このようにお考えではないでしょうか。
「横流し」とは、物資を、正規のルートを経ずに転売することです。従業員が会社の商品を横流しする行為が、具体的にどのような犯罪に該当するのか気になっている方もいることでしょう。
結論から言いますと、会社の商品の横流しは「業務上横領罪」に該当します。商品の横流しが会社に発覚すると、警察に被害申告をされて逮捕され、刑事責任を負う可能性もあります。その他にも、会社から損害賠償請求をされたり、懲戒解雇される可能性もあります。
この記事では、刑事事件に強い弁護士が、上記内容に加え、商品の横流しによる横領をしてしまった人がとるべき対応方法につきわかりやすく解説していきます。
気軽に弁護士に相談しましょう |
|
目次
会社の商品を横流しすると業務上横領?
会社の商品を横流しする行為は業務上横領に該当します。
業務上横領は刑法第253条に規定されている罪です。
(業務上横領)
第二百五十三条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。刑法 | e-Gov法令検索
横領罪や業務上横領罪の「横領」とは、簡単にいえば、自分が管理・支配している物を、他人(会社などの法人を含む)に無断で使ったり、処分したりすることをいいます。
横領行為の典型が着服(辞書的意味は「他人の金品などをひそかに盗んで自分のものにすること」)ですが、着服に限らず、商品の横流し、物の売却・転売、質入れなど、先ほどの横領の定義にあてはある行為はすべて「横領」にあたる可能性があります。
業務上横領について詳しくは、業務上横領罪とは?逮捕されないケースと構成要件・事例・判例をご覧になってください。
商品横流しをして業務上横領の容疑で逮捕された事例
ここで、商品横流しをして業務上横領の容疑で逮捕された事例を紹介します。
重油を横流しして逮捕
2023年7月、重油をタンカーからタンクローリーに積み替えて横流したとして、業務上横領の疑いでタンカーの船長、機関長ら5人が逮捕されています。逮捕容疑は2023年2月と4月、船長と機関長が共謀し、大分港の岸壁で、タンカー内の船舶給油用重油約8,900リットル(時価約67万円相当)をタンクローリーに移し替えて着服したというもの。情報提供を受け、大分海上保安が捜査したところ不正が事件が発覚したようです。
材木を横流しして逮捕
2023年7月、勤務先の材木約1,500本を勝手に売却したとして業務上横領の疑いで30代の男性が逮捕されています。逮捕容疑は2021年7月から2022年11月にかけて、4回にわたり、勤務先の材木販売店の倉庫から住宅建設などに使う材木約1,500本を、勤務先の許可なく工務店に勝手に売却していたというもの。本社から「在庫と売り上げがあわない」と相談を受けた警察が捜査していたところ、犯人名義の口座に販売金とみられる入金が確認されたことなどから事件が発覚したようです。
店の売上金の一部を着服して逮捕
2023年5月、自身が店長を勤める飲食店の売上金の一部を着服したとして業務上横領の疑いで30代の男性が逮捕されています。逮捕容疑は2023年4月29日頃から翌月8日までの間、飲食店の売上金の一部約40万円を着服したというもの。男性は警察に、「現金を強盗に奪われた」などと言って嘘の届出をしていたものの、その後の男性への調べなどで嘘の届出であったことがわかり、事件が発覚したようです。
商品横流しによる業務上横領をしてしまった場合の対応方法
会社の商品の横流しが発覚した場合は、まず第一に被害者(会社)に対して真摯な謝罪をすること、そしてそれと同じく重要なのが示談を成立させることです。
業務上横領の場合、加害者の刑事処罰よりもお金の返済を希望する会社も多いです。加害者に刑事処罰を科してもお金が返ってくるわけではなく、特に会社組織の場合には、捜査機関に告訴状や被害届を提出して刑事事件化し、逮捕・刑事裁判となって問題が公になることを避けたいというのが本音でしょう。
問題が刑事事件化する前に被害弁償し示談が成立すれば、捜査機関に告訴状や被害届を提出されず、捜査機関の逮捕や刑事処分(起訴、不起訴)はもとより、起訴された後の刑事裁判や刑罰、前科を受けるおそれがなくなります。なお、示談金には損害賠償金を含めることが一般的ですので、示談が成立すれば改めて民事訴訟(不法行為に基づく損害賠償請求訴訟)を提起される心配もなくなります。
また、万が一、刑事事件化した場合でも、起訴される前に被害弁償、示談が成立すれば、不起訴となる可能性が非常に高くなり、その後の刑事裁判、刑罰、前科を受けるおそれがなくなります。
なお、商品横流しなどの横領行為は、懲戒事由として就業規則に定められているのが一般的ですので、懲戒解雇を免れることは難しいでしょう。しかし、示談成立により前科がつかずに済むと、資格制限を受けることもありませんので、再就職への影響を回避することができます。
示談交渉は弁護士に依頼
商品横流しによる横領事件で会社と示談交渉をする場合には、弁護士に依頼することをお勧めします。
そもそも会社が加害者との直接の示談交渉に応じないというスタンスの場合は、弁護士に示談交渉を依頼するほかありません。会社の商品手を付けた従業員の言葉を会社は信用しない可能性も十分あります。
また、横流しをした商品の数等について、加害者側と会社側で認識が異なることもあり、加害者が示談交渉してもスムーズに話がまとまらないケースも多々あります。さらに、直接交渉では立場上、会社の主張におされ不当な条件で示談せざるをえなくなる可能性もあります。
この点、弁護士であれば会社側も示談交渉のテーブルについてくれることも多く、穏便な解決に向けた姿勢を見せてくれることも期待できます。弁護士であれば、会社が必要としている情報をきちんと伝えることができますし、交渉の知識、経験ももちあわせていますから、交渉をスムーズに進めることができます。感情の対立によって、話し合いを頓挫させてしまうおそれもありません。
また、横流しした商品の数等についても、弁護士が客観的な資料によって会社側に説明をします。弁護士が主張すべきことはしっかり主張してくれますから、事案に適した内容で示談することができます。
弊所では、業務上横領の示談交渉、逮捕の回避、不起訴の獲得を得意としており実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、会社の商品を横流ししてしまい逮捕のおそれがある方、既に逮捕された方のご家族の方は当事務所の弁護士までご相談ください。お力になれると思います。
気軽に弁護士に相談しましょう |
|