業務上横領の示談金相場は?示談を成功させる3つのポイント

業務上横領における示談とは、被害者に対して謝罪の意思を示すと伴に横領金を返済し(または返済を約し)和解することです。示談成立により逮捕回避、不起訴となる可能性が高まりますし、その場合、罰則(10年以下の懲役)を科されて前科がつくこともありません。示談金相場は横領額をベースとして被害者の処罰感情等により変動します。

この記事では、業務上横領の示談交渉に強い弁護士が、

  • 業務上横領で示談をすることの重要性
  • 示談しないとどうなるのか
  • 業務上横領の示談金相場
  • 業務上横領の示談でよくある問題と対処法
  • 業務上横領の示談を成功させるポイント

についてわかりやすく解説していきます。

記事を最後まで読んでも問題解決しない場合には、全国無料相談の弁護士までお気軽にご相談下さい

業務上横領罪とは?逮捕されないケースと構成要件・事例・判例

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業務上横領で示談をすることの重要性

業務上横領で示談をすることの重要性は次のとおりです。

捜査機関への発覚を免れることができる

まず、被害者が捜査機関(警察、検察)に被害届や告訴状を提出する前に示談できれば、事件のことが捜査機関へ発覚することを免れることができることです。

なぜ、示談できれば捜査機関への発覚を免れることができるかといえば、被害者が捜査機関に被害届や告訴状を提出しないことを示談の条件とすることができるからです。

事件のことが捜査機関に発覚しなければ、捜査機関から出頭要請を受けて厳しい取調べを受けたり、長期間にわたり身柄拘束されたり、起訴され刑事裁判を受けたり、有罪判決を受け、刑事処罰を受ける必要がなくなります。

また、すでに捜査機関に被害届を提出されている場合でも、示談の成立したタイミングによっては同様の効果を得ることができます。いずれにしても、示談交渉、示談成立のタイミングは早ければ早いことに越したことはありません。

早期釈放される可能性が高くなる

次に、身柄拘束(逮捕・勾留)された場合は早期釈放される可能性が高くなることです。

身柄拘束されるのは逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれがあると判断されるためです。しかし、示談するということは罪を認めていることが前提です。

そして、罪を認めるということは、刑事処罰をおそれて逃亡するおそれはないと判断されやすくなります。また、罪を認めるということは、自分に不利な証拠を隠すなどの行為に出る必要もありませんから、罪証隠滅のおそれもないと判断されやすくなります

仮に、示談は成立していなくても、裁判所に示談の意思や示談交渉の進捗状況を伝えるだけでも釈放のタイミングが早まることがあります。身柄拘束された場合は一刻も早く弁護士と接見し、示談に向けて動き出してもらう必要があります。

不起訴となる可能性が高くなる

次に、不起訴となる可能性が高くなることです。

事件を起訴するか不起訴とするかの判断は検察官が行います。検察官は、警察から送られてきた証拠や自ら集めた証拠により証明される事実に基づいて起訴か不起訴かの判断を行います。そして、示談成立や被害者の処罰感情もその「事実」の中の一つです

示談が成立していれば起訴するまでもないと考えた場合は不起訴となる可能性が高くなります。また、示談により被害者の処罰感情が緩和されている場合(特に、示談書に宥恕条項(※)が盛り込まれている場合)はより不起訴となる可能性が高くなります。

※加害者に刑事処罰を科さないで欲しいという被害者の意思表示を表明した示談条項

業務上横領で示談しないとどうなる?

業務上横領で示談しないと上記とは逆の結果となる可能性があります。すなわち、捜査機関から出頭要請を受け取調べを受けたり、場合によっては逮捕され、勾留という長期間の身柄拘束を受ける可能性があります

身柄拘束されると生活に様々な支障をきたすことが想定されます。また、身柄拘束のみならず、起訴されると刑事裁判にかけられ判決で有罪認定を受けると刑務所に服役しなければならなくなるかもしれません。

こうした事態へと発展することを防止するには、はやめの示談交渉、示談成立が肝要です。

業務上横領の示談金の相場

業務上横領の示談金は横領した額(損害額)がベースとなります。また、犯行から一定期間が経過している場合は、損害額に年利3%を上乗せした金額を示談金とすることもあります。

また、被害者の処罰感情が厳しい場合や犯行による損害が生じた場合は、金額をさらに上乗せすることも考えられます。

業務上横領の示談でよくある問題と対応方法

ここでは業務上横領の示談でよくある問題と対応方法を解説します。

会社が示談を断固拒否している

まず、会社が示談を断固拒否するという問題です。

会社が示談を拒否するのは、加害者との直接の交渉には応じたくないと考えているから、会社の処罰感情が厳しいから、刑事罰を科すため捜査機関に被害届を提出することを考えているから、など様々な理由が考えられます。

もっとも、いずれにしても、まずは会社に謝罪と反省の意思を示すことが必要です。示し方は口頭でもよいでしょうが、口頭で伝える自信がない場合や会社が応じてくれそうにない場合は謝罪文を書き、配達証明付きの内容証明郵便で郵送することも考えましょう。後日、謝罪した証拠として使うために謝罪文は写しをとり、配達証明は大切に保管しておきましょう。

逮捕・勾留されて示談交渉ができない

次に、逮捕・勾留されて示談交渉できないという問題です。

逮捕・勾留されると留置場、拘置所で生活することになり、示談交渉したくてもできない状況に置かれます。

そのため、逮捕・勾留された場合は直ちに弁護士と接見し、弁護士に示談交渉する意思があることを伝えましょう。その後は、弁護士があなたに代わって示談交渉してくれます。

なお、逮捕直後に接見できる弁護士には当番弁護士と私選弁護士がいます。当番弁護士は無料で接見してくれますが、示談交渉まではしてくれません。一方、私選弁護士は示談交渉してくれますが、私選弁護士と接見するには、逮捕される前から弁護士に依頼をしておくか、親族や友人などが弁護士に接見を依頼した後、その弁護士に刑事弁護活動を依頼する必要があります。

その他の国選弁護士に依頼する場合は逮捕後に選任の手続きをし、勾留後に選任されます。

一括で支払えない

次に、横領した金額を一括で支払えないという問題です。

業務上横領では、比較的、横領額が多額にのぼってしまう事案が多いです。また、本人が横領する動機としては生活苦や借金などが多く、経済的に困っての犯行であることが多いのが特徴です。

そのため、弁償したくても直ちに払えないか、払えるとしても一括での支払いができないという問題が出てきます。そうした場合は、まずは分割での弁償に応じてくれないか交渉します

また、会社側は未払いとなる事態をおそれていますから、分割といっても、弁償期間を短くして一回の弁済額を多くする、保証人を立てる、示談書の中に支払いを怠った場合の期限の利益喪失条項を設けるなどの工夫が必要です

横領額につき会社との認識が異なっている

最後に、自分は100万円を横領していたと思っていたところ、会社は150万円横領されたと主張するように、横領額について会社と認識が異なるという問題です。

この場合は、可能であれば、会社に主張の根拠となる資料を提示してもらいましょう。特に、ご自分の主張と会社の主張とがあまりにもかけ離れている場合は、いずれかの主張が誤っている可能性もありますので慎重に対応する必要があります。

会社から提示された資料を基に、横領した部分とそうでない部分を区別するなどして、合理的な説明をすることができれば、減額に応じてくれる可能性もあります。

なお、上記の作業を経ても主張の溝を埋めることができない場合は、あえて会社の主張する額で示談する場合もあります

業務上横領の示談を成功させるポイント

最後に業務上横領で示談を成功させるポイントを解説します。

事実を正直に話す

まず、事実を正直に話すことです。

横領した動機、横領の経緯、横領の態様、横領した金額など、記憶のあることを正直に話すことが示談を成功させるためには大前提となります。

少しでも記憶に反することを話し、会社側に感づかれた場合は誠意が見られない、反省していないととらえられ、会社側の処罰感情を厳しくし、示談交渉にすら応じてくれなくなる可能性があります。

まずは、謝罪や示談交渉するにあたっては、自分のやったことを包み隠さず会社に正直に話すことが大前提となります。

弁償の意思、能力があることを示す

次に、弁償の意思、能力があることを示すことも大切です。

特に、横領した金額が高額な場合は、会社側は果たしてきちんと弁償してくれるかどうか不安を抱えています。不安を抱えたままでは示談してくれないでしょう。その不安を払拭するには弁償の意思、能力があることを示すことが必要です。

前述したように、保証人を立てる、示談条項の中に期限の利益の喪失条項を設けることのほか、公正証書の作成を求められた場合は潔く応じることも方法の一つです。その他にも、会社に弁償の意思、能力があることを示す情報を積極的に開示していくことが求められます。

弁護士に相談、依頼する

最後に、弁護士に相談、依頼することです。

そもそも会社が加害者との直接の示談交渉に応じないというスタンスの場合は、弁護士に示談交渉を依頼するほかありません。

また、弁護士であれば、会社が必要としている情報をきちんと伝えることができますし、交渉の知識、経験ももちあわせていますから、交渉をスムーズに進めることができます。感情の対立によって、話し合いを頓挫させてしまうおそれもありません

さらに、直接交渉では立場上、会社の主張におされ不当な条件で示談せざるをえなくなる可能性もあります。一方、弁護士に依頼すれば、弁護士が主張すべきことはしっかり主張してくれますから、事案に適した内容で示談することができます

弊所では、業務上横領の示談交渉を得意としており実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、逮捕を回避したい、不起訴処分を獲得したいとお考えの方は弁護士までご相談ください。相談する勇気が解決への第一歩です。

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