- 「使用窃盗ってどういう意味?」
- 「どこからが窃盗罪でどこまでが使用窃盗なのか…境界線は?」
この記事ではこのような疑問を、刑事事件に強い弁護士が解消していきます。
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使用窃盗とは?
使用窃盗とは、他人の物を自分のするつもりはなく、一時的に使用するつもりで、あるいは使用した後に返還するつもりで勝手に他人の物を使用することです。
具体的には、駐輪場に停めてあった無施錠の他人の自転車(放置自転車ではない)を、後で返還しようと思い勝手に使用し、その約1時間後に元の場所に戻す行為が使用窃盗の例です。
どこからが窃盗罪でどこまでが使用窃盗?
このように、使用窃盗は、実質的には被害者の物に対する権利を侵害していないことから窃盗罪(刑法235条)は成立しないようにも思えます。一方、一時的であるにせよ、他人の物を窃取した(被害者の意思に反して被害者の物を自己の占有下においた)といえることから窃盗罪は成立するという考え方もできます。
では、使用窃盗で窃盗罪が成立する場合と成立しない場合の境界線はどこにあるのでしょうか?以下では、区別する基準についてみていきましょう。
不法領得の意思が認められるかどうか
使用窃盗で窃盗罪が成立するか否かは、犯人に不法領得の意思が認められるかどうかにかかっています。
不法領得の意思とは、権利者を排除して他人の物を自己の所有物として、その経済的用法に従って利用処分する意思のことをいいます。
不法領得の意思は「権利者を〜所有物として」までの①権利者排除意思と、「その経済的用法〜利用処分する意思」までの②利用処分意思の2つの意思から成り立っていて、使用窃盗が成立するか否かは、犯人に①権利者排除意思が認められるかどうかにかかっています。
判例
判例は、使用窃盗で不法領得の意思を認めた、すなわち窃盗罪の成立を認めたもの、認めなかったものがあります。
判例は、「乗り捨てにする意思ではなく、車を使用した後にこれを元の位置に戻しておく意思があった場合でも、18時間車を乗り回した事案」につき窃盗罪の成立を認めています(東京高等裁判所昭和33年3月4日)。一方、「2〜3時間自転車に乗って返還する意思で、自転車を乗り回した事案」につき窃盗罪の成立を否定しています。
ケースバイケースで判断
結局のところ、犯人に①権利者排除意思が認められるかどうかは、以下のような諸要素を総合的に考慮して判断するほかありません。
財物の種類 | 高価な物ほど不法領得の意思ありと判断されやすい |
使用時間 | 時間が長くなればなるほど不法領得の意思ありと判断されやすい |
被害者と犯人との関係性 | 面識がある場合は不法領得の意思なし、面識がない場合はありと判断されやすい |
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