
強盗・不同意性交等罪の法定刑は、無期拘禁刑または7年以上の有期拘禁刑です。執行猶予がつく余地はほとんどなく、起訴されれば裁判員裁判で審理される重大犯罪に位置づけられています。
「家族が強盗・不同意性交等の容疑で突然逮捕された」「このまま刑務所に入ることになるのだろうか」。そうした不安の中でこのページにたどり着いた方も多いのではないでしょうか。
本記事では、重大な性犯罪・財産犯罪の解決に取り組んできた弁護士が、次の点について解説します。
- 強盗・不同意性交等罪の構成要件と刑罰の重さ
- 執行猶予がつく可能性はあるのか
- 被害者との示談が量刑に与える影響
- 逮捕後に弁護士ができる具体的な弁護活動
なお、強盗・不同意性交等罪について早急に対応したいとお考えの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。早期対応が結果を左右します。
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強盗・不同意性交等罪とは
構成要件
強盗・不同意性交等罪は、「強盗罪もしくは強盗未遂罪を犯した者が不同意性交等罪もしくはその未遂罪をも犯したとき」、または「不同意性交等罪もしくはその未遂罪を犯した者が強盗の罪もしくはその未遂罪をも犯したとき」に成立する犯罪です(刑法第241条1項)。
(強盗・不同意性交等及び同致死)
第241条 強盗の罪若しくはその未遂罪を犯した者が第177条の罪若しくはその未遂罪をも犯したとき、又は同条の罪若しくはその未遂罪を犯した者が強盗の罪若しくはその未遂罪をも犯したときは、無期又は7年以上の拘禁刑に処する。
2 前項の場合のうち、その犯した罪がいずれも未遂罪であるときは、人を死傷させたときを除き、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思によりいずれかの犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
3 第1項の罪に当たる行為により人を死亡させた者は、死刑又は無期拘禁刑に処する。
出典:e-Gov法令検索
同罪は、「強盗+不同意性交等」の結合犯と考えられています。
まず、「強盗」とは、被害者の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行または脅迫を用いて、無理やり財物を奪う行為を指します(刑法第236条)。強盗罪の構成要件や刑罰について詳しくは「強盗罪とは?構成要件や刑罰を弁護士が解説」をご参照ください。
次に「不同意性交等」とは、相手が性的行為に対する同意の意思を形成・表明・全うすることが困難な状態で、性交等を行う行為を指します(刑法第177条1項)。
ここでいう「性交等」の範囲は広く、性交、肛門性交(アナルセックス)、口腔性交または膣・肛門に身体の一部(陰茎を除く)や物を挿入する行為であってわいせつなものが含まれます。不同意性交等罪の構成要件や法改正による変更点については「不同意性交等罪とは?旧強制性交・強姦罪との違いや構成要件」で詳しく解説しています。
本罪が成立するための最大のポイントは、これら2つの犯罪が「同一の機会」に行われることです。
犯行の順序は法律上問われません。強盗が先に始まり、その現場で性交等に及んだ場合はもちろん、性交等を行った後にその場で被害者の金品を奪った場合も本罪が適用されます。
「同一の機会」の判断基準については、犯行の時間的連続性や場所的な近接性、さらには犯人の意図が継続していたかどうかが総合的に評価されます。
たとえば、深夜に路上で被害者を脅して財布を奪い、そのまま近くの公園に引きずり込んで性的暴行を加えた場合は、同一の機会とみなされる可能性が高いでしょう。
これに対して、午前中に路上で財布を奪い、その数時間後に全く別の場所で同じ被害者を見つけて性的暴行を加えたようなケースでは、時間的・場所的な連続性が乏しいため、本罪ではなく「強盗罪」と「不同意性交等罪」が別々に成立する(併合罪)ことになります。
強盗の被害者と、不同意性交等の被害者が同一である必要はありません。犯行中に被害者が負傷した場合であっても、その負傷が性交等や強盗の手段によるものであれば本罪に吸収されるため、別途「傷害罪」が成立することはありません。ただし、負傷の程度は量刑を決定する上で非常に重い判断材料となります。
刑罰
強盗・不同意性交等罪の法定刑は、「無期拘禁刑」または「7年以上の有期拘禁刑」です。有期拘禁刑が選択された場合、その上限は20年となります(刑法第12条1項)。
このように、本罪には罰金刑の規定が存在しないため、検察官によって起訴された場合は、略式手続で終わることはなく、必ず公開の法廷で正式な裁判が開かれます。
有罪判決が言い渡された場合に「執行猶予」を付すことができるのは、「3年以下の拘禁刑」を言い渡す場合に限られています。
本罪は下限が7年と非常に高いため、酌量減軽を経てもなお下限は3年6月となり、執行猶予の条件である「3年以下」を満たすことが極めて困難です。実務上、起訴された場合はほぼ確実に実刑(刑務所に収監)となる非常に厳しい犯罪です。
なお、2025(令和7)年6月1日に施行された改正刑法により、従来の「懲役」と「禁錮」が「拘禁刑」へ一本化されました。それ以前の事件については懲役刑として扱われますが、刑期や重さといった実質的な内容に変わりはありません。不同意性交等罪単体での執行猶予の可能性については「不同意性交等罪(強姦)は懲役実刑確定?執行猶予はつく?」で詳しく解説しています。
未遂の処罰と減軽について
未遂であっても処罰の対象となる点は、この罪の特徴の一つです。もっとも、刑法第241条2項には特定の条件下での減軽規定が設けられています。
そもそも、「未遂犯」とは、犯罪の実行に着手したものの、結果が発生しなかった犯罪のことを指します。
強盗罪か不同意性交等罪の一方が未遂の場合、双方が未遂の場合のいずれであっても、強盗・不同意性交等罪の既遂として扱われるため、未遂犯にはなりません。
ただし、強盗罪と不同意性交等罪の両方が未遂である場合に限り、人を死傷させたときを除いて、裁判所の裁量によって刑を減軽することが可能です(刑法第241条2項)。
ただし、たとえ両者が未遂であっても、その過程で被害者を死傷させた場合には、この減軽規定は適用されません。
また、犯行を完遂できる状況にありながら、自らの意思で途中で犯行をやめた「中止未遂」の場合は、刑が必ず減軽または免除(必要的減免)されます(同条2項但書)。
たとえば、被害者を脅して服を脱がせたものの、被害者の涙を見て可哀想になり、何も奪わずに行為をやめて立ち去ったようなケースがこれに該当します。この規定は、犯行の完遂を思いとどまらせ、被害の拡大を防ぐことを目的としています。
時効
強盗・不同意性交等罪の公訴時効は「20年」です(刑事訴訟法第250条3項1号)。
2023(令和5)年の刑法改正により、本罪を含む重大な性犯罪の時効期間は、被害者が声を上げにくい実情を鑑みて従来の15年から5年間延長されました。
「公訴時効」とは、犯罪が終わった時から一定期間が過ぎることで、検察官が公訴を提起(起訴)できなくなる制度のことです。
時効が完成した事件については、たとえ後から犯人が判明したとしても、国家は刑事責任を追及できなくなります。なお、強盗罪単体の時効期間については「強盗罪の時効は10年・強盗致傷罪の時効は15年です」で解説しています。
さらに注意が必要なのは、被害者が犯行時に18歳未満であった場合の特例です。
この場合、時効のカウントは被害者が18歳に達するまで停止します。つまり、「本来の時効20年+18歳になるまでの期間」が経過するまで起訴される可能性があるということです。
これは、未成年の被害者が心身の成熟を待ち、被害を正しく認識して相談できるようになるための保護策です。
死亡させた場合は強盗・不同意性交等致死罪が成立
強盗・不同意性交等の犯行によって被害者を死亡させた場合は、より重い「強盗・不同意性交等致死罪」が成立します(刑法第241条3項)。
この罪の法定刑は、「死刑」または「無期拘禁刑」のみであり、有期の拘禁刑(懲役刑)という選択肢がありません。極刑か、あるいは一生を刑務所で過ごすかという、刑法犯において非常に重い責任を問われる犯罪の1つといえます。
加えて、強盗・不同意性交等致死罪のポイントは、加害者に「殺意」があったかどうかを問わないという点です。
最初から殺すつもりで首を絞めた場合だけでなく、抵抗を抑えるために口を塞いだところ、意図せず窒息死させてしまったような結果的加重犯であっても、本罪が適用されます。被害者が死亡ではなく負傷した場合の取り扱いについては「強盗致傷とは?量刑(刑期)の傾向や執行猶予がつく割合を解説」もあわせてご確認ください。
公訴時効についても特例があります。
人を死亡させた罪で死刑に当たるものについては、公訴時効がありません(刑事訴訟法第250条1項参照)。
したがって、被害者が亡くなっている強盗・不同意性交等致死罪の場合、事件から何十年が経過しようとも、刑事責任を追及されるリスクが一生消えることはありません。
【2023年7月12日以前の事件】強盗・強制性交等罪が適用される
現在の「強盗・不同意性交等罪」という名称と要件は刑法改正によるものであるため、改正よりも前に発生した事件については当時の法律が適用されます。事件が発生した時期に応じた罪名は以下のとおりです。
| 事件発生日 | 適用される罪名 |
|---|---|
| 2023(令和5)年7月13日以降 | 強盗・不同意性交等罪 |
| 2017(平成29)年7月13日~2023年7月12日 | 強盗・強制性交等罪 |
| 2017(平成29)年7月12日以前 | 強盗強姦罪 |
2023年の改正では、不同意性交等罪の構成要件が大きく見直され、旧法で求められていた「暴行または脅迫」に限らず、不意打ちや恐怖・驚愕など8つの原因行為類型に基づく性交等も処罰対象に含まれるようになりました。これに伴い、以前であれば別々の罪として処理されていたケースも、現在は強盗・不同意性交等罪として立件される可能性があります。
強盗・不同意性交等罪の弁護活動
刑法犯の中でも極めて重い刑罰が規定されている本罪では、逮捕・起訴された場合に人生を左右する局面となります。弁護士がどのような方針で活動を行うのか、その詳細を解説します。
冤罪を主張する場合
身に覚えのない強盗・不同意性交等の容疑をかけられた場合、一貫して無実(無罪)を主張し続けなければなりません。
弁護士の弁護活動として、防犯カメラの映像、交通系ICカードの利用履歴、スマートフォンの位置情報データなど、事件当日のアリバイを裏付ける客観的な証拠を迅速に確保します。
また、被害者の供述内容に矛盾や不自然な点がないかを精査し、捜査機関の見立てとは異なるケースセオリーを構築していきます。
取調べにおいても、捜査官からの心理的圧力や迎合によって、事実と異なる自白(虚偽自白)をしてしまわないよう、黙秘権の行使方法や供述の際の留意点について、的確なアドバイスを直接接見して受けられます。
一度作成された自白調書を後から覆すのは非常に困難であるため、早期に弁護士に相談し、早急に防御態勢を築くことが冤罪を晴らすためには重要です。逮捕直後の段階から弁護士が接見に入れるかどうかが、その後の展開を大きく左右します。
被害者への謝罪・示談交渉
事実関係に争いがない場合、被害者への真摯な謝罪と被害弁償を行うことが、処分の軽減に向けた弁護方針となります。
強盗・不同意性交等罪は、その重大性から「非親告罪」とされており、被害者の告訴がなくても検察官は被疑者を起訴することができます。
そのため、示談が成立したからといって直ちに不起訴になるとは限りません。
しかし、被害者から加害者を許すという「宥恕(ゆうじょ)」の意思が得られれば、検察官の判断や裁判での量刑において、被告人に極めて有利な情状として考慮されます。
法定刑の下限が7年と高い本罪では、起訴された場合に実刑を避けることは極めて困難ですが、示談の成立は量刑を少しでも軽くするための重要な情状となります。示談金の目安や示談の具体的な進め方については「不同意性交(強制性交・強姦)の示談金相場と流れ・メリットを解説」で詳しく紹介しています。
なお、本罪の性質上、被害者の処罰感情が大きく、深刻なトラウマを抱えていることも多いため、加害者本人が直接示談を申し込んでも拒否されるのが通常です。弁護士が間に入ることで、被害者の感情に配慮しながら交渉を進めることが可能になります。
早期釈放に向けた活動
無期拘禁刑も想定される重大事案であるため、逮捕後の釈放を得ることは実務上きわめて困難です。
しかし、弁護士は身体拘束による不利益を最小限にするため、あらゆる法的手段を尽くします。
具体的には、検察官に対して勾留請求を行わないよう働きかけたり、裁判官に対して勾留の必要性がないことを意見書で主張したりします。もし勾留が決定してしまった後でも、準抗告などの異議申し立てを通じて釈放を求めます。
特に早期に被害者との示談が成立している場合や、家族による厳格な監督体制(身元引受)が整っている場合は、逃亡や証拠隠滅の恐れがないと判断されやすくなり、釈放や起訴後の保釈が認められる可能性が高まります。
早期釈放が実現すれば、解雇などの社会的不利益を回避し、平穏な環境で裁判の準備を進めることが可能になります。
裁判員裁判への対応
法定刑に無期拘禁刑が含まれることから、本罪で起訴されると必ず「裁判員裁判」で審理されます。
裁判員裁判とは、一般の市民から選ばれた裁判員6名と、職業裁判官3名が共に有罪・無罪および刑の重さを判断する制度です。
法律の専門家ではない一般の市民が審理に加わるため、弁護士には専門用語を極力排し、事件の争点や、被告人の反省の深さ、事件に至った背景などを、説得力をもって分かりやすく伝えるプレゼンテーション能力が求められます。
また、本手続では公判前整理手続という争点と証拠を事前に整理するプロセスがあり、連日のように集中審理が行われるなど、通常の刑事裁判とは異なる専門的な対応が必要となります。
裁判員裁判の経験が豊富な弁護士に依頼できるかどうかは、裁判の結果に直結します。
強盗・不同意性交等罪でお困りの方はすぐにご相談ください
強盗・不同意性交等罪は法定刑の下限が7年と高く、起訴されればほぼ確実に実刑となる重大犯罪です。少しでも量刑を軽くするためには、被害者との示談交渉を早期に開始し、宥恕を得ることが不可欠です。
弁護士が早い段階で介入すれば、被害者との示談交渉だけでなく、取調べでの不利な供述の防止や身体拘束の長期化を回避するための活動も進められます。逆に対応が遅れるほど、示談の機会を逃し、量刑にも悪影響を及ぼしかねません。
ご家族が突然逮捕され、今後どうなるのか分からない状況は、精神的にも大きな負担です。すでに警察から連絡を受けている場合や、勾留中のご家族がいらっしゃる場合は、一日でも早くご相談ください。
当事務所は刑事事件に注力しており、裁判員裁判を含む重大事件の対応実績がございます。依頼者の不利益を最小限に抑えるため弁護士が迅速に動き、全力を尽くして守ります。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

