族の反対による破棄については、「相手の親が原因の婚約破棄で慰謝料請求は認められる?裁判例を紹介」で裁判例とともに紹介しています。

正当な理由がある婚約破棄で請求が認められないケース

反対に、相手が婚約をやめたことに正当な理由があると認められる場合は、慰謝料を請求できません。たとえば、次のような事情が破棄の原因になっていたときです。

  • 請求する側の浮気(不貞行為)
  • 請求する側の暴力やモラハラ
  • 請求する側が、多額の借金など、結婚の判断に関わる重大な事実を隠していたこと

こうした事情があると、請求するどころか、反対に相手から慰謝料を求められる立場になることもあります。

婚約破棄でもらえる慰謝料の相場と金額

相場の目安は50万円〜200万円

慰謝料の金額は、おおむね50万円〜200万円の範囲が目安とされています。話し合いで解決する場合に受け取るお金(示談金)の額を決めるときも、この相場を基準に考えるのが現実的です。

金額は一律に決まるものではなく、次のような事情を総合して判断されます。

  • 交際・婚約成立に至るまでの期間や経緯
  • 結婚準備の進行状況(式場予約・両家挨拶など)
  • 婚約破棄の原因やその経緯
  • 婚約破棄の時期(挙式直前など)
  • 肉体関係・妊娠・出産の有無
  • 年齢や社会的立場・経済状況

こうした事情が自分のケースでどう評価されるかを確かめたうえで、請求額を決めましょう。相手から見て高すぎる金額を求めると、話し合いに応じてもらえず、かえって解決が遠のくことがあります。

なお、妊娠中に婚約を破棄されたケースの相場や請求の可否は「妊娠中の婚約破棄の慰謝料相場と女性から破棄した場合の請求可否」で解説しています。

慰謝料が高額になるケース

次のような事情が重なっているときは、精神的苦痛が大きかったと評価されやすくなります。

  • 交際・婚約期間が長期に及んでいた
  • 結婚式場の予約や新居の契約など準備が進んでいた
  • 結婚が職場や親族に知られていた(周知の事実だった)
  • 退職(寿退社)するなど結婚を前提とした生活変更があった
  • 婚約破棄の原因が相手の浮気・不貞行為だった
  • 相手からの暴力(DV)やモラハラがあった
  • 妊娠・出産があった、あるいは中絶を余儀なくされた
  • 婚約破棄のタイミングが挙式直前など極めて遅かった

もっとも、300万円以上が認められるのは、悪質な事情が重なった例外的なケースです。500万円が認められた裁判例もありますが、出身を理由とした差別的な破棄など特殊な事情のある事案であり、一般的な婚約破棄の目安にはなりません。

相手の浮気が原因の場合の考え方や浮気相手への請求は「婚約中の浮気で慰謝料請求できる?相場と浮気相手への請求を解説」も参考になります。

実際に裁判所が認めた金額を事例で確かめたい方は「婚約破棄の裁判例25選|破棄の理由の実例や判決金額が分る」をご覧ください。

慰謝料以外に請求できる財産的損害

婚約破棄によって生じた財産的な損害も、慰謝料とあわせて請求できる場合があります。たとえば、婚約指輪代、結婚式場のキャンセル料、新居の契約費用や家財道具の購入費、結婚を前提に退職したことによる収入の減少などは、婚約破棄が原因で生じた損害として、賠償の対象になる可能性があります。

結納金を渡していた場合は、結婚に至らなかったことを理由に、損害賠償とは別にその返還を請求できることがあります。婚約指輪を返す義務があるかどうかは「婚約破棄で指輪(指輪代)を返却する法的な義務はある?」にまとめています。

なお、離婚のときに夫婦の財産を分け合う「財産分与」の制度は、婚約破棄には適用されません。ただし、同棲して家計を共にしていたなど、内縁(事実婚)の関係と認められる場合は、財産分与を請求できる余地があります。内縁の場合の財産分与については「内縁関係を解消した場合に妻(夫)は財産分与を受けられる?」で詳しく取り上げています。

婚約破棄の慰謝料請求に必要な証拠

慰謝料を請求するときは、「婚約が成立していたこと」と「破棄に正当な理由がなかったこと」の2点を、証拠で示していくことになります。相手が「婚約していない」「破棄には理由がある」と反論してきたとき、証拠がなければ請求は認められにくくなります。

婚約の成立を示す証拠

婚約の成立を示す資料としては、次のようなものがあります。

  • 両親や親族を交えての顔合わせの記録(写真・動画など)
  • 結納の実施や結納金の受け渡しに関する資料
  • 結婚式場の予約申込書や、内金支払いの領収書
  • 婚約指輪の購入・受け渡し記録(購入レシートや写真など)
  • 親族や友人、勤務先への紹介(メール・社内連絡など)
  • 新居の契約書や引っ越し準備の資料
  • 結婚を前提に退職(寿退社)したことを示す書類
  • 結婚の意思が確認できるLINEやメールのやり取り、通話録音など

こうした資料は、1つだけで決め手になるとは限りません。交際中の写真や、結婚をほのめかすLINEのやり取りも、それだけを取り出すと「結婚を意識していた」程度にしか読めないことがあります。時系列に沿っていくつも並べることで、二人が結婚に向けて動いていた流れが見えてきます。弱そうに思える資料も捨てずに残しておくことが、婚約破棄の慰謝料請求では有利に働きます。

破棄に正当な理由がなかったことを示す証拠

婚約破棄に至った経緯がわかる資料も重要です。相手が一方的に別れを告げたときのLINEやメール、通話の録音、相手の浮気が疑われる場合はその証拠(写真やSNSのやり取りなど)を確保しておくのがよいでしょう。暴力(DV)やモラハラがあった場合は、医師の診断書や警察への相談記録も有力な証拠になります。

証拠は時間がたつほど失われやすくなります。スマートフォンのデータはバックアップを取り、領収書やメールも早めに保存しておきましょう。

婚約破棄の慰謝料を請求する流れ

婚約破棄の慰謝料は、次の順に請求を進めていきます。

  1. まずは相手に対して直接話し合いを持つ
  2. 内容証明郵便で正式に請求する
  3. 支払いに応じない場合は調停・訴訟を検討する

婚約破棄の慰謝料を請求する流れ(相手と話し合う→内容証明で請求する→調停・訴訟を検討する)

なお、慰謝料の請求には期限(時効)があり、請求の根拠によって期間が変わることがあります。不法行為として請求する場合は損害と相手を知った時から3年(遅くとも破棄の時から20年。民法724条)、債務不履行として請求する場合は請求できることを知った時から5年(遅くとも破棄の時から10年。民法166条1項)です。期間が過ぎたあとに相手が時効を主張すると請求は認められなくなるため、婚約を破棄された時から3年が過ぎる前に、調停や訴訟も視野に入れて請求を進めるのが安全です。

① まずは相手に対して直接話し合いを持つ

はじめは、口頭やメール・電話などで、婚約破棄が不当であることを相手に伝え、慰謝料の支払いを求めます。相手が誠実に協議に応じる姿勢であれば、この段階で解決に至ることもあります。

話し合いでは感情的な言葉を避け、やり取りはできるだけ録音やメッセージの形で残しておくのがよいでしょう。暴言や、相手方の親族・勤務先への不必要な連絡は、後に裁判になったときに不利に働くおそれがあります。

話し合いがまとまったら、慰謝料の金額(示談金)や支払い方法を口約束のままにせず、必ず合意書(示談書)に残してください。支払期限を定め、今後お互いに請求しないことを確認する清算条項も入れておくと、後日のトラブルを防げます。

② 内容証明郵便で正式に請求する

相手が話し合いに応じない場合や、慰謝料の金額面などで合意が難しい場合には、内容証明郵便によって正式に慰謝料を請求します。内容証明郵便とは、いつ・どのような内容の書面を送ったかを郵便局が証明してくれる郵便です。

内容証明郵便には、請求金額、支払期限、支払い方法などを記載し、婚約破棄が不当であることと、損害賠償請求の意思を明確に伝えます。配達証明も付けておくと、相手に届いた日が証明され、裁判になった際にも証拠として使えます。

内容証明郵便を送ることでこちらの本気度が伝わり、相手が支払いに応じてくる可能性もあります。

③ 支払いに応じない場合は調停・訴訟を検討する

内容証明郵便を送っても相手が支払いに応じない場合は、裁判所の手続きを検討します。婚約破棄をめぐる争いは家庭に関する紛争として扱われるため、訴訟の前にまず家庭裁判所へ調停(裁判官や調停委員を交えて話し合う手続き)を申し立てるのが一般的です。調停を経ずに訴えを起こした場合も、裁判所の判断で調停に回されることがあります。

訴訟では、婚約が成立していたことを請求する側が証拠で示します。そのうえで、破棄に正当な理由があったかどうかが争点になります。破棄の経緯を示す資料をどれだけそろえられるかが、結論を大きく左右します。判決が出ても相手が賠償金を支払わない場合は、給与や預金口座を差し押さえる強制執行の手続きを取ることも可能です。

調停や訴訟には法的な専門知識が求められるため、この段階に進む前に弁護士に相談し、見通しを確認しておくことをおすすめします。依頼するメリットや弁護士費用の目安は「婚約破棄の悩みは弁護士に相談|依頼する5つのメリット」で解説しています。

婚約破棄の慰謝料請求でお悩みの方は弁護士にご相談ください

婚約破棄の慰謝料は50万円〜200万円が相場の目安ですが、実際に認められる額は、婚約の成立をどこまで示せるか、そして破棄に至った経緯がどう評価されるかで変わります。

弁護士に依頼すれば、手元に残っている資料のどれが証拠として使えるかを整理し、増額の要因にあたる事情を漏らさず主張したうえで金額を組み立てられます。相手との交渉や示談書の作成から、話し合いがまとまらない場合の調停・訴訟まで代理人として一貫して対応するため、ご自身が相手と直接やり取りする負担も軽くなります。

突然の婚約破棄は、お金の問題である以前に、思い描いていた将来ごと崩されてしまう出来事です。「今から請求してもよいのだろうか」「相手が話し合いに応じてくれない」とためらっているうちに、証拠が失われたり、時効が近づいたりすることもあります。

当事務所は、婚約破棄をはじめとする男女トラブルの解決実績が豊富です。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けております。ご事情を丁寧にうかがい、請求できる見通しと進め方をご説明しますので、一人で悩まずにご連絡ください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

男女問題・男女トラブルに強い法律事務所の代表弁護士。事務所全体で年間1,500件以上の男女トラブル相談を受けており、不倫慰謝料、妊娠トラブル、婚約破棄、パパ活トラブル、ストーカー被害など、他人に相談しづらい問題を穏便かつ内密に解決することを得意とする。相手の暴力的・脅迫的な言動にも弁護士が毅然と対応し、依頼者の平穏な生活を取り戻すために全力を尽くしている。

不倫慰謝料 妊娠トラブル 婚約破棄 パパ活トラブル ストーカー被害 男女間の金銭トラブル
メディア掲載 フジテレビ「とくダネ」/ ダイヤモンド・オンライン / @DIME / サイゾー 他多数
講演実績 「不当要求対応の基礎」「犯罪組織によるマネー・ロンダリングと投資詐欺への法的処置」等
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