執行猶予とは?実刑との違いや認められる条件をわかりやすく解説
  • 執行猶予とは?実刑とはどう違うの?
  • 執行猶予がつくための条件が知りたい…

この記事では、このような疑問を解消すべく、刑事事件に強い弁護士がわかりやすく解説していきます。

執行猶予の基礎知識を身につけたい方、ご自身やご家族が懲役実刑にならずに執行猶予付き判決を得るための条件を知りたい方は最後まで読んでみて下さい。

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執行猶予とは

執行猶予とは、刑事裁判で問われた罪で有罪であることを前提としつつも、直ちには刑務所に収容されず、執行猶予期間が経過した後は、刑務所に収容されることがなくなる制度のことです。

執行猶予は刑事裁判の判決で言い渡されます。たとえば、執行猶予がつく場合は、裁判官から「主文。被告人を懲役1年に処する。この裁判が確定した日から3年間、その刑の執行を猶予する。」と言われます。この判決は「懲役1年、執行猶予3年」という意味です。つまり、懲役1年という有罪判決であるものの、3年を経過した後は、懲役1年という刑に服さなくてよくなります、ということを言われているのです。

執行猶予の目的は?

執行猶予、実刑とも、目的は、罪を犯した人の更生を図り、一人でも再犯を犯す人を減らして社会の治安をよくすることです。ただ、実刑に処して刑務所に収容し社会との関係を分断してしまうと、仕事や家族を失うなどして釈放後の社会復帰を困難にしてしまう可能性があります。

そのため、一定の条件を満たした人については、刑務所に収容するよりも社会復帰させた方がその人の更生を図ることができるのではないか、という考えに基づいて設けられた法制度が執行猶予なのです。

実刑との違いは?

執行猶予も実刑もその罪で有罪であるという点、判決で言い渡される点は共通しています。

ただし、執行猶予は、その猶予期間中は通常の社会生活が送れるのに対し、実刑の場合は、刑の言い渡しを受けたら直ちに収監され、刑務所内で生活しなくてはなりません

執行猶予の期間は?最長何年?

執行猶予の期間は、裁判確定日から(最短)1年以上~(最長)5年以下の範囲内で、裁判官の裁量により決められます(刑法25条1項)。一般的には、懲役刑(禁錮刑)の2倍の執行猶予期間がつけられることが多いです。例えば、懲役1年6ヶ月の刑罰に対し、3年の執行猶予が付くといった形です。

執行猶予が取り消しになることは?

執行猶予期間中に新たな犯罪を犯し、懲役刑または禁錮刑の実刑が確定した場合には、必ず執行猶予は取り消されます(刑法第26条)。

また、執行猶予期間中に罰金刑を受けた場合や、保護観察付きの執行猶予期間中に守るべき事項を遵守せず、その情状が重い場合、検察官の裁判所に対する取り消し請求により、執行猶予が取り消されることもあります(刑法第26条の2)。

執行猶予が取り消されると、執行猶予付き判決の刑期に、新たに犯した犯罪の刑期を加えられた期間、刑務所に服役することになってしまいます

執行猶予の取り消しとは?具体例と取り消しを防ぐ3つの対策

執行猶予中の生活で注意すべき点は?

上記の通り、執行猶予期間中に新たに罪を犯すと、執行猶予が取り消されてしまうこともあるため、執行猶予中の方は以下のことに注意した生活を送る必要があります。

交通事故・交通違反
→交通事故、飲酒運転、スピード違反、信号無視等で懲役刑に処されれば必ず執行猶予が取り消されます。罰金刑でも取り消されることもあります。仕事上どうしても車の運転が必要な方は細心の注意を払った運転が求められます。

飲酒
→酔った勢いで痴漢、暴行・傷害などの罪を犯してしまこともあります。できる限りお酒は飲まないか、飲酒して過去にトラブルを起こしたことのある方はとくに自宅で飲むよう心掛けましょう。

依存症
→薬物、アルコール、万引き、性に関する依存症の方は、ご自身が依存症である自覚が薄く、再び同種の犯罪に手を染めてしまうことも少なくありません。執行猶予期間中には専門の医療機関に通院したり、自助グループに参加するなどして依存症の克服に努めるようにしましょう。

保護観察
保護観察がついた方は、執行猶予中に保護観察のルールを守らないと執行猶予が取り消されることもありますので注意が必要です。

執行猶予中に罪を犯すとどうなる?生活で注意すべき5つのこと

執行猶予でも前科はつく?

執行猶予とは、被告人(ある罪について起訴され刑事裁判を受けた人)が「有罪」であることを前提に、被告人に酌むべき事情が認められるため、一定期間、刑の執行を猶予し(見送り)、その一定期間を無事に経過したときは、その刑の言渡しの効力(国家の刑罰権)が消滅する、つまりはじめから刑がなかったことにすることをいいます。

次に、前科とは、ある罪について起訴されて刑事裁判で「有罪」とされ、その裁判が確定した証のことをいいます。

つまり、刑事裁判で「有罪」とされた以上、前科は実刑か執行猶予を問わずつきます

なお、執行猶予期間が経過しても前科が消えることはありません。

執行猶予でも前科はつく!猶予期間が経過しても前科は消えない

一部執行猶予とは?

かつては、刑の言い渡しにつき、刑の全部を実刑にするか、刑の全部を執行猶予にする(全部執行猶予)かのいずれかの選択肢しかありませんでした。しかし平成25年6月の刑法の改正(平成28年6月施行)により、刑の一部を実刑にし、残りの刑に執行猶予を付する判決を出せる法制度が導入されました。これを「刑の一部執行猶予制度」と言います。

一部執行猶予は、刑務所内での矯正(施設内処遇)に加え、社会内処遇により犯罪者の更生を促すことを目的として設けられた制度となります。

一部執行猶予付き判決が言い渡される例としては、「主文。被告人を懲役3年に処する。その刑の一部である懲役1年の執行を2年間猶予する」といったものになります。つまり、2年間は実刑で刑務所に収監され、残りの1年間は2年間の執行猶予が付くものの通常の社会生活が送れるようになります(但し、一部執行猶予の場合は保護観察がつくことが多い)。

再度の執行猶予とは?

再度の執行猶予とは、判決時に執行猶予中の方が、判決で再び執行猶予を受けることをいいます

判決時に執行猶予中ということは、前の罪の刑の執行期間中に新たに罪を犯し、その罪でこれから判決を受けようとしているということです。

そのため、社会内更正は困難であるとして、新たな罪については実刑となる(前の罪の執行猶予については取り消される)のが通常ですが、それでもなお社会内更正の機会を設けたのが再度の執行猶予の制度ということになります。

再度の執行猶予がつく条件は以下となります。

  • ①今回の判決時に執行猶予中であること
  • ②今回の罪の判決で1年以下の懲役又は禁錮の言い渡しを受けること
  • ③情状に特に酌量すべきものがあること
  • ④前の罪の執行猶予で保護観察に付されていなかったこと

より詳しく知りたい方は、再度の執行猶予とは?条文や要件、獲得確率を弁護士が解説を参考にして下さい。

執行猶予がつく割合は?

令和3年度版犯罪白書「通常第一審における終局処理人員によると、令和2年度に第一審で全部執行猶予がついた人の割合は約63.3%です。

執行猶予がつく条件

執行猶予が付く条件(図解)

上の画像(執行猶予の条件の図解)でもわかるように、(全部執行猶予がつく条件は、以下の通りです。

  • ①今回の判決で3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受ける
  • ②前に禁錮以上の刑に処せられたことがない、あるいは、前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行が終わった日または刑が免除された日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない
  • ③情状に酌むべき事情がある

懲役、禁錮の期間が3年を超える場合は、執行猶予はつきません。例えば、殺人罪の法定刑は「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」ですから、殺人罪で有罪認定を受けると、基本的には執行猶予はつかないということです。ただし、例外として、心神耗弱、未遂などの法律上の減軽事由がある場合は、懲役の下限が2年6月まで引き下げられ、執行猶予がつく可能性があります。

②「前に禁錮以上の刑に処せられた」とは、今回の判決前に死刑、懲役、禁錮の前科(実刑の前科だけでなく、執行猶予の前科も含む)を有しているという意味です。つまり、判決時に執行猶予中の者、実刑前科を有している者は、基本的には通常の執行猶予の対象ではないということです。

ただし、執行猶予期間が経過すると刑の効力が消滅しますから、判決時に執行猶予期間が経過している場合は、通常の執行猶予の対象となります。また、実刑の前科を有している場合でも、刑期が終了した日から5年以上が経過している場合は、通常の執行猶予の対象となります。

③「情状」は犯罪そのものに関する情状(犯情)と犯情以外の情状である一般情状があります。一般情状には被害弁償、示談成立などがあります。

執行猶予をつけるにはどうすればいい?

犯罪の軽重および情状

執行猶予を付けるべきかどうかについて、犯罪の重さや情状が重要な考慮要素です。具体的には、犯行態様の悪質性や結果の重大性、犯罪後の事情、被告人の生活環境などが考慮されます。

前述のように情状については犯罪事実に関する情状(「犯情」)と、犯罪事実に属さない「一般情状」があります。犯罪事実に関する情状については、被告人の犯行動機に酌むべき事情があり、偶発的な犯行、被害者側に落ち度があるような場合には、被告人に有利な犯情であるといえます。一般情状については、被告人の生活状況や性格、健康状態、経済状況や社会的制裁の有無などが考慮されます。

仮に法益侵害が軽微であるとは言えないとしても、被害者と示談が成立していたり、被害弁償が完了している場合には、事後的に違法性の程度が減少したと考えることができるため執行猶予が付される可能性が高まります

真摯な反省の態度を示している

社会に復帰して更生できることを示すためには、同種犯罪を繰り返すおそれがないことを主張していく必要があります。そのためには自身の行った犯罪事実を素直に認め、反省・謝罪の態度を真摯に示す必要があります。

その際にはどのような行為が犯罪とされており、自分のどのような行為によって誰に対して迷惑・被害を与えたことになったのかを自覚的に理解できている必要があります。

真摯に反省していることを証明するためにも被害者に対して謝罪していること、すでに被害弁償をしている・今後の弁償を申し出ている、という事情が重要となります

家族によるサポートがあること

執行猶予により社会に復帰して、再犯を繰り返すおそれが小さいことを説得的に裁判官に説明するためには、配偶者や親族が監督・サポートを申し出てくれているという事情も重要となります。

配偶者や同居の親族が被告人の監督・監視を誓約してくれている場合には、同種の犯罪を繰り返すリスクは低下すると考えられています

そのため現在一人暮らしの場合でも、今後は実家に引っ越して両親と同居するなど生活環境を整えることを被告人が約束しているという場合には、被告人に有利な事情として考慮される可能性が高いです。

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