国選弁護人とは|私選弁護人との違いは?依頼費用は全額免除?
  • 国選弁護人とは?私選弁護人となにが違うのだろう…
  • 国選弁護人を選任できる条件は?メリットとデメリットについても知りたい…
  • 国選弁護人は費用が全額免除されるって聞いたことがあるけど、本当?

この記事では、このような疑問を、刑事事件に強い弁護士がわかりやすく解消していきます。

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国選弁護人とは

国選弁護人とは、勾留後に、貧困その他の事由によって私選弁護人を選任できない場合に、被疑者・被告人が裁判所に請求することによって、裁判所が選任する弁護人のことです

あくまでも勾留後に選任できるため、逮捕から勾留されるまでの約3日間は国選弁護人は選任されないことに注意が必要です。また、在宅事件の場合も勾留されていませんので国選弁護人を選任できません。

国選弁護人の選任の条件

国選弁護人の選任の条件は以下が基本です。

  • 資力(現金、預金など)が50万円未満であること
  • 勾留状が発せられていること

資力が50万円未満であることは「資力申告書」で証明します。国選弁護人の選任を希望する場合、資力申告書の用紙は、逮捕後、警察官から渡されます。必要事項を記入し、警察官に渡せば、警察官が手続きを取ってくれます。

国選弁護人の費用

国選弁護人へ支払う費用(報酬)は基本的には無料です。本来、被疑者・被告人が支払うべき弁護士費用を国が負担してくれるのです。これは、資産が少なく弁護士費用を支払えない人でも刑事事件で不利な状況とならないよう、刑事弁護を受ける権利が憲法で認められているからです(憲法37条の3)。

ただし、必ずしも国選弁護人の費用が免除されるものではなく、執行猶予付き判決で釈放された場合などは通常の社会生活に復帰して返済することも可能なため、裁判官の裁量によって支払いを命じられる場合があります。

実際に国選弁護人の費用を負担することになった場合には、被疑者国選弁護人・被告人国選弁護人(※)ともに10万円前後の額になることが多いでしょう。
※国選弁護人には被疑者段階(逮捕~起訴前)から選任される被疑者国選弁護人と被告人段階(起訴後~)から選任される被告人国選弁護人の2種類があります。

国選弁護人と私選弁護人の違い

国選弁護人は被疑者・被告人が弁護士に委任する費用を負担できない場合に国が選んだ弁護士であり、私選弁護人は自分や家族が選んだ弁護士のことです。両者は、弁護活動の範囲や権限において違いはありません

しかし、以下の表で示すように違いもございます。

国選弁護人私選弁護人
弁護士費用無料であることが多い。
負担する場合でも私選弁護人より低額なことが多い。
依頼する法律事務所による
依頼できるタイミング勾留後いつでも依頼できる
弁護士を自分で選べるか選べない選べる
選任できる条件資力が50万円未満であること。
勾留状が発せられていること。
特になし
解任の可否法律上の解任自由が必要自由に解任できる

これらの違いを踏まえた上で、国選弁護人、私選弁護人のどちらを選任すべきなのかを以下で検討していきましょう。

国選弁護人のメリット

国選弁護人には費用がかからない

国選弁護人制度は貧困などを原因として私選弁護人を選任できない被疑者の防御権を保障するために設けられている制度です。したがって,基本的には訴訟費用の負担を求められることがありません

ただしごくまれに判決言い渡し時に裁判所から訴訟費用の負担を命じられる場合もあります。具体的にそのような場合とは,被告人に訴訟費用を負担することができるだけの支払い能力があることが裁判上明らになったような場合です。このような場合には貧困等を理由とする国選弁護人制度の趣旨に反しますので被告人に費用負担が命じられるのです。

これに対して,私選弁護人は依頼者との契約によって選任される弁護人ですので基本的には依頼者が費用を負担しなければなりません。国選弁護人の報酬よりは高額になることが多いでしょう。また費用体系も弁護人との委任契約に基づいて具体的に決定されますので接見や示談交渉などに応じて細かく決められている場合もあります。

国選弁護人は希望すればつけられる

国選弁護人は要件を満たしていれば希望するだけでつけてもらうことができます。国選弁護人は各弁護士会によって作成された名簿に登録されている弁護士が自動的に選任されますので私選弁護人のように自分で弁護士を探して依頼する必要がありません。

このことから裏を返せば国選弁護人の場合は自分の弁護人を自分自身で選ぶことができない,ということもできます。
今後の人生を左右する刑事手続の弁護を任せる弁護士を自分で選べないことには不満や不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし国選弁護人も私選弁護人も同じ権限・範囲で弁護活動を行ってくれます。それ以上の刑事手続きに関する深い知識や具体的な弁護活動については個々の弁護士の能力に依存するということができるでしょう。

国選弁護人のデメリット

国選弁護人の選任時期は決まっている

国選弁護人は被疑者が勾留されてからでないと選任できません
「勾留」とは逮捕に引続き行われる身柄拘束で逮捕よりも長く最大20日間身体拘束を伴いうる刑事手続のことをいいます。
勾留に対して「逮捕」は最大72時間の身体拘束しか認めていません。逮捕期間が満了するまで捜査機関は勾留するか被疑者を解放するかを決定しなければなりません。
国選弁護人は被疑者が逮捕されてから2日~3日後につけられることになります。
その間,捜査機関はあなたを訴追するか否かに関する捜査や証拠収集を行っていますがあなたのために弁護活動を行ってくれる弁護士は自動的には選任されません。

つまり身体拘束期間が短くて済む逮捕の段階で弁護人が活動できていれば警察や検察による取り調べ時に注意すべきアドバイスがもらえたり,逮捕期間満了で身体拘束から解放されたりする可能性もあるのです。

国選弁護人の選任時期について被疑者が勾留されてからという時間的制限があることに対して私選弁護人の選任についてなんら時期的制約はありません。
したがって私選弁護人であれば逮捕直後であっても弁護人として就任して弁護活動を行ってもらうことができます。前述のように早い段階で適切な弁護活動ができれば早期に身柄解放につながることがありますので,この点は私選弁護人のメリットということができるでしょう。

刑事事件を専門的に行っている弁護士とは限らない

国選弁護人の選任は前述のように、各弁護士会の国選弁護人名簿の中からいわば自動的に決定されます。名簿に登録している弁護士の中には刑事事件を専門的に行っていない、あるいは、刑事弁護の経験が少ない若手弁護士がいることもあります。つまり、刑事弁護に強い弁護士が選任されるかどうかは運任せということになります。さらに国選弁護人の報酬は私選弁護人の報酬より一般的に低いためサービス面で本人や家族の希望にきめ細かく対応することが期待できないという点もあるでしょう。

これに対して,私選弁護人として弁護人となる弁護士は刑事事件を専門的に行っているため細かい手続やノウハウ・経験などが豊富である場合が多いという特徴があります。国選弁護人とは報酬体系が異なりますので依頼者や家族の希望にも細かく対応してくれる場合もあるでしょう。

国選弁護人を自由に変更することはできない

国選弁護人を解任するためには裁判所の許可が必要となります。法律上の解任事由に該当しない限り自由に解任することはできません。解任事由として法定されているものは,被告人と弁護人の利益相反状況になった場合や,弁護人はその任務に著しく反したような場合などです。解任のハードルは決して低くないことが分かると思います。

ただし私選弁護人が弁護人として就任した場合には国選弁護人を解任することができます。なぜなら国選弁護人制度は私選弁護人を選任できない人を救済させる制度ですので私選弁護人が選任された場合には国選弁護人を維持しておく必要性がないからです。

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