
人の身体に触れただけで暴行罪が成立するのか、気になっている方もいるのではないでしょうか。結論から言うと、触れる行為であっても暴行罪が成立する可能性はありますが、社会常識的に許容される範囲の接触であれば暴行罪にはなりません。
この記事では、「触れただけで暴行罪になるのか」「暴行罪にならないのはどのようなケースか」といった疑問に対し、暴行事件に強い弁護士がわかりやすく解説していきます。
なお、暴行について早急に対応したいとお考えの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談をお気軽にご利用ください。
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触れるだけで暴行罪になる?
どのような行為をすれば暴行罪が成立する?
暴行罪とは、人に暴行をくわえたが傷害を負わせるに至らなかった場合に成立する犯罪です(刑法第208条)。罰則は、2年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料です。
※2025年6月1日施行の改正刑法により、「懲役」と「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されました。
「暴行」とは、人の身体に対する不法な有形力の行使をいいます。例えば、殴る・蹴る・突き飛ばす・押し倒すなどの行為が典型です。その他にも、直接人に触れない行為、具体的には、狭い室内で刃物を振り回したり、人の数歩手前に物を投げるなどの間接暴行も「暴行」に該当します。さらに、太鼓を室内で連打したり、人の耳元で拡声器で大声を出すなどの音による暴行も認められています。
なお、暴行の結果、相手が傷害を負った場合には傷害罪(刑法第204条)が成立します。罰則は、15年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金です。
傷害罪の「傷害」とは、打撲や挫傷、内出血などのほか、頭痛や耳鳴り、嘔吐、PTSDなど、人の生理的機能に障害を与えることも含みます。また、傷害を負わせる故意がなくとも、暴行により結果的に相手が傷害を負った場合にも傷害罪が成立します。暴行罪と傷害罪の違いについて詳しくは「暴行罪と傷害罪の違いは?成立要件とどちらが重いかを解説」をご参照ください。
人に触れただけで必ずしも暴行罪が成立するわけではない
このように、人の身体に触れる場合はもちろん、人の身体に触れない行為であっても暴行罪は成立します。
ただし、人の身体に触れただけで必ずしも暴行罪が成立するわけではありません。身体が相手の身体に触れただけの場合は、「不法な有形力の行使」とはいえないケースであることが考えられます。
ここで「不法」とは、ごく簡単にいうと、社会常識的に許容されない、通常人の感覚からして許されないという意味です。
たとえば、人を呼び止めるため、人の肩を軽く叩く行為は厳密にいえば有形力の行使にあたります。しかし、その行為は社会常識的に許されないとはまではいえない、すなわち、不法とはいえないため、暴行罪の暴行にはあたらず、暴行罪は成立しないと考えられます。
以上から、人の身体に触れる行為は暴行罪になり得ますが、不法な有形力の行使とはいえないケースでは、たとえ身体に触れたとしても暴行罪は成立しません。具体的にどのような接触行為が暴行罪にあたるのかについては「胸ぐらを掴むだけで暴行罪になることも!逮捕されるとどうなる?」でも解説しています。
暴行罪にならないケースは?
上記では、触れただけでは暴行罪にならないケースがあることをお伝えしましたが、その他にも暴行罪が成立しないケースがありますので以下で解説していきます。
過失の場合
まず、過失による暴行の場合です。
暴行罪が成立するには、相手に暴行を振るうことを認識・認容しつつ暴行を振るうこと、すなわち、暴行の故意(簡単に言えば「わざと」という意味)が必要です。
しかし、たとえば、右ひじを挙げたところたまたま側を通りかかった人に右ひじが当たってしまった、という場合のように、人に右ひじを当てること(暴行)に対する認識、認容がない場合は故意は認められず過失の有無、すなわち、側に人が通りかかることを予見し、人に右ひじを当てるという結果を回避できたかどうかが問題となります。
もっとも、仮に過失があったとしても、過失の暴行罪を処罰する規定がありませんから、過失による暴行で処罰されることはありません。なお、傷害罪については過失傷害罪(刑法第209条)という過失犯が規定されています。
正当防衛・緊急避難が成立する場合
正当防衛や緊急避難が認められる場合も、暴行罪は成立しません(刑法36条1項、37条1項)。
正当防衛が成立するのは、たとえば、暴漢から殴られそうになったため自分の身を守るためにその暴漢を羽交い絞めにしたようなケースです。緊急避難が成立するのは、同じ例で、暴漢から殴られそうになったので身をかわすために近くにいた第三者を突き飛ばしたようなケースです。
正当防衛や緊急避難が成立するケースでは、暴行罪に当たる暴行でも違法性がないと評価されます。行為の違法性がなければ犯罪は成立しません。
(正当防衛)
第三十六条 急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。(緊急避難)
第三十七条 自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。出典:e-Gov法令検索
正当防衛の成立要件や具体的な判断基準については「正当防衛はどこからどこまで?成立要件と過剰防衛との違いを解説」で詳しく解説しています。
暴言を吐いただけの場合
暴言を吐いただけの場合も暴行罪にはなりません。
前述の通り、暴行とは人の身体に対する不法な有形力の行使をいい、人に向かって物を投げつける、服を引っ張る、胸ぐらをつかむなど直接人の身体に触れない行為も暴行に当たります。
しかし、人に対して暴言を吐く行為は人の心を傷つける行為ではあるものの、人の身体に対する不法な有形力の行使とはいえず、暴言を吐いただけでは暴行罪は成立しません。
ただし、暴言の内容等によっては侮辱罪や名誉棄損罪など、他の罪に問われる可能性はあります。暴言によって問われ得る罪の種類や対処法については「暴言は犯罪になる?問える罪と暴言を吐かれた場合の対処法」もあわせてご確認ください。また、前述の通り、人の耳元で大声を発する行為は有形力の行使にあたり、暴行罪に問われる可能性がありますし、その結果、人の鼓膜を破ったような場合は傷害罪に問われる可能性があります。
暴行の容疑をかけられたら弁護士に相談
この記事で解説したように、人の身体に触れる行為であっても、不法な有形力の行使にあたらない場合や、過失・正当防衛・緊急避難が成立する場合、暴言にとどまる場合には暴行罪は成立しません。
しかし、ご自身では暴行罪にならないと考えていても、相手の被害申告の内容次第では暴行の容疑がかけられ、逮捕に至ることもあります。逮捕されると最大23日間の身柄拘束を受ける可能性があり、学校や職場への影響は避けられません。早い段階で弁護士に相談することで、取り調べでの適切な対応のアドバイスを受けられるだけでなく、逮捕の回避や不起訴の獲得に向けた弁護活動を開始できます。
「自分の行為は本当に暴行罪にあたるのだろうか」「相手から被害届を出すと言われている」など、暴行の容疑に関して不安を抱えている方は、一人で悩まずにできるだけ早く弁護士にご相談ください。
当事務所は、暴行事件の弁護に豊富な実績があり、逮捕の回避や不起訴の獲得を数多く実現してきました。全国対応・無料相談を受け付けておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

