「風俗店から罰金を請求された…払わなくてはならないのだろうか…どう対処すればいいのだろう…」
このようにお考えではないでしょうか。
結論から言いますと、風俗店から罰金請求をされても支払う法的義務はありません。「罰金」は刑罰の一種であり、一私人の企業がお客に対して刑罰を科すことはできないからです。もっとも、風俗店が請求してきている罰金は「損害賠償としての意味合いの罰金」であることが多く、場合によっては店に対して損害賠償責任を負う可能性はあるでしょう。もっとも実務的には店に対する賠償責任を負うケースは少なく、仮に支払いに合意した場合でも、強迫取消(民法第96条)や公序良俗違反(民法第90条)でその合意を取り消せるケースもあります。ただし、本番強要や盗撮など罪に問われる行為をした場合には、女の子から警察に被害届を出され、最悪の場合、逮捕されてしまうこともあります。逮捕を回避するには、風俗店に罰金を支払うのではなく、女の子と示談を成立させることが重要です。
この記事では、上記内容につき、風俗トラブルに強い弁護士が徹底解説していきます。
なお、この記事を最後まで読んでも問題解決しない場合には、全国無料相談の弁護士までお気軽にご相談ください。家族や勤務先に知られずに風俗トラブルを解決することが可能です。
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目次
風俗でよくある罰金請求されるケース
性風俗店から罰金として違約金の支払いを請求される可能性が高いのは、以下のような行為があった場合です。
- 性風俗店の従業員と性交・性交類似行為を行った場合
- 性風俗店でサービスの提供を受けている様子を隠し撮りした場合
- 性風俗店の従業員に対して有形力を行使、脅迫行為をした場合
- 利用規約違反にあたる行為に思い当たる節がないのに違約金請求されている場合 など
ソープランドやファッションヘルスなどの店舗型の性風俗店や、デリヘルなどの派遣型ファッションヘルスなどでは、利用規約において性行為やその他迷惑行為の禁止が規定されていることが多いです。とくに「本番行為」については、売春防止法の管理売春にあたるとして当局に摘発されるおそれがあることや、女の子がお客から強姦される被害に遭わないようにするために厳しく禁止している風俗店が多いです。
そして、性風俗店の女性スタッフ・キャストとの性行為を強要すると、店側から罰金名目で金銭の支払いを請求されてしまう場合があります。性風俗店には背後に反社会的勢力が関わっている場合もあり、暴行・脅迫を受けて金銭の支払いを強要されてしまう場合があります。
同様に、サービスを受けている最中を無断で撮影する盗撮行為もペナルティの対象とされていることが多いです。性風俗店のスタッフの女性をスマホやデジカメ、その他撮影用の機器で撮影した場合には、同スタッフから店舗管理者に連絡されて金銭を請求されてしまう、という流れが典型的です。
このように規約違反行為が現認・発覚した場合には、運営責任者から強硬的な取り立てに遭うケースも多いです。あなたの規約違反行為から端を発して、運転免許証や保険証などの身分証の写しや会社の名刺を握られ、支払わなければ警察に通報し、家族・職場などにも連絡するなどと言われてしまうケースも多発しています。
風俗店から請求された罰金は払う必要がある?
「罰金」を支払う法的義務はないが損害賠償責任を負う可能性はある
店側が要求している「罰金」という言葉の使い方は正確ではありません。
「罰金」とは、刑法に規定されている刑罰の一種ですので(刑法第9条)、罰金を科すことができるのは刑罰権を行使することができる「国家だけ」です。したがって、一私人である企業が個人に対して「罰金」を科すことなどはできません。
もっとも、性風俗店が「規約違反に対する懲罰」という趣旨で顧客に金銭の支払いを要求していることは明らかでしょう。
したがってこの場合、店側の性風俗営業に対する損害賠償の請求や、債務の不履行について損害賠償額の予定であると考えるのが合理的です。
なお、風俗店から罰金を請求された場合、「私人は罰金を請求する権能を有しない」と反論したところで問題の根本的な解決にはならないでしょう。
民事責任の追求を受けているという前提で、適切に対応する必要があります。
実際に、損害賠償としての罰金を払わなくてはならないケースはある?
もっとも、上記のような損害賠償としての意味合いの罰金を支払う法的義務が生じるケースは多くありません。
まず、風俗店側の何らかの権利が侵害され損害が発生している場合には、不法行為に基づき損害を賠償する責任が発生する可能性があります。
しかしこの場合も、店側のどのような権利が侵害され、どのような損害が発生しているのかは明確にされる必要があります(その点の主張立証責任については支払いを請求している店側にあります)。
風俗店が罰金の支払いを請求してくる事案では、必ずしも侵害権利や損害が明確になっていないケースが多く、顧客の行為によって店側が損害を負う事案も決して多いとは言えません。
なぜなら、性行為や盗撮行為によって権利侵害や損害が発生しているのは、女性スタッフ個人に対してであり、店側には何ら権利侵害・損害が発生してないと考えられるからです。
「顧客の行為によりスタッフが店を休み収益が下がった」と反論されることも多いですが、顧客の行為と従業員の休業、その従業員の不在と店の売上の低下との間に因果関係が証明されなければ、顧客に不法行為責任は発生しません。
支払いに合意してしまったら絶対に払わなくてはならない?
さらに、損害賠償としての罰金の支払いに合意してしまった場合でも、強迫による意思表示は取り消すことができます(民法第96条1項)。取り消しが認められるためには、店側が害悪を告知したことで、顧客が畏怖した状態で意思表示してしまったことが必要です。
裁判例には、性風俗店で女性スタッフを盗撮したとして、慰謝料・迷惑料(≒罰金)として100万円を支払うという示談書に合意してしまった事例があります。
- 店舗入口には「盗撮、盗聴一切禁止です。→発見時迷惑料が発生します。」との記載した掲示はあったが、迷惑料が100万円という記載はなかった
- 盗撮がバレたあと店の代表者は容易に店舗外に出られないスペースに客を移動させた
- 店の代表者が「払わないなら家に帰さない」と述べ、また、携帯電話等の所持品を返してもらっていなかったため、やむなく示談書を作成した
このようなケースで裁判所は、「容易に外に出られない本件スペースに被告を留まらせ、携帯電話等の所持品を原告が預かった状況下で、本件撮影行為に関して執拗に100万円の賠償を求め、20万円の即時支払を求めたり、・・・このままでは帰宅することもできないと恐怖の念を被告に感じさせて本件示談書を作成させたものと認められるから、原告の行為は、民法96条1項の「強迫」に当たる」と判断しています(東京地方裁判所平成27年2月28日判例)。
店の強迫が認められ顧客の意思表示の取消しが認められました。
また、仮に強迫行為がなかった場合でも、「本番行為・盗撮をしたら罰金100万円」といった利用規約にもとづいて金銭請求された場合には、暴利行為として公序良俗(民法第90条)により無効になることもあります。暴利行為とは、相手が知識・経験不足や、切羽詰った状況にあることを利用して不当に財産的利益を得ることです。
風俗店からの罰金請求は無視で大丈夫?
風俗店から罰金を請求された場合、支払い義務が発生しているとはいえませんが、無視したり放置したりすることも得策であるとはいえません。
規約違反行為や違法行為をした場合には、相手方の女性と示談する必要があるでしょう。
手淫だけの店舗で性交を強要したり、相手の同意なく胸やお尻を触ったり下着の中に手を入れたり、サービス中の女性を盗撮した場合には、不同意性交等罪・不同意わいせつ罪、撮影罪などの刑事事件になる可能性があります。
不同意性交等罪が成立した場合には「5年以上の有期拘禁刑」、不同意わいせつ罪が成立した場合には、「6月以上10年以下の拘禁刑」に科されます(刑法177条、176条)。撮影罪が成立した場合は、「3年以下の拘禁刑」または「300万円以下の罰金」が科されることになります。
そのため、請求を無視していると被害者や店舗から被害届・告訴状が提出され、上記犯罪の疑いで逮捕されてしまう可能性があります。
このような事態を回避するためには、被害者等と示談を成立させておくことが重要です。
風俗の罰金に関する注意点
一度罰金を支払ってしまうと追加で請求されるリスクがある
悪質風俗店とトラブルを抱えてしまうと、免許証や保険証、マイナンバーカードなどの本人確認書類のコピーや勤務先の名刺をとられ、金銭の支払いを渋っていると「家族にばらす」「会社に連絡する」「警察に通報する」と脅されてしまう可能性があります。
一度金銭の支払いに応じてしまうと、「ちょっと脅せば金を払うカモ」と認識され、延々と金銭を請求されるという事案もあります。
そのため、仮に少額であったとしても罰金の支払いに納得できない場合には、一度弁護士に相談することをおすすめします。
風俗店に罰金を支払っても女性と示談したことにはならない
風俗店に罰金を支払っても、直接の被害者である女性と示談・和解したことにはならない点には注意が必要です。
店側から「罰金を支払えば不問に付す」と言われたとしても、被害女性との間で示談が成立していない以上、あとで女性から損害賠償を請求されたり、警察に被害申告されて逮捕されたりするリスクがあります。
被害者と示談する場合には必ず被害者個人に示談金を支払う必要がありますので、店側にお金を支払わず被害女性と話し合いをすることがポイントです。
ただし、性被害の場合、加害者との直接の交渉には応じてくれない被害者が多いですので、示談交渉する場合には弁護士に依頼して代行してもらうべきでしょう。
風俗店が用意した示談書に署名してはならない
風俗店が用意した示談書には署名しないようにしてください。
示談書にサインしてしまうと基本的には有効な契約書として法的効果が認められます。署名・捺印には「示談書に提示されている金銭の支払いに応じる」という意味がありますので、示談書が無効・取り消されない限りは店側に取り立ての正当な権利が発生してしまうのです。
相手方が提示してくる示談書には、支払義務者に一方的に不利な内容が記載されている可能性もあります。
したがって、店側が執拗に署名を迫ってきたとしても「この場では内容を判断できない」「一度持ち帰って検討したい」と告げてサインだけはしないことが肝心です。
罰金請求された場合に弁護士に依頼するメリット
家族や会社に知られずに解決できる可能性が高まる
悪徳風俗店の場合には、罰金を支払わないのであれば家族や職場にばらすと脅迫を受けるおそれがあります。
このような場合にも弁護士に依頼することで代理人として相手方との交渉・話し合いを代行してもらえます。
ケースによっては、風俗店側の言動が脅迫や強要に該当する可能性もありますので、弁護士であればその点を適切に警告して穏便に手続きを進められるように対応してもらえます。
弁護士が示談交渉する場合には、当然その内容についても法的な観点からチェックすることになるため、依頼者に著しく不利になる条項などを排除することができます。また示談を成立させる場合、警察に被害届や告訴状を提出しない旨の同意を取り付けられる場合もありますので、その場合には刑事事件化するリスクを最小化させることも期待できます。
もちろん弁護士は依頼人に対して守秘義務を負っていますので、基本的に第三者にバレることなく内密に示談交渉を進められる可能性が高まります。
風俗店からの不当な罰金請求や脅迫をブロックできる
また、弁護士に依頼することで、風俗店からの不当な金銭支払いの要求や脅迫行為をブロックすることができます。
風俗店から罰金請求された場合、弁護士は以下の点を判断して適切に反論します。
- 実際にあった事実認定は適切にできているか否か
- 請求されている金銭には法的に根拠があるのか否か
- 根拠があるとして金額として妥当性があるのか否か
- その他相手方に違法・不当な行為がなかったか否か など
弁護士に代理人として介入してもらうことで上記のような内容を適切に判断してもらうことができます。
当事者の間で認識されている事実が異なるケースも往々に存在していることから、まずはどのような事実が発生したのかという事実を確定させる作業も、弁護士に間に入ってもらい交渉してもらうことでスムーズに進められる可能性が高まります。
刑事事件を回避できる可能性が高まる
前述のように、店側と話し合う場合には、被害届・刑事告訴をしないように約束してもらうように交渉します。
仮にすでに被害届や刑事告訴されてしまった場合でも、早急に示談を成立させることで、逮捕や起訴される可能性を下げることができます。
示談が成立することで、被害者が被害届等を取り下げてくれるケースや、捜査機関が被害回復が図れたことで処罰の必要がないと判断されるケースもあります。
適切な額で示談をすることができる
弁護士であれば、適切な金額を支払うことでトラブルを解決できる可能性があります。
風俗店から100万円以上の高額な金額を請求される可能性がありますが、金額の算定には根拠が必要です。弁護士であれば過去の同様な事件を参考に適切な示談金を提示することができます。
弁護士に適切に対応してもらうことで、事後的にトラブルを蒸し返されて追加で金銭を請求されることも防止することが可能です。
当事務所では、風俗トラブルを周囲に知られることなく迅速に解決することを得意としており多数の実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守ります。デリヘルなどの風俗店から罰金請求されてお困りの方は当事務所の弁護士までご相談ください。相談する勇気が解決への第一歩です。
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