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【相談事例】バイト先で横領がバレました…逮捕されたくありません
ここでは、バイト先のレジからお金を横領(または窃盗)してしまい、逮捕されることを回避したいという切実な思いから、当法律事務所にご相談・ご依頼された方の事例を紹介します。
※プライバシーへの配慮から内容を一部変更しております。
相談内容
相談者のAさん(女性・20歳・大学生)は、某コンビニエンスストアでアルバイトをしていました。Aさんは大学の講義が終わった後にシフトに入ることが多かったそうですが、ある日レジ落ちを行う際に、数万円をレジの中から自身の服のポケットに入れてしまいました。
これを契機にAさんはレジ打ちを行った際、店の店長であるオーナーVさんの隙を見てレジからお金を抜くようになってしまいました。
しかし、アルバイト先のコンビニでは最後に必ずレジ締めという作業が行われており、レジを通した商品の金額とレジの中のお金が一致しないという事態になりました。そして、レジ締め作業で計算が合わなくなるのは決まってAさんがシフトに入っている日であることから、店長ZはAさんがお金を盗んでいるのではないかと疑い、Aさんを問い詰めたところ自身の犯行を認めました。
Aさんは店長Zに全額返金すると申し出ましたが、店長は横領事件であると激怒しており、警察に被害届を出すことを検討しているということでした。警察に事件が発覚すると業務上横領罪で逮捕される可能性があり、また、刑事事件を起こしたことで大学を退学させされる可能性もあります。途方に暮れたAさんは当事務所に法律相談されました。
事例の解説
店長に被害届や刑事告訴されてしまうと、Aさんは業務上横領罪や窃盗の疑いで逮捕・起訴されてしまう可能性があります。
まず、「他人の財物を窃取した」場合には、窃盗罪が成立することになります。
「窃取」とは、他人の占有する他人の所有物をその占有を侵害して自己の占有下に移転することを指します。そのため、レジの中の現金の占有が店長Zにある場合に、その現金を自分の服のポケットに入れる行為は、店長Zの占有を侵害し自己の占有かに移転する行為にあたるため「窃取」に該当します。
窃盗罪が成立した場合には、10年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されることになります(刑法第235条)。
このように他人がレジの中の現金を占有していると評価できる場合には、窃盗罪に問われてしまうリスクがあります。
上記に対して、「自己の占有する他人の物を横領した」場合には、横領罪に問われる可能性があります。「横領」とは、不法領得の意思を実現する一切の行為をさします。
本件の場合、アルバイトをしているコンビニの店長Zからレジのお金の管理を完全に任されていたという場合には、レジの中の現金は、Aさんに占有が認められることになります。そうすると、「自己の占有する他人の物」を横領したことになります。
さらに、「業務上自己の占有する他人の物を横領した」場合には、業務上横領罪が成立します。業務上横領罪の法定刑は「10年以下の懲役」となっており、罰金刑がない分窃盗罪よりも重い刑罰が科されることになります。
そして、窃盗罪や業務上横領罪で有罪判決を受けた場合には、前科が残ることになります。有罪判決を受けた場合には、退学処分になる可能性があり、将来の就職活動にも悪影響を与えるおそれがあります。
弁護活動と解決結果
Aさんから相談を受けた弁護士は、すぐに事件の依頼を受け、Aさんが逮捕・起訴されないようにするために対応を行いました。まずは、当該コンビニ店の店長Zと示談をするため、代理人弁護士として連絡を入れました。
Aさんはこれまで他のバイトで貯めていた貯蓄があり、また被害弁償については、Aさんの将来を心配したご両親が協力してもらえることになりました。弁護士はAさんが着服した被害金額とコンビニ経営に迷惑をかけた慰謝料を支払うという解決案を提案したところ、コンビニ店の店長Zもその内容で示談できることになりました。話し合いによって示談条件を整理し、弁護士が作成した示談書を双方が取り交わし示談が成立しました。示談書では以下のような事項が確認されています。
- 加害者と被害者の氏名
- 被害の内容や被害金額などの事件の内容
- 示談金額の支払い約束
- 宥恕(ゆうじょ)条項
- 清算条項
Aさんが逮捕・起訴されないようにするためには、宥恕条項や清算条項を記載しておくことが非常に重要となります。まず宥恕条項とは、加害者が被害者を許すことを示す条項です。次に、清算条項とは、当事者の間で示談された事件についてこれ以上の債権債務関係がないことを示す条項です。
このように、被害者であるコンビニ店の店長と示談が成立したことで、本件は刑事事件化せずに解決することができました。
バイト先で不正行為がバレた時の対応方法
謝罪・示談を成立させる
バイト先で不正行為がバレた際には、正直に事実を認めて被害者と示談をすることが重要です。
被害者が謝罪を受け入れ示談に応じてくれた場合には、被害届・告訴状を警察に提出しないことに同意してくれる可能性があります。その場合には刑事事件にならないため刑事責任を追及されることもありません。
示談が成立したからといって犯罪の事実が無くなることにはなりません。しかし逮捕されるよりも前に被害者と示談がまとまれば、事件として立件されず警察官に逮捕されずに済む可能性があります。
仮に、警察に逮捕された場合であっても、被害者との示談が成立していることは被疑者にとって有利な事情となります。勾留された場合には、最長20日間の身体拘束が続くことになります。しかし、逮捕されても勾留されずに釈放された場合には、最長72時間以内で身体拘束から解放される可能性もあります。
以上のように、バイト先で不正行為を行ったことがバレてしまった場合には、できるだけ早く示談を成立させる必要があります。示談が成立した場合には、刑事事件とならない可能性があり、また刑事事件となった場合でも早期釈放や不起訴を獲得することにつながります。
示談交渉は弁護士に任せる
バイト先に不正行為がバレて、被害者と示談交渉をする場合には、法律の専門家である弁護士に任せましょう。
示談交渉によって示談条件をまとめるためには、被害者が被った損害の内容や同種の事例での示談金額の相場など専門的な法的な知識・経験が重要となってきます。
両当事者が提示する金額に開きが大きい場合には、どのように被害者を説得し納得を得るかということが重要なポイントとなります。
したがって、日頃から示談交渉の経験をしており豊富な解決実績を有してる弁護士に任せておくことがおすすめです。
双方が納得できる内容で示談がまとまった場合には、その内容を示談書や和解書という形で書面に残しておくことが重要です。
事後的にトラブルが蒸し返されないようにするためにも、弁護士に依頼して適切な示談書を作成してもらうようにしてください。
まとめ
以上のように、バイト先で横領などの不正行為がバレた際には、すぐに被害者と示談を成立させることがポイントとなります。
業務上横領罪や窃盗罪などの容疑で逮捕・起訴された場合には、学校を退学処分になるリスクや、就職活動に悪影響が出てくるリスクもあります。刑事事件で逮捕されたとしても最終的に不起訴処分で済んだ場合には前科は残らないため、将来への悪影響をなくすことができます。
バイト先で横領したことがバレてお困りの場合には、すぐに弁護士に対応を依頼するようにしてください。当事務所は、横領の示談交渉、逮捕の回避を得意としており多数の実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、バイト先で横領してしまい刑事責任を問われる可能性のある方はまずはお気軽にご相談ください。
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