誹謗中傷でも前科になる!前科がつかないためにすべきことを解説

ネット上で他人を中傷する書き込みをすると、その内容や悪質性によっては名誉毀損罪・侮辱罪・業務妨害罪などで逮捕され、有罪判決を受けて前科がついてしまう可能性があります

「軽い気持ちで書き込んだだけなのに、相手から訴えると言われている」「プロバイダから意見照会書が届いた」と不安を感じている方もいるのではないでしょうか。

この記事では、ネット誹謗中傷の解決実績が豊富な弁護士が、次の点について解説します。

  • 誹謗中傷で前科がつく4つの罪と法定刑
  • 前科がつくケースとつかないケース
  • 前科を回避する示談交渉の進め方
  • 誹謗中傷の示談金の相場と注意点

なお、こうしたリスクに直面している方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。早期対応が結果を左右します。

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掲示板でのどんな書き込みが誹謗中傷にあたるのか

5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)などの掲示板やアメブロなどの無料ブログ、X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSへの投稿のうち、どのようなものが誹謗中傷にあたり、加害者として責任を問われる可能性があるのでしょうか。

誹謗中傷とは、「根拠もなく悪口をいって相手をけなすこと」とされています。誰かが運営しているブログのコメント欄や自分のSNSなどに「バカ」「死ね」などの暴言を書き込むことは誹謗中傷となりますし、誰かの実名を出して「○○は過去に殺人を犯したことがある」といった事実無根のデマを書き込むことも誹謗中傷にあたります。継続的な書き込みは嫌がらせとして別の罪に発展することもあります。

書き込みの内容次第では、刑法上の犯罪として有罪判決を受け前科がついてしまう可能性があるため、まずはどんな罪が成立し得るかを把握しておくことが大切です。

誹謗中傷で前科がつく4つの罪

ネット上の誹謗中傷で問題になりやすい違法行為のうち、刑事罰の対象となり前科がつく可能性があるのは主に以下の4つです。

なお、本名や住所などの個人情報を勝手に公開する「プライバシー侵害」は、民事上の不法行為として損害賠償請求の対象にはなりますが、これ自体には刑事罰の規定がないため、プライバシー侵害だけで前科がつくことはありません。一方、以下の罪に該当する書き込みは有罪となれば前科として記録に残ります。

名誉毀損罪(刑法230条)

名誉毀損罪の対象となるのは、「ある人に対して社会が与えている評判などの評価」が侵害されたときです。例えば「○○は不倫している」「○○は過去に窃盗を犯した」など、特定の人物を指して社会的評価を下げる事実をネット上で不特定多数に発信した場合、誹謗中傷として名誉毀損罪が成立する可能性があります。

刑事上の名誉毀損罪が成立した場合、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科され、前科として記録に残る可能性があります。ちなみに、ここでいう「事実」は真実か虚偽かを問わず、嘘の内容でも具体的な事実を示せば成立し得る点に注意が必要です。

また、刑事の名誉毀損罪が成立しないケースでも、民事上の不法行為(他人に損害を与える違法な行為)として損害賠償請求の対象になることがあります。

侮辱罪(刑法231条)

名誉毀損罪と異なり、具体的な事実を示さずに公然と人を侮辱した場合に成立するのが侮辱罪です。「バカ」「死ね」「クズ」など、相手の社会的評価を下げる具体的な事実を示さずに罵詈雑言を浴びせるケースが典型例で、ネット誹謗中傷では名誉毀損罪より侮辱罪が問題となるケースのほうが多いとも言われています。

侮辱罪は2022年7月の法改正で厳罰化され、1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金、拘留もしくは科料が科される可能性があります。改正前は拘留または科料のみだったため、SNSや掲示板での暴言投稿でも罰金や拘禁刑の対象となり、前科が残るリスクが格段に高まりました。

業務妨害罪(刑法233条)

法人に対して「この会社はブラック企業だ」「ある商品に虫が混入していた」などの虚偽の情報を掲示板などに書き込み、その結果法人の売り上げが激減したり悪評がどんどん広まって炎上したりといったことが起きたときには、業務妨害罪に問われる場合があります。

業務妨害罪が成立すると、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科される可能性があります。誹謗中傷の対象が法人や店舗の場合、この業務妨害罪が問題になりやすい傾向があります。

リベンジポルノ防止法違反

元交際相手の裸の画像や性行為の動画をネット上に流出させた場合は、リベンジポルノ防止法(正式名称:私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律)違反にあたります。第三者が撮影対象者を特定できる方法で不特定または多数の者に提供すると、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科される可能性があります

別れた腹いせや脅しの目的で行ったケースでも当然違法であり、立件されれば前科がつきます。

誹謗中傷で前科がつくケースとつかないケース

誹謗中傷で逮捕されたら必ず前科がつくと思われがちですが、実際には前科がつくかどうかは手続きの結果によって変わります。

前科がつくのは有罪判決を受けた場合のみ

ネットへの投稿が犯罪にあたるとして逮捕・起訴され、有罪判決を受けると前科がつきます。逮捕されただけ・書類送検(逮捕せず書類のみで検察に事件を引き継ぐ手続き)された段階・不起訴になった場合は前科がつきません

つまり、起訴前の段階で示談を成立させて不起訴処分を引き出せば、たとえ逮捕されても前科を回避できる余地があります。

罰金刑や略式起訴でも前科は残る

前科は拘禁刑だけでなく、罰金刑であっても残ります。略式起訴(公開の法廷を開かず書面審理のみで罰金刑を科す簡易な手続き)で罰金が確定した場合でも前科として記録されますので、「罰金で済んだから前科にはならない」という誤解は禁物です。

特に略式手続は短期間で罰金が確定するため、本人が深く考えずに同意してしまうケースもありますが、その結果として前科がつくことは知っておきたい点です。

前科と前歴の違い

よく混同されますが、前科と前歴は法的な意味が異なります。前科は有罪判決を受けた事実そのものを指すのに対し、前歴は捜査機関が事件として扱った経歴を指します

つまり、逮捕されただけ、あるいは書類送検にとどまり不起訴になった場合は前科にはならず前歴として残るのみです。前歴は捜査機関の内部記録であり、就職や資格などへの直接的な影響は基本的にありません。

誹謗中傷の加害者が直面する3つの法的リスク

誹謗中傷の書き込みをしてしまった加害者は、有罪判決による前科だけでなく、その手前で複数の法的措置を受けるリスクがあります。

発信者情報開示請求による身元特定

ネット誹謗中傷で匿名で投稿していても、被害者は発信者情報開示請求という手続きで投稿者の氏名・住所・メールアドレスなどの開示を求められます。コンテンツプロバイダ(投稿サイト)から取得した投稿のIPアドレスを起点にアクセスプロバイダを特定し、最終的に発信者の個人情報が相手方に開示されます。

発信者情報開示請求された場合、プロバイダから意見照会書(開示に同意するかを発信者に確認する書面)が届きます。意見照会書への対応について詳しくは「開示請求の意見照会書が届いたら?回答書と正しい対処法」で解説しています。

発信者情報開示請求は、損害賠償請求や前科につながる刑事告訴に進むための準備として行われるケースが大半です。請求自体を拒否することも理論上は可能ですが、最終的に裁判所への発信者情報開示命令の申立てなどによって開示されるケースが多いため、開示を見越して早期に対応することが重要です。

損害賠償・慰謝料の請求

発信者の身元が特定されると、被害者から誹謗中傷に対する損害賠償や慰謝料を請求されることがあります。名誉毀損だけでなく、プライバシー権の侵害も民事上の不法行為として損害賠償請求の対象になります

書き込みの内容が悪質である、長期間にわたって繰り返している、相手の事業や生活への影響が大きいといった事情があれば、請求額が高額になることもあります。敗訴すれば賠償金の支払いだけでなく、訴訟の準備にも相応の時間と費用がかかります。

刑事告訴と逮捕

被害者が刑事告訴に踏み切ると、警察による捜査が始まり、悪質な事案では逮捕に至ることもあります。逮捕から48時間以内に検察へ送致され、さらに24時間以内に勾留請求の判断が下り、勾留が認められれば最大20日間身柄が拘束されます

会社を長期間休まざるを得なくなり、上司や家族に理由を説明する必要も出てきます。起訴されて有罪判決が確定すれば前科がつくため、起訴前の段階でいかに早く対応できるかが結果を大きく左右します。

誹謗中傷で前科がつくと生活にどんな影響があるか

有罪判決を受けて前科がついてしまうと、職業・資格・海外渡航・再犯時の量刑など、生活のさまざまな場面で長期にわたる影響が及びます。

職業と国家資格への影響

職業面では、前科がつくと履歴書の賞罰欄に記載が必要となる場合があり、面接や採用判断で不利に扱われるおそれがあります。誹謗中傷の事件が報道されて職場に知られた場合は懲戒解雇に至るリスクもあり、社会的信用への影響は無視できません。

拘禁刑以上の刑に処されると、国家公務員・地方公務員・教員は失職し、弁護士・行政書士・公認会計士・司法書士などの国家資格にも欠格事由が及びます(国家公務員法38条1号など)。医師など、罰金以上の刑でも欠格事由となる資格もあるため要注意です。司法試験合格後に法曹資格を得るための司法修習生への採用や、弁護士登録についても、欠格事由に該当している間は認められません。

海外渡航への制約

海外渡航にも制約が生じます。旅券法13条により、執行猶予期間中などの場合はパスポートの発給が制限されることがあり、アメリカやカナダなどへの渡航ではESTAやeTAといった渡航認証の申請時に犯罪歴の申告が必要となります。前科があると渡航認証が下りず、別途ビザの申請を求められるケースもあります。

ビジネスでの海外出張や留学を予定している方にとっては、計画そのものを見直さざるを得ない事態にもなりかねません。

再犯時の量刑加重

再犯の際に前科があると、検察官や裁判官の心証が悪くなり、より重い処分になる傾向があります。具体的には、累犯加重(刑法56条)の対象になったり、執行猶予の要件(刑法25条)を満たさず実刑判決となるリスクが高まります。

「次は罰金で済むだろう」という見通しが立てづらくなる点も、前科が残る大きなデメリットといえます。

実名報道とデジタルタトゥー

逮捕されると実名報道されるおそれもあります。誹謗中傷の事件は社会的関心を集めやすく、氏名や顔写真がニュースサイトに掲載されると、検索結果やSNSの転載を通じて長期間にわたって残り続け、いわゆるデジタルタトゥーとして将来の人間関係や転居先にまで影響を及ぼしかねません。

ニュースサイト側に削除依頼を出すこともできますが、すべて消し去ることは現実的に困難です。

前科を回避するには示談交渉が有効

ここまで見てきたように、前科がつくと生活への影響は深刻です。これを回避する最も有効な手段が、起訴前の段階での示談交渉です。

親告罪なら告訴取り下げで不起訴になる

示談交渉とは、当事者同士で話し合って終局的な解決を模索する方法です。誹謗中傷にあたる書き込みによって権利を侵害されたとする相手方が今後刑事告訴を考えていたとき、示談交渉を通じて刑事告訴を見送るよう働きかけが可能です。

名誉毀損罪・侮辱罪・リベンジポルノ防止法違反は親告罪(被害者の告訴がなければ起訴できない犯罪)ですので、仮に示談交渉の前にすでに刑事告訴されていた場合でも告訴を取り下げてもらうことに相手方が合意すれば、不起訴になります。示談成立時に相手方から告訴取消書を取得して捜査機関に提出することで、告訴の取り下げが正式に処理されます。

ただし、業務妨害罪は非親告罪のため告訴の取り下げによる不起訴は望めませんが、示談を成立させていれば検察官の不起訴処分(起訴猶予)の判断に有利に働くケースもあります。

裁判にせず費用と手間を軽減できる

ネット誹謗中傷の被害者が損害賠償や慰謝料の請求訴訟を起こしてきた場合、相手も弁護士費用などをかけていますが、こちらも証人を集めたり証拠を提出したりと、かなり手間のかかる作業になります。さらに、訴訟手続きを弁護士に依頼するとなるとそれなりの費用もかかります。

しかし示談交渉で済むのなら、訴訟の準備は必要ありません。弁護士費用に関しても、訴訟ではなく示談交渉のほうが費用が安く済むケースがほとんどです。裁判にせず示談交渉で解決できれば、費用や手間を大幅に軽減できます。

ネット誹謗中傷で示談交渉するときの注意点

相手が本当に被害者なのか

前科を回避するために示談交渉を進める場合は、相手方が本当に誹謗中傷の被害者かどうかを確認しましょう。

発信者の情報を特定するにあたっては、プロバイダに対して被害者本人が発信者情報開示請求を行っており、その際には印鑑証明や本人確認書類を添付する必要があるため、プロバイダ側で本人確認は厳重に行われているのが原則です。しかし、万が一ということもあります。

匿名の投稿がほとんどであるネットの世界では、発信者側も相手の素性を知らないままに投稿していることもあり、実際に意見照会書が送られてきた時に差出人の名前に見覚えがなかったという人も少なくありません。

示談交渉を進める中でできるだけ被害者本人であることを確定できる情報を得られるように働きかけ、もしも「本当に被害者かどうか怪しい」と違和感を感じることが少しでもあれば、その後の示談交渉は慎重に進めていくことが望まれます。なお、被害者側の弁護士から内容証明や通知書が届いた場合の対応については「弁護士からの内容証明・通知書の連絡を無視はNG!対応方法を解説」をご参照ください。

書き込みが誹謗中傷にあたるか

相手方が「権利を侵害された」として指定している書き込みが本当に権利を侵害しているのか、しっかりと確認することも示談に先立って大切なポイントです。

プライバシーの侵害であれば判断しやすい一方、名誉毀損や業務妨害罪などはその判断が難しい部分があり、相手方が過剰に反応して感情的になってしまっている可能性もあります。また、形式的には名誉毀損やプライバシーの侵害にあたったとしても、なんらかの理由で違法性(法的に許されない性質)がないと判断されるケースもあります。

完全に悪意を持って誹謗中傷の書き込みを行っているならともかく、多くの場合は「これが誹謗中傷に当たるとは思わなかった」「この書き込みには正当な理由がある」と発信者側が考え、一方的に加害者とされることに納得がいかないというケースもあります。その場合は、自身の正当性を主張する必要があります。どんな反論をすればいいのか、どんな証拠を集めて主張すれば効果的なのかを自分で判断することが難しい時には、弁護士に相談することをおすすめします。なお、「イニシャル・伏字・源氏名の誹謗中傷でも名誉毀損になる?」もあわせてご確認ください。

相手に過失はないか

損害賠償や慰謝料を請求されたとき、相手側にもなんらかの過失があったときには、相手が主張する損害賠償額に対して「高すぎるのではないか」と交渉できる余地が増えます

仮に示談が不調に終わり損害賠償請求訴訟に発展した場合でも、裁判官は被害者側の過失があれば、それを考慮して損害賠償額を決められます(民法722条)。

示談交渉に当たる前に、誹謗中傷とされた書き込みやその前後の流れ、やりとりがあればその背景なども確認して、相手方に過失があるかどうかも押さえておきましょう。

誹謗中傷の示談金の相場は?

気になるのが示談金の相場ではないでしょうか。これはどんな権利が侵害されたかによっても変わってきますが、一般的にはプライバシー権の侵害や名誉毀損の慰謝料は10万〜50万円程度が相場とされています。被害者が事業者の場合は50万〜100万円程度になることもあります。

ただ、ネットの誹謗中傷の場合、損害としては財産権の侵害というよりも精神的苦痛であることがほとんどです。

そのため、明確な慰謝料の金額というものはなく、相手方が妥当だと思う金額には差があるため、示談交渉の場ではもっと高額の賠償額を示談金として要求されるケースもあります。

示談で前科を回避したい方はお早めに弁護士にご相談ください

ネット上の誹謗中傷は、内容や悪質性によっては名誉毀損罪・侮辱罪・業務妨害罪・リベンジポルノ防止法違反に該当し、有罪判決を受ければ前科として記録に残ります。職業・国家資格・海外渡航・再犯時の量刑などへの長期にわたる影響を避けるには、起訴前の段階で示談を成立させることが最も有効な手段です

名誉毀損罪・侮辱罪・リベンジポルノ防止法違反は親告罪のため、告訴を取り下げてもらえれば不起訴となり前科を回避できる余地があります。ただし、示談交渉は相手方の感情に配慮した繊細なやり取りが必要で、加害者本人が直接連絡を取るとかえって反発を招き、話がこじれてしまうことも少なくありません。弁護士が早期に間に入ることで、適切な示談金で和解にこぎつけられる可能性が高まります。

「プロバイダから意見照会書が届いた」「相手から訴えると通告されている」「弁護士から内容証明が届いた」など、すでに具体的な状況に直面している方は、一人で抱え込まず早急に専門家にご相談ください。時間が経つほど刑事手続きが進行し、打てる手は限られていきます。

当事務所はネット誹謗中傷の解決実績が豊富で、加害者側のご相談にも数多く対応してきました。依頼者の不利益を最小限に抑えるため弁護士が迅速に動き、全力を尽くして守ります。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご連絡ください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

ネット誹謗中傷の削除請求・犯人特定・損害賠償請求に豊富な実績を持つ。掲示板やSNSでの名誉毀損・プライバシー侵害・風評被害に対し、発信者情報開示請求による投稿者の特定から慰謝料請求まで一貫して対応。法人・個人を問わず、ネット上の権利侵害から依頼者を守るために迅速に行動している。

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メディア掲載 フジテレビ「とくダネ」/ ダイヤモンド・オンライン / @DIME / サイゾー 他多数
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