凶器準備集合罪とは?構成要件や凶器準備結集罪との違いを解説

凶器準備集合罪とは、二人以上の者が他人の生命、身体又は財産に対し共同して害を加える目的で集合した場合において、凶器を準備して又はその準備があることを知って集合した場合に成立する罪です。罰則は2年以下の懲役又は30万円以下の罰金です。刑法208条の2第1項に規定されています。

この記事では、暴行・傷害事件に強い弁護士が、

  • 凶器準備集合罪とはどうのような犯罪か
  • 凶器準備集合罪の構成要件
  • 凶器準備結集罪との違い

などについてわかりやすく解説していきます。

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凶器準備集合罪

凶器準備集合罪とは?

凶器準備集合罪とは、二人以上の者が他人の生命、身体又は財産に対し共同して害を加える目的で集合した場合において、凶器を準備して又はその準備があることを知って集合した場合に成立する罪です。刑法208条の2第1項に規定されています。条文は次の通りです。

(凶器準備集合及び結集)
第二百八条の二 二人以上の者が他人の生命、身体又は財産に対し共同して害を加える目的で集合した場合において、凶器を準備して又はその準備があることを知って集合した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 前項の場合において、凶器を準備して又はその準備があることを知って人を集合させた者は、三年以下の懲役に処する。

凶器準備集合罪は昭和33年に新設されました。この新設は、当時の暴力団抗争の激化を背景に、集団での暴力行為を未然に防ぐ目的で行われました。暴力団が事前に集まり、凶器を準備して他者に害を加える行為が増加し、そのような行為を取り締まるための法的手段が求められていたのです。その後、時代とともに適用範囲は広がり、学生運動や暴走族の活動、さらには近年の半グレ不良グループによる暴力行為にも適用されるようになりました。

罰則は?

凶器準備集合罪の罰則は2年以下の懲役又は30万円以下の罰金です。

凶器準備結集罪との違いは?

なお、同条第2項には凶器準備結集罪が規定されています。凶器準備結集罪は一定数の人数を集めた者を処罰する規定で、単に少人数を集めただけでは足りず、結集行為において主導的な役割を果たしたことが必要と考えられています

凶器準備集合罪は「集合した者」を罰する罪であるのに対し、凶器準備結集罪は「集合させた者」を罰する罪です。結集行為において主導的な役割を果たしている分、罰則は3年以下の懲役凶器準備集合罪の罰則よりも重たいです。

保護法益は?

凶器準備集合罪の保護法益は、主に個人の生命・身体・財産の安全を確保することにありますが、それに加えて社会全体の平穏・秩序の維持も含まれます。この罪は、集団が暴力行為を計画・準備している段階で処罰を行うことによって、未然に暴力行為を防ぎ、社会における恐怖や混乱を避けることを目的としています。個人の安全が脅かされるだけでなく、集団による暴力が社会の秩序を乱す可能性があるため、公共の利益も保護されています。

凶器準備集合罪の構成要件

凶器準備集合罪の構成要件(成立要件)は大きく次の2つの要素から構成されます。

  • ①加害行為を共同して実行しようとする目的を有して集合したこと
  • ②凶器を準備して集合し、又は、凶器の準備のあることを知って集合すること

ここでは、凶器準備集合罪の構成要件につき、判例を交えてわかりやすく解説していきます。

①加害行為を共同して実行しようとする目的を有して集合したこと

ここでは加害行為と共同加害目的について解説します。

加害行為

加害行為の対象は他人の生命、身体又は財産ですから、具体的には、殺人、傷害・暴行、建造物損壊、器物損壊、強盗などをあげることができます。一方、凶器による加害が考えられない窃盗、詐欺は加害行為にはあたりません。

共同加害目的

共同加害目的とは、他人の生命、身体又は財産にたいする加害行為を共同して実行しようとする目的をいい、集合した二人以上の者がこの目的をもっていることが必要です

この目的は、必ずしもいわゆる殴り込みをかけるような積極的・能動的な目的である必要はなく、相手が襲撃してきた際にはこれを迎撃し、相手を殺傷しようという消極的・受動的な目的(自衛目的)であってもよいとされています(最高裁判所決定昭和37年3月27日)。

また、自らも共同して加害行為を実行する意思を有するか否かが問題となるところ、判例(東京高等裁判所判決昭和44年9月29日など)はこれを不要とする立場をとっています。

②凶器を準備して集合し、又は、凶器の準備のあることを知って集合すること

ここでは凶器、準備、集合について解説します。

凶器

凶器とは、人の身体を殺傷すべき特性を有する一切の器具をいい、性質上の凶器、すなわち、鉄砲や刀剣類などのように本来人を殺傷するために作られた器具はもちろん、用法上の凶器、すなわち鎌や出刃包丁、金属バッド、斧、鉄パイプなどのように本来の用途においては人を殺傷すべきものではないが、用途によっては人を殺傷し得る器具も含みます

判例で凶器にあたるとされた例としては、丸田・長さ約2メートルの角材・コンクリート塊(東京高等裁判所判決昭和44年9月29日)、コーラや牛乳の空き瓶(東京高等裁判所判決昭和47年7月19日)、木刀・竹刀・空気銃(名古屋高等裁判所金沢支部判決昭和36年4月18日)などがあります。

なお、暴力団抗争で、敵対する組の襲撃に備えてエンジンをかけた状態でダンプカーを待機させていた事案で判例は、「右ダンプカーが人を殺傷する用具として利用される外観を呈していたものとはいえず、社会通念に照らし、ただちに他人をして危険感をいだかせるに足りるものとはいえない」としてダンプカーは凶器にあたらないと判断しました(最高裁昭和47年3月14日判決)。

準備

準備とは、必要に応じていつでも加害行為に使用し得る状態におくことをいいます。必ずしも準備の場所と集合の場所が同一である必要はありません

準備があることを知ってとは、凶器が準備されていることを認識していることをいい認識の程度は、確定的なものである必要はなく、未必的なもので足りるとされています。

集合

集合とは、二人以上の者が共同の行為をする目的で一定の時刻、一定の場所に集まることをいいます。必ずしも場所的に移動することまでは必要ではなく、すでに時と所を同じくする二人以上の者が共同の目的を有するようになり、それによって1個の集合体とみられるに至った場合でも集合にあたります(最高裁判所決定昭和45年12月3日)。

凶器準備集合罪で逮捕された場合の流れ

凶器準備集合罪で逮捕された場合、刑事手続きの流れはどのようになるのでしょうか。この罪は、不良グループ間の対立などで適用される可能性があり、成人だけでなく少年事件にも影響を及ぼします。

ここでは、成人の場合と少年の場合の流れについて、それぞれ詳しく説明します。

成人の場合

凶器準備集合罪の疑いで逮捕されると、警察に連行され、取り調べを受けることになります。逮捕後は留置施設に拘束され、基本的に外部との連絡が制限されますが、弁護士との面会は認められています。

警察官による取り調べが終わると、事件は検察官に送致され、検察官は逮捕から72時間以内勾留請求を行うか、釈放するかを判断します。特に、事件の主導者とみなされた場合、逮捕・勾留の可能性が高くなります。

検察官が勾留請求を行うと、裁判所で勾留質問が実施され、裁判官が勾留の必要性を審査します。勾留が認められた場合、原則10日間の勾留が決定され、さらに最大10日間の延長が可能です。関係者が多い事件では、接見禁止決定が下されることもあり、その場合は弁護士以外との面会や手紙のやり取りが制限されます。

検察官は、被疑者の勾留期間中に捜査を進め、最終的に起訴または不起訴の処分を決定します。

起訴された場合、起訴日から2か月間の勾留が続き、その後は1か月ごとに勾留が更新されます。裁判が進行する間、判決が下るまで勾留されることになります。ただし、起訴後は保釈請求が可能であり、保釈保証金を納付すれば保釈される可能性があります。

少年の場合

少年の場合は少年法が適用され、刑罰ではなく教育的措置が優先されます

少年事件は家庭裁判所に送致され、非行の内容や生活環境について調査が行われます。家庭裁判所は、少年を帰宅させるか、少年鑑別所で調査を行うかを判断し、鑑別所での調査が必要とされた場合は、原則2週間(最大8週間)の収容が行われます。

調査終了後、審判不開始、少年審判、検察官送致のいずれかの処分が決定されます。

  • 審判不開始:処分をせず、社会内での更生を促す
  • 少年審判:保護観察や少年院送致といった保護処分が科される
  • 検察官送致:重大事件や成人に達した少年の場合、検察官送致が行われ、成人と同様の刑事手続きが適用される

このように、成人は刑罰を前提とした手続きが進められるのに対し、少年は更生を重視した手続きがとられる点が大きな違いです。

凶器準備集合罪で弁護士に依頼するメリット

凶器準備集合罪で逮捕された場合、弁護士に依頼することで、適切な弁護を受け、不起訴や刑の軽減を目指すことができます。具体的に、弁護士に依頼するメリットは次の通りです。

  • ①反社会的集団からの脱退を支援してもらえる
  • ②家族の監督計画を作成して更生を支援してもらえる
  • ③否認事件で不起訴を目指し、弁護活動を行ってもらえる
  • ④不利な自白調書がとられないようにサポートを受けられる
  • ⑤従属的な立場であったことを主張し、刑の減軽を図る

①反社会的集団からの脱退を支援してもらえる

凶器準備集合罪は、暴力団、暴走族、半グレなどの反社会的集団の抗争の一環として発生するケースが多く、再犯防止のためには、こうした集団からの脱退が不可欠です。しかし、反社会的集団は簡単に脱退できるものではなく、本人の意思だけで離れることが困難な場合もあります。

弁護士は、携帯電話の番号変更や引っ越しの手配、警察との連携を通じて、安全に脱退できるようサポートします。特に暴力団については、警察の暴力団離脱支援制度などを活用し、社会復帰のための雇用支援を受けることも可能です。弁護士の支援を受けることで、安全かつ円滑に反社会的集団から離れることができ、再犯リスクを減らせるというメリットがあります。

②家族の監督計画を作成し、更生を支援してもらえる

事件後に社会復帰を目指すためには、家族のサポートが重要な役割を果たします。弁護士は、家族に監督計画を作成してもらい、それを誓約書として検察官に提出することで、被疑者が社会内で更生できる可能性を示します。

また、裁判になった場合でも、家族を情状証人として出廷させ、本人が反省し更生に向けて努力していることを証言することで、刑の軽減を図ることができます。このように、弁護士のサポートにより、家族と協力しながら社会復帰を前提とした弁護活動が可能となります。

③否認事件で不起訴を目指し、弁護活動を行ってもらえる

「集合場所に行っていない」「知人から呼ばれたが理由もわからず行った」など、本人に犯罪の意図がなかった場合、弁護士は嫌疑不十分を理由に不起訴を目指します。

不起訴になれば前科がつかず、裁判にかけられることなく手続きが終了するため、社会生活への影響を最小限に抑えられます。また、不当な起訴を防ぎ、早期の社会復帰を実現するためにも、弁護士の適切な弁護活動が重要です。

④不利な自白調書がとられないようにサポートを受けられる

捜査機関は、被疑者から自白を引き出すために、さまざまな手段を用います。特に、「凶器があることを知って集合しました」という内容の自白調書が作成されると、起訴される可能性が高まります。

弁護士は、取り調べに備えて黙秘権の行使を指導したり、調書への署名・押印を拒否するよう助言することで、不利な証拠が作成されるのを防ぎます。弁護士のサポートを受けることで、被疑者が不本意な自白を強要されることなく、適正な捜査を受けることができます

⑤従属的な立場であったことを主張し、刑の減軽を図る

凶器準備集合罪では、共犯者の役割が刑事責任の重さを左右する重要な要素となります。例えば、グループのリーダーから指示を受けた末端のメンバーが、強い上下関係のもとで関与してしまった場合、本人の意思とは無関係に他人の犯罪に巻き込まれた可能性があります。

弁護士は、被疑者が事件の中心人物ではないことを明確にし、従属的な立場にあったことを主張することで、刑の軽減を目指します。適切な弁護活動により、実際の関与度合いに応じた適正な処分を求めることが可能です。

まとめ

凶器準備集合罪の疑いで逮捕・起訴された場合、有罪判決を受けるリスクがあります。近年は適用事例が減少していますが、不良グループや半グレの抗争に未成年者が関与するケースも想定されます。少年事件であっても、起訴されると成人と同様に前科が残るリスクがあります。

共犯者のいる事件では、本人の役割や家族のサポート体制が重要となります。家族が事件に巻き込まれ、警察から連絡を受けた場合は、すぐに弁護士に相談することが大切です。

当事務所には、少年事件を含めた刑事事件の解決実績が豊富な弁護士が在籍しております。依頼者に寄り添い、誠実に弁護活動を行いますので、凶器準備集合罪でお困りの際は、ぜひご相談ください。

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