
「DVで逮捕されてしまうのか」「家の中のことで警察が動くのか」。配偶者や交際相手に手を上げてしまい、そんな不安を抱えていませんか。
DVは家庭内の出来事でも、暴行罪や傷害罪にあたれば逮捕されることがあります。特に、同居していて再び暴力をふるうおそれや、被害者に口止めをするおそれがあると判断されると、逮捕に踏み切られやすくなります。もっとも、逮捕の直後から弁護士が動けば、早く釈放されたり、不起訴になったりする道も開けます。
この記事では、DV・暴行事件の刑事弁護に強い弁護士が、次の点を解説します。
- DVで逮捕されるのはどんなときか
- DVで問われる罪と刑罰はどのくらい重いか
- 逮捕されたら何日くらい拘束されるのか
- 早く釈放されるために何ができるか
お読みいただければ、いまの段階で何をすべきかが見えてきます。
なお、DVで逮捕されるおそれがある方や、ご家族が逮捕された方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。地域を問わずご相談を承っています。
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DVで逮捕される基準は?警察が逮捕に踏み切る場合
DVで逮捕されるかどうかは、殴る・蹴るなどの暴行罪や、けがをさせた場合の傷害罪などにあたる疑いがあることに加え、逃げたり証拠を隠したりするおそれなど(逮捕の必要)があるかで判断されます。警察は、同居による再発や口止めのおそれ、暴力の悪質さといった事情から、この逮捕の必要を見極めます。
警察庁の発表資料によると、2025年に配偶者からの暴力事案等で検挙された件数(逮捕しなかった事件も含みます)は8,358件でした。相談等件数は98,289件で、DV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)の施行以降で最多となっています。
通報や被害届で警察が事件を知ったとき
DVが事件になる代表的なきっかけは、被害者本人や近所の人による110番通報です。被害者が警察署に相談し、事件になることもあります。110番で駆けつけた警察官は、暴力を止めて双方から事情を聴きます。
「夫婦げんかに警察は立ち入らない」とは限りません。DV防止法も、暴力が行われていると認めた警察官に対し、暴力の制止や被害者の保護に努めるよう求めています。
暴力の直後で状況が明らかなときは、その場で現行犯逮捕(犯行中や犯行直後に、逮捕状なしで行われる逮捕)されることがあります。その場では逮捕されなくても、被害届(被害を警察に申告する書類)が出されると捜査が進み、後日、逮捕状によって逮捕されることもあります。
同居していて再発や口止めのおそれがあるとき
逮捕されやすいのは、配偶者や交際相手と同じ家で暮らしているケースです。逮捕せずに自宅にいさせると、再び暴力をふるったり、口止めをしたりするおそれがあると見られやすいためです。
被害者への口止めは、供述を左右するため、証拠を隠す行為の一つとみなされます。逮捕に続く身体拘束(勾留)を認めるかの判断でも、同じ事情が重く見られます。
被害者が「逮捕はしないでほしい」と話していても、逮捕を避けられるとは限りません。暴行罪や傷害罪は親告罪(被害者が処罰を求めなければ起訴できない罪)ではないため、捜査を続けるかどうかは警察や検察官が判断します。
けがが重い・凶器を使ったなど悪質なとき
暴力の中身が悪質なほど、逮捕に踏み切られやすくなります。たとえば骨折など重いけがを負わせた場合や、刃物などの凶器を持ち出した場合です。
反対に、けがが軽く一度きりの暴力で、被害者と離れて暮らせる環境が整っている場合などは、逮捕されずに在宅(身体拘束を受けずに自宅で生活しながら取調べに応じること)のまま捜査が進むこともあります。
ただし、その場合でも起訴され、罰金などの刑罰を受けることもあります。
DVで問われる罪と刑罰は?
DVで逮捕された場合に問われる罪と刑罰は、行為の内容によって決まります。「DV罪」という罪はなく、DV防止法にも暴力そのものを罰する規定はないためです。
以下で説明する罪のほか、相手を死なせてしまえば傷害致死罪、殺すつもりがあれば殺人罪となります。銃砲・クロスボウ・刀剣類を使ってけがをさせたり、常習として暴行などを繰り返したりすれば、暴力行為等処罰に関する法律違反に問われることもあります。同法については「暴力行為等処罰に関する法律とは?構成要件や時効をわかりやすく解説」で解説しています。
暴行罪
暴行罪(刑法208条)は、人の体に暴行を加えたものの、けがをさせるには至らなかった場合に成立する罪です。殴る・蹴るだけでなく、髪を引っ張る、胸ぐらをつかむ、物を投げつけるといった行為も暴行にあたります。
DVで捕まるのはどこからか、法律に明確な線引きはありませんが、けががなくても、こうした行為で相手の体に力を加えた時点で暴行罪は成立します。被害者の体に直接当たらなくても、すぐそばに物を投げつける行為が暴行とされる場合もあります。実際に逮捕されるかは、前述の逮捕の必要があるかどうかで決まります。
罰則は「2年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」です(拘留・科料は軽い刑罰の一種です)。
※2025年6月1日施行の改正刑法により、「懲役」と「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されました。本記事では改正後の名称で記載しています。
傷害罪
傷害罪(刑法204条)は、暴行などによって相手にけがをさせた場合に成立する罪です。打撲や骨折のほか、暴力が原因で心の病気を発症させた場合も、傷害にあたることがあります。
けがをさせるつもりがなかったとしても、暴行の結果としてけがが生じれば、傷害罪で逮捕・起訴される可能性があります。被害者が医師の診断書を警察に出せば、けがの程度を示す証拠になります。けがが重いほど、刑も重くなりやすい傾向があります。
罰則は「15年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」で、暴行罪よりも大幅に重くなっています。
暴行罪と傷害罪の違いや成立要件について詳しくは「暴行罪と傷害罪の違いは?成立要件とどちらが重いかを解説」で解説しています。
脅迫罪
手を上げていなくても、言葉で脅せば脅迫罪(刑法222条)で逮捕されることがあります。脅迫罪は、相手本人や親族の生命、身体、自由、名誉、財産に害を加えると告げて脅した場合に成立する罪です。
「殺すぞ」「実家に火をつけるぞ」といった言葉のほか、LINEやメールで送った脅し文句も対象になります。罰則は「2年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金」です。
不同意わいせつ罪・不同意性交等罪
夫婦や交際相手の間でも、同意のないわいせつな行為や性交などは処罰の対象となり、逮捕されることもあります。刑法は、不同意わいせつ罪(176条)と不同意性交等罪(177条)が「婚姻関係の有無にかかわらず」成立すると明記しています。
暴行や脅迫、虐待による心理的な影響などで、相手が「嫌だ」と思うこと、それを伝えること、拒み通すことのいずれかが難しい状態にさせ、またはその状態に乗じた場合が対象です。
罰則は、不同意わいせつ罪が「6月以上10年以下の拘禁刑」、不同意性交等罪が「5年以上の有期拘禁刑」です。夫婦間で問題になる場合について詳しくは「夫婦間でも同意のない性行為は不同意性交等罪が成立する?」をご参照ください。
DV防止法の保護命令違反
保護命令とは、被害者の申立てを受けて、裁判所が加害者に対し、被害者への接近などを禁じる命令です。つきまといや、住居・勤務先の付近をうろつくことを1年間禁じる接近禁止命令や、一緒に住む家から出ていくよう命じる退去等命令(原則2か月間)があります。
配偶者だけでなく、事実婚の相手や、離婚後も暴力が続いている元配偶者、同居している交際相手に対しても出されることがあります。
保護命令に違反すると、それだけで2年以下の拘禁刑又は200万円以下の罰金の対象となり(DV防止法29条)、逮捕されることもあります。2025年の保護命令違反の検挙は88件でした(前出の警察庁資料による)。
DVで逮捕された後の流れ
DVで逮捕されると、起訴されるかどうかが決まるまで最長23日間、身体拘束が続く可能性があります。なお、逮捕後の「勾留」は、刑罰の一つである「拘留」とは別のものです。
逮捕から48時間以内に検察官へ送られる
逮捕されると警察署の留置施設に入れられ、弁解録取(警察官が本人の言い分を聴く手続き)と取調べを受けます。
警察は、身体拘束を続ける必要があると判断した場合、逮捕から48時間以内に事件と身柄を検察官へ送ります(送致)。必要がないと判断すれば、この段階で釈放されますが、捜査は続きます。
送致から24時間以内に勾留が請求される
事件を受け取った検察官も本人の言い分を聴き、送致から24時間以内に、裁判官に勾留を請求するか、釈放するかを決めます。逮捕から勾留請求までは72時間が上限です。
勾留を請求されると、裁判官が本人から話を聴いたうえで、勾留するかどうかを判断します。勾留が決まっても、弁護士の不服申立てが認められれば釈放されます。
勾留の要件や、勾留を避けるための方法については「勾留とは?逮捕との違いと要件、勾留期間を解説」をご参照ください。
勾留は最長20日間続き、起訴か不起訴が決まる
勾留の期間は原則10日間で、やむを得ない事情があれば、さらに最長10日間延長されます。逮捕からの72時間と合わせると、身体拘束は最長23日間に及びます。
検察官は勾留の期間内に、起訴(裁判所に刑事裁判を求めること)するか不起訴にするかを決めます。罰金で済む事件では、本人に異議がなければ、公開の裁判を開かず書面で審理する略式手続がとられることもあります。起訴後も勾留が続けば、保釈を請求できます。
DVに限った起訴率は公表されていませんが、検察統計(2025年)では暴行の起訴率は26.4%でした(暴行を含む「傷害」の区分全体では28.6%)。
不起訴処分の種類や前歴との違いについては「不起訴とは|無罪との違いと不起訴になる理由・前科前歴の有無」で詳しく解説しています。
DVで逮捕されたときの対処法は?弁護士に依頼してできること
逮捕の直後から勾留が決まるまでの約3日間は、その後の身体拘束の長さを左右する大切な時期です。
すぐに弁護士の接見を受け、取調べの助言をもらう
逮捕されたら、まず弁護士との接見(立会人なしの面会)を求めましょう。勾留が決まるまでは家族が面会できないことが多い一方、弁護士であれば本人と面会できます。
依頼している弁護士がいなくても、当番弁護士(弁護士会が派遣する弁護士)の制度を使えば、無料で1回、弁護士を呼んで相談できます。本人から警察官などに申し出るほか、家族が弁護士会に電話して依頼することもできます。
取調べでは、事実と違う内容の供述調書(取調べでの話を捜査官がまとめた書面)に署名しないことが大切です。弁護士は、黙秘権(言いたくないことは言わなくてよい権利)の使い方も含め、取調べでの対応を助言します。
早期釈放の方法として、別居や接触しない約束をする
逮捕に続いて勾留されると、その間は会社に出勤できず、欠勤が長引けば職場に事情を知られたり、解雇などの処分を受けたりするおそれもあります。
早く釈放してもらうには、再び暴力をふるったり口止めをしたりするおそれがないことを示す必要があります。たとえば、釈放後は実家などに身を寄せて被害者と別に暮らすこと、被害者に連絡しないと誓約すること、家族に身元引受人(釈放後の生活を見守る人)になってもらうことなどです。
カウンセリングやDV加害者更生プログラムを受けて、再発防止に取り組む姿勢を示すことも考えられます。
弁護士は、こうした環境を整えて、検察官や裁判官に勾留しないよう意見書を出したり、勾留の決定に不服を申し立てたりして、早期釈放を目指します。
被害者に謝罪し、示談や今後の関係を話し合う
罪を認める場合は、被害者への謝罪と示談(当事者の話し合いによる解決)を進めることが大切です。被害者に許してもらえる内容で示談がまとまれば、早期の釈放や不起訴処分につながることがあります。
もっとも、逮捕中の本人は被害者と直接話せないため、弁護士が間に入って交渉するのが一般的です。
被害者が離婚を望んでいれば、示談の話し合いに別居や離婚の条件が含まれることもあります。
示談の流れやメリットについては「刑事事件で示談するメリットは?示談金相場と流れを徹底解説」もあわせてご確認ください。
DVで逮捕されるおそれのある方へ
DVは家の中の出来事でも刑事事件となり、再発や口止めが心配されると、起訴までの身体拘束が最長23日間に及ぶこともあります。
早い段階でご依頼いただければ、弁護士が釈放や示談に向けて動き、仕事や家庭への影響を抑えられる可能性があります。
「警察から連絡が来た」「家族が逮捕された」など、状況が差し迫っている方ほど、ひとりで抱え込まずにご相談ください。
当事務所は刑事事件を専門的に扱っており、DV事件における示談交渉や早期釈放に向けた弁護活動の実績がございます。弁護士が迅速に動き、全力を尽くして依頼者を守ります。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

