デリヘルで盗撮をする直前に女性にばれ、後日店から100万円の示談金を請求をされた男性客からの相談です。
たしかにスマホで盗撮しようとしたことについては自分が悪いが、未遂に終わったのに高額な示談金を払うことは腑に落ちないとのことでした。
最終的に弁護士が交渉し、10万円の示談金で解決した事案です。
※個人情報保護のため、ご相談内容の一部を変更しております。
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【事案の詳細】デリヘルの盗撮で示談金を請求された
出張に行った際、行きつけの大阪のビジネスホテルでデリヘルを呼びました。
女性が部屋に到着後、出張先という開放感から少し羽目を外してみたいと思い、オプションにもあった目隠しを選んでみました。
アイマスクで目隠しをしていて女性には何も見えていないという安心感から、つい出来心で「スマホのカメラで行為を撮影したい」と考えてしまいました。
これからサービスが開始されるという直前にナイトテーブルに置いていたスマホを取り、女性にスマホカメラを差し向けた瞬間、女性から「何をしているの」と聞かれました。
私はテンパってしまい「ちょっとメールが来たから」と答えたのですが、女性がアイマスクを外して「もしかして盗撮しようとしてた?」と言ってきました。
どうやらアイマスクの隙間から私の動きが見えていたようです。
私は、カメラを女性に向けただけでまだ撮影していなかったため、素直に盗撮未遂を認めて謝りました。
女性はとくに怒った様子もなく、「次から絶対にやめてくださいね」と言った後にそのままサービスを続けてくれました。
サービス終了後、軽く世間話をして、何事もなかったかのように「次に大阪出張したときも指名してくださいね」と笑顔で帰っていきました。
そのような状況から安心して過ごしていたところ、一週間くらいして携帯に知らない番号から着信がありました。
電話に出てみると、男性の声で、「デリヘル〇〇店の者です。女の子から『盗撮された』と申告があって電話しました。本当ですか?」と尋ねられたので、「すみません。盗撮しようとしたところ女性が気が付きました。申し訳ございませんでした」と謝りました。
しかし電話口の男性は、「ごめんなさいで済むわけないですよね。女の子もあれから精神的に落ち込んでしまい、仕事をするのが怖いと言っている。どう責任を取ってくれるんですか?」と少し強い口調で言ってきました。
私は恐怖で固まってしまい、何も言えずにただすみませんと答えましたが、「うちのホームページで、盗撮は迷惑料として100万円いただきますと利用規約にはっきり書いてあります。示談書を書いてもらうのでとりあえず事務所に来てください」と日時と場所を指定してきました。
恐怖のあまりその場では会う約束をしてしまいましたが、まだ撮影に至っていないのに100万円もの高額な示談金を払わなくてはならないことが腑に落ちず、弁護士に相談しようと考えました。
弁護士との相談内容
相談者の主張としては、盗撮しようとスマホを差し向けたことは事実とはいえ、まだ撮影していない段階で発覚したのだから、100万円の示談金の支払いに納得がいかないとのことでした。
たしかに今回のケースでは、盗撮は未遂に終わっています。また、その後にサービスを継続した女性の対応からしても、その場で解決したと考えてもおかしくないケースと言えます。
しかし、今回盗撮トラブルを起こした大阪府の改正迷惑防止条例では、ホテル内での盗撮は処罰対象であるだけでなく、実際に撮影していなくても、撮影機器を被写体に差し向けただけでも違法になると解釈されています。
相談者の男性は、40代既婚で奥様とお子様が二人おります。会社に勤続20年近くも働いておりそれなりの社内での地位もあります。あまりお店と争って、最悪のケースとして警察に逮捕されたら失うものが大きすぎます。
その点を相談者に弁護士から説明し、刑事事件になることを避けつつも、極力低い解決金で示談を成立させるために弁護士が交渉に入ることとなり依頼を受けました。
弁護士の交渉内容
さっそく弁護士はデリヘル店に電話をし、相談者と電話対応した男性スタッフと話しました。
その男性は店長を任されており、店で起きた風俗トラブルの対処の権限もあるとのことでしたので、弁護士はまず、「代理人弁護士として私が今後すべての対応をしますので、本人への連絡はしないでください」と伝えました。
また、「本人も盗撮したことを反省しており、示談で解決を図りたいと考えているので警察への被害届については待ってください」とも伝えました。
予想外にも店長は、「そんなのわかってるよ。弁護士さんが間に入ったのにお客に直接電話して金銭を要求したらこっちが恐喝になりかねないからね」「警察に通報するつもりも初めからなかったよ。盗撮した客に反省してもらいたいのと、女の子に誠意を見せて欲しいだけだからさ」と温和な回答をしてきました。
弁護士は、相談者に示談金を支払う意思があること。盗撮”未遂”であり、裁判で不法行為につき争っても判決で認められる賠償額はかなり低額であること。この2点を伝えました。
店長は、「要するに減額して欲しいってことでしょ?さっきも言ったけど、お客に反省してもらわないとダメだし、1万2万じゃ済まないよ。それを考えて弁護士さんがもう一度客と話して改めて連絡してきてよ」との回答でした。
話を持ち帰り、相談者の了承を得て、女性へ10万円の慰謝料の支払いをする方針に決まり、その旨店長に伝えました。
交渉の結果
店長はから、「ちょっと少ないけどサラリーマンにとっての10万はそれなりに痛いだろ。それでいいよ」との回答をいただいたため、当事務所の大阪オフィスの弁護士がデリヘル店に直接出向き、弁護士が作成した示談書を交わすこととなりました。
実際に店長と会ってみると、電話で話した感じと違わず温和な方で、「盗撮とか本番とか、違反行為をした客にはある程度お灸をすえてやらなきゃまた繰り返すからさ。示談金の請求については理解してくれよ」と言っていました。
穏やかな雰囲気の中で、盗撮された女の子も同席のうえ、示談書を交わすことができました。
示談の内容としては、①相談者は二度とこの店を利用しないこと②女性は本件につき刑事事件にしないこと③本件を外部に口外しないこと④相談者が女性に対して示談金として10万円を期日までに支払うこと(口座情報を知られたくないとのことでしたので、相談者→弁護士→女性の口座への振り込み、という形をとりました)。
相談者へは、万一、示談の約束を破って相手が連絡してきた場合は弁護士が無償でアフターフォローすることを伝えました。示談締結後から半年以上経ちますが相談者へは一切の連絡は来ておりません。
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