在宅事件とは?流れと期間、身柄事件との違いを弁護士が解説

「在宅事件になったけれど、この先どう進み、いつ終わるのか」「このまま前科がついてしまうのか」と不安を抱えていませんか。在宅事件とは、逮捕などによる身柄拘束を受けず、自宅で普段どおり生活しながら捜査を受ける刑事事件です。

ただし、手続に期限がないぶん捜査が長引くこともあり、起訴されて有罪となれば前科がつきます。一方で、早い段階から適切に対応すれば、不起訴を目指せる場合もあります。

この記事では、在宅事件の解決実績が豊富な弁護士が、次の点について解説します。

  • 在宅事件と身柄事件はどう違うのか
  • 在宅事件の流れと終わるまでの期間
  • 不起訴になったことはいつわかるのか
  • 不起訴に向けて今からできること

お読みいただくことで、ご自身の事件がいまどの段階にあり、次に何へ備えればよいかを整理できます。

なお、警察の在宅捜査を受けていてお困りの方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。早期対応が結果を左右します。ご相談は地域を問わず承っています。

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在宅事件とは?身柄事件との違い

在宅事件(ざいたくじけん)とは、逮捕や勾留(逮捕に続いて、裁判官の決定で身柄の拘束を続けること)によって身柄を拘束されないまま、捜査や裁判の手続が進められる刑事事件のことです。在宅捜査では、警察や検察から呼び出されたときに出向いて取り調べを受けます。起訴されたときも、自宅から刑事裁判に出廷します。

身柄の拘束がないので、勤務先や学校にもこれまでどおり通えます。令和7年版犯罪白書によると、令和6年に検察庁が処理した事件(過失運転致死傷等と道路交通法違反を除く)では、逮捕されなかった人が約63.5%を占めています。逮捕されずに捜査を受けるのは、決して珍しいことではありません。

なお、社会の注目を集める事件などでは、在宅事件でも報道されることがあります。

在宅事件になる条件

捜査機関が被疑者を特定しても、すべての事件で逮捕されるわけではありません。裁判官は、罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があっても、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは逮捕状を出しません(刑事訴訟法199条2項)。

逮捕の必要があるかどうかは、主に逃亡や証拠隠滅のおそれがあるかという観点から判断されます。実務上、在宅事件になりやすいのは、比較的軽い事件で、住所や勤め先がはっきりしている、容疑を認めている、証拠がすでに確保されているといった事情がある場合です。

また、いったん逮捕された後に勾留されずに釈放され、そこから在宅事件として捜査が続くこともあります。

身柄事件との違いは時間的制約の有無

身柄事件(みがらじけん)とは、逮捕・勾留によって身柄を拘束された状態で捜査が進む事件です。在宅事件と身柄事件の大きな違いは、手続の期限が法律で決められているかどうかです。

身柄事件の場合、逮捕した警察は48時間以内に事件を検察官へ送致し、検察官は受け取ってから24時間以内(逮捕から72時間以内)に勾留請求をするかを決めます。勾留は原則10日間で、延長されても原則として最長20日間です。検察官がこの期限までに起訴しなければ、被疑者は釈放されます。

これに対して、在宅事件にはこうした時間制限がありません。いつ取り調べを行い、いつ処分を決めるかは捜査機関の判断に委ねられるため、手続が長引くことがあります。主な違いは次のとおりです。

項目 在宅事件 身柄事件
身柄拘束 されない 逮捕・勾留される
手続の期限 法律上の定めはない 逮捕から起訴の判断まで原則として最長23日間
日常生活 仕事や学校を続けられる 留置場などで過ごす
起訴前の国選弁護人(国が費用を負担する弁護士) 対象外 勾留されれば、資力などの要件を満たすと請求できる

在宅事件の流れと期間

在宅事件の全体の流れ

在宅事件は、警察の取り調べと書類送検を経て、検察官が起訴か不起訴かを決めるという流れで進むのが一般的です。はじめから逮捕されずに捜査が進む場合は、おおむね次の順に進みます。逮捕された後に釈放されて在宅に切り替わった場合は、釈放の時期によってはすでに検察官へ送致されていて、下の3の段階から進むこともあります。

  1. 警察から呼び出しを受けて出頭し、取り調べを受ける
  2. 警察が捜査を終えると、事件の書類や証拠物を検察官に送致する(書類送検)
  3. 検察官が記録を確認し、必要があれば本人を呼び出して取り調べる
  4. 検察官が、裁判にかけるかどうか(起訴か不起訴か)を判断する
  5. 正式な裁判になった場合は、自宅から裁判所に出廷する

在宅事件の流れ(警察の呼び出しと取り調べ→書類送検→検察の取り調べ→検察官が不起訴・略式起訴・正式な裁判のいずれかを決める)

送検されると前科がつくのではないかと不安な方は、「書類送検とは?前科はつく?逮捕との違いを弁護士が解説」をご参照ください。

捜査期間はどのくらい?長期化することもある

在宅事件の期間には法律上の期限がなく、処分が出るまでに数か月、長いときは1年を超える場合もあります。

比較的軽い事件で容疑を認めている場合は、書類送検から処分まで数か月程度かかることが多いとされています。事案が複雑な場合や、証拠の収集・精査に時間がかかる場合は、これより長期化しやすくなります。

在宅捜査が長引くのは、期限のある身柄事件や重大な事件の捜査が優先され、在宅事件の処理が後回しにされる場合があるためでもあります。在宅捜査で連絡が来ないことは、捜査が終わったことを意味するとは限らず、捜査が続いている場合と、すでに処分が決まっている場合のどちらもありえます。確かめ方は「不起訴になったことはいつわかる?」で解説します。

在宅事件の呼び出しと取り調べで知っておきたいこと

在宅事件では、警察や検察から呼び出されて任意の取り調べを受けます。ここでは、呼び出しの回数の目安、呼び出しに応じない場合のリスク、取り調べで気をつけたい点を順に解説します。

警察・検察から呼び出される回数の目安

在宅捜査で警察・検察から呼び出される回数は、容疑を認めている比較的軽い在宅事件であれば、警察で1〜2回程度、検察で1回程度が目安です。容疑を否認している場合や事案が複雑な場合は、回数が増えることもあります。

警察署や検察庁からの呼び出しは、電話や呼出状の郵送などで本人に伝えられます。仕事などで指定された日に行けないときは、日程の変更を相談できることがあります。

なお、書類送検の時期は本人に知らされないこともあり、いまどの段階にあるのかがわかりにくくなります。検察庁から呼び出しがあれば、事件はすでに検察官へ送られていると考えられます。

呼び出しに応じないと逮捕されることもある

逮捕・勾留されていない在宅事件の被疑者は、取り調べのための出頭を拒んだり、出頭した後いつでも退出したりできます(刑事訴訟法198条1項)。

もっとも、正当な理由がないのに呼び出しに応じない状態が続くと、逃亡や証拠隠滅を疑われ、逮捕につながることがあります。被害者に直接連絡して被害届(被害を捜査機関に申告する書類)の取り下げを迫るなど、証拠隠滅を疑われる行動も逮捕のきっかけになりえます。都合がつかないときも、呼び出しを無視せずにその旨を伝えましょう。呼び出しに応じなかった場合に逮捕される可能性について、より詳しくは「出頭命令(出頭要請)とは?警察からの命令を無視したら逮捕される?」で解説しています。

取り調べで不利な供述をしないための注意点

在宅事件の取り調べでも、黙秘権(自分の意思に反して話さなくてよい権利)が保障されています。取り調べの前には、言いたくないことは言わなくてよい旨が告げられます(刑事訴訟法198条2項)。

話した内容が供述調書(取り調べの内容をまとめた書面)に記録されると、読み聞かせや閲覧によって内容の確認を求められます。事実と違う点があれば訂正を申し立てることができ、署名・押印を拒むこともできます(同条3項〜5項)。

取り調べの場で、自分がやっていないことや思ってもいなかったことを、言われるがままに認めてはいけません。一方、身に覚えのある事件であれば、事実を認めて誠実に取り調べに応じることが、反省の姿勢として考慮されることもあります。取り調べにどう臨むか迷うときは、出頭する前に弁護士に相談してください。また、在宅事件の取り調べは途中で退出できるため、弁護士に同行を依頼していれば、不安を感じたときに席を外して相談できます。

在宅事件の処分と不起訴がわかる時期

在宅事件の捜査を終えると、検察官が処分を決めます。処分の種類と、不起訴になったことがわかる時期を順に見ていきます。

検察官が決める処分の種類

検察官が決める処分は、大きく分けて次の3つです。

  • 不起訴:裁判にかけない処分。犯人の性格や境遇、犯罪の軽重や情状、犯罪後の情況などから起訴の必要がないと判断される起訴猶予や、犯罪の疑いを裏付ける証拠が足りない嫌疑不十分などがある
  • 略式起訴:法廷での審理を開かず、簡易裁判所が書面で審理して、略式命令で100万円以下の罰金または科料を科す手続。本人が略式手続によることに異議がない場合に限られる
  • 公判請求:正式な裁判を求める処分。起訴状の謄本が本人に届き、指定された日に裁判所へ出廷する

在宅事件でも、起訴されて有罪となれば、略式命令による罰金であっても前科がつきます。逮捕されなかったことで処分が軽くなるとは限りません。

在宅事件の起訴率や在宅捜査の不起訴率を知る手がかりになるのは、検察庁が処理した事件全体の統計です。令和7年版犯罪白書によると、令和6年に検察庁が処理した事件全体の起訴率は32.6%、同じ統計の人数から計算した不起訴率は約67.4%です。いずれも交通事件である過失運転致死傷等や道路交通法違反も含む数字で、在宅事件に限ったものではありません。

起訴後の流れについては、「在宅起訴とは|在宅起訴になる条件は?【図で流れが分りやすい】」もあわせてご確認ください。

不起訴になったことはいつわかる?

在宅事件で不起訴がいつわかるかは決まっておらず、不起訴になっても、検察庁から必ず連絡が来るとは限りません。

検察官は、不起訴の処分をした場合に被疑者から請求があれば、その旨を告げなければならないとされています(刑事訴訟法259条)。つまり、在宅事件では自分から求めなければ通知されないことがあり、連絡がないまま、すでに不起訴で終わっていることもあります。

処分が出た後に検察庁へ請求すれば、不起訴処分告知書という書面で不起訴になったことを確認できます。検察庁で取り調べを受けた後にしばらく連絡がない場合は、担当の検察庁に問い合わせて、処分が決まったかを確かめる方法もあります。警察の取り調べの後に連絡が途絶えているなど、どこに問い合わせればよいかわからない場合は、弁護士に相談してください。

不起訴になった場合に前科・前歴がつくのかどうかについては、「不起訴とは|無罪との違いと不起訴になる理由・前科前歴の有無」で詳しく解説しています。

在宅事件で不起訴を目指すためにできる対応

在宅事件は処分が決まるまでに時間がかかることもありますが、不起訴を目指すなら、できるだけ早い段階から動くことが大切です。主な手立ては、弁護士への相談と、被害者との示談(謝罪や賠償をして、被害者と話し合いで解決すること)の二つです。

できるだけ早く弁護士に相談する

国選弁護人は、起訴前は勾留されている被疑者が対象です。そのため、逮捕されずに捜査を受けている人や、釈放されて在宅になった人は対象になりません(刑事訴訟法37条の2)。在宅事件では起訴前の国選弁護人が付かないため、弁護士に相談・依頼するときは自分で探すことになります。自分で依頼する私選弁護人との費用の違いなど、国選弁護人の仕組みは「国選弁護人とは?費用は無料?私選弁護人との違いやメリット」をご覧ください。

在宅捜査を受けているときに弁護士に依頼すれば、取り調べに臨む前に助言を受けられるほか、呼び出しに同行してもらい、取り調べ中は取調室の外で待機してもらうこともできます。また、本人の反省の状況や再犯防止の取り組み、示談の経緯などをまとめ、不起訴を求める意見書として検察官に提出する方法もあります。

被害者と示談を成立させる

被害者がいる在宅事件では、示談を成立させることで、不起訴となる可能性が高まります。検察官は、犯罪後の情況なども考えて起訴しないことができるため、被害の回復や被害者の許しは、処分を決めるうえで考慮される事情の一つになるからです。

もっとも、被害者が加害者本人との直接のやり取りに応じないこともあります。示談交渉を円滑に進めたい場合は、弁護士を通じて進めることをおすすめします。示談金の相場や、示談がどのような流れで進むのかについては「刑事事件で示談するメリットは?示談金相場と流れを徹底解説」をご参照ください。

在宅事件でお悩みの方は弁護士にご相談ください

在宅事件は、日常生活を続けながら捜査を受けられる一方で、期限がないぶん長引きやすく、処分によっては前科がつくこともあります。処分が決まる前であれば、不起訴に向けて取り組める時間があります。

弁護士に依頼すれば、取り調べにどう臨むかの助言を受けられ、被害者がいる事件なら示談交渉も任せられます。

「警察から呼び出しの連絡が来ている」「何か月も連絡がなく、このまま待っていてよいのかわからない」。先の見えない状態が続くと、精神的な負担も小さくありません。一人で抱え込まず、早めにご相談ください。

当事務所は、在宅事件での不起訴獲得を数多く手がけてきた実績があります。依頼者の不利益を最小限に抑えるため、弁護士が迅速に弁護活動を行います。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

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