横領の時効は何年?いつからスタートする?民事の時効も解説

横領に関する罪には、横領罪・業務上横領罪・占有離脱物横領罪(遺失物横領罪)の3種類がありますが、結論からお伝えすると、横領に関する罪の時効はそれぞれ以下のようになります。

  • 横領罪:5年
  • 業務上横領罪:7年
  • 占有離脱物横領罪:3年

以下では、上記内容についてさらに詳しくお伝えするとともに、

  • 横領の民事の時効(損害賠償の時効)
  • 横領の時効完成を待つリスク

などについてもわかりやすく解説していきます。

横領の罪を犯してしまい、「早く時効になって欲しい」と怯えて暮らしている方で、この記事を最後まで読んでも問題解決しない場合には弁護士までご相談ください。

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横領罪の種類

横領の罪は次の3つです。

横領罪

横領罪は「自己の占有する他人の物を横領した」場合に問われる罪で、刑法第252条に規定されています。

たとえば、知人から預かっていた時計を、知人に無断で質屋に売却した場合などが横領罪に問われる典型例です。

「占有」は事実上の占有のみならず法律上の占有も含むと解されています。したがって、他人から金銭を委託されえ保管する者が、保管の方法として銀行などの金融機関に預けているときは、預金した者がこの金銭に対する占有を有することになります。

次に、「横領」とは、不法領得の意思を実現する全ての行為と解されています。不法領得の意思とは、他人の物の占有者が所有者でなければできないような処分をする意思をいいます。他人の時計を質屋に売却することがその典型例です。

横領罪の罰則は5年以下の懲役です。

業務上横領罪

業務上横領罪は「業務上自己の占有する他人の物を横領した」場合に問われる罪で、刑法第253条に規定されています。

「業務」とは、人がその社会的地位に基づき反復継続して行う事務のことをいいます。たとえば、新聞の集金業務などが業務の典型例です。したがって、新聞の集金業務を行う者が、集金したお金を自己の生活費に使った場合は業務上横領罪に問われる可能性があります。

業務上横領罪の罰則は10年以下の懲役です。

占有離脱物横領罪(遺失物横領罪)

占有離脱物横領罪は「遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した」場合に問われる罪で、刑法第254条に規定されています。別名、「遺失物横領罪」「拾得物横領罪」ともいいます。

「遺失物」とは、路上に落ちていた財布などのように、占有者(持ち主)の意思によらないで、その占有を離れ、まだ誰の占有にも属しない物をいいます。「漂流物」とは、占有者(持ち主)の意思によらないで、その占有を離れ、まだ誰の占有にも属しない物で、水中ないし水面上に存在した物をいいます。

遺失物も漂流物も「その他占有を離れた他人の物(占有離脱物)」の例示であることから、総称して占有離脱物横領罪と呼ばれています。

罰則は1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料です。

横領罪の時効

ここからは、横領罪の時効について解説します。なお、時効には様々な種類がありますが、一般に認識されている時効は検察官が犯人を起訴して刑事裁判にかけることができる期間の時効のことで、この時効のことを「公訴時効」といいます。

横領罪の時効は何年?

冒頭でお伝えしように、横領罪の時効期間は「5年」業務上横領罪の時効期間は「7年」占有離脱物横領罪の時効期間は「3年」です。

刑事訴訟法第250条によると、罪の時効期間は、人の死亡という結果の有無と罰則の長さで区分されています。すなわち、人の死亡の結果が生じず、かつ、

  • ① 長期15年未満の懲役又は禁錮に当たる罪は7年(刑事訴訟法第250条第2項第4号)
  • ② 長期10年未満の懲役又は禁錮に当たる罪は5年(同項第5号)
  • ③ 長期5年未満の懲役又は禁錮に当たる罪は3年(同項第6号)

と時効期間が定められています。

そして、前述のとおり、横領罪の罰則は5年以下の懲役ですから、②より、横領罪の時効期間は5年、業務上横領罪の罰則は10年以下の懲役ですから、①より、業務上横領罪の時効期間は7年、占有離脱物横領罪の罰則は1年以下の懲役又は10年以下の罰金若しくは科料ですから、③より、占有離脱物横領罪の時効期間は3年となるのです。

横領罪の時効の起算点は?

時効期間が始まるスタート地点のことを時効の起算点といいます。この点、刑事訴訟法第253条第1項には、時効の起算点について、「時効は、犯罪行為が終わった時から進行する。」と定められています。

横領罪の横領行為は様々ありますが、たとえば、他人の物を売ったという横領罪が成立する場面では、売った時点から5年の時効期間が進行し、放置自転車を乗り去ったという占有離脱物横領罪の場面では、放置自転車を乗り去った時点から3年の時効期間が進行することになります。

横領の民事の時効は何年?

横領罪を犯した場合は刑事責任のほか民事責任、すなわち、損害賠償責任を問われる可能性もあります。もっとも、民事においても刑事の時効(公訴時効)に似たような時効制度が設けられています。それは、「消滅時効」と呼ばれます。

消滅時効とは、ある一定の時効期間が経過すると損害賠償請求権などの権利を消滅させてしまう時効制度のことです。つまり、時効期間が経過すると、損害賠償請求権をもつ被害者は、加害者に対して損害賠償請求権を行使できなくなる制度が消滅時効です(正確には、時効完成後に加害者の援用という手続が必要です)。

消滅時効の時効期間は様々ですが、横領などの不法行為に関する時効期間は3年です。また、時効期間の起算点は被害者が損害(被害)及び加害者を知ったときです。加害者を知ったときとは、被害者が加害者の氏名、住所などを把握して、上記の損害賠償請求権を行使することが可能となったときという意味です。

横領が発覚してしまう経緯は?

横領が発覚するのは、つじつまが合わないことを繰り返してしまうからです。たとえば、会社の集金業務を担当する従業員が、集金したお金を自分の生活費に充てていたとします。そして、その従業員は会社に横領が発覚しないよう、横領したお金で会社に集金した金額を報告するのです。

しかし、こうした行為を繰り返せば繰り返すほど、実際に集金した金額と会社に報告した金額との間の差額が大きくなり、会社側に横領が発覚しやすくなってしまうことは一目霊山です。

上記ではとてもわかりやすい例を挙げましたが、現実に似たような横領事例はいくつもあります。発覚を免れようと、嘘を嘘で塗り固めようとするとどこかに綻びが生じ、そこから横領の発覚につながってしまうケースが多くあります

横領の時効の完成を待つリスク

逮捕の不安を抱えながら生活しなければならない

まず、逮捕の不安を抱えながら生活しなければならないことです。

罪を犯した以上、逮捕されないという補償はどこにもありません。明日、明後日、数週間後、場合によっては数か月後、数年後に逮捕される可能性もあります

逮捕されると、生活はどうなる?仕事はどうある?プライベートのことはどうなる?などと様々な不安がよぎるでしょう。しかし、時効の完成を待つということは、日々、そうした不安と闘いながら生活しなければならないということになります。

逮捕の可能性を高めることにもつながる

次に、時効の完成を待つことが逮捕の可能性を高めることにもつながりかねないことです。

そもそも逮捕は「逃亡のおそれ」、「罪証隠滅のおそれ」があることが基本的な条件となるところ、時効完成を待っていると、捜査機関に「罪を免れようとしている→逃亡のおそれがある」と判断されやすくなるからです。

また、罪を犯した人の心理として、時効の完成を待てば待つほど、「罪を免れよう」とするものです。そうすると犯行を否認してしまい、犯行を否認すると罪証隠滅のおそれありと判断されやすくもなります。

横領の時効の完成を待たずにすべきこと

前述したリスクを踏まないためには、はやめに以下のことを行っておく必要があります。

示談交渉する

まず、被害者と示談交渉することです。

被害者と示談交渉し示談を成立させることができれば、被害者に捜査機関に被害届を提出しないこと、あるいは、すでに提出している被害届を取り下げることに合意してもらえます

被害者が捜査機関に被害届を提出しない場合は、捜査機関に横領事件のことが発覚することを阻止することができます。捜査機関に横領事件のことが発覚しなければ、捜査機関から出頭要請を受けて取調べを受けること、逮捕されて長期間身柄拘束されること、起訴され刑事裁判にかけられること、懲役などの刑罰を受けることなどの可能性がなくなります。

また、すでに被害届が提出されている場合でも、状況によって、様々なメリットを受けることができるのは間違いありません。

出頭する

次に、捜査機関に出頭することです。

捜査機関に出頭することで、逃亡のおそれがないと判断され、逮捕を免れることができる可能性があります。出頭した時点で事件のことが捜査機関に発覚していない場合は、自首が成立する可能性があります。

自首が成立すれば、刑事処分や量刑にも有利に働く可能性があります。すなわち、起訴ではなく不起訴となったり、実刑ではなく執行猶予となる可能性があるということです。

弁護士に相談、依頼する

次に、弁護士に相談、依頼することです。

示談交渉や出頭はご自分で行うことも不可能ではありませんが、より円滑に最大限の効果を得るには弁護士の力が必要不可欠です。

示談交渉においては、加害者との直接の示談交渉に応じる被害者は多くはありません。一方で、弁護士であれば示談交渉に応じてもよいという被害者もいます。つまり、はじめに被害者に示談交渉のテーブルについていただくために弁護士の力が必要になります。

また、出頭するといっても、単に捜査機関に出向けばよいというわけではありません。出頭した時点で逮捕される可能性もないとはいえませんから、弁護士のアドバイスを受けながら逮捕回避に向けた準備を整えてから出頭すべきです。実際に出頭する場合も、一人で出頭するよりかは弁護士に同行してもらった方が安心でしょう。

弊所では、横領事件の示談交渉、逮捕の回避、不起訴処分の獲得を得意としており実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、横領事件を犯してしまい、いつ逮捕されるのか不安な日々を送っている方は弁護士までご相談ください。相談する勇気が解決への第一歩です。

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