
「横領で刑事告訴されたら、このまま逮捕されてしまうのか」「会社に告訴すると言われたが、どうすればいいのか」と不安を抱えていませんか。
横領で刑事告訴されても、必ず逮捕されるわけではありません。警察は告訴を受理すると捜査を始め、起訴するかどうかは検察官が決めます。被害者との示談(話し合いによる解決)で告訴を取り下げてもらえれば、刑事裁判にかけられずに済む可能性が高まります。
この記事では、横領事件の解決実績が豊富な弁護士が、次の点について解説します。
- 刑事告訴が受理された後の流れと逮捕の可能性
- 告訴を取り下げてもらうための示談と返済
- 弁護士に依頼するとできること
なお、お困りの方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。早期対応が結果を左右します。ご相談は地域を問わず承っています。
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横領で問われる罪と刑事告訴
横領で刑事告訴されたら、問われるのは主に横領罪か業務上横領罪です。
横領罪・業務上横領罪の刑罰
横領罪は、預かっている他人のお金や物を、使い込んだり売ったりして自分のものにした場合に成立します。刑罰は5年以下の拘禁刑です。
(横領)
第二百五十二条 自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の拘禁刑に処する。
2 (略)
出典:e-Gov法令検索
業務上横領罪は、仕事として会社などのお金や物を預かり管理している人が横領した場合に成立し、刑罰は10年以下の拘禁刑と重くなります。
(業務上横領)
第二百五十三条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の拘禁刑に処する。
出典:e-Gov法令検索
どちらの罪にも罰金刑はありません。
※拘禁刑は、2025年6月1日に懲役刑と禁錮刑を一本化して導入された刑罰です。同日より前の行為には改正前の懲役刑が適用されますが、刑の上限は同じです。
公訴時効(検察官が起訴できる期限)は、横領罪が5年、業務上横領罪が7年です(刑事訴訟法250条2項)。
刑事告訴とは?被害届との違い
刑事告訴とは、被害者(横領なら会社など)が捜査機関(警察署や検察庁)に犯罪の被害を申告し、犯人の処罰を求めることです。
告訴は書面(告訴状)か口頭で行えますが、実務では書面が一般的です。
一方、被害届は被害の事実を申告するもので、処罰を求める意思表示は含みません。告訴されると、事件は必ず検察官に送られ、警察限りでは終わりません。
なお、横領罪と業務上横領罪は非親告罪(告訴がなくても捜査や起訴ができる罪)です。
ただし、家族や親族のお金や物を横領した場合は、刑が免除されたり、告訴がなければ起訴できなかったりする特例があります(刑法255条・244条)。
横領で刑事告訴されたらどうなる?受理後の流れ
横領の刑事告訴が受理されると警察が捜査を始めますが、すぐに逮捕されるとは限りません。最後は検察官が、起訴(刑事裁判にかけること)か不起訴(裁判にかけずに終えること)かを決めます。
刑事手続きの大まかな流れは次のとおりです。
- 告訴が受理され、警察が捜査を始める
- 警察から呼び出され、取調べに応じる
- 逃亡や証拠隠滅のおそれがあれば逮捕される
- 事件が検察官に送られる(逮捕されていれば身柄も)
- 検察官が起訴か不起訴かを決める
- 起訴されれば刑事裁判が開かれる
警察の捜査が始まり、取調べに呼び出される
警察は、告訴された横領の裏付けとして、会社の帳簿や入出金の記録を調べたり、上司や同僚に事情聴取をしたりして証拠を集めます。
捜査が進むと、取調べのために警察から出頭を求められます。逮捕されずに、自宅から呼び出しに応じて取調べを受ける形を在宅事件といいます。
出頭は任意ですが、正当な理由なく呼び出しを無視し続けると、逃亡のおそれがあると判断されて逮捕につながりかねません。
警察から呼び出しを受けたら、出頭前に弁護士に相談し、取調べへの対応を確認しておくと安心です。
逃亡や証拠隠滅のおそれがあれば逮捕される
告訴の有無を問わず、逮捕されるのは、横領をしたと疑う相当な理由があり、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されたときです。呼び出しを経ずに逮捕されることもあります。
2025年の検察統計では、横領で処理された被疑者8,192人のうち、逮捕されたのは1,150人(約14%)でした。この統計には告訴のない事件や拾った物の横領(遺失物等横領)も含まれるため、会社が告訴した横領にそのまま当てはまりません。
いくら以上なら逮捕されるという金額の基準は、法律にはありません。ただし、被害額の大きさや弁償の有無、横領を認めているかどうかは、逮捕や処分の判断で考慮されます。
業務上横領で逮捕されやすい・されにくいケースは「業務上横領罪とは?刑罰の重さと判例を解説」で解説しています。
逮捕されると、48時間以内に検察官へ送られ(送致)、検察官は24時間以内に勾留(引き続き身柄を拘束すること)を請求するかを決めます。勾留は請求の日から原則10日以内で、延長されると最長20日間です。
検察官が起訴か不起訴かを決める
2025年の検察統計によると、告訴の有無を問わず業務上横領で処分が決まった1,299人のうち、起訴されたのは596人(約46%)でした。不起訴処分となった703人のうち397人は、起訴猶予(罪を犯したと認められても、犯罪後の事情なども考慮して起訴を見送る処分)でした。
起訴猶予にするかどうかの判断では、被害弁償、示談、告訴の取り下げの状況も考慮されます。
起訴されると、横領罪・業務上横領罪には罰金刑がないため略式手続(書面で罰金を科す手続き)は使えず、公開の法廷で刑事裁判が開かれます。有罪でも実刑になるとは限らず、3年以下の拘禁刑が言い渡される場合には、執行猶予(一定期間、刑の執行を見送る制度)が付くことがあります。
裁判で刑の重さを左右する事情は、「業務上横領は初犯でも実刑?刑罰と執行猶予の条件を弁護士が解説」で紹介しています。
告訴は取り下げてもらえる?示談と返済での対応
被害者は、起訴されるまでであれば告訴を取り下げることができます(刑事訴訟法237条1項)。法律上は「告訴の取消し」といいます。
ただし、横領罪・業務上横領罪は非親告罪のため、告訴が取り下げられても、それだけで事件が終わるわけではありません。捜査が続き、起訴される可能性も残ります。
それでも、取り下げてもらえれば、被害者が処罰を望んでいないことが重く考慮され、不起訴となる可能性が高まります。取り下げてもらうための対応は、次の2つです。
弁護士を通じて謝罪し、示談を申し入れる
弁護士を通じて、横領した事実を認めて謝罪し、弁償の意思を伝えたうえで、示談を申し入れます。加害者本人と直接話したくない被害者でも、弁護士が相手なら話し合いに応じることがあります。
告訴される前なら、示談で告訴しないと約束してもらえれば、刑事事件化せずに済む可能性があります。告訴された後なら、告訴の取り下げを示談の条件にします。
示談書には、宥恕(被害者が加害者を許すこと)、告訴の取り下げ、清算条項(示談で決めたこと以外は互いに請求しないこと)を盛り込みます。
示談書のひな形は、「業務上横領の示談書の書き方【テンプレートのダウンロード可】」に掲載しています。
示談をせずにお金だけ返しても、横領した事実はなくならないため、返済後に告訴されることもあり得ます。返済した後でも、示談書を交わしておきましょう。
会社が把握していない横領がある場合、示談でどう扱うかは弁護士と相談して決めます。示談後に分かった横領は、改めて告訴されるおそれがあります。
示談金を用意し、一括で払えなければ分割を相談する
示談金は、弁護士に依頼した場合でも本人が用意します。少なくとも横領額の弁償が示談の前提になります。
示談金の目安は「業務上横領の示談金相場は?示談を成功させる5つのポイント」で解説しています。
手元の資金で足りなければ、家族や親族に借りる方法もあります。
それでも一括で払えない場合は、分割払いの相談も可能ですが、応じるかどうかは被害者が決めます。弁護士が無理のない返済計画を示して交渉すれば、合意につながりやすくなります。
返済の見通しが立たないときの対処法は「横領で返済できないとどうなる?2つの対処法を弁護士が解説」をご参照ください。
弁護士に依頼するとできること
弁護士に任せられる主な対応は、次の3つです。
- 取調べへの助言:何をどう話すか、黙秘権(言いたくないことは話さなくてよい権利)をどう使うかを助言し、不利な供述調書(取調べの内容をまとめた書面)が作られるリスクを減らします。
- 早期の釈放に向けた活動:逮捕された場合はすぐに接見(面会)して状況を確かめ、勾留されないよう検察官や裁判官に働きかけます。
- 示談交渉と不起訴に向けた活動:会社が示す横領額が過大でないか確かめて示談交渉を代わりに行い、弁償や反省の状況を示す資料を検察官に提出して、不起訴を目指します。
会社から告訴すると言われた段階でも、早めにご相談ください。
ご相談先の選び方が気になる方は、「横領事件に強い弁護士とは?依頼するメリットと費用を解説」もご確認ください。
横領で刑事告訴された・されそうなときは弁護士にご相談ください
横領の刑事告訴が受理されても、それだけで逮捕や処罰が決まるわけではありません。告訴の前でも後でも、示談がまとまれば起訴されずに済む可能性があります。
弁護士が早くから関われば、取調べへの備えと示談交渉を並行して進められます。
「すでに刑事告訴されてしまった」「警察から連絡が来ている」「会社から告訴すると言われている」など、状況はさまざまだと思います。お一人で悩まず、弁護士に今の状況をお聞かせください。
当事務所は刑事事件に注力しており、横領事件の示談交渉や不起訴処分の獲得について豊富な実績がございます。弁護士が迅速に動き、依頼者の不利益をできる限り小さくします。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

