
「嫌がる素振りがなかったから同意があると思っていた」「暴力はふるっていないのに、なぜ逮捕されるのか」。デリヘルをはじめとする風俗店での本番行為をめぐるトラブルは、このような思い込みから生じるケースが後を絶ちません。本番行為に及んでしまった方も、同意のうえだったのに「強要された」と訴えられている方も、すでに店から連絡が入っていたり、事務所に呼び出されて金銭を請求されていたりと、切迫した状況に置かれているのではないでしょうか。
2023年7月に施行された改正刑法は、処罰の入口を「暴行や脅迫があったか」から「同意しない意思を示せる状況だったか」へと移しました。一定の行為や事由によって相手が同意しない意思を示すことが困難な状態にあれば、「不同意性交等罪」が成立しえます。同罪の法定刑は5年以上の有期拘禁刑と定められており、重い刑事責任を問われかねません。仮に同意があったとしても、退店後に「同意していない。本番強要された」と主張されてトラブルに発展するケースも多く見られます。
この記事では、風俗トラブルを数多く手がけてきた弁護士が、
- どんな行為が本番強要にあたるのか
- 本番強要で問われる罪と刑罰の重さ
- 逮捕されるケースと逮捕された後の流れ
- 店から罰金を請求されたときの対処法
について解説します。なお、本番強要のトラブルが発生してお困りの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。早期対応が結果を左右します。
| 誰でも気軽に弁護士に相談できます |
|
風俗・デリヘルで本番強要とみなされる3つのケース
本番強要(本強)とは、風俗店において風俗嬢(キャスト)に対し、本番行為(女性器に男性器を挿入する行為)を強いることを指します。暴行によって押さえつけるような行為だけでなく、明確な同意を得ないまま挿入に及ぶ行為や、しつこく懇願して断れない状況に追い込む行為も、本番強要とみなされます。
ファッションヘルスやホテヘル、デリヘルといった風俗店では本番行為が禁止されており、風俗嬢が本番に同意することは基本的にありません。仮に双方が合意していたとしても、対償を受けて不特定の相手方と性交することは売春にあたり(売春防止法第2条)、これを取り持った店側は売春の周旋(同法第6条)などに問われる立場になります。同法は客の側にも売春の相手方となることを禁じていますが(同法第3条)、客を直接罰する規定は置かれていません。合意のうえでの本番行為が法律上どのように扱われるかについては、風俗・デリヘルの本番行為は違法?犯罪と本番トラブルの対処法で詳しく解説しています。
以下の3つのケースのいずれかに該当する場合、本番強要として風俗店や警察から責任を追及される可能性があります。
- ①無理やり本番行為に及んだ場合
- ②明確な同意がないのに本番行為に及んだ場合
- ③同意があっても「強要された」と主張されるケース
①無理やり本番行為に及んだ場合
本番行為を無理やり行った場合には、強要があったと店側や捜査機関に判断されやすくなります。多くの風俗店では、素股などのサービスは認めていても、本番行為は禁止されています。
具体的には、風俗嬢の身体を拘束して抵抗できないようにした場合や、殴る・蹴るなどの暴行や「言う通りにしないとひどい目にあうぞ」などという脅迫行為を行ったうえで性交等をした場合です。
上記のように、風俗嬢の意思の自由を排除して無理やり性交等に及んだという場合、加害行為の悪質性は高く、風俗嬢の被害感情も大きくなる傾向があります。風俗店側としても、従業員が安心して働ける環境を保つ必要があるため、従業員が本番強要されたという場合には事態を重く受け止め厳正に対処する可能性が高いです。
そのため風俗嬢や風俗店が警察に通報することで刑事事件として立件され、逮捕されてしまうリスクがあります。
本番強要したとみなされる場合には、後述する「不同意性交等罪」(刑法第177条、旧「強姦罪」・「強制性交等罪」として規定されていた犯罪)に該当し、重い刑事責任を負うおそれがあります。
②明確な同意がないのに本番行為に及んだ場合
風俗嬢に本番行為を頼んでみたら拒絶されなかったというケースでも、「明確な同意なく」本番行為に及んだとして、強要したとみなされることがあります。
例えば、デリヘル(デリバリーヘルス)嬢に「挿入してもよいか」と尋ねたところ、最初は拒絶していたものの、しつこくお願いするうちに拒絶の意思を示さなくなった、というケースがあります。「本番行為に了承してくれたのだ」と思ってそのまま風俗嬢と性行為をしたところ、退店直前に、「お店に報告する」といわれてトラブルに発展するという事案は珍しくありません。
拒絶の意思を示していなかった・嫌がられなかった・風俗嬢もその気だったなどと反論しても、「女性側の明確な同意を得ていなかった場合」には、事後的にトラブルに発展する可能性があるのです。
しつこく本番行為をお願いした場合などは、「恐怖から拒絶することができなかった」「固まっていると性行為をされた」などと反論されてしまうケースもあります。
風俗店では基本的に本番行為が認められていないため、嫌がる素振りがなかった場合でも、店側から一方的に本番強要とみなされかねません。
③同意があっても「強要された」と主張されるケース
では、風俗嬢に明確な同意があれば問題ないのでしょうか。仮に「明確に同意する意思があった」としても、トラブルに発展する可能性は十分にあります。
プレイの途中でコンドームが破損したなどの理由で不信感を抱いた風俗嬢が、「同意した覚えはない」と主張を翻すことがあります。より悪質なのは、最初から店と結託して金銭を支払わせる目的で「本番強要された」と虚偽の主張をするパターンです。このように店ぐるみで金銭を要求されたときにどう動けばよいかは、デリヘルの美人局|同意本番後に恐喝された時の対処法で具体的に紹介しています。
デリヘルなど派遣型の風俗では、ラブホテルや自宅という完全な密室で行為が行われるため、当事者間に食い違いが生じた場合、事実の証明は極めて困難です。「口頭で同意があった」からといって、トラブルに発展しない保証はどこにもないと考えておくべきでしょう。
以上の3つのケースにおけるリスクの違いを整理すると、次のとおりです。
| 風俗店からの金銭請求 | 警察の介入 | |
| ①無理やり本番行為に及んだ場合 | 高額になりやすい | 逮捕の可能性が高い |
|---|---|---|
| ②明確な同意がない場合 | 請求される可能性あり | 被害届が出れば捜査の対象になりうる |
| ③同意があった場合 | 請求される可能性あり | 可能性は低いが、同意の立証が困難なためゼロではない |
本番強要が罪になる要件と刑罰
どのような場合に犯罪が成立し、どれほど重い刑罰が科されるのか。本番強要とみなされたときに問われる主な罪は、不同意性交等罪と、相手を死傷させた場合の不同意性交等致死傷罪です。
不同意性交等罪が成立する要件
本番を強要したと評価される場合には、「不同意性交等罪」で処罰されるおそれがあります。
不同意性交等罪は2023年7月13日から施行された罪で、それまでの「強制性交等罪」(かつての「強姦罪」)と、心神喪失・抗拒不能に乗じた場合の「準強制性交等罪」を統合して新設されました。
不同意性交等罪とは、一定の行為や事由により、「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて」、性交等をした場合に成立する犯罪です(刑法第177条)。法定刑は、5年以上の有期拘禁刑です。罰金刑の定めはありません。執行猶予がつくのは言い渡された刑が3年以下の場合に限られるため(刑法第25条)、法定刑の下限が5年の本罪では、原則として執行猶予がつかない実刑となります。ただし、酌量減軽(刑法第66条)が認められて言い渡される刑が3年以下となれば、執行猶予がつく余地は残ります。
※拘禁刑とは、2025年6月1日に施行された改正刑法により、従来の懲役刑と禁錮刑が一本化された刑罰のことです。
本番強要で問題となる「性交等」には、性交、肛門性交、口腔性交のほか、膣若しくは肛門に「身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの」が含まれています。
改正前の刑法のもとにおいては、必ずしも性交に同意があったとは言い難い事案であっても、暴行・脅迫・心神喪失・抗拒不能という要件に該当していなければ処罰されませんでした。
しかし、不同意性交等罪は、暴行もしくは脅迫があった場合はもちろん、「同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがない」(刑法第176条第1項第5号)場合でも成立しますので、風俗嬢に不意打ち的に性交等を行った場合にも、同罪で処罰される可能性があります。
なお、不同意性交等罪が成立するには故意が必要です。意図せず挿入に至ってしまった場合には故意を欠き、同罪は成立しません。ただし、「意図していなかった」という主張が認められるかどうかは別問題であり、密室での出来事である以上、客側の主張だけで捜査機関に故意がなかったと認めさせるのは、容易ではありません。
風俗での本番強要においてとりわけ争点になるのは、「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態」という要件をどう解釈するかです。風俗嬢が明確に「嫌だ」と言葉にしなかったとしても、密室で体格差のある男性から迫られた状況では、拒絶の意思を表明すること自体が困難だったと評価される余地があります。こうした事情から、抵抗しなかったこと=同意があったとは評価されにくく、明確な同意を得ないまま本番行為に及べば、不同意性交等罪に問われるリスクは小さくないと考えるべきでしょう。
この罪の成立要件をさらに詳しく知りたい方は、不同意性交等罪とは?旧強制性交・強姦罪との違いや構成要件をご覧になってください。
未遂に終わった場合と、怪我をさせた場合の刑罰
実際に挿入に至らなかったとしても、それだけで責任を免れるわけではありません。不同意性交等罪には未遂罪の規定があり(刑法第180条)、本番行為に及ぼうとした時点で未遂として処罰されうる点にも注意が必要です。
さらに、不同意性交等罪や同罪の未遂罪を犯し、「よって人を死傷させた」場合には、不同意性交等致死傷罪が成立します(刑法第181条第2項)。風俗店での本番強要によって風俗嬢に怪我を負わせた場合も、同罪に問われます。
不同意性交等罪も同致死傷罪も、ともに非親告罪です。被害者が告訴していなくても検察官は起訴でき、捜査機関が独自に捜査を始めることもできます。風俗嬢本人が「大ごとにしたくない」と考えていても、店側の通報から捜査が動き出す余地があるということです。
不同意性交等致死傷罪が成立した場合には、「無期又は6年以上の拘禁刑」というかなり重い刑罰が科されることになります。
ここまでに説明した罪と刑罰を整理すると、次のとおりです。
| 罪名 | 成立する場面 | 法定刑 |
| 不同意性交等罪(刑法第177条) | 同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態で性交等をした場合 | 5年以上の有期拘禁刑 |
|---|---|---|
| 不同意性交等罪の未遂(刑法第180条) | 本番行為に及ぼうとしたものの、挿入に至らなかった場合 | 5年以上の有期拘禁刑(未遂は刑が減軽されることがある/刑法第43条本文) |
| 不同意性交等致死傷罪(刑法第181条第2項) | 上記の行為によって風俗嬢を死傷させた場合 | 無期又は6年以上の拘禁刑 |
本番強要で逮捕されるケースと、逮捕された後の流れ
本番強要で本当に逮捕されるのか。ご相談に来られる方が最も気にされるのがこの点です。逮捕されるかどうかはケースによって分かれ、実際に逮捕されれば身柄拘束が続きます。ここでは次の3点を順に見ていきます。
- 逮捕されやすいケース・されにくいケース
- その場での逮捕と、後日逮捕されるケース
- 逮捕された後の身柄拘束の流れ
逮捕されやすいケース・されにくいケース
本番強要をしたとみなされた場合、被害を受けた風俗嬢や事態を重く受け止めた風俗店が警察に通報する可能性があります。デリヘルを含む風俗での本番強要は刑事事件として立件されることがあり、警察に被害届が受理されれば捜査は始まります。
捜査機関が身柄を取るかどうかは、行為の悪質性や風俗嬢の処罰感情に加えて、逃亡や証拠隠滅を図るおそれがあると見られるかどうかによって左右されます。無理やり性交等に及んだような悪質なケースでは逮捕の可能性が高まりますが、明確な同意をめぐる認識の食い違いにとどまるケースでは、風俗店側も裁判よりも示談での金銭解決を望む傾向があります。そのため、被害者である風俗嬢との示談交渉によって決着し、刑事事件化しないまま終わるケースもあります。
もっとも、実務上大きく効いてくるのは、被害届が出されるかどうかです。被害届が提出される前に示談がまとまっていれば、捜査そのものが始まらずに済むこともあります。逆に、被害届が出された後でも、示談の成立が身柄拘束の回避や不起訴につながる余地は残ります。捜査の入口を止めるために取れる手段については、デリヘルで被害届を回避する方法は?取り下げてもらう方法も解説をご確認ください。
その場での逮捕と、後日逮捕されるケース
本番強要をめぐる逮捕には、行為の直後にその場で身柄を押さえられる現行犯逮捕と、いったん帰宅した後に令状にもとづいて身柄を拘束される後日逮捕があります。店が警察を呼び、駆けつけた警察官がその場で現行犯逮捕するという事態は現実に起こりえます。
その日は何事もなく退店・帰宅できたとしても、それで終わりとは限りません。後日、警察から電話で呼び出しの連絡が入ったり、逮捕令状を持参した警察官が自宅まで訪れたりするケースもあります。警察から接触がある前に、弁護士に間に入ってもらう準備をしておきましょう。
実際に通報される場合と、通報をちらつかせているだけの場合
風俗店が実際に警察へ通報するのは、主にお客の行為が犯罪に該当するケースです。同意のない本番行為(不同意性交等罪)や盗撮(撮影罪)がこれにあたり、その場で110番されることもあれば、示談金を求められ、支払わなければ通報されるケースもあります。一方、法律知識のあるまっとうな店であれば、同意のある本番行為のように犯罪にあたらない規約違反を無意味に通報することはなく、相場内の示談と出入り禁止で処理するのが一般的です。
ただし、悪質な店では通報が金銭要求の道具として使われることがあります。お客が犯罪行為をしていなくても、風俗嬢が「レイプされた」「盗撮された」と店に虚偽の報告をし、店がそれを信じて通報するケースや、店と風俗嬢が結託して虚偽の内容で通報するケースがあります。犯罪にあたらない事案でもあえて警察をホテルに呼び、慣れない事情聴取でお客を動揺させて、その後の金銭要求を通しやすくする店もあります。もっとも最も多いのは、実際には通報せず、「俺らが通報すれば捕まるぞ」「誠意を見せてくれれば考える」と通報をちらつかせて金銭を請求するパターンです。
どちらの場合でも、その場で支払ったり支払いを約束したりしてはいけません。通報の脅しを使った金銭要求への具体的な対応は「風俗・デリヘルの恐喝・脅迫|本番・盗撮などケース別の対処法」をご参照ください。
逮捕された後の身柄拘束の流れ
逮捕された場合、まず最大72時間にわたって身柄を拘束されます。その後、検察官の請求により勾留(起訴・不起訴が決まるまで身柄の拘束を続ける手続き)が認められると、さらに最大20日間にわたって身柄を拘束され、その間は自宅に戻ることも仕事に行くこともできません。釈放されるまで、職場や家族への影響は避けられません。
本番強要は密室で起きるため、捜査は基本的に被害届をもとに始まります。物的証拠が残りにくく、当事者双方の供述が捜査の中心になります。そのため、風俗嬢側が「同意していない」と主張した場合、こちら側が「同意があった」と反論しても、客観的に裏付ける手段が乏しいのが実情です。
双方の言い分が食い違えば、捜査機関は事実関係の確認に時間をかけることになり、身柄拘束が長引く要因にもなります。証拠面で不利になりやすい構造があるからこそ、早い段階で弁護士に依頼し、示談交渉を進めておくべきです。
本番強要を疑われたときにすぐ取るべき3つの対処法
本番強要を疑われた直後は、冷静な判断が難しい状況に置かれます。そのような状況でも、以下の3点だけは必ず守ってください。
①その場でお金を払わない
本番強要を疑われて金銭を請求されても、その場で支払わないことが最初の鉄則です。性風俗店のなかには、本番行為の禁止と違反した場合の金額を「本番行為は罰金100万円」といった形で店内に掲示しているところもあり、発覚するとその掲示を根拠に高額な支払いを求められます。
本番行為が露見した場合、こわもての責任者に事務所などの狭い空間に連れていかれ、「本番禁止なの知っているよね?」「どう責任とってくれるの?」と脅迫まがいの支払い請求をされることもあります。100万円などという高額な現金を持ち歩いている人はいませんので、近くのATMで預金を引き出してくるように要求されたり、店側があらかじめ準備している示談書や念書に、その場で署名・捺印するよう迫られたりもします。
「100万円のうち半分を今日払えば残りは猶予する」などという常套句で「罰金」を支払わせようとする場合もありますが、応じてはいけません。一部を支払ったとしても、あとから難癖をつけて上乗せを求められるおそれがあります。「ちょっと脅せばお金を払うカモ」と認識されれば、家族や職場を人質にした危険な要求がさらにエスカレートするリスクもあります。
なお、店が「罰金」と呼んでいる金銭は、刑事裁判によって刑が確定した者に科される刑罰としての罰金ではありません。罰金を科すことができるのは国家だけであり、実際には店側は利用規約違反にもとづく「違約金」「賠償金」「示談金」などの名目で請求しています。そして請求される金額には、合理的な算定根拠がなく、実際の損害とかけ離れた法外なものも少なくありません。
もっとも、同意なく本番行為に及んだ場合、被害を受けるのは店ではなく風俗嬢個人です。風俗嬢に生じた精神的苦痛や治療費については、客側にも民事上の損害賠償責任(慰謝料を含む)が生じえます。一方で、店に対する「罰金」の支払義務は原則としてありません。誰に対してどこまで責任を負うのか、適正な賠償額はいくらなのかという判断については、風俗店・デリヘルの罰金は払わなくていい?本番など4ケースと対処法にまとめています。
警察を呼ばれた場合は、その場から逃げたり身元を伏せたりせず、素直に身分を明かしたうえで捜査に協力的な態度を示しましょう。逃亡や隠蔽を図ると、逮捕の必要性があると判断されるリスクが高まります。
その場で「罰金」の支払いを求められても、「この場では支払えない。弁護士に相談したうえで改めて連絡する」と答え、まずはその場を収めることを優先してください。
②店から出された示談書に、その場で署名しない
本番強要をめぐるトラブルに慣れている風俗店は、あらかじめ準備した書面への署名を迫ってくることがあります。しかし、その場で内容を確かめないまま署名・捺印してはいけません。
そのような示談書には、あなたにとって一方的に不利な内容が盛り込まれていたり、本来必要な条項が欠けていたりするおそれがあります。具体的には以下のような問題点が潜んでいます。
- 家族や勤務先など第三者への口外を禁じる約束が入っていない
- 被害者が刑事処罰を望まないという意思が明記されていない
- 示談成立後に追加の請求を受けない旨の清算条項(当事者間に他に何らの債権債務もないことを確認する規定)がない
- 約束を破られたときのペナルティが定められていない
- 支払金額が実際の損害とかけ離れて高額に設定されている など
いったん署名してしまうと、その内容を後から覆すのは容易ではありません。注意が必要なのは、店側に示談金を支払ったとしても、被害を受けた風俗嬢個人との間で示談が成立したことにはならず、後から被害者個人に告訴されるリスクが残る点です。
誰との間で、どのような条件で合意すればトラブルが本当に終わるのかは、その場で判断できるものではありません。示談書を差し出されたら、署名する前に弁護士に内容を確認してもらってください。
③脅迫や恐喝には応じず、やり取りを証拠として残す
店側の要求の仕方によっては、店側自身が刑事責任を問われることになります。支払いや念書への署名を迫るために一定の時間その場に留め置けば逮捕・監禁罪(刑法第220条)、「家族に言うぞ」と告げて金銭を要求すれば恐喝罪(刑法第249条。実際に金銭を渡していなければ未遂)、義務のないことを無理に行わせれば強要罪(刑法第223条)が、それぞれ成立しえます。
相手の要求に応じる必要はありませんが、その場で言い争っても事態は好転しません。脅迫や暴行があった場合はスマートフォンで録音し、店から届いたメールやショートメッセージはスクリーンショットで保存しておいてください。退店後に店やキャストから金銭要求のLINEが届いている場合も、それ自体がトラブルの経緯を示す記録になりますので、削除せずに残しておきましょう。
本番強要のトラブルでは当事者の供述以外に手がかりが乏しいことが多く、こうしたやり取りの記録が後の交渉や捜査で意味を持ちます。
本番強要トラブルの解決を弁護士に任せるメリット
弁護士に任せることで、本番強要トラブルの状況は大きく変わります。
- 事件化を止め、家族や職場に伝わらないまま解決できる
- 法外な請求に反論し、適正な金額で決着できる
- 示談成立後に蒸し返されない内容で合意できる
事件化を止め、家族や職場に伝わらないまま解決できる
刑事手続に乗るかどうかを実務上大きく左右するのは、風俗嬢または店舗が警察に被害を届け出るかどうかです。被害届や告訴状が提出される前に被害者との間で示談が成立していれば、事件として立件されるリスクを大幅に抑えられます。仮にすでに被害届が提出されていたとしても、被害者と示談が成立すれば検察官が不起訴処分と判断することも十分あります。
もう一つの不安は、家族や職場に知られることでしょう。風俗店が顧客の運転免許証や保険証、名刺などの身分証明書を取り上げてコピーをとり、「家族や職場にバラされたくなければ罰金を払え」と要求してくることがあります。周囲に風俗トラブルを知られたくない一心で店側の請求に応じてしまう人は少なくありませんが、そのような義務はありません。取り上げられた身分証がその後どう扱われるのかについては、風俗で免許証のコピーをとられたけど悪用される?弁護士が解説で説明しています。
本番強要のトラブルで弁護士が代理人となった場合、その後のすべての連絡窓口が弁護士事務所となり、店や風俗嬢から直接連絡が来ることはなくなります。家族や職場など第三者に接触するおそれがある場合には、代理人弁護士から法的な警告を発することもできます。
「家族や勤務先にバラす」と告げて金銭を要求する行為は、恐喝罪(刑法第249条)にあたり得ます。弁護士からの警告を無視して第三者にトラブルを言いふらした場合には、その態様によっては店舗側に名誉毀損罪(刑法第230条)や侮辱罪(同第231条)が成立しうるほか、民事上の損害賠償責任を負うこともあります。その点を事前に通知しておくことが、予防策としては重要となるでしょう。
示談書に第三者への口外を禁じる条項と、これに違反した場合の違約金の定めを盛り込めば、解決後に個人情報を悪用されるリスクを大きく下げられます。解決後まで見据えた進め方や、弁護士に依頼したときにかかる費用については「風俗トラブルに強い弁護士に無料相談|費用と解決の流れを解説」もあわせてご確認ください。
法外な請求に反論し、適正な金額で決着できる
本番強要を理由とする不当な金銭請求にも、弁護士が介入することで適切に反論でき、法外な金額を支払わずに済みます。
賠償金等については、請求者である店側がその根拠を立証しなければなりません。どのような損害がどれだけ発生しているかを店側が示せなければ、支払いに応じる義務は生じません。店が最初に提示してくる金額には根拠が示されないことも多く、提示された額をそのまま支払わなければならないわけではありません。
加えて、風俗嬢が客と直接交渉のテーブルにつくことはまずありません。こちらが代理人を立てて初めて、被害者本人と示談を話し合う機会が生まれます。
実際に支払うべき金額は、被害の状況や行為の悪質性、拒絶の意思がどれだけ明確だったか、刑事事件化しているかどうかによって幅があります。風俗トラブルには交通事故の慰謝料算定表のような基準がなく、確立した相場が存在するわけではありませんが、当事務所が本番トラブルの示談交渉で実際に支払った金額は20万円〜120万円程度です。ケース別の内訳と、妥当な金額をどのように見極めるのかについては、風俗・デリヘルの示談金相場は?盗撮・本番の示談の流れと注意点で掘り下げています。
示談成立後に蒸し返されない内容で合意できる
本番強要トラブルの示談交渉を弁護士が行う際には、示談書に清算条項を原則として盛り込みます。示談成立後に「当事者間に何らの債権債務もない」ことを確認する規定で、後から理由をつけて追加の支払いを求められるリスクをなくせます。
弁護士が代理人となることで、示談成立後に紛争を蒸し返されるリスクも防ぐことができます。個人で直接店側と示談を交わした場合、合意内容を反故にして追加請求される被害も存在しますが、弁護士が法律の専門家として示談窓口を担うことで、そうした事態を避けられます。
風俗トラブルにお困りの方は弁護士にご相談ください
風俗店やデリヘルでの本番強要は、不同意性交等罪として重い刑事処分を受けかねない深刻なトラブルです。たとえ刑事事件にならなかったとしても、風俗店から法外な金銭を要求されたり、家族や職場への暴露を盾に脅されたりするケースが相次いでいます。
一人で抱え込んだまま風俗店とのやり取りを続けると、相手のペースで交渉が進み、不当な示談書にサインさせられたり、解決したはずの件で繰り返し追加請求を受けたりする事態に陥りかねません。弁護士が代理人として入れば、店との窓口はすべて弁護士事務所が引き受けます。請求の根拠を法的に精査したうえで反論し、適正な条件での早期解決を目指せます。
すでに風俗店から連絡が入っている方、後日逮捕されないか不安を抱えている方は、一日も早くご相談ください。トラブルが発生してから時間が経つほど、対応の選択肢は狭まっていきます。
当事務所は、風俗トラブルの解決を数多く手がけてきました。ご家族や職場に影響が及ばないよう配慮しながら、内密の解決を最優先に対応いたします。依頼者の不利益を最小限に抑えるため、弁護士が迅速に動き、全力を尽くして守ります。全国対応の無料法律相談を設けております。まずはお気軽にご連絡ください。
| 誰でも気軽に弁護士に相談できます |
|
この記事の監修者
風俗トラブルの解決に豊富な実績を持つ。本番行為や盗撮を理由とした高額な罰金請求、風俗店からの脅迫・恐喝被害など、他人に相談しにくいトラブルに数多く対応。「家族や職場に絶対に知られたくない」という依頼者の事情を最優先に、迅速かつ穏便な解決を心がけている。一般社団法人 詐欺・不当要求対策協会 代表理事。

