
違法にアップロードされた動画や漫画を、ダウンロードせずに「見るだけ(視聴のみ)」であれば、現行の著作権法では原則として刑罰の対象になりません。ストリーミングでの視聴は法律上の「複製」にあたらず、違法だと知りながら見ていても、それだけで逮捕・処罰されることは現行法上想定されていません。
ただし、安心しきれないケースもあります。「画面録画やスクリーンショットで保存した」「ファイル共有ソフトで見ていた」「動画のURLをSNSで広めた」。こうした行為が加わると、見るだけのつもりでも違法になることがあります。「見ているだけで捕まらないか」「過去に見た動画で罪に問われないか」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、違法アップロード・ダウンロード事件に注力する弁護士が、
- 見るだけで違法・逮捕になるのか
- 視聴のみが罪にならない法的根拠
- 「視聴のみ」でも違法になる3つのケース
- 見てしまった・録画してしまった場合の対処法
についてわかりやすく解説していきます。
なお、違法アップロードの視聴について不安を感じている方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談へお気軽にご連絡ください。
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違法アップロードされた動画や漫画を視聴するのは違法?【結論】
※2025年6月1日施行の刑法改正により、「懲役」と「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されました。本記事中の法定刑はこの改正を反映しています。なお、過去の事例・判例については当時の「懲役」の表記をそのまま使用しています。
まず結論からお伝えします。違法にアップロードされた動画や漫画を「ダウンロードせずに視聴・閲覧するだけ」であれば、現行の著作権法では違法とならず、刑罰の対象にもなりません。以下で、その理由と、例外的に違法となるケースを順に見ていきます。
視聴(見るだけ)のみなら刑罰の対象にならない
違法なアップロードやダウンロードには著作権法で罰則が定められているのに対して、「視聴」そのものを処罰する規定はありません。
動画の視聴といえばYouTubeやニコニコ動画などを思い浮かべる方が多いでしょう。これらの動画サイトの多くは、データを少しずつ読み込みながら同時に映像を流す「ストリーミング」方式を採用しています。この方式では、再生が終わるとデータが自動的に消去され、スマホやPCに保存されません。とはいえ、再生中は一時的に「キャッシュ」として端末にデータが複製(録音・録画)されるため、見るだけでも違法ダウンロードになるのではないかと不安に思う方もいるでしょう。
しかし、著作権法47条の4第1項第1号は、こうしたキャッシュ(電子計算機における利用に付随する一時的な複製)を、その必要と認められる限度で適法と定めています。したがって、違法にアップロードされた動画だと知りながら見ていたとしても、ストリーミングで再生して視聴・閲覧しただけであれば違法とはなりません。
この点は、文化庁も同様の見解を示しています。文化庁の違法ダウンロードに関するQ&Aでは、違法に配信されている音楽や映像を見たり聞いたりするだけでは録音・録画が伴わないため、違法ではなく刑罰の対象にもならない、と説明されています(出典:文化庁「違法ダウンロードの刑事罰化についてのQ&A」)。いわゆる「見るだけ」「視聴のみ」で動画にアクセスしている方が逮捕・処罰されることは、現行法上想定されていません。
ただし「視聴のみ」でも違法になる3つのケース
視聴それ自体は適法でも、次のような行為が加わると、視聴のつもりが違法行為に転じかねません。
- ①画面録画・スクリーンショットで保存した
- ②ファイル共有ソフト(Torrent等)を使って視聴した
- ③違法動画のURLをSNSなどで拡散した
①画面録画やスクリーンショットは、端末への「複製(録画・録音)」にあたります。違法にアップロードされた有償の作品だと知りながら保存すれば、視聴ではなく違法ダウンロードとして2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金(その両方が科されることもあります)の対象となり得ます(著作権法119条3項)。
②BitTorrentなどのファイル共有ソフトはP2Pという通信技術を用いており、ファイルをダウンロードしながら視聴すると、同時に自分の端末から他人へ自動的にアップロードする仕組みになっています。見ているだけのつもりでも、知らぬ間に違法アップロードをしている状態になり、プロバイダから発信者情報の開示請求が届く事例もあります。
③違法にアップロードされた動画のURLを「無料で見られる」とSNSやブログで不特定多数に教える行為は、著作権侵害を助長・誘導する行為として違法と判断されるおそれがあります。単に視聴するのとは別の問題になる点に注意が必要です。
違法ダウンロードとの違い
視聴と混同されやすいのが「違法ダウンロード」です。違法アップロードされた著作物だと知りながら端末に保存(複製)すれば、視聴と異なり違法となります。著作権法119条3項は、有償の著作物等の侵害コンテンツ(違法にアップロードされたコンテンツ)を、それと知りながらダウンロードした場合の罰則(2年以下の拘禁刑若しくは200万円以下の罰金、又はこれらの併科)を定めています。もっとも、ダウンロードした内容が軽微な場合、二次創作やパロディーの場合、著作権者の利益を不当に害するおそれがないと認められる事情がある場合、違法にアップロードされたものと知らずにダウンロードした場合は、違法なダウンロードにはあたりません。
なお、現状として、違法アップロードで逮捕される事例は多数出ている一方、違法ダウンロードで逮捕される事例はほとんどありません。違法ダウンロードで警察から連絡が来た場合の対応や、逮捕者が出ていない理由については、違法ダウンロードで警察から連絡がきたらどうする?逮捕者はなぜでない?をご覧ください。
そもそも違法アップロードとは?対象になる著作物
視聴の話の前提として、そもそも何が「違法アップロード」にあたるのか、対象となる「著作物」とは何かを確認しておきましょう。
違法アップロードとは著作権者に無断で著作物を公開すること
違法アップロードとは、他人の著作物を、その著作権者の許諾を得ずにインターネット上へ公開する行為のことです。著作権とは著作物に関する権利のことで、この著作物を作った人を著作権者といいます。著作権者が作った著作物をインターネット上にアップするなどして、誰でも見ることができる状態に置くと違法アップロードとなります。結果的に誰にも見られなかったとしても、誰でも見ることができる状態に置いた時点で違法アップロードになります。収益を目的としていなくても違法性が排除されるわけではありません。
なお、著作権法119条1項には、違法にアップロードして著作権を侵害したときの罰則(10年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金、又は拘禁刑と罰金の併科)が定められています。
他人の著作物にあたるものは?
著作権法2条1項1号によると、著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」とされています。電車の時刻表やレストランのメニュー表のように、単に事実を羅列したものは「思想又は感情を表現したもの」とはいえません。著作物の具体例を以下にあげます。
| 【著作物の具体例】 | |
| 言語系 | 小説・論文、俳句、詩歌、脚本など |
| 音楽系 | 楽曲、楽曲を伴う歌詞など |
| 美術系 | 絵画、版画、漫画、彫刻など |
| 写真系 | 写真、グラビアなど |
| 映像系 | アニメ、テレビ番組、映画、動画サイトにアップされた動画、ゲームソフトなど |
| 二次的著作物 | 上記著作物を翻訳・編曲・変形・脚色・映画化するなどして創作したもの |
違法アップロードに該当する具体例
違法アップロードといえば、DVDやテレビ番組の映像、CDの音楽をそのままYouTubeやSNSに投稿する行為をイメージする方が多いでしょう。しかし、ネット上で身近に行われている次のような行為も違法アップロードに該当します。
- 音楽の歌詞をSNSやブログに投稿する
- 音楽をYouTube動画のBGMとして無断使用する
- アーティストの曲で「歌ってみた」を音源ごとアップロードする
- 漫画の数コマやアニメのスクショをSNSに投稿する
- 長編映画を数分に短縮した「ファスト映画」を投稿する
- ゲーム実況動画を無断で配信する
- ファイル共有ソフトでアニメ・漫画などをアップロードする
歌詞や漫画のコマも著作物であり、著作権者に無断でSNSやブログに投稿すれば、複製権(コピーする権利)や公衆送信権(インターネットなどで不特定多数に送信する権利)の侵害にあたります。漫画やアニメの一部を出典付きで「引用」することは著作権法32条1項で認められていますが、自分の意見が主・引用が従という主従関係が明確で、公正な慣行に合致する範囲に限られます。スクショに一言添えただけの投稿は、適法な引用とは認められません。
加工も対象です。漫画やアニメを翻案した二次的著作物を無断でアップロードすれば、公衆送信権や翻案権(原作を加工して新たな著作物を作る権利)などの侵害となります。実際、長編映画を10分程度に短縮・加工した「ファスト映画」を投稿した事案では、著作権者に対し約5億円の損害賠償が命じられた例があります。ゲーム実況も、ゲーム会社のガイドラインの範囲を超えれば違法アップロードに該当し得ます。
特に注意したいのがファイル共有ソフトです。BitTorrentやWinnyなどはP2P通信を用いており、ダウンロードと同時にファイルを自動でアップロードする仕組みのため、ダウンロードのつもりでもアップロード側になっている可能性が高い点に注意が必要です。
違法アップロードの罰則・逮捕事例と親告罪
視聴している動画を「誰がアップしたのか」「それは何罪になるのか」を理解しておくと、リスクの全体像がつかめます。違法アップロードの罰則と実際の処罰例、逮捕の前提となる親告罪の仕組みを順に整理します。
刑事責任と民事責任(損害賠償)
違法にアップロードして著作権を侵害したときの罰則は、10年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金、又は拘禁刑と罰金の併科です(著作権法119条1項)。
刑事責任とは別に、著作権者から損害賠償や差止請求(コンテンツの配信停止・削除を求める請求)といった民事責任を追及されることもあります。刑事責任と民事責任は別個のものなので、刑事処分の結果にかかわらず民事責任を問われることもあります。なお、警察庁の統計では令和6年の著作権侵害事犯の検挙件数は65件で、その8割がインターネット利用事犯であり、ネット上の著作権侵害への取り締まりは続いています(出典:警察庁「令和6年における生活経済事犯の検挙状況等について」)。
逮捕・処罰された主な事例
違法アップロードで実際に逮捕され、刑事罰や高額の損害賠償が科された事案は複数あります。代表的な事例を見てみましょう。
| 【違法アップロード事案の主な処罰例】 | ||
| 事案 | 処分内容 | 事案の特徴 |
| 漫画村事件 (2021年判決) |
懲役3年・罰金1000万円・追徴金約6200万円(実刑) | 海賊版漫画サイトを運営し広告収入を得ていた事案 |
| ファスト映画事件 (2021年刑事・2022〜2023年民事) |
3名に懲役1年6か月〜2年(執行猶予付)・罰金50万〜200万円/民事で計約10億円の賠償命令 | 劇場公開作を10分前後に短縮編集してYouTubeへ投稿 |
| ゲーム実況ネタバレ事件 (2023年判決) |
懲役2年(執行猶予5年)に罰金100万円併科 | ゲームのあらすじや結末を含む動画を投稿し広告収入を得ていた事案 |
これらの事案に共通するのは、収益化の有無・拡散範囲・継続性が認められると実刑や高額賠償につながりやすいという点です。いずれも「アップロードした側」が問われた事案であり、視聴しただけの人が処罰された例ではありません。
親告罪なので告訴がないと逮捕されない?
違法アップロードによる著作権侵害罪(著作権法119条1項)は、原則として親告罪です(著作権法123条1項)。親告罪とは、著作権者などの告訴権者による告訴(被害者などが処罰を求める意思表示)がなければ起訴されない犯罪をいいます。つまり、警察が違法アップロードを認知しても、告訴がなければ起訴されません。
ただし、2018年12月30日施行の改正著作権法(TPP11協定関連)により、次の3つの要件をすべて満たす場合は非親告罪となり、著作権者の告訴がなくても起訴される可能性があります。
- ①対価を得る目的または権利者の利益を害する目的があること
- ②有償著作物等を、原作のまま譲渡・公衆送信または複製する行為であること
- ③有償著作物等の提供・提示により得られると見込まれる権利者の利益が不当に害されること
海賊版サイトを運営して収益を得ている場合などは、これらの要件をすべて満たし非親告罪に該当する可能性が高いといえます。親告罪・非親告罪の違いや該当する犯罪については「【一覧表つき】親告罪とは?告訴期間と非親告罪との違いを解説」で詳しく解説しています。
違法アップロードされた動画を見てしまった場合の対処法
最後に、違法アップロードされたコンテンツを視聴している方・見てしまった方が、トラブルを避けるためにできることを紹介します。
正規の配信サービスを利用する
法律上は罰せられないとしても、違法アップロードされたコンテンツの視聴は控えるのが賢明です。文化庁のQ&Aでも、視聴は政府として推奨される行為ではないとされています。違法サイトには悪質な広告やウイルス(マルウェア)が仕込まれていることも多く、個人情報の流出や端末の乗っ取りといった被害に遭うリスクもあります。
映画やドラマ、アニメは、公式の見逃し配信や、ABEMA・TVer・U-NEXT・Netflixといった正規の配信サービスで視聴するのが安全です。クリエイターと自分自身の双方を守るためにも、正規のルートで作品を楽しむことをおすすめします。
録画・ダウンロード・開示請求があった場合は弁護士に相談する
単なる視聴を超えて、画面録画やダウンロードをしてしまった、ファイル共有ソフトを使っていた、プロバイダから発信者情報の開示請求が届いた、といった場合は、状況によって法的なリスクが生じます。なお、違法ダウンロードをしてしまった後の対応については「違法ダウンロードで自首するとどうなる?わかりやすく解説」もあわせてご確認ください。
このようなときは、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。状況に応じて取るべき対応は大きく異なり、判断が遅れるほど選択肢は狭まっていきます。当事務所では、依頼者のプライバシーや仕事への影響に配慮しながら、穏便な解決を最優先に対応いたします。
違法アップロードの視聴に不安がある方は弁護士にご相談ください
違法にアップロードされた動画や漫画を見るだけであれば、現行の著作権法では原則として罪に問われません。ただし、録画やファイル共有ソフトの利用、URLの拡散が加わると、視聴のつもりでも違法と判断されることがあります。
録画やダウンロードに手を出してしまった、プロバイダから発信者情報の開示請求が届いた、警察から連絡が来た。こうした段階では、状況によって取るべき対応が大きく変わります。早めに弁護士へ相談すれば、不利益を抑えるための見通しを立てやすくなります。
「過去に見た動画が今になって気がかり」「家族や職場には知られたくない」という不安は、一人で抱え込むほど大きくなりがちです。
当事務所は、違法アップロード・ダウンロード事件の示談交渉や弁護活動で多数の解決実績があり、依頼者のプライバシーや仕事への影響に配慮しながら、穏便な解決を最優先に対応いたします。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

