違法アップロードとは、アニメ・小説・映画・楽曲・ソフトウェアなど他人の著作物を無断でインターネット上にアップロードする行為を指します。この行為は著作権法違反で逮捕される可能性があり、有罪となれば、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金、あるいはその併科が科されます。なお、違法アップロードされたコンテンツを視聴しただけでは、罰則規定がないため処罰されません。
この記事では、違法アップロード・ダウンロード事件に強い弁護士が上記内容につき詳しく解説するとともに、
- 違法アップロードに該当する可能性のある行為
- 違法アップロードの検挙数や時効
- 違法アップロードで逮捕を回避する方法
などについてわかりやすく解説していきます。
なお、心当たりのある行為をしてしまい、いつ逮捕されるのか不安な日々を送られている方は、この記事を最後まで読んだ上で、全国無料相談の弁護士までご相談ください。
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目次
違法アップロードとは?
まず、そもそも違法アップロードとはどのような行為をいうのか解説します。
違法アップロードとは他人の著作物を無断でアップロードすること
違法アップロードとは、著作権者の許可を得ずに、その著作権者の著作物を違法にアップロードする行為を指します。著作権とは著作物に関する権利のことで、この著作物を作った人のことを著作権者といいます。この著作権者が作った著作物をインターネット上にアップするなどして、誰でも見ることができる状態に置くと違法アップロードとなります。結果的に誰にも見られなかったとしても、誰でもみることができる状態に置いた時点で違法アップロードになります。また、収益を目的としてアップロードをした場合でなくとも違法性が排除されるものではありません。
なお、著作権法119条1項には違法アップロードによって著作権を侵害した場合の罰則(10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金、又は懲役と罰金の併科)規定が設けられています。
他人の著作物にあたるものは?
著作権法2条1項1号によると、著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」とされています。電車の時刻表、レストランのメニュー表などのように、単に事実を羅列したようなものは「思想又は感情を表現したもの」とはいえません。また、創作的とは、一般的に作者の個性が現れたものをいいます。著作物の具体例を以下にあげます。
【著作物の具体例】 | |
言語系 | 小説・論文、俳句、詩歌、脚本など |
音楽系 | 楽曲、楽曲を伴う歌詞など |
美術系 | 絵画、版画、漫画、彫刻など |
写真系 | 写真、グラビアなど |
映像系 | アニメ、テレビ番組、映画、Youtube等の動画サイトにアップされている動画、ゲームソフトなど |
地図・図形系 | 地図、学術的な図面、図表など |
プログラム系 | コンピュータプログラムなど |
二次著作物 | 上記著作物を翻訳、編曲、変形、脚色、映画化するなどして創作したもの |
編集著作物 | 百科事典、年鑑、辞書、新聞、雑誌、カタログなど |
違法アップロードされたものをダウンロードするのも違法?
このように違法アップロードは違法ですが、違法アップロードされた著作物をダウンロードする行為も違法です。著作権法119条3項には違法にアップロードされている著作物であることを知りながらダウンロードした場合の罰則(2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金、又は懲役と罰金の併科)規定が設けられています。もっとも、次の場合は、違法なダウンロードではないとされています。
- ダウンロードされた内容が軽微な場合
- 二次創作やパロディーの場合
- 著作権者の利益を不当に侵害しないと認められる特別な事情がある場合
- 違法にアップロードされたことを知らなかった場合
また、著作権法119条3項に規定される罪は告訴権者の告訴を必要とする親告罪です。すなわち、違法ダウンロードされた著作物の著作権者の告訴がない場合は起訴され、刑事裁判にかけられ、上記の刑罰を科されることはありません。
なお、現状として、違法アップロードの逮捕者は多数出ていますが、違法ダウンロードで逮捕される事例はほとんどありません。詳しくは、違法ダウンロードで警察から連絡がきたらどうする?逮捕者はなぜでない?をご覧になってください。
違法アップロードされた動画の視聴のみでも違法?
違法アップロード、違法ダウンロードについては著作権法に罰則規定が設けられているのに対して、「視聴」に関しては罰則規定が設けられていません。
動画の視聴といえば、YouTubeやニコニコ動画などの動画配信サイトを思い浮かべる方も多いと思いますが、YouTubeなどの動画サイトでは、データをダウンロードしながら動画を再生するストリーミングという技術を用いています。ストリーミング再生は視聴後はダウンロードデータが自動的に削除され、スマホやPC端末に残らない仕組みになっています。とはいえ、ストリーミング再生は一時的とはいえキャッシュという形で端末にデータが複製(録音・録画)されるため、視聴のみでも違法ダウンロードに該当するのではないかと思われる方もいることでしょう。
しかし、著作権法第47条の4第1項第1号では、このような複製データ(キャッシュ)を、電子計算機(パソコンやスマホなど)の情報処理を円滑または効率的に行うために、電子機器の記録媒体(パソコンのハードディスクやスマホのメモリなど)に記録することは原則として適法であると規定しています。
したがって、仮に違法アップロードされた動画であることを知っていたとしても、その動画を単に視聴・閲覧しただけの場合には、違法とはなりません。
もっとも、これまで著作権法の改正により、違法アップロード、違法ダウンロードが規制の対象とされてきた経緯を踏まえると、罰則が設けられていないからといって、違法アップロードされた著作物を視聴することは控えた方が賢明でしょう。
違法アップロードの具体例
違法アップロードに該当する行為といえば、DVDやテレビ番組の映像、CDの音楽をそのままYouTubeやSNSに投稿したり、ゲームソフトのプログラムをファイル共有ソフトでアップロードする行為をイメージする方が多いでしょう。しかし、その他にも、ネット上で身近に行われている行為が、実は違法アップロードに該当しているケースも少なくありません。
そこでここでは、どのような行為が違法アップロードに該当するのかみていきましょう。具体例は次の通りです。
- ①音楽の歌詞をSNSやブログに投稿
- ②音楽をYouTube動画のBGMとして使用
- ③「歌ってみた」の動画をアップロード
- ④漫画の数コマやアニメのスクショをSNSなどに投稿
- ⑤著作物を加工してアップロード
- ⑥ゲーム実況動画をネット配信する
- ⑦ファイル共有ソフトで知らぬ間にファイルをアップロード
①音楽の歌詞をSNSやブログに投稿
音楽の歌詞をX(旧Twitter)やInstagramなどのSNSやブログに投稿する行為も違法アップロードにあたります。歌詞は著作権法2条1項1号の「思想又は感情を創作的に表現したもの」にあたり著作物として著作権法で保護されています。著作権者は歌詞をコピーする複製権やインターネットを通じて人々に歌詞を送信する公衆送信権を持っており、著作権者に無断でSNSやブログに歌詞をアップすることは著作権者のこれらの権利を侵害していることになります。
音楽の歌詞をネット上にアップロードしたい場合、公益社団法人日本広報協会のサイトでも説明されている通り、一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)から許可を得る必要があります。
歌詞や楽曲は、著作権法上の著作物になります。そのため、歌詞を広報紙などに掲載する場合は、原則として作詞者の許可を得なくてはなりません。
しかし、現実には、直接作詞者と連絡をとって個々に交渉することは困難なため、こうした音楽著作物については、(社)日本音楽著作権協会(JASRAC)が一括して著作権の管理を行っています。
したがって、JASRACに申請をして許可を得ることが必要です。
②音楽をYouTube動画のBGMとして使用
YouTubeに動画を投稿する際、著作権者が作った音楽をBGMとして使用する行為も違法アップロードにあたります。もし使用したいのであれば著作権者の許可を得る必要があります。
なお、著作権法32条1項では「公表された著作物は、引用して利用することができる。」と規定されていますが、著作権がかかった音楽をBGMとして使用することは引用にはあたりません。引用にあたらない以上、YouTubeの概要欄に出典を記載したとしても著作権法違反となります。
過去には、YouTubeのチャンネル登録者数が860万人以上(2024年10月現在)もいる有名メークアップアーティストが、複数のアーティストの楽曲50曲を無断使用したとして、1曲あたり約1500万円の支払と楽曲の使用差し止めを求める訴訟をおこされています。
参考:楽曲「無断利用」は1曲1500万円!? ネット動画で「BGM」を使うときの注意点 - ライブドアニュース
また、市販のCD、ダウンロード配信用の音源・カラオケ音源にも権利が認められており、これらを勝手にBGMとして使った場合も違法アップロードとなる可能性がありますので注意が必要です。
YouTubeにBGMを使用したいのであれば、著作権フリーの音楽ダウンロードサイトや、著作権使用料無料のBGMをダウンロードできるYouTubeのオーディオライブラリを利用するようにしましょう。
③「歌ってみた」の動画をアップロード
「歌ってみた」動画とは、アーティストの曲を自分が歌って録音・録画したもので、これを著作権者の許諾なくアップロードすると、作詞家や作曲家の著作権を侵害することになります。
しかし、YouTubeやニコニコ動画、Instagram、TikTokなどの多くの動画共有サイトでは、JASRACやNexToneといった著作権管理団体と包括利用許諾契約を結んでいます。そのため、これらの団体が管理する楽曲を使用する場合、著作権者の許諾は不要です。ただし、楽曲の音源を使用する際には、別途著作隣接権の権利者から許諾を得る必要があります。
著作隣接権は、著作物を公衆に伝達する際に重要な役割を果たす歌手や演奏家、レコード会社などの権利を保護するもので、具体的には録音された音に関する権利を指します。例えば、カラオケ音源を使用して自分の歌声を録音した動画をYouTubeにアップロードした場合、JASRACやNexToneが管理する楽曲であれば著作権侵害にはなりませんが、音源の使用に関して著作隣接権者の許諾を得ていなければ違法アップロードとなります。
したがって、「歌ってみた」動画で違法アップロードを避けるためには、音源の著作隣接権者から許諾を得るか、楽曲を自分で演奏するか、またはアカペラで歌う必要があります。
④漫画の数コマやアニメのスクショをSNSなどに投稿
X(旧Twitter)などのSNSや個人ブログでは、漫画の1コマ~数コマやアニメのスクショが投稿されているのをよく見かけます。
しかし、漫画やアニメの一部分であっても、著作物であることに変わりはありませんので、これらの画像を著作権者の許可なくSNSやブログなどネット上に投稿することは、原則として違法アップロードとなります。具体的には、著作権の一部である複製権(著作物を複製する権利:著作権法第21条)や公衆送信権(著作物を公衆に送信する権利:著作権法第23条)の侵害にあたります。
ただし、漫画やアニメの一部分を、出典を明記した上で、その作品に対する自分の意見や批評を行うために必要な範囲で引用することは、著作権法第32条で認められています。
(引用)
第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
もっとも、引用が適法と言えるためには、「主従関係が明確であること」などの要件を満たす必要があります。すなわち、漫画やアニメについての自分の意見や批評が「主」であり、引用部分である画像が「従」の関係でなければなりません。例えば、アニメのスクショを「おもしろかった」と一言添えてSNSに投稿した場合、その意見が主であるとは言えず、適法な引用とは認められない可能性があります。
また、SNSで自分の投稿の話題に合わせて漫画やアニメの一部画像をアップロードする行為は、「公正な慣行に合致するもの」とは言えません。たとえば、「今日遅刻して学校の先生に怒られた~(泣)」といった投稿に、漫画のキャラクターが号泣するシーンのコマの画像を添付した場合、これは引用には該当せず、違法アップロードとなる可能性があります。
⑤著作物を加工してアップロード
漫画やアニメの画像や映像、キャラクターを模写やトレース(敷き写し)したものを、著作権者の許可なくネットにアップロードすることは、上記でお伝えした複製権や公衆送信権の侵害となります。
では、漫画やアニメ、映画などの画像・動画に手を加えたものをネット上にアップロードする行為も違法アップロードになるのでしょうか。
漫画やアニメ、映画など著作物(原著作物)を加工(翻訳、編曲、変形、脚色、映画化、翻案)してできた新たな著作物を「二次的著作物」といいます。たとえば、小説をアニメ化、映画化したものや、漫画やアニメのキャラクターを参考に真似して手書きしたものなどが二次的著作物に該当します。
そして、これら二次的著作物を著作権者の許可なくネットにアップロードする行為は、公衆送信権、翻案権(二次的著作物を創作する権利 著作権法第27条)、同一性保持権(著作物のタイトルや内容を勝手に改変されない権利 著作権法第20条)を侵害し、違法アップロードになります。
過去には、YouTubeでよく見かける「ファスト映画(1本の長編映画を10分程度の動画に短縮・加工した動画)」の違法アップロードによって著作権者に対し多額の損害を与えたとして、約5億円もの賠償金の支払いを命じる判決が出された例があります。
参考:ファスト映画:所在不明のアップローダーに対し5億円の損害賠償を命じる判決 | 一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構(CODA)
⑥ゲーム実況動画をネット配信する
ゲームソフトはもちろん、ゲーム内で使用されている音楽、映像、シナリオ、キャラクターなども著作権で保護される著作物に該当します。したがって、TikTokやYouTube、ニコニコ動画などの動画配信サイトで、著作権者の許可なくゲーム実況動画を配信することは、違法アップロードに該当します。具体的には、公衆送信権や上映権(著作物を公に上映する権利 著作権法第22条の2)の侵害にあたることが多いです。
過去には、YouTubeでゲームのあらすじやエンディングがわかるゲーム実況動画を配信したユーチューバーが逮捕され、懲役2年、執行猶予5年、罰金100万円の有罪判決が下された事件もあります。
参考:ネタバレの「ゲーム実況」で初の逮捕者 若年層の「タイパ」重視を背景に暴走か - 産経ニュース
このようなゲーム実況動画の違法アップロードを行うと、配信停止やアカウント凍結のリスクがあるだけでなく、ゲーム会社から莫大な額の損害賠償請求をされるおそれもありますので、絶対にやめましょう。
もっとも、ゲーム会社によってはプロモーション効果を狙うなどの理由からゲーム実況を認めているところもあります。ゲーム会社の基準や考え方については、各社が公表しているガイドラインなどでよく確認しておきましょう。
⑦ファイル共有ソフトで知らぬ間にファイルをアップロード
ファイル共有ソフトとは、インターネット上で不特定多数の人とファイルのやり取りを可能にするソフトウェアのことです。ファイル共有ソフトの利用自体は違法ではありませんが、著作権者の許可なくアニメや漫画などの著作物をアップロードすると著作権法違反となります。
代表的なファイル共有ソフトとしてトレントBittorrent、Winny、Share、Cabosなどがありますが、これらソフトはP2Pという通信技術を用いており、ファイルのダウンロードを行うと、同時に、ファイルを自動的にアップロードするという仕組みになっています。そのため、ファイル共有ソフトでダウンロードだけ行っているつもりが、知らぬ間にアップロードしていることもあるのです。
前述の通り、違法アップロードでの逮捕事例は多数存在しますので、ファイル共有ソフトをダウンロード目的のみで利用しているという方も今すぐ利用を中止し、ソフトウェアをアンインストールするようにしてください。
違法アップロードの罰則
違法アップロードした場合は次の責任がともないます。
刑事責任
前述のとおり、違法アップロードによって著作権を侵害した場合の罰則は「10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金、又は懲役と罰金の併科」(著作権法119条1項)です。違法アップロードといえば、漫画村の運営者がいわゆる海賊版の漫画などをインターネット上に公開し、誰でも見ることができる状態にしたことで著作権法違反などの罪に問われたことは有名ですが、結局、運営者は刑事告訴され、懲役3年・罰金1000万円・追徴金約6200万円の実刑判決を受けています。
参考:「漫画村」運営者の男に有罪判決 福岡地裁:朝日新聞デジタル
民事責任として損害賠償請求されることも
上記は刑事責任についてですが、民事責任、すなわち、著作権者などの権利を侵害し損害を与えたとして、著作権者などから損害賠償責任を追及されることもあります。ファスト動画を違法アップロードした事案では、5億円もの損賠賠償金の支払いを命じられたことがあります。刑事責任と民事責任は全く別個の責任ですので、刑事責任の結果にかかわらず民事責任を問われることがありますし、その逆の場合も十分あり得ると考えていた方がよいでしょう。
参考:「ファスト映画」投稿、3人に計5億円賠償命令…所在不明だった男にも判決 : 読売新聞
違法アップロードは逮捕される?
次に、毎年、どのくらいの事件が違法アップロードで警察に検挙されているのかみていきましょう。
違法アップロードの検挙数は?
警視庁が公表した「令和5年における生活経済事犯の検挙状況等について」によると、令和4年の著作権侵害事犯の検挙件数は130件、令和5年には98件に減少しています。この10年間の検挙件数は減少傾向にあり、平成25年から平成28年までは200件台で推移していましたが、平成29年に100件台に減少して以降、さらに減少を続けています。
ただし、この減少は、警察が著作権法違反の取り締まりを緩めたことを示すものではありません。むしろ、違法アップロードに関する逮捕報道や公的機関による啓蒙活動により、著作権の重要性や違法行為のリスクが広く一般に認識されるようになったことが要因と考えられます。
さらに、警察庁はP2P観測システムを導入し、BitTorrentなどのファイル共有ソフトに流通する違法ファイルを常時収集・分析・監視しています。また、2023年にはリーチサイト(違法にアップロードされたコンテンツにユーザーを誘導するサイト)の一斉摘発も実施されました。
令和5年の著作権侵害事犯の検挙数に占めるインターネット利用事犯の割合は84.7%と高く、これらの取り組みからも警察の違法アップロードに対する取り締まりが依然として厳しい姿勢であることが伺えます。
著作権法違反は親告罪なので告訴されないと逮捕されない?
違法アップロードの処罰規定である著作権法119条1項は親告罪です。親告罪とは、著作権者などの犯罪被害たる告訴権者の告訴がなければ起訴されない犯罪のことです。つまり、たとえ警察が違法アップロードを認知したとしても告訴がなければ起訴されないため、警察は告訴がなければ逮捕などの捜査に踏み切らないということは考えられます。
ただ、告訴がなければ警察が捜査をしてはいけないという決まりはありあせん。そのため、告訴がなくても警察が逮捕などの捜査に踏み切る可能性はないとはいえず、その後の捜査の過程で著作権者の告訴を得て起訴されるという事態になることも十分に考えられます。
違法アップロードの時効は?
違法アップロードの時効期間は刑事責任と民事責任で異なります。
まず、刑事責任の時効期間は7年です。ただ、違法アップロードは前述のとおり親告罪です。親告罪の場合「告訴権者が犯人を知ったときから6か月を経過したとき」に告訴権が消滅します。告訴権が消滅すると、たとえ時効期間が経過していなくても告訴されない、すなわち、起訴され刑事罰を科される可能性が消滅します。
一方、民事責任の時効期間は著作権者などの被害者が加害者及び被害を知ったときから3年、または被害のときから20年です。
違法アップロードで逮捕されないためには?
最後に違法アップロードで逮捕されないための対処法をご紹介します。具体的な対処法は次の通りです。
- ①違法アップロードしたものをすぐに削除する
- ②出頭要請を受けたら素直に応じる
- ③早期に示談の申し入れをする
- ④自首を検討する
①違法アップロードしたものをすぐに削除する
まず、違法アップロードしたものは気づいた時点ですぐに削除することです。
前述のとおり、違法アップロードは親告罪ですから、著作権者が告訴しなければ罪に問われることはありません。著作権者に告訴を思いとどまらせるには被害を最小限にとどめること、すなわち、違法アップロードしたものを即座に削除することが得策です。
②出頭要請を受けたら素直に応じる
次に、出頭要請を受けたら素直に応じることです。
出頭するか否かは任意ですが、音信不通や正当な理由のない不出頭を繰り返していると、最悪の場合、逮捕されてしまう可能性があります。もし、指定された日時に都合がつかないときは、その旨申し入れ別日を調整しましょう。また、出頭後は取調べを受けることが予想されます。取調べに不安を抱えている方は、あらかじめ弁護士に相談した方がよいでしょう。
③早期に示談の申し入れをする
次に、早期に示談の申し入れをすることです。
まだ告訴がなされていない段階で被害者と示談が成立すれば告訴しないことに同意していただけます。既に告訴がなされた後に示談が成立した場合でも、示談成立により告訴を取り下げていただけます。違法アップロードは親告罪ですので、示談成立により被害者が告訴しないことに同意している以上は、警察が逮捕に踏み切る可能性はほぼないでしょう。
もっとも、示談交渉は弁護士に依頼するべきです。そもそも加害者との直接の示談交渉に応じる被害者などほとんどいないでしょう。弁護士を間に入れることでお互いに感情的にならず、冷静に示談交渉を進めることができ、適切な形で示談を成立させることができるでしょう。
④自首を検討する
最後に、自首を検討することです。
自首をすることの最大のメリットは逮捕を回避できる可能性を高めることができることです。自首することで逮捕の要件である逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれがないと判断されやすくなるからです。もっとも、ケースによっては、自首と思って警察に出頭したところ自首は成立せず、そのまま逮捕されてしまうことも考えられます。そのため、自首する前にまずは弁護士に相談し、弁護士の指導の下、しっかりとした自首の準備を進め、弁護士の同行の下自首した方が安心といえます。
違法アップロードでご不安な方は弁護士に相談
違法アップロードで逮捕され、起訴されて有罪になると、最悪のケースでは懲役実刑となって刑務所に収監されるおそれもあります。仮に罰金刑や執行猶予付き判決になったとしても、有罪である以上は前科がついてしまいます。
また、著作権侵害は刑事事件だけでなく、民事事件に発展する可能性が高いです。著作権者の損失の大きさによりますが、数百万円から数千万円、中には数億円の損害賠償請求がされるケースもあります。違法アップロードによる収益をはるかに上回る賠償責任を負う可能性もあるのです。
現在、訴えを起こされていないからといって安心できるわけではありません。著作権者が発信者情報開示請求という手続きを行い、違法アップロードをした犯人を特定するには、10か月程度かかることもあります。今、何もしない間にも、裏で着々と刑事告訴や民事訴訟の準備が進められている可能性もあります。
したがって、違法アップロードに関与してしまった方は、できるだけ早く弁護士に相談し、著作権者との示談交渉を始めることをお勧めします。インターネットトラブルに精通した弁護士であれば、経験と専門知識に基づいて適正な額で示談を成立させる可能性が高まります。示談が成立すれば逮捕を回避でき、民事訴訟を起こされる心配もなくなります。
当事務所では、違法アップロード事件の示談交渉を得意としており、実績も豊富です。親身に誠実に弁護士が依頼者のために全力を尽くしますので、違法アップロードによる逮捕を免れたい方や、賠償額が膨れ上がる前に早急に示談で解決したい方は、まずは当事務所の弁護士にご相談ください。
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