【一覧表付き】親告罪・非親告罪とは?時効や法改正も弁護士が解説
  • 親告罪や非親告罪ってどういう意味だろう…
  • 親告罪に該当する犯罪を一覧で素早く確認したい…
  • 親告罪の時効(告訴期間)が知りたい…

この記事では、こういった疑問を、刑事事件に強い弁護士がわかりやすく解説していきます。

親告罪の法改正にも触れていますので、親告罪について網羅的な知識を身に着けたい方は最後まで読んでみてください。

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親告罪とは

親告罪とは、被害者等の告訴権者の告訴がなければ検察官が起訴することができない罪のことです。反対に、告訴権者の告訴がなくとも検察官が起訴することができる罪を「非親告罪」といいます。

告訴とは、犯罪被害者等が警察や検察といった捜査機関に対して犯罪事実を申告し、犯罪者の処罰を求めることです。

また、告訴権者とは、告訴できる権限を持つ人のことで、主な告訴権者は以下の通りです。

  • 被害者(犯罪により害を被った者)
  • 被害者の法定代理人(親など)
  • 被害者が死亡した場合の、配偶者・直系の親族(親、子、孫、祖父母など)・兄弟姉妹
  • 死者の名誉が毀損された場合の、親族・子孫

※ 未成年であっても告訴することができます。また、被害者の法定代理人は、被害者に告訴意思がなくても単独で告訴することが可能です。

本来、起訴権限は検察官に専属し、検察官が被疑者を起訴するかどうかを自由に決めることができます。しかし、被害者の存在する罪の中でも一定の罪については被害者の告訴を必要とし、検察官の起訴権限に制限をかけているのが親告罪というわけです。

親告罪が設けられた理由は、おおむね次の3つに分類されます。

  • 事実が公になることによる被害者のプライバシー侵害を防止するため
  • 罪が軽微で、被害者の意思を尊重するため
  • 親族間のトラブルであって刑罰を科すという国家の介入は控えた方がよいため

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親告罪一覧

親告罪は、「絶対的親告罪」と「相対的親告罪」に分かれます。

絶対的親告罪とは、公訴提起(起訴)するにあたり告訴することが条件となっている親告罪です。一方、相対的親告罪とは、犯人と被害者との間に一定の親族(※)関係がある場合に限り、告訴が公訴提起の条件となっている親告罪です。

親族の意味
ここでいう親族とは、「配偶者」、「直系血族(親・祖父母・子供・孫など)」、「同居の親族(叔父叔母・兄弟姉妹など)」以外の親族を指します。
配偶者、直系親族、同居の親族が相対的親告罪に該当する犯罪を犯した場合は、親族相盗例という特例(刑法244条)により刑が免除されるため、予め告訴はできないとされているのです。

親告罪一覧表
絶対的親告罪
  • 信書開封罪(刑法133条)
  • 秘密漏示罪(刑法134条)
  • 過失傷害罪(刑法209条)
  • 未成年者略取誘拐罪(刑法224条)
  • 名誉毀損罪(刑法230条)
  • 侮辱罪(刑法231条)
  • 私用文書毀棄等罪(刑法259条)
  • 器物損壊罪(刑法261条)
  • 信書隠匿罪(刑法263条)
  • リベンジポルノ防止法違反
相対的親告罪
  • 窃盗罪(刑法235条)
  • 不動産侵奪罪(刑法235条の2)
  • 詐欺罪(刑法246条)
  • 背任罪(刑法247条)
  • 電子計算機使用詐欺罪(刑法246条の2)
  • 準詐欺罪(刑法248条)
  • 恐喝罪(刑法249条)
  • 横領罪(刑法252条)
  • 業務上横領罪(刑法253条)
  • 遺失物横領罪(刑法254条)

      なお、著作権侵害(著作権等侵害罪)についてはこれまでは親告罪とされてきましたが、平成30年の法改正により、一定の条件を満たす場合(対価を得る目的等)には非親告罪として扱われることになりました(著作権法119条)。

      親告罪から非親告罪に法改正されたもの

      以下でご紹介する罪はかつて親告罪、現在は法改正により非親告罪になった犯罪です。

      • 強制性交等罪(旧強姦罪、刑法177条、5年以上の有期懲役)
      • 準強制性交等罪(旧準強姦罪、刑法178条2項、5年以上の有期懲役)
      • 強制わいせつ罪(刑法176条、6月以上10年以下の懲役)
      • 準強制わいせつ罪(刑法178条1項、6月以上10年以下の懲役)
      • ストーカー規制法の各種違反行為(1年以下の懲役又は100万円以下の罰金など)

      強制性交等罪(旧強姦罪)、準強制性交等罪(旧準強姦罪)、強制わいせつ罪、準強制わいせつ罪は平成29年7月13日から、ストーカー規制法の各種違反行為については平成29年1月3日から非親告罪となっています。

      上記の性犯罪が非親告罪へと法改正された理由としては、

      被害者において告訴するか否かの選択が迫られているように感じられる場合があるなど,親告罪であることにより,かえって被害者に精神的な負担を生じさせていることが少なくない状況に至っている

      法制審議会 刑事法(性犯罪関係)部会 第1回会議 議事録

      と認められたためです。

      親告罪の告訴期間と期間の起算点

      親告罪は告訴できる期間が限られています。この期間を、「告訴期間」といいます。

      親告罪の告訴期間は、被害者が「犯人を知った日から6か月」です(刑事訴訟法235条1項)。

      犯人を知った」とは、告訴権者が、犯人が誰であるかを知ることをいいます。告訴権者が犯人の氏名・住所などの詳細を知らなくても、犯人と他の者とを区別できるのであれば「犯人を知った」にあたり告訴期間が進行します。

      犯人を知った日」は犯罪行為が終了した日を指します。告訴権者が犯罪継続中に犯人を知ったとしても告訴期間は進行しません。たとえば、犯人がSNSに人を誹謗中傷する内容の書き込みをした名誉毀損のケースでは、書き込みが削除されない以上、名誉毀損の犯罪行為は継続していると考えられます。したがって、この場合、書き込みが継続している限り告訴期間は進行せず、書き込みが削除されてはじめて告訴期間が進行することになります。

      なお、初日不算入の原則により、犯人を知った日は告訴期間の初日に算入されず、翌日から期間が進行します。また、末日が土日祝日の場合も告訴期間に算入されませんから、末日が土日祝日の場合は、次の平日が末日になります。

      親告罪の告訴期間の事例

      なお、「外国の君主、大統領又は外国の使節に対する名誉毀損罪・侮辱罪につき外国の代表者又は外国の使節が行う告訴」については、6か月が経過した後も、公訴時効が完成するまでは可能とされています(刑事訴訟法235条1項2号)。

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