横領した人と家族はその後どうなる?家族に返済義務はある?

「横領が会社に発覚した…自分や家族は今後どうなってしまうのだろう…」
「家族に横領したお金の返済義務はあるのだろうか…」

このように悩まれているかたもいるのではないでしょうか。

実際、会社のお金を横領をしてしまい弊所に相談される方の中には「人生終了しました。家族にも顔向けできませんし、もう死ぬしかないとも考えています…」と思い詰めてしまっている方もいます。

そこでこの記事では、横領事件に強い弁護士が、

  • 横領した人はその後どうなるのか
  • 横領した人の家族はその後どうなるのか
  • 横領が発覚した後に本人や家族がすべきこと

についてわかりやすく解説していきます。

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横領した人はその後どうなるのか

会社のお金を横領してしまった人はその後どのような状況に陥る可能性があるのでしょうか。

被害届の提出・刑事告訴をされて逮捕されることも

横領が発覚した場合、真摯に謝罪をし示談を成立させることができれば、警察に被害申告されずに刑事事件になるのを回避できるケースが多いです。

しかし、犯行内容が悪質で反省の態度が見られない場合や、示談交渉が失敗に終わってしまった場合には、捜査機関に被害届を出されたり刑事告訴される可能性が高いです

その場合、横領の罪で逮捕されて刑事裁判にかけられ、横領した金額が大きい場合には執行猶予の付かない実刑判決になることもあります。

横領の罪は以下の3つです。

  • 横領罪:自己の占有する他人の物を横領する罪
  • 業務上横領罪:業務上自己の占有する他人の物を横領する罪
  • 占有離脱物横領罪:遺失物等、占有を離れた他人の物を横領する罪

この中で、会社のお金を横領した場合に適用されるのは「業務上横領罪」です。会社の経理担当者や集金業務の担当者が着服したような場合が業務上横領罪の典型例です。なお、会社だけでなく成年後見人が後見事務として業務上預かっていたお金を横領した場合やPTAの会計担当者が会費を横領した場合も業務上横領にあたります。

業務上横領罪は、業務を行っている人が横領行為を働いた点で責任が重く悪質だという理由で罪が重くなっています。横領罪が5年以下の懲役であるところ、業務上横領は10年以下の懲役です。罰金刑もありませんので、有罪となれば必ず懲役刑となります。執行猶予付き判決となっても前科はつきますので、後述するように就職や資格の面で悪影響を受ける可能性があります。

横領罪とは?構成要件や罰則について解説

業務上横領罪とは?逮捕されないケースと構成要件・事例・判例

生活苦に陥ることも

会社のお金を横領したような場合には、会社に損害を与える犯罪行為であるため懲戒事由に該当しているとして懲戒解雇されるおそれもあります。

横領を犯したことによって逮捕・勾留されることになれば最長で23日間の身体拘束を受けることになります。その後も判決が出るまでは身柄拘束が続くこともあるため働いてお金を稼ぐことができません。

したがって、横領を犯した本人(およびその家族)は、収入が減少することで生活苦に陥ってしまうおそれがあります

また、横領したお金を返済しなければ損害賠償請求されますが、悪意で加えた不法行為にもとづく損害賠償請求権は「非免責債権」といって自己破産によっても免責されません。横領で懲戒解雇されてその後再就職ができたとしても、横領したお金を返済し続けなければなりませんので、やはり経済状況としては苦しい状態が続くことになるでしょう。

就職への影響

逮捕された場合や起訴されて有罪判決が確定した場合には、再就職にも影響が出てくることがあります。

まず、前科があると就職できない?にも書かれていますが、就職活動をしている場合でも、前科・前歴があることが判明した場合には、不採用となったり内定取り消しとなったりするおそれがあります。また、前科がつくことで一定の資格を必要とする職業に就けなくなることもあります。

就職活動時に企業側が身辺調査をすることで、過去のネットニュースや新聞報道などが発見され過去の横領事件の存在や逮捕された事実が判明することがあります。

横領した人の家族はその後どうなるのか

横領した人の家族が返済義務を負うこともある

以下のケースでは、横領した人のみならず家族も横領金の返済義務を負う可能性があります。

家族が共犯者であった場合

家族が横領の共犯者であった場合には、共犯者である家族にも横領罪が成立することになるため、被害金額を賠償する義務を負うのは当然です。家族についても民法上不法行為が成立しているため賠償責任が発生することになります(民法第709条参照)。

生活費として費消していた場合

横領した金銭を生活費として費消していた場合には、家族にも返還義務が発生する可能性があります

なぜならこのような場合には、法律上の原因なく他人の財産によって利益を受け、他人に損失を及ぼしているとして「不当利得返還責任」が発生すると考えられるからです(民法第703条参照)。

善意の受益者、つまり横領された金銭であると知らずに生活費として費消した家族はその利益の現存する限度(現存利益)で返還すればよいとされています。他方で悪意の受益者、つまり横領された金銭であると知って生活費として費消した家族は、受けた利益に利息を付して返還しなければなりません(同法第704条参照)。

生活費として費消した場合には、会社の損失と家族の利得の間に本当に因果関係が存在しているのかという点が、本人の横領行為が介在しているため問題となります。しかし、不当利得制度は損失者と受益者との実質的な公平を図る制度であるとして因果関係が認められる可能性も高いのです。

そのため本人の家族が「横領してきたお金だとは知らなかった」と主張しても、不当利得返還義務を負う可能性があります

身元保証人になっていた場合

家族が本人の身元保証人になっていた場合には、その家族が賠償請求されることがあります

身元保証契約とは、使用者と労働者の身元保証人(家族)が締結する、損害賠償責任に関する合意です。労働者が会社に何らかの損害を与えたときには、本人に代わり身元保証人が賠償金を支払うという内容で契約しているケースが一般的でしょう。

なお、2022年4月1日以降に締結する身元保証契約は、賠償額の上限(極度額)を定める必要があり、これがない場合には身元保証契約自体が無効となります。

家族も刑事責任を負うことがある

前提として横領行為を犯した場合、罪に問われるのは横領行為を行った本人のみです。

刑法は個人責任を原則としているため、団体責任や連座責任などは否定されています。そのため本人の家族であるという理由のみで、家族が刑事責任を負うことはありません。

一方で、家族が本人の横領行為を手伝ったり、唆したりした場合にはその家族自身が共犯者として刑事責任を負う可能性があります。しかしこれも、その家族自身の行為に対する責任であり、家族であることに基づく責任ではないことは正確に理解しておく必要があります。

ここで、本人が会社のお金を横領して、同居の家族に渡した結果その家族がお金を費消してしまった場合はどうでしょうか。

この場合、その家族が横領行為によって得られたものであると知って受領していた場合には、「盗品等譲受罪」の構成要件に該当します(刑法第256条第1項)。盗品等無償譲受罪の法定刑は「3年以下の懲役」です。

ただし、横領の犯人と譲受人との間に、配偶者・直系血族・同居の親族、もしくはこれらの者の配偶者という関係がある場合には、盗品譲受罪の「刑を免除」されます(同法257条1項参照)。

横領犯人と一定の親族関係がある場合には、盗品と知りつつ譲り受けてしまうことも多々あり、非難可能性が小さいことを理由に、その者の犯罪を処罰しないことにしているのです。

実名報道により近所や周囲に知られることも

横領した金額が高額だった場合や社会的な関心が高い事件については、被疑者が逮捕されると実名報道される可能性があります。

実名報道によってテレビや新聞、ネットニュースなど様々なメディアで事件の概要や被疑者の個人情報が明らかにされます。特にネット記事などは名前を検索することで容易に事後的にも調べることができ、一定期間ネット上に残ることになります。

実名報道がされると、近所の人や職場・学校の人にも家族の逮捕を知られることになるため、中には引っ越しや退職・転校を余儀なくされるケースもあります

家族に婚約している人がいる場合には婚約が破談になるという影響が出てくるおそれもあります

横領が発覚した後に本人や家族がすべきこと

被害弁償が最重要

会社としては被害弁償さえされればそれでよく、刑事事件化することで社員の不正がマスコミ報道によって世間に広まって企業イメージが低下するのを避けたいと考える傾向が強いです。そのため、逮捕までに会社に被害弁償を済ませることで、逮捕、それに引き続き勾留される可能性を引き下げることができます

また逮捕・勾留されたとしても被害がある程度回復している場合には、検察官が起訴を見送る判断をする可能性があります。このように不起訴処分になると刑事裁判にかけられることは無くなりますので有罪判決が出されるリスクも消滅します。

さらに起訴されて刑事裁判になったとしても、被害賠償が済んでいることで量刑が軽くなるという可能性があります。被害回復の有無は、裁判官が被告人の量刑を判断する際に重要な考慮要素となります。執行猶予判決を得られれば有罪とはなるものの刑務所に行かずに済みます。

家族が本人に代わって賠償することもできる

前述のように本人が横領した場合であっても、その家族が刑事責任・民事責任を負うことになる局面は限定的です。

それでは、法的な責任はないことを理解しながら、家族のために賠償・被害弁償することは有効でしょうか。

この点、法律上支払い義務がなくとも、家族は被害者に対して賠償することはできます。なぜなら民法上債務の弁済については債務者以外の第三者が行うこともできると規定されているからです(民法第474条1項参照)。

家族に被害弁償を受けた会社が捜査機関に被害申告をしないことで逮捕回避にも繋がりますし、賠償により被害者側の法益侵害の程度が減少したと考えることができますので、本人の不起訴処分や減軽も期待できます。

一括弁償が難しい場合は分割払いをお願いする

横領した金額が高額に及ぶため一括で返済ができないような場合には、会社に分割での返済で対応してもらえないかお願いしてみる必要があります

時間はかかっても全額の損害賠償を受けられる方が会社側としてもメリットがあると考えた場合には、分割払いの要請に応じてくれる可能性も高いです。

弁護士に依頼する

被害弁償をするにあたっては、示談を成立させ、示談書を作成することが重要です。示談が成立し、そのことを書面で残しておくことで、当事者間では事件が解決したという扱いになります。逮捕された場合でも、その示談書を捜査機関に提出することで、前述の通り早期釈放や不起訴、あるいは減軽の可能性が高まります。

もっとも、示談交渉をするにしても、被害者と加害者が直接やり取りをすると感情的になって話し合いが進まなかったり、横領した額につきお互いの認識が食い違ってしまい交渉が難航して、最悪のケースでは交渉決裂となってしまうおそれもあります。

この点、法律の専門家である弁護士であれば会社側と冷静な話し合いを進められ、示談金(横領した額)も適切な額ですり合わせをすることが可能です。また、一括での被害弁償が難しい場合には現実的な返済計画を提案して、被害届や告訴を取下げてもらうように弁護士が交渉してくれます。もし刑事事件として立件された場合には、必要な接見を行い適切な弁護方針を立てて弁護活動を行ってくれます。

刑事弁護はタイトな時間制限との戦いです。

そのため、「逮捕・起訴を回避したい」「量刑を少しでも軽くしたい」という方は、1日でも早く刑事弁護のプロである弁護士に依頼することを強くおすすめします

弊所では、業務上横領事件の示談交渉を得意としており、示談成立による逮捕の回避、不起訴処分の獲得につき多くの実績があります。「人生が終わった。もう死ぬしかない」と悲観的になるお気持ちはわかりますが、悲観的になっても横領した事実は消えません。横領後に適切な対応をとることで人生をやり直すチャンスはいくらでもあります。弊所の弁護士が、親身誠実に依頼者を全力で守りますので、まずはご相談ください。相談する勇気が解決へと繋がります。

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