身柄拘束を受けた被疑者・被告人に接見禁止が出ていた場合、友人・知人・恋人はもちろんのこと、親子や配偶者であっても面会できないことをご存知でしょうか?
- 接見禁止ってなに?なぜ禁止されるの?
- 接見禁止はいつまで続くの?対応策は?
そう思われる方もいることでしょう。
そこでこの記事では、刑事事件に強い弁護士が、これらの疑問や悩みを解消していきます。
逮捕・勾留されてしまったアナタの大切な人と少しでも早く会って励ましてあげたい、力になりたいという方は最後まで読んでみて下さい。
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目次
接見禁止とは
接見とは
接見禁止の解説に入る前に、そもそも接見とは何なのかを解説します。
接見とは、身柄拘束されて刑事施設(留置場、拘置所)に収容されている被疑者(起訴される前の人)・被告人(起訴され刑事裁判にかけられた人)と面会することをいいます。
逮捕後、勾留(逮捕に引き続き身柄を拘束する手続き)されるまでは最大72時間ですが、その間は、たとえ家族であっても弁護士以外の者が接見することは一般的にはできません。ただし、勾留段階となれば、平日の限られた時間帯、1日1回1組3名まで(留置施設により異なる)、立会人がいる、などの制限はつきますが、原則的には誰もが面会をすることができるようになります。
家族や恋人、友人との接見は、日々過酷な環境下で不安と闘いながら生活している被疑者・被告人にとって唯一心の休まる重要な機会と言えるでしょう。
接見禁止とは?
接見が重要であることの一方で、勾留段階になってもその接見が禁止されることがあります。それが接見禁止です。
接見禁止とは、被疑者・被告人と弁護士以外の方との面会を禁止することをいいます。接見禁止が出ると一般接見(弁護士以外の人との接見)が禁止されます。
また、被疑者・被告人に出された決定が「接見等禁止」となっており、その「等」の中に「手紙(書類)のやり取り(授受)」が含まれている場合は、手紙を差し入れることができません。「手紙だけでも差し入れたい」という場合は、一度、そうした決定が出ているかどうか被疑者・被告人が勾留されている刑事施設の担当者に尋ねてみるとよいでしょう。どうしても伝えたい伝言がある場合は、担当の弁護人に託すことも一つの方法です。
そのほか、お金、衣類、食料などの差し入れは接見禁止が出ていない場合と同様可能です。もっとも、そもそも差し入れできない物もあります。また、郵送による差し入れは不可で、直接持参のみ受け付けている刑事施設もあります。事前に確認しておきましょう。
接見禁止となる理由
まず、接見禁止の根拠規定である刑事訴訟法81条を確認してみましょう。
第八十一条 裁判所は、逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは、検察官の請求により又は職権で、勾留されている被告人と第三十九条第一項に規定する者以外の者との接見を禁じ(略)ることができる。(略)
この条文によると、接見禁止となる理由は、被疑者・被告人に、
- 逃亡する
- 罪証隠滅する
と疑うに足りる相当な理由があることです。
勾留されている刑事施設では被疑者・被告人は厳重な監視下に置かれており、逃亡することは一般的には困難ですので、相当な理由があると判断されやすいのは「罪証隠滅の恐れ」があるケースでしょう。
いかなる場合に罪証隠滅の恐れがあると判断されるのかは個別の事案によって異なります。もっとも、次の事件では類型的に接見禁止が出やすいといえます。
- 重大事件→殺人、放火、強盗など
- 共犯事件→共犯者が逃亡している場合など
- 薬物事件→特に密輸事件
- 否認事件→比較的軽微な犯罪でも事案によっては出る可能性あり
- 組織で行った、組織が関与した事件→詐欺事件など
上記で挙げた事件ではとくに、接見に来た家族などに自宅等にある証拠物を捨てさせたり、共犯者に証拠隠滅を指示したり口裏合わせをする可能性もあります。また、共犯者や友人・知人を使って目撃者や被害者を威迫し、自己に不利益な証言をさせないようにしたり、被害届や告訴を取り下げさせるといった事態も考えられます。
「接見」という被疑者・被告人に与えられた権利(接見交通権)を制限する接見禁止処分が法律上認められているのは、このような事態を防ぐことが目的であるからです。
接見禁止される期間
被疑者段階、つまり、勾留から起訴までに出された接見禁止については「公訴の提起があるまで(起訴されるまで)」との期限が付けられることが多いです。これは、通常、公訴提起(起訴)までに捜査機関は証拠を収集してしまうため、公訴提起後は少なくとも証拠を隠滅する(罪証隠滅する)おそれがなく接見禁止の理由がないと考えられるからです。
もっとも、被告人段階、つまり、公訴提起された後も逃亡する、罪証隠滅するとおそれがあると認められる場合は、検察官により公訴提起と同時に接見禁止請求されることが多いでしょう。この請求を受けて裁判官(あるいは裁判所)より接見禁止(決定)が出された場合は、公訴提起後も接見禁止されることになります。この場合の接見禁止の期間も、たとえば「第1回公判まで」などと期限を区切られることが多いです。
接見禁止への対処法
接見禁止を解除するための対処法には以下の2通りがあります。
①準抗告・抗告
当初から被疑者・被告人に罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれがないにもかかわらず、接見禁止の決定を出した裁判所の判断は誤りだとして「不服」を申し立てて決定を取り消してもらう方法です。
これは法律に規定された方法で、準抗告と抗告の2種類があります。準抗告は勾留から起訴まで、起訴から第1回公判前までの接見禁止に対する方法です。抗告は第1回公判後の接見禁止に対する方法です
②接見禁止処分の解除の申立て
接見禁止の理由がない、あるいは消滅したことから接見禁止を裁判所の職権で解除してくださいと「お願い」する方法です。
これは法律に規定された方法ではありませんし、裁判官はこれに応じる義務はありません。しかし、裁判官あるいは裁判所も職権で接見禁止を解除できると解されており、その職権発動を促すの方法となります。
接見禁止の全部解除のハードルは高いものの、家族限定で一部解除してくれるケースは少なくありません。
接見禁止一部解除とは?|解除の方法、解除までの流れなどについて解説
接見禁止の解除なしで家族や友人に会う方法
「勾留理由開示請求」を行うと、公の法廷で家族や友人が被疑者・被告人の姿を確認することができます。
「勾留理由開示請求」とは、弁護人や配偶者・親族などの利害関係者が、被疑者・被告人が勾留された理由を裁判所に対して開示することを求める手続きです。
勾留理由開示請求の手続きは、公開の法廷で行われるため、配偶者や家族、友人などは傍聴席に座って、被疑者・被告人を実際に見ることができます。
また請求者は裁判官に対して自分の意見を述べることができます。そのため配偶者が勾留理由開示請求を申し立てた場合には「自分が身元引受人となって夫(妻)を全力でサポートしていきたい」と告げて本人を精神的に支えることもできます。
ただし1回の勾留について1度の請求しか認められていません。そのためタイミングの判断も重要となってきます。したがって、勾留理由開示請求の手続きを実際にしようと思う場合には、弁護士のサポートがなければ難しいでしょう。
弊所では、接見禁止の解除に向けた弁護活動や勾留理由開示請求の手続きの経験と実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力でサポートしますので、大切な方と一刻でも早く会って励ましてあげたい、力になってあげたい方は弁護士までご相談ください。相談する勇気が解決へと繋がります。
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