面会交流を拒否できる5つの正当な理由と理由なく拒否するリスク
  • 「離婚した相手と子供との面会交流を拒否したい…」
  • 「裁判所に面会交流の拒否を認めてもらうための正当な理由にはどのようなものがあるのだろう…」
  • 「正当な理由なく面会交流を拒否するとどんなリスクがあるのだろう…」

この記事では、これらの悩みや疑問を、離婚問題に強い弁護士が解消していきます。ぜひ最後までご一読いただき、面会交流を拒否する際の参考としていただければ幸いです。

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面会交流は原則的に拒否できない

面会交流とは、離婚や別居などを契機として一緒に暮らすことができなくなった親(非監護親)が子と実際に会って面会する、連絡などを取り合うことをいいます。

面会交流により、子は一緒に暮らしている親(監護親)から得ることができない経験や利益を得ることができるだけでなく、両方の親からも愛されているのだという充足感、安心感を得ることができます。そして、そのことが子の自己肯定感を育み、子の健全な成長へとつながっていくと考えられています。このように、面会交流は親の権利であると当時に子の利益でもあるのです

そのため、原則的には面会交流を拒否することはできません

例えば、以下のような親の都合を理由とした面会交流の拒否は認められません。

  • 子の引き渡しで相手と顔をあわせるのが嫌
  • 養育費をもらえてないから(あるいは、いらないから)会わせたくない
  • 再婚したので今の家庭環境に馴染ませたい
  • 子が監護親に歩調を合わせて「会わなくていい」と言っている

    監護親がDVやモラハラ被害を受けていた場合でも拒否できない?

    婚姻中に非監護親から監護親がDVやモラハラの被害に遭っていたとすれば、監護親からすれば子の引き渡し時に相手と顔を合わせることすら苦痛でしょうし、そのような親と子供を接触させたくないと考える方もいるでしょう。

    しかし、監護親が過去にDVやモラハラ被害にあった事実をもって面会交流の拒否は基本的には認められません親同士の問題と親子の問題は別であり、また、面会交流は子の利益を最優先にすべきものですので、子の福祉に適う限り面会交流は実施すべきというのが裁判所の基本的な考え方です。

    ただし、監護親が被害に遭っている場面を目撃した子がトラウマを抱えるなどして非監護親と会うことを真に拒んでいるようなケースでは、この後で説明しますが、子の年齢によっては子の意思が尊重されて面会交流の拒否が認められる可能性もあります。

    監護親が、子の引き渡し時に非監護親と絶対に会いたくないといった場合には、面会交流の第三者機関の利用でそれを回避することができます。面会交流の第三者機関とは、面会交流がスムーズにいくよう両親の間に入ってサポートしてくれる機関です。有料ですが、監護親の精神的負担を軽減するために役立てることができます。

    面会交流を拒否できる正当な理由

    上で述べたように、面会交流は原則、拒否することはできません。ただし、面会交流について規定している民法766条1項では、面会交流については「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と明示しています。つまり、面会交流を実施することで子の福祉や利益を害する恐れがあるといった正当な理由がある場合には、例外的に面会交流を拒否することができると解釈できます

    (離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
    第七百六十六条 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない
    2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。

    家庭裁判所の実務においても、「面会交流を制限すべき特段の事情がない場合」には面会交流を認めるという基本方針をとっていますが、これを反対に解釈すると、そうした特段の事情が認められる場合には拒否できるということになります。

    では、面会交流を拒否できる正当な理由にはどのようなものがあるのか、以下で解説していきます。

    ① 相手が過去に子に虐待をしていた

    虐待とは殴る、蹴るなどの「身体的虐待」、子への性的行為などの「性的虐待」、食事を与えない、風呂に入れないなどの「ネグレクト」、無視や子の前で第三者に暴言・暴力を振るうなどの「心理的虐待」です。これらの虐待の事実があれば、面会交流を実施することで子が再び被害に遭うおそれもあるため、面会交流を拒否することができます。

    ただし、面会交流の拒否が認められるには、裁判所に虐待の事実を証明するための証拠を提示する必要があります。具体的には、以下のような証拠の収集と保全をしておきましょう。

    • 怪我した部位の写真
    • 虐待を記録した動画や音声ファイル
    • カルテ、診断書
    • 警察、児童相談所等の公的機関に相談した際の相談記録
    • メモ、日記

    ②子供自身が面会を嫌がっている

    面会交流を認めるか否かは子の利益を最優先に考えなくてはなりませんので、子本人が面会を拒絶しているのであれば面会交流を拒否できるのは当然です。

    ただし、子が監護親の顔色を伺ったり心中を察して、本心ではなく「(非監護親と)会いたくない、会わなくていい」と監護親の歩調に合わせて言っているだけの場合もあります。実際、非監護親と会った途端、自分の言ったことを忘れ相手との面会、交流を楽しむ子もいます。

    したがって、調停や審判で面会交流の許否を判断する際に子の意思を考慮するかどうかは、子の年齢により異なります。一般的には10歳程度から子の意思が尊重される傾向があり、子が15歳以上の場合は、理由を問わず、子の意思を尊重しなければなりません。

    ③子を連れ去る危険性が高い

    非監護親から連れ去れられることで今現在の監護親と引き剝がされて生活環境が一変するわけですから、子の精神的負担は計り知れません。そのため、過去に連れ去りがあった、連れ去られそうになったなど、非監護親が子を連れ去る危険性が高い場合には、面会交流を拒否することができます。

    ④相手が精神的に不安定

    相手にアルコール依存、薬物依存の疑いがある、相手が精神的に不安定であるという場合は、子に危険行為が及ぶなど、子との安全な面会交流を期待できないおそれが高いといえるため、面会交流の許否が認められる可能性があります。

    ⑤約束とは異なる条件を突き付けられている

    面会交流の条件、やり方については協議(話し合い)や裁判で決めています。したがって、面会交流はその条件に従って行う必要があります。相手が取り決めた条件に従わずに、取り決めた条件とは異なる条件、無理な条件を突き付けてきた場合には面会交流を拒否することができます

    正当な理由なく取決めされた面会交流を拒否するリスク

    協議や調停・審判で面会交流について取り決めがなされているのに、正当な理由なく面会交流を拒否するとどのようなリスクがあるのでしょうか。以下で解説します。

    ⑴家庭裁判所から履行勧告される

    履行勧告とは、家庭裁判所から監護親に対して「調停、審判などで決まった面会交流の内容を守ってください」と促す手続きです。非監護親から家庭裁判所に履行勧告の申出がなされると、家庭裁判所から履行勧告に関する連絡書がご自宅に送付されます。

    この履行勧告には強制力はありませんが、この履行勧告に従わないと次に説明する間接強制を申し立てられるなどの事態に発展するおそれもあるため心理的プレッシャーとなるでしょう。

    ⑵間接強制される

    間接強制とは、監護親が面会交流を拒否した場合、非監護親への金銭の支払いを家庭裁判所から命じられ、その心理的プレッシャーを背景として、間接的に面会交流を促そうとするものです。

    たとえば、家庭裁判所から「1回、面会交流させないごとに、相手に対して〇万円支払え」という命令を受けます。しかし、「〇万円払うのはもったいないので、面会を認めてやろう」という気持ちに強制的にさせるのが間接強制というわけです。〇に入る金額は、通常「5~10万円」が平均とは思いますが、近年は高額化の傾向にあると言われています。

    ≫面会交流の間接強制とは?認められるケース、認められないケースを紹介

    なお、家庭裁判所から間接強制されるのは、「裁判離婚(調停、審判など)で面会交流について取り決めがなされた場合」ですが、その場合でも、調停等で面会交流の内容について、詳細かつ具体的に定めていた場合に限って間接強制される、ということになっています。

    ⑶損害賠償請求(慰謝料請求)される

    協議や裁判で面会交流について詳細かつ具体的に定めた場合には、非監護親は面会交流する権利を取得し、監護親には面会交流させる義務が生じます。

    したがって、監護親が正当な理由なく面会交流を拒否することは非監護親の面会交流する権利を侵害する「不法行為」に該当します。そして、不法行為によって非監護親に対して精神的苦痛を与えたと認められる場合には損害賠償(慰謝料)を請求されるおそれがあります。

    ≫面会交流を拒否されたら慰謝料請求できる?条件、相場、裁判例など

    もっとも、面会を拒否しただけで直ちに慰謝料請求されるわけではありません。

    たとえば、

    • 調停や審判などで面会交流の方法が具体的に決まっている
    • 虚偽を述べて面会交流を妨害していた
    • 面会交流を長年拒否し続けていた

      など、不法行為の違法性が強度であると認められる場合に限り慰謝料請求されやすいといえます。

      ⑷親権者が変更される

      正当な理由なく面会交流を拒否し続けた場合は、相手から親権者変更の調停を申し立てられるおそれがあります。

      面会交流は相手の権利であるとともに、子の利益、子の健全な成長のためでもあります。にもかかわらず正当な理由なく面会交流を拒否することで、調停や審判で「子の親権者として不適格」と判断され、親権者を変更されてしまうおそれがあるので注意が必要です。

      過去の裁判例(福岡高裁平成27年1月30日)では、

      • 親権者の母親が、子どもの育児をないがしろにして職場の男性と遊んでいたこと
      • 保育園の行事への参加が消極的で、保育料の未納が続いていたこと
      • 父親と比較して育児のサポートを頼れる人がいないなど養育環境に不安があること

      などの事情から、母親から父親へ親権が変更されています。

      ≫親権者は変更可能!親権者変更が認められる6つの条件と手続き

      面会交流の拒否を認めてもらう方法

      前記のとおり、離婚の協議や裁判で面会交流に関する条件を取り決めたにもかかわらず、これを遵守せずに面会交流を拒否し続けた場合は間接強制、慰謝料請求などされる可能性があります。

      もし、面会交流を拒否したいのであれば、まずは相手と話し合い説得してみることです。

      それでも相手が納得しないということが多いと思いますが、その場合は、面会交流に関する再度の調停、審判を申し立てましょう

      再度の調停、審判では、主張が認められれば面会交流自体を拒否できる、あるいは調停、審判で取り決めた以前とは異なる条件で面会交流させる、ということが可能となります。

      もっとも、面会交流自体を拒否する場合には、先ほどご紹介したように「面会交流を制限すべき特段の事情」を裏付ける証拠を提出して証明していく必要があります。

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